傍見楼日乗

路上、スタジアム、ときどき料理店。

サッカーのワールドカップが近い。そこで、最近知った豆知識を。

現在、われわれが当たり前だと思っているサッカーのあのにぎやかな応援スタイルは、実は100年ほど前に一人の男の奇妙な情熱から始まったのだという。世界中の熱狂的サッカーファンの生態を取材した『ウルトラスー世界最凶のゴール裏ジャーニー』(ジェームズ・モンタギュー著、田邊雅之訳/カンゼン刊)に、そのことが紹介されている。

男の名はプルデンシオ・ミゲル・レジェス(?〜1948年)。ウルグアイの馬具や革製品の職人である。20世紀初めの10年ほど(多分1900〜1910年)、レジェスはウルグアイ人によって運営された最初のサッカー・クラブ「クルブ・ナシオナル・デ・サッカー(本拠地:モンテビデオ/創設1899年)」のインチャドール(Hinchador:空気入れなどをするボール管理係)として雇われていた。試合当日、競技場に来て、ゲーム前あるいはゲーム中に重い革製のボールに空気を入れて膨らませることがその仕事だった。しかし、彼はその役割以上のことをした。物静かな男が試合が始まるとまるで人が変わったようになってピッチサイドを走り回り、選手を叱咤激励し、さらにはみんなでチーム名を叫んで選手たちを応援するよう観客をあおったのだ。

世界最初のサッカー・サポーターの誕生である。

当時のウルグアイでは、サッカーはオペラや演劇などの芸術を鑑賞するときのように盛装し、生真面目な態度で観戦するものだった(「古典的なアングロサクソン・スタイル」と呼ばれる)。その格式あるスポーツだったサッカーに、レジェスはいささか行儀の悪い熱狂的応援スタイルを持ち込もうとしたのだ。

このボール管理係の奇妙な行動は、人々の関心を集めると同時に次第に実を結ぶ。レジェスの挑発に呼応して、チーム名を連呼したり応援のための歌を合唱する観客が増えていったのだ。さらにこの新しい動きはアウェイ・チームの関係者やサポーターにも注目されて国内にひろがり、やがて国外へも伝わっていくこととなる。

『彼がもたらした影響は絶大だった。彼は奇妙な応援方法を通じて、サッカー界に存在していた「第四の壁(舞台と客席を隔てる壁)」を融解させ、サッカーを観戦する人々とサッカーをプレーする人々を、新たな形で結び付けたからである。
 サッカーファンとはもはや静かにゲームを堪能する人々ではなく、熱に浮かされたように感情を発露する人々と同義になった。』(本文より)

レジェスは1948年にひっそりと亡くなり、その埋葬地も定かではないという。しかし、サッカー観戦のスタイルを変え、そのことによってサッカーという文化そのものをも大きく変えた一人のインチャドールの歴史的な功績は、現在、スペイン語圏で熱狂的なサッカーファンを指す言葉として「インチャ(HINCHA)」が用いられていることに、その痕跡を残している。

〈ザ・ラグビーチャンピオンシップ 第6節〉
オールブラックス(NZL)40ー14 ワラビーズ(AUS)(9月24日、@イーデンパーク/オークランド)
スプリングボクス(RSA )38ー21 ロス・プーマス(ARG)(9月24日、@キングズ・パーク/ダーバン)

最終節の結果次第で、(数字上は)全4チームに優勝の可能性があるというかつてない大接戦のシリーズ。終わってみればオールブラックスが、2012年にザ・ラグビーチャンピオンシップ が始まって以来9度目の優勝を決めた。


オークランド、イーデンパーク。
前節、ゲーム終了直前、ほぼ勝利を手中にしながら遅延行為の反則をとられ、そこからの1プレイで逆転負けを喫したワラビーズ。雪辱を期して臨んだこのゲームだったが、前半1分、LOジェド・フォロウェイが危険なタックルでイエローカード、その後、27分にもイエローカードが出て40分の半分を14人でたたかうことになった。雪辱への思いが空回りしてしまい、そこからゲームが崩れたかたちだ。規律(ディシプリン)はこのシリーズのワラビーズが抱える問題の一つである。第5節までのペナルティ数69、うちイエローカード7は、ロス・プーマスの65/4を抑えて4チーム中のトップだった(後で触れるように、ロス・プーマスが最終ゲームで大量のペナルティをおかしたので、トップの座はまぬがれたが)。

それでも(と、「ワラビーズびいき」としては言いたいのだが)、前半をワラビーズは見事にたたかった。開始直後からゴール前に迫るオールブラックスを気迫で止め続け、しばしばターンオーバーから素早いカウンターアタックを見せた。

ワラビーズの健闘の前に幾度かあったチャンスを決めきれなかったオールブラックスが、ようやくスコアしたのは20分(PG)。そして、23分、WTBウィル・ジョーダンがディフェンスラインのギャップをついてトライし(&ゴール)ゲームの流れを自らの側に引き寄せた。後半に入って、43分、LOサム・ホワイトロック、52分、ラインアウト・モールからHOコーディー・テイラーがトライを決め、32対0とほぼ勝負を決めた。ワラビーズは59分と80分にトライを返したが、前半の負荷が大きくゲームに影響した。

オールブラックスは、ヘッドコーチ、イアン・フォスターの解任論が出た頃の”迷えるチーム”とはまるで別なチームのように蘇った。このゲームではセットプレイが安定し、アタックのオプションが増えた。12番に起用されたジョーディ・バレットは13番のリーコ・イオアネと並んで、その強烈な推進力で相手ディフェンスの脅威となっていた。

ニュージーランド協会は世の批判に対して、イアン・フォスター解任ではなくアシスタントコーチ交代という手を打ち、新たに前アイルランド代表のヘッドコーチだったジョー・シュミットと、クルセイダーズのFWコーチだったジェイソン・ライアンを迎えた。このアシスタントコーチ交代策がうまく機能しているようだ。

(イーデンパークでは、オールブラックス対ワラビーズのゲームに先立って、ニュージーランド女子代表「ブラックファーンズ」対日本女子代表「サクラフィフティーン」が対戦。世界チャンピオンのブラックファーンズが95対12と大差でサクラフィフティーンを下した。また、翌25日には、サッカーのニュージーランド代表「オールホワイツ」とオーストラリア代表「サッカルーズ」が対戦。オーストラリア代表が2対0で勝った)


ダーバン、キングズパーク。
先に行われたオールブラックス対ワラビーズのゲームの結果、2位で追うスプリングボクスはボーナスポイントを加えた勝ち点5とスコアで相手に39点以上の差をつけた勝利が優勝の条件となった。

この”39点”のプレッシャーが、スプリングボクスのゲームメイクを狂わせる。得点を急ぎ、FW勝負1本やりになってしまった。しかし、ロス・プーマスの激しいディフェンスの前に多くのチャンスを決めきれず、時間は刻々と過ぎていく。この日、負傷のダミアン・ウィルムセに代わって10番に入ったベテラン、フランソワ・ステインも不調で、チームに勢いが出ない。ボクスは大量得点出来ないだけでなく、47分には17対14、67分には24対21と3点差に迫られるという際どい勝利。優勝を狙っていただけに、ボクスにとって勝利は敗北とほとんど見分けがつかないものとなってしまった。

ペナルティ38(RSA16/ARG22)、イエローカード6(RSA2/ARG4)。レフェリーがゲームコントロールに大忙しの80分だった。ただし、ペナルティの多い割に、荒れたゲームという印象はない。無論、ペナルティを賞賛するわけではないが、このゲームはその逸脱も含めて見るに値するものだったと思う。2つのチームの勝とうとする「思い」と、その「思い」の「思い通りに行かなさ」が交錯する。2つのチームの勝とうとする「思い」が、ぎりぎりのプレイの狭間からこぼれる。そこでは、規律と逸脱の距離はほんのわずかだ。


最近、ゲームの安全性を保つため危険なプレイには軽微なレベルであってもかなりの確率でイエローカードが出されるようになった。人数の少ない状態をいかにカバーするか、その時間帯をいかに乗り切るかは、これからの大きなテーマとなる。特にワールドカップでは。控えのメンバー構成、ユーティリティ・プレーヤーの重要性が増している。

郵便受けにおせち料理の予約案内チラシが入っていた。

お〜い! せっかく気持ちいい季節になったばかりだというのに、勝手に一年を終わらせようとするな!!


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台風接近に伴って、数日前から頭痛が続いている。肩こりもひどい。

気象病。気圧変化による自律神経の乱れが原因らしいが、この頃、気候の変化に体調が左右されることが多くなった。祖母が同じような症状に悩まされていたので(天候の変化をほぼ正確に予測するので、近所の人に「いなかの気象台」と呼ばれていた)、その体質を受け継いだらしい。そのうえ、歳をとるにしたがって健康の水位が下がり、もろに外界の刺激を受けるようになった。

人間の身体は実に精妙にできているなと感心するが、当事者としては感心してばかりもいられない。で、自然の摂理にさからって、先週末のラグビー中継6試合(「ザ・チャンピオンシップ」2試合、大学ラグビー4試合)を録画を含めて全ゲームチェックし、さらに昨夜はBBCのネット中継でエリザベス女王の国葬ライブを3時間。

「ザ・チャンピオンシップ」5節、相変わらずすごいたたかいが続いているが、今週はそれに触れる気力体力がない。

エリザベス女王の葬儀、見事だし感動もするが、一方で、あの演劇的セレモニー、荘厳なパレード、兵士たちの華麗な服装と様式化された動きなどは、世界を支配し、多くの不幸をいまに残す植民地主義の長い歴史の中でつくられ、その支配を権威づけるために洗練されてきたという側面もある。それを思うと複雑な気持ちになる。

長時間、テレビ、パソコンのモニターを見続けた結果、頭痛、肩こりに加えて眼球の奥まで痛くなり出した。まあ、こうなることはわかっていたわけで、ついにここでギブ!(「ギブアップ!」)。 

今日は雨風の音を聴きながら大人しく寝てることにしよう。

このひと月、ずっと体調が悪い。すぐ疲れる。やたらに眠い。ときどきふらつく。夏バテなのか、歳のせいなのか、あるいは咳と喉の痛みで寝込んだ10日間は実はコロナでその後遺症が出ているのか。

今日は1キロほど離れたところにある公園にやわやわと出かけて行って、20分ほどベンチで休み、ちょっと写真を撮ってやわやわと戻って来た。その間に、8か所も蚊に刺された。ものすごく痒い。

蚊に言いたい。あのね。いい若いもんが、弱った年寄りの血を吸っててどうすんのよ。しかもあちこちさんざん痒くして。こっちも大変だが、だいたいそんなもん吸って君たちの将来にとってもあんまり良くないだろうが。もっと大きな目標を目指せ! もっと荒々しい力に満ちた血を求めよ! アフリカの象とかアラスカの熊とかアマゾンの大蛇とか。たとえばの話だが。それにだ、モスキート業界全体の長期生存戦略として、痒くしないで血吸った方が世間の非難は少ないと思うぞ。まあ、わたし個人に限って言えば、どうしてもというなら大した量ではないしこんなもんで良ければ、血はときどきあげてもいいと思う。とにかく、痒くだけはしないでくれ。


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16億6千万円なんてけち臭せーこと言わねーで、もっとドーンと金遣ってだな・・・。
そうそう。残っている国家予算全部ぶちこむくらいの勢いで、向こうの国の葬式に負けないようにしねえと。
コロナにしろ、災害にしろ、貧困対策にしろ、予算なんて、どうせ、ロクな使い方しないでどこに消えていくかわかりゃしねぇんだから(笑)。
国葬で経済を回す!
おー。これは理屈じゃねーんだ。

儀仗兵にブルーインパルス・・・。
演出としては弱いな。他に何かないか。
ソウリがスーパーマリオの扮装してサプライズ登場。
葬式でか?
それやるならソウリよりフクソウサイの方がいいんじゃね。キャラ的に意外性があって。
いや、オレは・・・(苦笑)。
どっかの国を挑発して、弔砲代わりに未確認飛翔体を2、3発、わが国の排他的経済水域に打ち込んでもらうのは?
いいね、派手で。そして武道館のあとは、国葬の地方巡業。
よし!3年ぐらいはそれで引っ張る。

間違ってブログが人気になったりするといい気になってダメな人間になりそうなので、最近、更新を少な目にしています・・・。
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〈ザ・ラグビーチャンピオンシップ 第4節〉
オールブラックス(NZL)53ー3 ロス・プーマス(ARG)(9月3日、@FMG スタジアム・ワイカト/ハミルトン)
ワラビーズ(AUS)8ー24 スプリングボクス(RSA )(9月3日、@アリアンツ・スタジアム/シドニー)

同じ相手に連敗しない。同じ相手に連勝できない。毎週、勝者と敗者が入れ替わるというかつてない混戦が続く。4チームがともに2勝2敗となり、勝ち点の差でニュージーランドがトップに浮上した。


ハミルトン。強く降る雨の中でゲームは始まった。
深く蹴り込んだオールブラックスのキックオフを、プーマスのLOトーマス・ラバニ―ニが落球。このエラーで相手ゴール前に迫ったオールブラックスがわずか1分で先制し(PG)、波に乗る。前節、苦戦したコンタクト・シチュエーション、スクラムで優位に立ち、アタックでも迷いがない。プーマスの激しさに煽られしばしば困惑の表情を見せていた1週間前とは、まるで別のチームのようだ。前半10分、PRイーサン・デ・クルート、19分、ケイレブ・クラーク、37分、リーコ・イオアネがトライを決める(前半NZL 24ー3)。後半、さらに4トライを加えて圧勝した。雨の中、フォワード、バックス一体となってボールを回して、ハンドリングエラーはわずか3つ。久々にオールブラックスらしいオールブラックスを見たという気がする。

ロス・プーマスもまた、1週間前とは別なチームのようだった。チャンスにノッコンする、深いキックがゴールラインを割る、ゴール前に迫ってボールを失うなどのミスが続いてリズムを生み出せない。結局、WTBエミリアーノ・ボフェリの1PGだけで50点の大差をつけられた。


シドニー。新しくなったアリアンツ・スタジアム(8月28日オープン)でのゲーム。
勝利した先週と同じ先発メンバーのワラビーズに対して、負傷者が相次いだスプリングボクスは先発メンバーを大きく入れ替えた。ハンドレ・ポラード、エルトン・ヤンチースが外れたスタンドオフに、ダミアン・ウィレムセがフルバックから上がり、フルバックにはウィリー・ル・ルーが入った。ウィルムセと組むスクラムにはファフ・デ・クラークではなく若手、ジェイデン・ヘンドリクセ。CTBルカンヨ・アムの位置にはジェシー・クリエル、ピーターステフ・デュ・トイに代わってフランカーにフランコ・モスタートが入り、そして右WTB(マリカ・コロインベテの対面)には細身で長身の19歳、カナン・ムーディが大抜擢された。

負傷者が出たための(苦心の?)ポジション変更だが、結果としてスプリングボクスに2つの大きな成果をもたらした。

一つはもちろん、変更が功を奏して、2013年以来、続いていたオーストラリアでの敗戦を止めたことだ。2019ワールドカップ・チャンピオンチームにとってそれは更なる自信となるだろう。

そしてもう一つの成果は、チームの新たな可能性を引き出したことだ。若手ハーフ団、22歳のSHヘンドリクセの冷静なゲームメイク、24歳のSOウィルムセの強力なランは相手にとって大いなる脅威となった(ウィルムセはフルバックよりも前のポジションに置いた方がバックスの機動力が高まると思う。ベスト・ポジションはインサイド・センターだろう)。初キャップのカナン・ムーディは39分、ハイボールをコロインベテに競り勝ってキャッチし、約40メートルを走り切ってトライ。起用に見事に応えた。

ワラビーズは前節不調だったラインアウトは改善されたが、タックルミスが多く苦しんだ。ゲーム終了間際に1トライ返したが、「らしさ」を見せることなく終わった。オーストラリアのキャプテン、ジェームズ・スリッパーは、試合後、次のような厳しいコメントを残している。
「南アフリカは良かったが、それよりもわれわれが全くラグビーをやっていないという気がする。(この敗戦に)わがチームの選手たちは傷つくべきだ」。

何度かつかみ合いが起きる激しいゲームだった。71分にはトライしたマカゾレ・マピンピがタックルに来たコロインベテに手を出したことがきっかけでまた乱闘が発生。両チームの選手が次々と駆け付けてつかみ合いの輪は大きくなり、この日一番の争いに。ラグビーの不文律において、こういう場合真っ先に駆け付けて身体を張るべきはFWである。

もちろん、61分から投入されていたわれらがクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴス所属)もその場へとやってくる。ゆっくりと。で、輪の一番外側に手を添えるのだが、添えただけ。一応、FWの義務(?)を果たすとすぐ離して、「やめようぜ、こんなこと」という表情で盛り上がるつかみ合いを見ている。ちょっと困ったような笑みを浮かべて。

おい! あのクワッガ・スミスが笑ったぜ。困ったような顔ではあるが・・・。セブンズ仕込みのランで鮮やかなトライを決めても、得意のジャッカルを連発しても、少しも表情を変えることなく黙々とプレイを続けるあのクワッガ・スミスが。

勝負には全く関係ないし、テレビ画面の端にほんの数秒映っただけだが、何故かこの日のゲームで一番印象に残ったシーンだ。いいプレーヤーだなあとつくづく思う。彼の仕事場は乱闘の輪の中ではなく、ルールのもとに激しくボールを奪い合うラックの中だ。本名、アルバータス・ステファナス・スミス。”クワッガ(Kwagga )”は、あだ名である。南アフリカ語でシマウマを意味する。名前を知らない人への呼びかけの言葉としても使われると言う。

ぼ、ぼくじゃありません。
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7月は風邪をこじらせて10日以上も苦しんだ(熱が無いので検査しなかったが、コロナだった可能性あり)。8月中旬には交差点を横断中、猛烈なスピードで右折して来た車にはねられそうになった。避けようと脇に跳んで転倒、左の腰と膝を強打して、4日程、歩くのに難儀した。

サイテーだった夏がようやく終わる。秋は、おだやかな時であってほしい。


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