2017年03月21日

定食屋「わきみ亭」本日のまかないートポフ・・・

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ポトフをつくっていてタンパク質系の材料が足りなかったので、水切りをした豆腐を投入。そのとき、天啓のように「ポトウフ!」というダジャレを思いついたのですが、ネットで検索したら、あるわあるわ。がっかりした気持ちをなんとか立て直して、「トポフ」ということに。

トポフ・・・。

お忙しいところ、おじゃましました。

nor_sasaki at 11:27|Permalinkclip!料理店 | イーストエンド発

2017年03月20日

風の遠近法

風は、わたしたちの意識を地球規模の遠近法の中へと連れ出す。

なぜなら、風はいつも〈外〉からやって来て〈外〉へと過ぎ去るからだ。
ときに、いまここで(海面や陸地の温度変化によって)風が発生することがあるとしても、その現象が引き起こすのは常に、この地に接続する〈外なる大気〉〈外なる温度〉〈外なる湿気〉〈外なる生命〉、そして〈外なる時間〉の召喚である。

天山の山並みを駆け下り、タクラマカン砂漠をはるばると渡り、弧状の列島の山々を揺らす風。赤道海域から大洋の縁を伝って北上し、唐突に季節の変わり目を告知する風。あるいは、先日、北へと帰って行ったオオハクチョウたちの旅の回廊としての風。

枯れ色の野を横切る電線が甲高く吠え、調律していない楽器として山が荒々しく鳴り続ける。山あいのちいさな村は、いま風のなかで広々と外に、その外の外に、外の外の外へと開かれている。


「風は地球という名の惑星の血液循環系と神経系をなし、エネルギーと情報の分配、熱と覚醒した意識の配給を司って無から有を作りだしている。(中略) われわれは風の子である。風の才覚によって種蒔かれ、水を与えられ、はぐくまれてきた。」(ライアル・ワトソン著『風の博物誌(Heaven's Breath)』河出書房新社、1985年)

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nor_sasaki at 10:23|Permalinkclip!イーストエンド発 | 路上

2017年03月11日

6度目の春

東日本大震災から6年がたった。復興はまだ先。あらゆるところで工事が行われていて、道という道をダンプカーや工事用の特殊車両が行き交う。ほこりっぽい空気の向こうに大きく変わった風景が広がるが、その上にあるのは昔から変わらない春の空だ。

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↑仙台から八戸を結ぶ復興道路「三陸自動車道」の宮古〜山田区間の工事。山を切り開き津波の影響を受けないエリアを走る。

↓山田町中心部はかさ上げ工事による街の大改造の真っ最中。海の近くに1棟だけ被災したままの建物が残っている(高校の同級生経営の店舗だが、なぜだろう。 コーエー君、元気かあ)。
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nor_sasaki at 17:04|Permalinkclip!イーストエンド発 | 路上

2017年03月02日

記憶と恐怖

先日、京都から大学時代の友人が東京に出てきたので、同級生数人が集まって飲んだ。その中での話。
「カントの『純粋理性批判』をドイツ語の原典で読むK先生の講座があってな、ササキと俺がそれをとったのよ。ところがさっぱり分からんのだよ、これが」と、京都が言う。
われわれはそれぞれ専攻は違うのだが、2年間フランス語の授業で同級生だったというつながりである。わたしはその授業でアーベーセーさえろくに言えないのに、さらにドイツ語でカントという暴挙に打って出たのであった。身の程を知らないというか。若さはしばしばバカさと同義である。ドイツ語の辞書と参考書を買って、純粋ナントカに挑んでみたのであるが、当たり前のことながらまるで歯が立たない。跳び箱も跳べないのに、いきなり「伸身ユルチェンコ3回ひねり」に挑むようなものである。目の前が真っ暗になったのを覚えている。ドイツ語の辞書はその後何十年も時が経ったのに、いまもきれいなままである。

「さっぱり分からんうえにな、出席日数が足りなくて単位を取れそうになくてさ」と、京都が続ける。「困ったなあと思っていたら、ササキが『俺も出席が足りないけど、K先生にかけあってみるから一緒に来い』と。それで何とか単位もらって通してもらったよなあ」
はっ? K先生はカント研究の泰斗である。尊敬しているその方に、出席足りないです、ドイツ語さっぱりです、カントもよくわかりません、だけど通してくださいとは、いくら若き日のわたしがバカで厚かましくてもあり得ない。「いやー、あの時はほんと助かった」と、京都からやってきた友人はにこやかに言うのだが。

あの日以来、ずっと考えているのだが、大学をぎりぎりの成績でなんとか卒業したわたしにとって、それはかなり重要な出来事であったはずなのに(単位が足りなくて卒業できないという悪夢にいまだうなされるというのに)、そのことに関してかけらも記憶がない。なぜなのか。京都の友人の記憶は正しいのだろうか。そしてさらに、ずっとそのことを考えて続けていると、当時のあれこれがすべて本当にあったことなのかどうか次第に確信が持てなくなってくる。

これは1年ほど前のことだが、別な友人と飲んでいてやはり記憶に関して奇妙な体験をした。
気がつくと、かなり酔った友人が、わたしの古い体験を自分のこととして話しているのだ。話は特段変わった内容ではなく誰にでもある若き日の飲み過ぎ失敗談(「大学の同好会の新人歓迎コンパ」「泥酔」「先輩にかつがれて下宿へ」)なのだが、そこで語られているディテール(「一気飲み大会で優勝した酒の量」「優勝でもらったせこい賞品」「次の日、二日酔で出た授業で隣の席の女のコに酒臭いと抗議されたこと」等々)は明らかにわたしのものだ。つまり、わたしがやや誇張して何度も他人に話した情けない出来事の一部始終が、彼の体験として語られているのだ。
その話を目の前にいる友人にもしたことがあるので、彼の似たような体験とわたしの話がいつのまにかすり替わったりあるいは合体したのだろうと思って黙って聞いていたが、そのうち次第に怖くなってきた。わたしがまぎれもなく自分の体験だと思っているものが、本当にそうなのかどうか。つまり、事の真実は逆という可能性――以前に聞いたかもしれない友人の体験を、あるときからわたしは自分のものだと思い込んでいるのではないか。

わたしにとってわたしとは、わたしの記憶である。その記憶が消えていたり、わたしのものでないのだとしたら・・・。

nor_sasaki at 22:05|Permalinkclip!その他 

2017年02月27日

サンウルブズの行く手

[スーパーラグビー第1節]
サンウルブズ 17-83 ハリケーンズ(2月25日 @秩父宮ラグビー場)

負けていい試合など無論ひとつもないが、負けたからといって落ち込んだり文句を言ったりするほどヤワなラグビーファンではないのである、こちとら(だれにいばっているんだ、わたしは?)。
スーパーラグビー参戦2年目の今年は、強豪がずらりと並ぶニュージーランド・カンファレンスのチームと対戦がある。それに今年も事前に充分な準備期間がとれなかった(特にディフェンスの整備が遅れている)。さらに主力選手にケガ人もいる。新参チームとしてあまりデータのなかった昨年と違って、今年は対戦相手もそれなりに分析し対応してくる。よって、昨年よりさらに厳しいたたかいとなるのは覚悟の上だ。さらに、開幕戦の相手がいきなり昨年のチャンピオンチーム。だから、ここは「ハリケーンズ、さすがにつえーなあ」と素直に感心し、「でも、おれたち、3トライしたぜ。スクラムもときどき勝っていたし」と胸を張るのが試合後におけるメンタル・ケアの正しいあり方なのである。いかなるゲームもーーそれがたとえ敗れたゲームであってもーーラグビーというスポーツには、必ず語るに値する物語と見るものの心を揺り動かすシーンがある。そのことをこそ、わたしたちは語ろう。
まだ、先は長い。で、スタートのここが底だ。ラグビー観戦歴半世紀というわたしの膨大なデータをもとにした精緻な分析では(分析のプロセスは本人でもしばしば訳がわからなくなるほど無闇に複雑なので、ここでは省略)、あとはひたすら良くなるはずだ。

エドワード・カークと立川理道、そしてウルブズの名のもとにたたかう者たちすべてのその意欲と可能性を信じろ。

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試合前、トイレに並んでいたら、前にいた3人の若者が2019年のワールドカップの話をしていた。「日本でやるんだから最高だよな」「そうそう。で、とりあえず釜石には見に行きてーよな」「おー、釜石。いいな」
カマイシ。スーパーラグビーの会場で、その名を聞けるとは思わなかった。
まだ対戦カードも決まっていない、しかも開催会場中最小のおらがスタジアムになにはともあれ若者3人が行きたいという。
1週間前、ラグビー見たさにえっちらおっちら東京に出てきた岩手のオトーサンは、予期せぬきみたちの会話を耳にして思わず泣きそうになったよ。トイレに並んでいる状況だから声をかけなかったが(ヘンな人だと思われると困るので。いやまあ、すでにあれこれヘンな人ではあるのだが)、来てくれ、ぜひ。質素だが気持ちのいい海風の吹くスタジアムがきみたちを待っている。

nor_sasaki at 10:18|Permalinkclip!スタジアム 

2017年02月16日

雪の春、光の春

イーストエンドの冬は、風の季節だ。12月、1月、大陸から吹く季節風は日本海沿岸と奥羽山脈に大量の雪を降らせたあと、固く乾いた寒風となって太平洋沿岸へと吹き下り、人々を冷気の透明な牢獄に幽閉する。
雪は? 多くの年、ここでは、雪は冬の表徴であるよりむしろ春の予兆として訪れる。あたかも、冬を耐えた世界を蔽い慰撫するかのように。今月10日、各地に大雪を降らせた極低気圧はこのエリアにもかなりの雪を運んだが、その湿ってやわらかな大量の雪は、まもなく季節が変わることをわれわれに告げると次の日の明るい陽光の中に消えた。

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(*写真はクリックすると拡大します)

nor_sasaki at 10:58|Permalinkclip!路上 | イーストエンド発

2017年02月12日

スタちゃんリスト追加

国内のラグビーシーズンが終わり、まもなくスーパーラグビーが始まる(2月25日から)。そのプレマッチとして2月18日に行われるサンウルブズ対トップリーグ・オールスターズの試合会場、北九州スタジアム(ミクニワールドスタジアム北九州)が、なかなかかっこいい。

ドローンによる空撮写真こちら。

動画が以下↓。

 
このゲームがこけら落としとなる国内最新のスタジアムでフットボール専用。収容観客数1万5千。デザイン的には極めてシンプルだが、施設設計の切れ味が良く(つまりスタンドが急角度で見やすく、ピッチと客席も近いので)、観客とプレーヤーの一体感が生まれやすい。そして何より、周辺が小倉駅に近い港湾地区でバックスタンドのすぐ下は海という環境が、〈スタちゃん〉であり港湾マニアであるわたしの心を揺さぶる(あ、〈スタちゃん〉とは鉄道ファンを〈鉄ちゃん〉と呼ぶのに倣っていま思いついた言い方で、スタジアムという施設、空間を愛でる特殊な人類を指す呼称です)。
このバックスタンドは5千人分の仮設席が増設可能という。すると、それはほぼ海の上ではないか。
海の近くにあるスタジアムとしては、「ウエストパック・スタジアム」(ニュージーランド・ウェリントン)、「ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム」(南ア・ポートエリザベス)、「ドックランド・スタジアム」(オーストラリア・メルボルン)などが有名だが、ここまで海に近くはない。
スタちゃんとして、いつか行ってみたいスタジアム・リストにまた一つ楽しみなスタジアムが増えた。

ラグビーワールドカップ2019の会場の一つとなるわれらが「釜石鵜住居復興スタジアム」も、大槌湾に接するシーサイド・スタジアムだ。こちらの完成も楽しみだ。今年6月頃着工で2018年8月(ワールドカップの約1年前)竣工予定。

nor_sasaki at 13:46|Permalinkclip!スタジアム 

2017年02月07日

ループ

昨日の未明からずっと雨。先月から固く凍ったままだった雪が融けていく。雨がときに雪に変わることもあるが、薄片は地表にたどり着く前に消える。
外に出られないが、いい機会なので段ボールに入れたまま廊下に積み上げてあった本を整理。の、つもりだったがあれこれと拾い読みして一向に片づけが進まず、廊下が棚卸し中の古書店のような状態になってしまった。
パラパラと見ていた本の一冊、『巨人たちの俳句 源内から荷風まで』(磯部勝・著/平凡社新書)の中に、たぶん今日のような雪を詠んだのであろう永井荷風の俳句がある。

降りながら消えゆく雪や藪の中 

その本とほか何冊か面白そうな本を読むことにして、片づけ作業は次の雨か雪の日に延期。ピックアップした本はいずれも以前に読んだはずだが、ほとんど忘れているので初めて読むのと変わらない。〈読む→忘れる→新鮮→また読む→また忘れる→新鮮→またまた・・・〉、という読書の無限ループ。歳をとっていろいろ忘れっぽくなっているが、それもまあ、わるいことだけではないような気もする。忘却の力によって、われわれは日々に新たらしい。

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nor_sasaki at 13:26|Permalinkclip!その他 | 実家警備員日記

2017年02月01日

鳥たちの共和制

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カラスとトビとスズメが同じ木の枝で休んでいる。
あまり見たことのない光景だ。山の方から雪と風が近づいているからだろうか。
荒天の前、空を飛ぶものたちのひとときの共和制。

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nor_sasaki at 21:25|Permalinkclip!路上 | イーストエンド発

2017年01月27日

定食屋「わき見亭」本日のまかない―ブリ(イナダ)茶漬け

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〈安く、手軽に、そこそこの味〉がモットーの「わき見亭」。本日のまかない飯(スタッフ用食事=つまり、わたしの昼飯)はブリ茶漬け。
[ エピソード1−イナダの活躍 ]
旬の寒ブリは結構な値段がするが、成長するにつれて名が変わる出世魚ブリ(ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ)のいわば小中学生段階にあたるイナダは近くのスーパーで1尾200円前後と安く、30センチ程度の大きさで4、5人分の刺身がとれる。岩手沿岸部では、ワカシ、イナダの段階を「汐っこ(しょっこ)」と呼んでいて、1年中、店に並ぶもっともポピュラーな魚種のひとつ。
●刺身にする身は、小骨のある血合い部分を薄く切り取って4つの柵(さく)にしたあと、軽く塩を振り(高い所からごく少量を均等に)、キッチンペーパーで包んで30分〜1時間ほど冷蔵庫に置いておく。水分が抜け身がしまり、旨みが増す。
●残ったアラは熱湯をかけて生臭さを抜いたあと、大根と一緒に煮てブリ大根に。

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[ エピソード2―ヅケの逆襲 ]
刺身は一度に食べきれないのでズケ(刺身+醬油+みりん少々+わさび)にして、冷蔵庫で保存。と、書くとヅケに余り物イメージ、脇役感が漂うが、実は今回はこっちが主役。刺身は、そのプロローグに過ぎないのである。
●あたたかいご飯の上にヅケと湯がいたワサビ菜、ワサビを乗せ、お茶漬けの素をふりかけ、お湯をそそぐ。最後に細かく切った海苔をのせてできあがり。お茶漬けの素+お湯ではなく、きちんと出汁をとって使えばベストだが本日は手抜き。手早く作って、熱いのをワサワサとかきこむ。ここにおいて格下とみなされたヅケの逆襲が始まる。一晩おいたのでアミノ酸が分解し、イナダの身は刺身で食べるよりさらに旨くなっている。
副菜は、つくりおきしてあった「茎ワカメと人参のピリ辛煮」と「細切り大根のタラコまぶし」。主菜がお茶漬けなのに豆腐の味噌汁までつくってやや汁気過多な昼食である。バランス的にはお茶漬けでなく「ヅケ丼」方面に行くべきだったなと食後に襲ってきた眠気の中でぼんやりと戦略を反省しつつ、イナダ1尾225円(本体価格)をめぐる2日間のたたかいは静かにそしてあっけなく幕を閉じたのだった。

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nor_sasaki at 20:54|Permalinkclip!料理店 | イーストエンド発