US Report: 1st Sub-launched Nuke Missile Among China's Recent Strides(2013/11/11 Defense News)

間もなく発表予定の米中経済安全保障検討委員会(USCC)の最新の報告書の内容が、一部報じられています。その中から潜水艦発射型弾道ミサイルと潜水艦についてピックアップしておきたいと思います。内容の多くは既知のもので、今年9月の米議会調査局(CRS)報告書 [PDF]でも確認できますね。2013年度の米国による中国の海軍戦力評価は、この2つの報告書でだいたい確認できるかと思います。


【JL-2】
中国の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)「JL-2(巨浪2)」の戦力化に目途がついたようです。

中国のSLBM開発は、順調なものではありませんでした。2003年、2004年、2005年、2008年、2009年に行われた水中発射試験のうち、2005年の試験を除いていずれも失敗に終わっていました。2012年にようやく渤海湾で行った発射試験(6発?)に成功したと報じられています(過去記事)。

9月のCRS報告書には、「JL-2が2013年に初期作戦能力(IOC)を獲得する模様(the JL-2 appears ready to reach initial operational capability in 2013)」(上記CRS報告書、19ページ)との観測があり、USCC報告書においても同一の見解が盛り込まれる見通しです。JL-2が今年IOCに達したことはほぼ確定のようですね。

ただ、JL-2が完成し、海軍がSSBNの運用経験を積んだとして、発射する場合にはSSBNをかなり遠海に進出させる必要があります。

JL2_range
(渤海湾からJL-2を発射した場合の射程範囲。正距方位図法で。)

missilerange1
(同じく渤海湾を発射点に。メルカトル図法で。)

JL-2の射程距離は7,400km。渤海湾や南シナ海から発射したのでは、米国本土をかすりもしません。JL-2が現在の性能で米国本土を射程に収めるためには、SSBNは中国近海を遠く離れ、太平洋を東経160度近くまで進出しなければ西海岸の主要都市にさえ届きません。もちろん途中には米軍が対潜音響バリアーや哨戒網が張り巡らせているチョーク・ポイントがあり、有事であれば西太平洋に米空母打撃群も複数個展開しているでしょう。我が国の潜水艦も当然米国と協力しているはずです。その状況下で、隠密性と生残性が最重要となるSSBNを自国から遠く離れた太平洋へ展開させるのは得策ではありません。渤海や黄海は、SSBNの聖域とするには水深が浅く、好ましい作戦海域ではありません。

また、南シナ海へ配備するとしても、あくまで米本土を狙うのであれば、たとえ10,000kmの射程を持つSLBMが開発されたとしても届きません。いかに「最小限抑止」とはいえ、人口密度の低いアラスカやグアムしか攻撃できないのでは抑止力も十分働かないのではないでしょうか。ソ連にはバレンツ海やオホーツク海という場所がありましたが、中国の地理環境ではそう都合良くもいかないようです。


【093、094、095、096型潜水艦】
JL-2の発射プラットフォームとなる094型晋級原子力潜水艦(SSBN)は、すでに3隻配備中。10年以内に次世代096型唐級原潜に代替わりする計画で、それまでに094型を5隻建造予定とのこと。

093型商級攻撃原潜(SSN)は、2隻配備中。さらに4隻の改良型商級を建造中。2015年頃までに、対地攻撃能力を持つ095型巡航ミサイル原潜(SSGN)の就役が予定されています。095型は静粛性を増し、対艦巡航ミサイル(ASCM)による対艦攻撃力も満たすものと考えられています。


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