中国が極超音速滑空ミサイル「WU-14」の実験を行ったとワシントン・フリービーコンが伝えています。米国務省当局者からの情報だそうです。

China Conducts First Test of New Ultra-High Speed Missile Vehicle(2014/1/13 Washington Free Beacon)

フリービーコンによると、1月9日、極超音速滑空実験機(hypersonic glide vehicle)「WU-14」が大陸間弾道ミサイルの弾頭に搭載されて発射され、その後、滑空してニア・スペース(準宇宙)をマッハ10で機動したと報じられています。詳細はまだありません。

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米国には、CPGS(Conventional Prompt Global Strike:通常兵器型即時全地球攻撃)構想というものがあり ます。これは、「地球上のあらゆる場所へ1〜2時間以内に通常戦力による攻撃を行う」というコンセプトです。核抑止力の「一部」の代替、もしくは通常戦力と核戦力の「隙間」を埋めるものとして期待され、様々な組織によって数種類の研究・開発が手がけられています(CPGS計画関連はこちら)。代表的なものとしては、Falcon HTV-2やX-51Aウェーブライダー計画などがあり、いずれもひとまず終了しています。構想の一環として見た場合、陸軍の先進型極超音速兵器(AHW)は順調なので、こちらの方へ技術が活用されるのかもしれません。

極超音速機の運搬プラットフォームは、ICBM、SLBM、または戦略爆撃機が用いられ、極超音速巡航ミサイルや、無人機も候補として研究されています。

メリットはなんといってもその速度に由来するもので、探知されづらく、迎撃の機会・時間を相手に与えない生残性です。また、終末速度では弾道ミサイルにかなり劣るものの、攻撃の精度は弾道ミサイルよりも優れているとされます。

中国では、以前から極超音速飛行体の開発計画に研究開発投資が続けられています。次世代型飛行体計画では、空気吸入式超音速燃焼ラムジェット(スクラムジェット)エンジン技術を採用し、マッハ5の極超音速スピードを実現するというプロジェクトもあります。研究投資の対象として、他にも先進型耐熱素材、レーダーや赤外線識別減少(例:ステルス)技術、MEMS(微小電気機械素子及びその創製技術のこと)、自律制御システムの開発などへも集中しています。中国が行ったスクラムジェット推進飛行体の研究シミュレーションでは、航続距離が1,000〜2,000km、高度は25〜30km、速度はマッハ6に達するという結果を得られたとのこと。

米シンクタンク「Project2049」のマーク・ストークス氏によると、中国には2つの極超音速機計画があり、先週実験されたものは、ミサイルの弾頭として発射されるポスト・ブースト・ビークル(post-boost vehicle)型です。もうひとつのタイプは、爆撃機などに搭載されるスクラムジェット推進(scramjet-powered vehicle)型です。

カーネギー財団のローラ・サールマン女史は、中国の極超音速機の研究計画は戦略核兵器にも適用される技術ではあるが、むしろ、より限定された範囲の通常兵器の技術として研究されていると指摘しています。

サールマン女史はまた、中国の極超音速機研究は他の精密誘導兵器の能力向上の一部であるとしています。たしかに、以前から対艦弾道ミサイル(ASBM)「DF-21D」との関連が指摘されていますね。ASBMは「弾道」ミサイルである以上、技術的制約が多いことを中国も当然認識しています。米国よるX51Aの実験の際、中国のメディアがこぞって注目していましたが、実際中国は2025年までの全地球即時攻撃能力の獲得を目指して5カ年計画を更新しており、極超音速巡航機(Hypersonic Cruise Vehicle:HCV)の概念研究も始めています(Project 2049)。


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