中国が東シナ海に防空識別圏(ADIZ)を設定したことに対し、当然のことながら日米韓台が反発していますね。尖閣諸島という他国領空にADIZを重ね合わせてきたという事実もさることながら、中国は自国防空のための「識別圏」であるはずのADIZを、さも領空であるかのように強制力を他国に行使しようというランドパワー的発想が受け入れられるわけがありません。こうした発想は、排他的経済水域(EEZ)においてもみられますね。いずれにしても、習近平政権はどうも外交が下手なのかもしれないな、と個人的に感じています。我が国にとって、そんな中国の態度は脅威であると同時に、国際社会に中国のジャイアンぶりをアピールし、地域諸国と連携を深める絶好の機会でもあります。

さて、ADIZを設定したということは、中国軍機がスクランブル(緊急発進)することもあるということです。いきなり空戦になるような蓋然性はほとんどありませんが、どこからどんな機体が飛んでくるのかを知っておいて損はないので、そこのあたりをざっくりとご紹介します。

まずは、南京軍区にある空軍(PLAAF)部隊のうち、ADIZのアラート任務に出てきそうな機体と配備基地です。

第3航空師団
第7航空連隊 安徽省・蕪湖基地 J-7E
第9航空連隊 安徽省・蕪湖基地 Su-30MKK、J-10
第8航空連隊 浙江省・長興基地 J-10A

第14航空師団
第40航空連隊 江西省・向塘基地 J-11
第41航空連隊 江西省・向塘基地 J-7 

第29航空師団
第85航空連隊 浙江省・衢州基地 Su-30MKK
第86航空連隊 浙江省・衢州基地 J-7E
第87航空連隊 浙江省・衢州基地 J-8H

次に、海軍航空隊(PLANAF)の所属機のうち、アラートに出てきそうな機体です。

第4航空師団(寧波)
第10航空連隊 Su-30MK2
第11航空連隊 J-16
第12航空連隊 J-10AH/SH

アラート機発進基地と尖閣諸島までの距離に着目すると、空軍の第8航空連隊・長興基地が687km、第85航空連隊・衢州基地が577kmと比較的近くにあります。魚釣島まで最も近いのが、海軍航空隊が運用する寧波の路橋基地(Luqiao Airbase)で、370kmです。福州基地、福建水門基地も約400kmの距離で、アラート機の待機基地として候補に挙がっている模様です(2013/12/04加筆)。

CADIZ_range

↓ グーグルマップで。


より大きな地図で 中国軍基地から魚釣島まで を表示

路橋、福州、福建水門あたりの基地を利用するとなると、那覇基地から発進するF-15に対し、距離的には有利になりますね。中国のメディアでも取り上げられています。

福州基地
Youtubeより)

ただ、中国沿岸部から例えば魚釣島までの距離を考えると、固定レーダーでは低空の監視ができません。早期警戒機/早期警戒管制機(AEW/AWACS)を飛ばすことになりますが、24時間監視するほどの機数はないですから、どうするんでしょうか。海軍航空隊所属のAEW/AWACSを使っても十分な数が揃っているとは言えません。海警などの公船や民間の漁船をレーダーピケット用にばらまくという手もありますけども…。こうなると、無人機(UAV)絡みの話にもなってきますね。

ちなみに、このエリアでAEW/AWACSを配備している空軍基地は、第26航空師団です。江蘇省・碩放空軍基地には最新型のKJ-2000を配備しています。中国はADIZの策定において、AEWやAWACSの運用基地の位置も考慮したのではないでしょうか(基本はEEZと同じ200海里を基準にしているようです)。


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さて、南シナ海にもADIZを設定する予定があると報じられています。南シナ海で中国が主張している海域をすべてADIZに含めるとなると、かなり広大な範囲になります。本土陸上基地からの発進だと、ADIZ南端へ着く頃には対象となる相手はいなくなってるでしょう。スカボロー礁でも海南島から900kmを超えますしね…。習熟訓練も兼ねて、空母を置いておくなんてこともあるのかな?