この映画はフレッド編に始まりピート編へ、そして混ぜこぜた上で冒頭にリンクするという難解な作品です。
以下ネタバレ含む個人的見解に基ずく解説。
まず、この中で『現実』はどれなのか。序盤のフレッドの夢とビデオ映像です。フレッドは序盤で『記憶は常に自分なりに。起こったままを記憶したくない』からカメラが嫌いだと言っています。逆に言えばビデオカメラの映像は『起こったままの事実』であることを意味してます。更に、パーティーでミステリーマンが『前に会いましたね。お宅で。覚えてませんか?』と言う。そしてパーティー会場(アンディ宅)にいながらフレッドの自宅の電話をとるミステリーマン。これでビデオ撮影者がミステリーマンであり、かつミステリーマンは人間個人ではない、何か抽象的な存在であることも分かります。
思うに、フレッド編はフレッドが改ざんした記憶で、それを正そうとする(現実、事実を見せる)のがミステリーマンな訳です。
やがてフレッドがレネエを殺したシーンが映るビデオが届きますが、フレッドは「殺した記憶がない」と言い張ります。牢獄で激しい頭痛に見舞われ、顔面変形しピートになるフレッド。ピート編はピート含め架空の人物だらけのフレッドの妄想物語らしいです。フレッド編にも登場したアンディは実在者でしょう。ロレントも多分実在です(写真からも消えなかったしフレッド編でもアンディは名前を知ってた)が、怪しいとこです。ここでのアリス=レネエな訳ですが、アリスの恋人であり、ピートに対し『オレは彼女にぞっこんだ。彼女に言い寄る男がいたら殺す』と言い放ったロラントは何かフレッドの嫉妬や殺意の象徴のような気もします。
推察される現実としては、フレッドは恐らくED(レネエとのセックスシーンより)。レネエは昔バーでアンディと知り合い、ポルノビデオに出演した。それを知ったフレッドは激しく嫉妬しレネエを殺害。牢獄の中でこの映画を妄想している。て感じでしょうか。
最後フレッドがディック(てのはスラングで本名はエディ?)ロラントに襲われた際、ナイフを手渡し、しまいに銃殺してしまうミステリーマンですが、ロラント=『フレッドの創作であり、嫉妬、殺意の象徴』とすれば、その行動も納得できます。しきりにフレッドを現実に戻そうとしてるミステリーマンですから、ロラント(=嫉妬や殺意)は消えちまえということでしょう。
lostmistery

んで、最後フレッドに何か耳打ちして消滅、もしくは同化するミステリーマンですが、多分『もう満足だろ、そろそろ現実に戻れよフレッド』みたいな内容と推理します。
その後、自宅にインターホンで『ディックロラントは死んだ』と言う冒頭にリンクするシーンの後、警察に追われハイウェイを走りながら耐えきれず変身しかけるフレッドでエンディングになりますが、このエンディングの歌詞も意味ありげです。
『真実を隠すことは出来ない。己の血を見て現実を知れ…気が変になりそうだ…お前の優しさが欲しい…』こんな感じだったかと。結構他にも歌詞で登場人物の気持ちを代弁してたりします。ピートとアリスの最後のセックスシーンもそのひとつ。そして『お前が欲しい』を連呼するピートに『あんたにはあげない』と立ち去るアリス。フレッドがEDだと明確には描写されてませんが、そうだとするとこのシーンはなかなか残酷です。

てな感じで、ミステリーマンは実はいい奴(!?)なのかも。フレッドはかなり気が狂ってると思われます。以上『ロストハイウェイ』解説でした。