イージスアショア
(イージス・アショアのイメージ図。米ミサイル防衛局より)

「欧州のミサイル防衛に関する段階的向上化構想(European Phased Adaptive Approach:EPAA)」の第2段階にあたるイージス・アショア施設の起工式が行われました。

Deputy Secretary General attends ballistic missile defence groundbreaking in Romania(NATO)

EPAAとは、イランからの弾道ミサイル攻撃に対して欧州諸国を防衛するミサイル防衛構想です。具体的には、ヨーロッパに配備するイージス艦と新たに開発する陸上型システムを段階的に向上させる計画のこと。28カ国が参加するNATO首脳会議で合意されたもので、NATOの総意としてミサイル防衛を本格的に運用するものです。段階は3つ(当初は4つでした)で、以下の通りです。


  • フェイズ1(〜2011年)
    AN/TPY-2 レーダーをトルコに配備し、現行のSM-3 ブロック1A で欧州の同盟国に対する準中距離弾道ミサイルの脅威に対応する。
    2011年3月、USSモンテレーが半年間地中海に配備。今後、欧州配備のイージス艦も増強予定。
    2011年10月の発表によると、2014年からアメリカ、スペイン、NATOが、イージスBMD×4隻をロタ(スペイン)に配備する予定。
  • フェイズ2(〜2015年)
    準中距離弾道ミサイル脅威への対処能力向上のために、陸上配備型 SM-3 ブロック1B配備と発射・通信サイト(イージス・アショア)をデベセル(ルーマニア)に建設予定。
  • フェイズ3(〜2018年)
    SM-3 ブロック2Aを配備予定。準中距離・中距離弾道ミサイルへの対処として、2つめのイージス・アショアをポーランドに建設予定。
  • フェイズ4(〜2020年):凍結


フェイズ1はすでに初期運用能力(interim capability)に達しており、トルコのクレシク(Kurecik)にXバンド・レーダー・AN/TPY-2 が、そしてドイツのラムシュタインに指揮統制センターが配備されました。米ミサイル駆逐艦「USSザ・サリヴァンズ」(AN/SPY-1D 搭載)も地中海へ派遣されています。米海軍によると、2014年までに4隻のイージス艦がロタを母港として配備される予定です。

そして今回、フェイズ2のイージス・アショアの建設が始まりました。フェイズ4は予算や北朝鮮からの弾道ミサイル脅威への対処を優先することを理由に凍結されましたが、おそらくフェイズ3までは順調に進行するのではないかと思われます。

【参考資料】

【過去記事】