
2016年1月31日現在のイージスBMD(弾道ミサイル防衛)の迎撃試験の成績をまとめておきたいと思います。実弾標的が発射され、イージス艦がSM-3迎撃ミサイルを発射した試験を取り上げました。SM-2のみの試験や迎撃を含まない飛行試験は省いてあります。
イージスBMDのテストレコードはミサイル防衛局(MDA)のFact sheetなどでいくらでもまとまったものがあるので、詳細を知りたい方はそちらをお勧めいたします。検索したり英語読むのはちょっと…という方は本稿をご利用ください(笑)。
SM-3を用いたイージスBMDの迎撃試験はこれまで40回実施され、そのうち32回の迎撃に成功(2020/11/17更新)しています(2006年12月のFTM-11(迎撃ミサイル発射されず)はカウントしていません。また、2008年11月のPacific Blitzは1発成功・1発失敗でMDAは失敗扱いとしています。2018年1月のFTM-2は失敗とだけ報じられ詳細不明)。
迎撃率は80%(2020/11/17更新)です。





































2018/10/26の迎撃試験「FTM-45」の詳細は後日追記します(成功)。
2018/12/11の迎撃試験「FTI-03」の詳細は後日追記します(成功)。

- TTV:Target Test Vehicle。
- ARAV: Aegis Readiness Assessment Vehicle。
- 一体化型目標:弾頭とブースターが一体化した標的。スカッドを想定。
- 分離型目標:弾頭がブースターから分離する標的。ノドンを想定。弾頭と切り離された部分とを識別する能力が要求される。
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迎撃率80%は高い数字だと言い切ってよいでしょう。試験の成功率はあくまでも試験だけのもの、という見方も否定はしませんが、上記の通り、イージスBMD試験の多くは発射時刻などを伏せた実戦に近い条件で行われています。それに、コンバット・プルーフ(実戦での能力証明)がない点は北朝鮮の弾道ミサイルも同じです。
ちなみに、PAC-3とTHAADについてはさらに成績は優秀です。PAC-3は2009年以降、失敗がありません。現行のPAC-3MSEも同時多目標迎撃試験などを何度も成功させています。THAADは2006年に現在のコンフィギュレーションになって以降、すべての迎撃試験を成功させています。
⇒ イージスBMD試験に関する詳細記事はこちらから。