先日、『National Interest』に掲載された中国の巡航ミサイル記事を紹介したのですが、これは次の著書の概要(executive summary)でした。
すでに概要は過去記事に取り上げた通りなので、本稿はもう少し細かい巡航ミサイルの性能について。
巡航ミサイルに限らず、中国の軍事情報は諸説入り乱れることが多いので、整理が大変です。後日の整理に役立つように、自分用のメモを兼ねて更新。
対艦巡航ミサイル(ASCM)
※1 最新のASCM。8隻の052C型/旅洋II型駆逐艦のみに搭載が確認されている。地対艦バージョンのYJ-62Cが福建省にTELとともに配備され、シルクワーム(85〜95km)の代わりに沿岸防衛を担っているという情報もある。
※2 フランスの「エグゾセ対艦ミサイル」に似ている。YJ-81は空軍のJH-7/A戦闘機を、YJ-82は潜水艦を発射母体とする。最も広く配備されている型は、YJ-8A。折畳翼が特徴である。
※3 Jane'sでは、120km。
※4 YJ-8をベースにしているが、推進方式を固体ロケットからターボジェットエンジンを採用した。YJ-8を更新する。対レーダー・ミサイル型YJ-83KH(射程:230km)などの派生型もある。後継はYJ-12超音速ASCM(射程400km)か?
※5 5,000トン級の駆逐艦を攻撃するよう設計されている。飛行中に中間軌道を修正可能。超水平線攻撃能力もある。各種資料により諸元に差がみられる。
※6 ロシア製Kh-31(AS-17 クリプトン)をもとに開発した対レーダーミサイル。SPY-1レーダーやパトリオット・レーダーを狙う。マッハ3.5。海軍のSu-30MK2とJH-7Aに搭載。
※7 CEPは5〜7m。
※8 3M80Eは、2隻のソブレメンヌイ級(956型)駆逐艦に搭載。3M80MBEは、ソブレメンヌイ級(956EM型)駆逐艦に搭載。米軍のRIM-67スタンダード・ミサイルシステムを破るために開発された。終末速度はマッハ2.5。
※9 3M-54Eの終末速度はマッハ3だが、輸出型3M-54E1は亜音速。8隻のキロ級(636M)潜水艦にのみ搭載。ロシアから150発調達。
対地巡航ミサイル(LACM)
※10 空軍初の本格的なスタンドオフ精密誘導兵器。CEPは10〜15m。 マッハ0.9。全長7.5m、直径75cm、重量2,500kg。H-6Hは2発搭載可能。
※11 東海10/長剣10。終末誘導にデジタル式情景照合装置(DSMAC:Digital Scene-Matching Area Correlation)方式を採用。誘導には北斗/コンパス衛星測位システムまたはロシアのGLONASSを利用するという情報もある。CEPは10m。200〜500発配備。地上発射ランチャー(TEL)数は45〜55基。
CJ-10Kは、H-6MまたはH-6Kに搭載する。艦上発射型の開発も進められている模様。
対艦型DH-10の研究計画が存在し、その初期段階において射程3,000kmのものがあると見られている。
※12 台湾からの情報。
DH-10に関係するものとして、3種類の紅鳥(Hong Niao) LACMシリーズ開発計画があるとされる。これは中国海鷹機電技術研究所(China Haiying Electro-Mechanical Technology Academy)がロシアの技術援助を受けたものといわれる。Jane’sではシルクワーム系列という観測であったが、Hong Niao-1(HN-1)はロシア製Kh-55グラナート(射程3,000km)に似た形状を持ち、射程は600kmとされる。1990年代にパキスタンを経由して入手した米国製トマホークを参考に、1996年に射程1,500〜2,000kmのHN-2を開発。2000年にはHN-3が開発中であるとされた。
ところが、2004年のDH-10試験の際、Jane'sはHNシリーズについて全く言及しなかった。本著ではHNシリーズをせいぜいKh-55の射程縮小版と見ている。DH-10の例があるとはいえ、射程1,000kmを超えるKh-55のR-95-300ターボファン・エンジンのような技術の開発は、中国にとって依然として大きな課題である。
中国が独自の技術に不備を感じていることは、他国から情報を獲得するための活発なスパイ活動によっても裏打ちされている。2006年、中国の工作員であったロッキード・マーチン台湾代表の Ko-Suen 'Bill' Mooが、F-16戦闘機のエンジンやUH-60ブラックホーク、そしてAGM-129巡航ミサイルを中国に買いつけようとした。中国が関心を寄せたAGM-129は射程3,700kmの核弾頭搭載可能な巡航ミサイル。1980年代に開発されたものだが、米国は2020年までの使用を予定している。2011年にも、ステルス性排気ノズルや巡航ミサイルの赤外線探知回避技術の機密情報を中国に渡していたとして、ノースロップの Noshir Gowadiaが逮捕されている。
水上艦発射プラットフォーム
※13 8〜12隻建造予定か。対地攻撃能力を付与されると見られる。
潜水艦発射プラットフォーム
※14 超音速ASCM「YJ-12(鷹撃12)」を搭載するという情報も。
※15 運用中のものは8隻とも。
空中発射プラットフォーム
※16 H-6Gは、H-6Dの後継機。H-6Mは、H-6Kのストップギャップ。
ヘリの役割
固定翼機に比べ、回転翼機はシューターとしての役割を期待されていません。超水平線ターゲッティング(OTH-T)プラットフォームとして、MR-331「ミネラル-ME」対艦ミサイル管制用レーダー等を搭載してデータリンク・ノードを担っています。
巡航ミサイル迎撃態勢
まず、巡航ミサイルによる攻撃に関して。
陸・海・空軍と第二砲兵は、実戦環境を模した中で巡航ミサイル攻撃訓練を頻繁に実施しています。想定されるシナリオの第一は台湾有事であり、攻撃に関する訓練の質も年々向上しています。
次に、巡航ミサイル迎撃に関して。
地対空ミサイル(SAM)の数は世界有数で、ロシアからS-300を輸入し、さらに国産のHQ-9などの諸システムも保有します。早期警戒機の導入や052C型駆逐艦のようなエリア防空能力を持った艦も登場し始めています。とはいえ、人民解放軍の巡航ミサイル防衛力はまだまだ脆弱で、この点は中国国内の専門家も深刻に受け止め、SAMシステムや早期警戒機のさらなる導入、電子戦能力の向上など、ハード・ソフト両面での巡航ミサイル防衛網構築について考えているようです。軍内部では、湾岸戦争時の運用例を材料にトマホークの研究も進めているようですね。
中国の巡航ミサイル防衛システムの運用能力がどれほどであるのか、SAMと空・海軍の航空部隊の連携、空軍と海軍航空隊の共同オペレーション能力がどの程度調整されているかなども不明で、今後の研究が待たれます。
次世代巡航ミサイル
次世代の巡航ミサイルは、高速化と長射程が特徴となります。その技術の一つとして、極超音速機の開発計画が存在します。中国では、以前から極超音速飛行体の開発計画に研究開発投資が続けられています。次世代型飛行体計画では、空気吸入式超音速燃焼ラムジェット(スクラムジェット)エンジン技術を採用し、マッハ5の極超音速スピードを実現するというプロジェクトもあります。研究投資の対象として、他にも先進型耐熱素材、レーダーや赤外線識別減少(例:ステルス)技術、MEMS(微小電気機械素子及びその創製技術のこと)、自律制御システムの開発などへも集中しています。中国が行ったスクラムジェット推進飛行体の研究シミュレーションでは、航続距離が1,000〜2,000km、高度は25〜30km、速度はマッハ6に達するという結果を得られたとのこと。
核巡航ミサイルは?
今のところ存在しないと見られます。技術的な問題ではなく、指揮・統制に問題を引き起こすこと、現在の核ドクトリンに一致しないこと、好ましくない国際的反発を招くこと、などがその理由と考えられています。共産党中央委員会では、「核兵器の任務は戦略的抑止である」とみなしています。将来の可能性までをも完全に排除することはできませんが。
中国の兵器に関しては資料ごとに数値がまちまちだったりするので、正確なところを把握するのが難しいですね。本書のような資料でさえも明らかに間違っている点があったりするので、この手のものを読む際にはほんとに注意が必要だなと毎回思います。実際、個々の兵器の諸元を知るだけならば、この著書より詳しく正確な資料やサイトがあります。しかし、A・S・エリクソン教授やJ・ユアン教授のような専門家による高位の戦略階層を含んだ分析は、やはり大変参考になるものです。
この著書では他にも、ミサイルの性能やプラットフォームの解説だけでなく、巡航ミサイルが中国の戦闘ドクトリンでどのように位置づけられているか、ということを実際の中国のテキストブックを引用する形で紹介しています。興味のある方はそちらも是非。
今回、『A Low-Visibility Force Multiplier: Assessing China’s Cruise Missile Ambitions』をベースにその他報告書や国防白書、メモしておいた報道の情報などを加味してみました。でも、中国の兵器開発ペースを考えると、今年中にここでまとめた数字も陳腐化するんだろうなあ…。暇を見つけて追記できればと思ってます(^_^;)
【参考資料】
Dennis M. Gormley, Andrew S. Erickson, and Jingdong Yuan, [PDF] A Low-Visibility Force Multiplier: Assessing China’s Cruise Missile Ambitions (Washington, D.C.: National Defense University Press, 2014).
すでに概要は過去記事に取り上げた通りなので、本稿はもう少し細かい巡航ミサイルの性能について。
巡航ミサイルに限らず、中国の軍事情報は諸説入り乱れることが多いので、整理が大変です。後日の整理に役立つように、自分用のメモを兼ねて更新。
対艦巡航ミサイル(ASCM)
| タイプ | 発射母機 | 射程 (km) | ペイロード (kg) | 速度 | 誘導方式 |
| YJ-62/鷹撃62※1 (C-602) YJ-62A | 地上発射型 (YJ-62A) 艦上発射型 | 280 400 (YJ-62A) | 210 HE徹甲弾 | 亜音速 | 慣性航法/ 終末: アクティブ |
| YJ-8シリーズ (CSS-N-4 サーディン/ C-801)※2 | 艦上発射型 空中発射型 (YJ-81) 潜水艦発射型 (YJ-82) | 42 (YJ-8) 80 (YJ-81/C-801K) 30※3 (YJ-82/C-801Q) | 165 HE半徹甲弾 | 亜音速 | 慣性航法/ 終末: アクティブ |
| YJ-83※4 YJ-83A (C-802A)※5 その他派生型 | 地上発射型 艦上発射型 空中発射型 (YJ-83K) | 120 (地上/艦上発射型) 250 (YJ-83K) | 165 HE半徹甲弾 | 亜音速 | 慣性航法/ アクティブ |
| YJ-91/KR-1※6 (Kh-31P) | 空中発射型 | 110 | 87〜90 高性能爆薬/ 爆風破片効果 | 超音速 | パッシブ |
| AS-18 カズー※7 (Kh-59MK) | 空中発射型 Su-30MK2 | 115 | 320 徹甲榴弾 (APHE)/ 280 クラスター弾 | 亜音速 | 慣性航法/ TV画像 |
| SS-N-22サンバーン※8 (3M80E モスキート); 3M80MBE (改良型) | 艦上発射型 ソブレメンヌイ級 駆逐艦 (956、956EM) | 120 (3M80E) 240 (3M80MBE) | 300 HE半徹甲弾 | 超音速 | 慣性航法 (更新可)/ アクティブ パッシブ |
| SS-N-27B シズラー※9 (3M-54E1 クラブ) | 潜水艦発射型 キロ級(636M)潜水艦 | 300 | 450 | 亜音速 | 衛星測位+ 慣性航法/ アクティブ |
| CH-SS-NX-13 | 潜水艦発射型 宋級、元級、商級 | ? | ? | ? | ? |
| CX-1A CX-1B | 艦上発射型 地上発射型 | 40〜280 | ? | 超音速 | ? |
※2 フランスの「エグゾセ対艦ミサイル」に似ている。YJ-81は空軍のJH-7/A戦闘機を、YJ-82は潜水艦を発射母体とする。最も広く配備されている型は、YJ-8A。折畳翼が特徴である。
※3 Jane'sでは、120km。
※4 YJ-8をベースにしているが、推進方式を固体ロケットからターボジェットエンジンを採用した。YJ-8を更新する。対レーダー・ミサイル型YJ-83KH(射程:230km)などの派生型もある。後継はYJ-12超音速ASCM(射程400km)か?
※5 5,000トン級の駆逐艦を攻撃するよう設計されている。飛行中に中間軌道を修正可能。超水平線攻撃能力もある。各種資料により諸元に差がみられる。
※6 ロシア製Kh-31(AS-17 クリプトン)をもとに開発した対レーダーミサイル。SPY-1レーダーやパトリオット・レーダーを狙う。マッハ3.5。海軍のSu-30MK2とJH-7Aに搭載。
※7 CEPは5〜7m。
※8 3M80Eは、2隻のソブレメンヌイ級(956型)駆逐艦に搭載。3M80MBEは、ソブレメンヌイ級(956EM型)駆逐艦に搭載。米軍のRIM-67スタンダード・ミサイルシステムを破るために開発された。終末速度はマッハ2.5。
※9 3M-54Eの終末速度はマッハ3だが、輸出型3M-54E1は亜音速。8隻のキロ級(636M)潜水艦にのみ搭載。ロシアから150発調達。
対地巡航ミサイル(LACM)
| タイプ | 発射母機 | 射程 (km) | ペイロード (kg) | 速度 | 誘導方式 |
| YJ-63/KD-63※10 | 空中発射型 H-6H、H-6K | 200 | 500 HE | 亜音速 | 慣性航法+GPS/ 終末: TV画像 |
| DH-10/CJ-10※11 (東海10/長剣10) | 空中発射型 (CJ-10K) 地上発射型 (3連装発射TEL) | 1,500〜2,000 | 500 | 亜音速 | 慣性航法/ 衛星測位+ 地形照合+ GPS誘導 |
| KD-88 | 空中発射型 | 180〜200 | 165 | 亜音速 | 慣性航法/ 終末:アクティブ |
| KD-20/YJ-100(?) | 空中発射型 | 1,500〜2,000 | 500 | 亜音速 | 慣性航法/ 衛星測位/ TV画像 |
| DH-2000 (?)※12 | 潜水艦発射型 093型商級原潜 | ? | 500 | 亜音速 | ? |
| YJ-91/KR-1 (Kh-31P) | 空中発射型 (空軍・海軍) | 15〜110 | 87〜90 HE/爆風破片効果 | 超音速 | パッシブ |
| AS-13 キングボルト (Kh-59) | 空中発射型 Su-30MKK | 45 | 320 徹甲榴弾 (APHE)/ 280 クラスター弾 | 亜音速 | 慣性航法/ TV画像 |
※11 東海10/長剣10。終末誘導にデジタル式情景照合装置(DSMAC:Digital Scene-Matching Area Correlation)方式を採用。誘導には北斗/コンパス衛星測位システムまたはロシアのGLONASSを利用するという情報もある。CEPは10m。200〜500発配備。地上発射ランチャー(TEL)数は45〜55基。
CJ-10Kは、H-6MまたはH-6Kに搭載する。艦上発射型の開発も進められている模様。
対艦型DH-10の研究計画が存在し、その初期段階において射程3,000kmのものがあると見られている。
※12 台湾からの情報。
DH-10に関係するものとして、3種類の紅鳥(Hong Niao) LACMシリーズ開発計画があるとされる。これは中国海鷹機電技術研究所(China Haiying Electro-Mechanical Technology Academy)がロシアの技術援助を受けたものといわれる。Jane’sではシルクワーム系列という観測であったが、Hong Niao-1(HN-1)はロシア製Kh-55グラナート(射程3,000km)に似た形状を持ち、射程は600kmとされる。1990年代にパキスタンを経由して入手した米国製トマホークを参考に、1996年に射程1,500〜2,000kmのHN-2を開発。2000年にはHN-3が開発中であるとされた。
ところが、2004年のDH-10試験の際、Jane'sはHNシリーズについて全く言及しなかった。本著ではHNシリーズをせいぜいKh-55の射程縮小版と見ている。DH-10の例があるとはいえ、射程1,000kmを超えるKh-55のR-95-300ターボファン・エンジンのような技術の開発は、中国にとって依然として大きな課題である。
中国が独自の技術に不備を感じていることは、他国から情報を獲得するための活発なスパイ活動によっても裏打ちされている。2006年、中国の工作員であったロッキード・マーチン台湾代表の Ko-Suen 'Bill' Mooが、F-16戦闘機のエンジンやUH-60ブラックホーク、そしてAGM-129巡航ミサイルを中国に買いつけようとした。中国が関心を寄せたAGM-129は射程3,700kmの核弾頭搭載可能な巡航ミサイル。1980年代に開発されたものだが、米国は2020年までの使用を予定している。2011年にも、ステルス性排気ノズルや巡航ミサイルの赤外線探知回避技術の機密情報を中国に渡していたとして、ノースロップの Noshir Gowadiaが逮捕されている。
水上艦発射プラットフォーム
| 艦種 | ミサイル搭載数 | 就役状況 |
| 052B型/旅洋I型駆逐艦 (エリア防空) | YJ-83 4連装発射筒×4 | 南海艦隊×2 |
| 052C型/旅洋II型駆逐艦 (エリア防空) | YJ-62 4連装発射筒×2 | 東海艦隊×2 南海艦隊×2 他に2隻進水済み。 |
| 052D型//旅洋III型駆逐艦※13 (エリア防空) | DH-10艦載型? YJ-12? YJ-18? 32セルのVLS×2に搭載される。 | 南海艦隊×1 10隻以上進水済み。 |
| 051C型旅洲型駆逐艦 | YJ-83 4連装発射筒×2 | 北海艦隊×2 |
| ソブレメンヌイ級駆逐艦 (956E/956EM) | SS-N-22 サンバーン 4連装発射筒×2 | 東海艦隊×4 (956E×2) (956EM×2) |
| 052A型/旅滬型駆逐艦 | YJ-83 4連装発射筒×4 | 北海艦隊×2 |
| 旅大型駆逐艦 (051DT/051G/051GII) | YJ-83 4連装発射筒×4 | 北海艦隊×2 南海艦隊×2 |
| 051B型/旅海型駆逐艦 | YJ-83 4連装発射筒×4 | 南海艦隊×1 |
| 054型/江凱I型フリゲート | YJ-83 4連装発射筒×2 | 東海艦隊×2 |
| 054A型/江凱II型フリゲート | YJ-83 4連装発射筒×2 | 北海艦隊×4 東海艦隊×4 南海艦隊×8 17〜20番艦も建造中。 |
| 053H2G型/江衛I型フリゲート | YJ-83 3連装発射筒×2 | 東海艦隊×4 |
| 053H3型/江衛II型フリゲート | YJ-83 4連装発射筒×2 | 北海艦隊×2 東海艦隊×4 南海艦隊×4 |
| 江滬I/II/V型フリゲート (053H/053H1/053H1G) | SY-2/HY-2 連装発射筒×2 (053H/053H1) YJ-83 4連装発射筒×2 (053H1G) | 北海艦隊×3 東海艦隊×7 南海艦隊×8 (053H1Gはすべて南海) |
| 053H2型/江滬IV型フリゲート | YJ-8 単装発射筒×8? または YJ-83 4連装発射筒×2 | 北海艦隊?×1 |
| 022型/ホウベイ型ミサイル艇 | YJ-83 4連装発射筒×2 | 60隻以上 |
| 056型/江島型コルベット | YJ-83 連装発射筒×2 | 北海艦隊×3 東海艦隊×2 南海艦隊×6 他に7隻進水済み 20番艦まで建造予定 |
潜水艦発射プラットフォーム
| 艦種 | 搭載ミサイル | 就役状況 |
| 093型/商級原子力潜水艦 | YJ-82※14 CH-SS-NX-13(開発中) | 2(東海艦隊×1?、南海艦隊×1?) 4隻?の改良型商級を建造中。 |
| 091/091G/漢級原子力潜水艦 | YJ-82 | 3(北海艦隊×3もしくは 北海艦隊×2、南海艦隊×1) |
| キロ級ディーゼル潜水艦 (877EKM/636/636M) | SS-N-27 シズラー (636M型のみ) | タイプはそれぞれ、 877EKM×2、636×2、636M×8 配備先は、東海艦隊×12もしくは 東海艦隊×8、南海艦隊×4 |
| 041型/元級ディーゼル潜水艦 (039A/039B) | YJ-82 CH-SS-NX-13(開発中) | 最大で12隻就役したと見られる※15。 |
| 039/039G型/宋級ディーゼル潜水艦 | YJ-82×6? CH-SS-NX-13(開発中) | 北海艦隊×6 東海艦隊×3 南海艦隊×4 就役中の艦は16隻と見られる。 |
| 095型原子力潜水艦 | CH-SS-NX-13(開発中) | 5隻?建造中。 |
※15 運用中のものは8隻とも。
空中発射プラットフォーム
| 機種 | 搭載ミサイル | 就役状況 |
| H-6爆撃機※16 (轟炸6) | H-6D(海軍):YJ-6(C-601)×2発/YJ-81/YJ-83 H-6G(海軍):YJ-83K×4発/YJ-63/KD-88 H-6H:YJ-63/KD-63×2発 H-6K:CJ-10K×6発 H-6M:CJ-10K×4発 他に、YJ-81も搭載可能。 | 空軍のH-6系×82? H-6D×3? H-6G×30〜32 |
| JH-7A攻撃機 (殲轟7A) | YJ-81/C-801K、YJ-83K、YJ-91(またはAS-17)、KD-88 | 空軍×96? 海軍×96? |
| Su-30MKK/MKK2 | Kh-31P、AS-13、YJ-91(またはAS-17) | 空軍×73? 海軍×24? |
| J-11B/BS/BH/BSH (殲撃11B/BS/BH/BSH) | YJ-91、KD-88 | 空軍×62?〜120? 海軍×4+? |
| J-11A (殲撃11A) | YJ-91、YJ-81/C-801K | 36? |
| Su-27SK | Kh-31P | 36 |
| J-10B (殲撃10B) | YJ-81/C-801K、YJ-83 | 10? |
| J-10/A/S/AH/SH (殲撃/A/S/AH/SH) | YJ-81/C-801K、YJ-83、YJ-91 | 空軍×216? 海軍×24? |
ヘリの役割
固定翼機に比べ、回転翼機はシューターとしての役割を期待されていません。超水平線ターゲッティング(OTH-T)プラットフォームとして、MR-331「ミネラル-ME」対艦ミサイル管制用レーダー等を搭載してデータリンク・ノードを担っています。
巡航ミサイル迎撃態勢
まず、巡航ミサイルによる攻撃に関して。
陸・海・空軍と第二砲兵は、実戦環境を模した中で巡航ミサイル攻撃訓練を頻繁に実施しています。想定されるシナリオの第一は台湾有事であり、攻撃に関する訓練の質も年々向上しています。
次に、巡航ミサイル迎撃に関して。
地対空ミサイル(SAM)の数は世界有数で、ロシアからS-300を輸入し、さらに国産のHQ-9などの諸システムも保有します。早期警戒機の導入や052C型駆逐艦のようなエリア防空能力を持った艦も登場し始めています。とはいえ、人民解放軍の巡航ミサイル防衛力はまだまだ脆弱で、この点は中国国内の専門家も深刻に受け止め、SAMシステムや早期警戒機のさらなる導入、電子戦能力の向上など、ハード・ソフト両面での巡航ミサイル防衛網構築について考えているようです。軍内部では、湾岸戦争時の運用例を材料にトマホークの研究も進めているようですね。
中国の巡航ミサイル防衛システムの運用能力がどれほどであるのか、SAMと空・海軍の航空部隊の連携、空軍と海軍航空隊の共同オペレーション能力がどの程度調整されているかなども不明で、今後の研究が待たれます。
次世代巡航ミサイル
次世代の巡航ミサイルは、高速化と長射程が特徴となります。その技術の一つとして、極超音速機の開発計画が存在します。中国では、以前から極超音速飛行体の開発計画に研究開発投資が続けられています。次世代型飛行体計画では、空気吸入式超音速燃焼ラムジェット(スクラムジェット)エンジン技術を採用し、マッハ5の極超音速スピードを実現するというプロジェクトもあります。研究投資の対象として、他にも先進型耐熱素材、レーダーや赤外線識別減少(例:ステルス)技術、MEMS(微小電気機械素子及びその創製技術のこと)、自律制御システムの開発などへも集中しています。中国が行ったスクラムジェット推進飛行体の研究シミュレーションでは、航続距離が1,000〜2,000km、高度は25〜30km、速度はマッハ6に達するという結果を得られたとのこと。
核巡航ミサイルは?
今のところ存在しないと見られます。技術的な問題ではなく、指揮・統制に問題を引き起こすこと、現在の核ドクトリンに一致しないこと、好ましくない国際的反発を招くこと、などがその理由と考えられています。共産党中央委員会では、「核兵器の任務は戦略的抑止である」とみなしています。将来の可能性までをも完全に排除することはできませんが。
◇ ◇ ◇
中国の兵器に関しては資料ごとに数値がまちまちだったりするので、正確なところを把握するのが難しいですね。本書のような資料でさえも明らかに間違っている点があったりするので、この手のものを読む際にはほんとに注意が必要だなと毎回思います。実際、個々の兵器の諸元を知るだけならば、この著書より詳しく正確な資料やサイトがあります。しかし、A・S・エリクソン教授やJ・ユアン教授のような専門家による高位の戦略階層を含んだ分析は、やはり大変参考になるものです。
この著書では他にも、ミサイルの性能やプラットフォームの解説だけでなく、巡航ミサイルが中国の戦闘ドクトリンでどのように位置づけられているか、ということを実際の中国のテキストブックを引用する形で紹介しています。興味のある方はそちらも是非。
今回、『A Low-Visibility Force Multiplier: Assessing China’s Cruise Missile Ambitions』をベースにその他報告書や国防白書、メモしておいた報道の情報などを加味してみました。でも、中国の兵器開発ペースを考えると、今年中にここでまとめた数字も陳腐化するんだろうなあ…。暇を見つけて追記できればと思ってます(^_^;)
【参考資料】
- Ronald O'Rourke, [PDF] China Naval Modernization: Implications for U.S. Navy Capabilities—Background and Issues for Congress, Congressional Research Service, April 10, 2014.
- Jesse L. Karotkin, [Senior Intelligence Officer for China, Office of Naval IntelligenceTrends in China’s Naval], [PDF] Trends In China's Naval Modernization US CHINA Testimony, The U.S.-China Economic and Security Review Commission, January 30, 2014.
- 『防衛白書平成25年度版』
- 『漢和防務評論2013年12月号』
- 『世界の艦船 2014年 06月号
』
- 『軍事研究 2013年 02月号
』
- 『軍事研究 2013年 06月号
』
- 『軍事研究 2013年 08月号
』
- 『軍事研究 2013年 12月号
』
- 『日本周辺国の軍事兵器』