2017年02月16日

雪の春、光の春

イーストエンドの冬は、風の季節だ。12月、1月、大陸から吹く季節風は日本海沿岸と奥羽山脈に大量の雪を降らせたあと、固く乾いた寒風となって太平洋沿岸へと吹き下り、人々を冷気の透明な牢獄に幽閉する。
雪は? 多くの年、ここでは、雪は冬の表徴であるよりむしろ春の予兆として訪れる。あたかも、冬を耐えた世界を蔽い慰撫するかのように。今月10日、各地に大雪を降らせた極低気圧はこのエリアにもかなりの雪を運んだが、その湿ってやわらかな大量の雪は、まもなく季節が変わることをわれわれに告げると次の日の明るい陽光の中に消えた。

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(*写真はクリックすると拡大します)

nor_sasaki at 10:58|Permalinkclip!路上 | イーストエンド発

2017年02月12日

スタちゃんリスト追加

国内のラグビーシーズンが終わり、まもなくスーパーラグビーが始まる(2月25日から)。そのプレマッチとして2月18日に行われるサンウルブズ対トップリーグ・オールスターズの試合会場、北九州スタジアム(ミクニワールドスタジアム北九州)が、なかなかかっこいい。

ドローンによる空撮写真こちら。

動画が以下↓。

 
このゲームがこけら落としとなる国内最新のスタジアムでフットボール専用。収容観客数1万5千。デザイン的には極めてシンプルだが、施設設計の切れ味が良く(つまりスタンドが急角度で見やすく、ピッチと客席も近いので)、観客とプレーヤーの一体感が生まれやすい。そして何より、周辺が小倉駅に近い港湾地区でバックスタンドのすぐ下は海という環境が、〈スタちゃん〉であり港湾マニアであるわたしの心を揺さぶる(あ、〈スタちゃん〉とは鉄道ファンを〈鉄ちゃん〉と呼ぶのに倣っていま思いついた言い方で、スタジアムという施設、空間を愛でる特殊な人類を指す呼称です)。
このバックスタンドは5千人分の仮設席が増設可能という。すると、それはほぼ海の上ではないか。
海の近くにあるスタジアムとしては、「ウエストパック・スタジアム」(ニュージーランド・ウェリントン)、「ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム」(南ア・ポートエリザベス)、「ドックランド・スタジアム」(オーストラリア・メルボルン)などが有名だが、ここまで海に近くはない。
スタちゃんとして、いつか行ってみたいスタジアム・リストにまた一つ楽しみなスタジアムが増えた。

ラグビーワールドカップ2019の会場の一つとなるわれらが「釜石鵜住居復興スタジアム」も、大槌湾に接するシーサイド・スタジアムだ。こちらの完成も楽しみだ。今年6月頃着工で2018年8月(ワールドカップの約1年前)竣工予定。

nor_sasaki at 13:46|Permalinkclip!スタジアム 

2017年02月07日

ループ

昨日の未明からずっと雨。先月から固く凍ったままだった雪が融けていく。雨がときに雪に変わることもあるが、薄片は地表にたどり着く前に消える。
外に出られないが、いい機会なので段ボールに入れたまま廊下に積み上げてあった本を整理。の、つもりだったがあれこれと拾い読みして一向に片づけが進まず、廊下が棚卸し中の古書店のような状態になってしまった。
パラパラと見ていた本の一冊、『巨人たちの俳句 源内から荷風まで』(磯部勝・著/平凡社新書)の中に、たぶん今日のような雪を詠んだのであろう永井荷風の俳句がある。

降りながら消えゆく雪や藪の中 

その本とほか何冊か面白そうな本を読むことにして、片づけ作業は次の雨か雪の日に延期。ピックアップした本はいずれも以前に読んだはずだが、ほとんど忘れているので初めて読むのと変わらない。〈読む→忘れる→新鮮→また読む→また忘れる→新鮮→またまた・・・〉、という読書の無限ループ。歳をとっていろいろ忘れっぽくなっているが、それもまあ、わるいことだけではないような気もする。忘却の力によって、われわれは日々に新たらしい。

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nor_sasaki at 13:26|Permalinkclip!その他 | 実家警備員日記

2017年02月01日

鳥たちの共和制

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カラスとトビとスズメが同じ木の枝で休んでいる。
あまり見たことのない光景だ。山の方から雪と風が近づいているからだろうか。
荒天の前、空を飛ぶものたちのひとときの共和制。

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nor_sasaki at 21:25|Permalinkclip!路上 | イーストエンド発

2017年01月27日

定食屋「わき見亭」本日のまかない―ブリ(イナダ)茶漬け

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〈安く、手軽に、そこそこの味〉がモットーの「わき見亭」。本日のまかない飯(スタッフ用食事=つまり、わたしの昼飯)はブリ茶漬け。
[ エピソード1−イナダの活躍 ]
旬の寒ブリは結構な値段がするが、成長するにつれて名が変わる出世魚ブリ(ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ)のいわば小中学生段階にあたるイナダは近くのスーパーで1尾200円前後と安く、30センチ程度の大きさで4、5人分の刺身がとれる。岩手沿岸部では、ワカシ、イナダの段階を「汐っこ(しょっこ)」と呼んでいて、1年中、店に並ぶもっともポピュラーな魚種のひとつ。
●刺身にする身は、小骨のある血合い部分を薄く切り取って4つの柵(さく)にしたあと、軽く塩を振り(高い所からごく少量を均等に)、キッチンペーパーで包んで30分〜1時間ほど冷蔵庫に置いておく。水分が抜け身がしまり、旨みが増す。
●残ったアラは熱湯をかけて生臭さを抜いたあと、大根と一緒に煮てブリ大根に。

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[ エピソード2―ヅケの逆襲 ]
刺身は一度に食べきれないのでズケ(刺身+醬油+みりん少々+わさび)にして、冷蔵庫で保存。と、書くとヅケに余り物イメージ、脇役感が漂うが、実は今回はこっちが主役。刺身は、そのプロローグに過ぎないのである。
●あたたかいご飯の上にヅケと湯がいたワサビ菜、ワサビを乗せ、お茶漬けの素をふりかけ、お湯をそそぐ。最後に細かく切った海苔をのせてできあがり。お茶漬けの素+お湯ではなく、きちんと出汁をとって使えばベストだが本日は手抜き。手早く作って、熱いのをワサワサとかきこむ。ここにおいて格下とみなされたヅケの逆襲が始まる。一晩おいたのでアミノ酸が分解し、イナダの身は刺身で食べるよりさらに旨くなっている。
副菜は、つくりおきしてあった「茎ワカメと人参のピリ辛煮」と「細切り大根のタラコまぶし」。主菜がお茶漬けなのに豆腐の味噌汁までつくってやや汁気過多な昼食である。バランス的にはお茶漬けでなく「ヅケ丼」方面に行くべきだったなと食後に襲ってきた眠気の中でぼんやりと戦略を反省しつつ、イナダ1尾225円(本体価格)をめぐる2日間のたたかいは静かにそしてあっけなく幕を閉じたのだった。

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nor_sasaki at 20:54|Permalinkclip!料理店 | イーストエンド発

2017年01月25日

前言棚上げレポート

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今週からまたしばらく、実家警備員業務。
各地、猛烈な寒波に覆われているが、わが本州最東端エリアも今朝はこの冬一番の寒さだ。朝起きたら室内マイナス6度、外気温はマイナス10度。さびーよー。昨夜凍結防止のため水抜きしたはずの水道も、今朝開栓したら台所、風呂場が使えず、水が出るのはなぜかもっとも寒い位置にある洗面所だけ。これまで一度も凍ったことのない深夜電力利用の給湯タンクの配管も凍ったらしく、お湯も出ない・・・。
昨夜ポリタンクに汲み置きしていた水を沸かして、なんとか朝食を終え現在パソコンの前。機械も固まっているのかガシガシと起動音がヘンだ。立て付けの悪い10畳の和室は、15畳対応という大型石油ファンヒーターをガンガン焚いてもプラス6度までしか上がらない。ただいまスキー用のオーバーズボンを履き、指先を切った軍手をはめ、本レポートをタイピング中。血も凍りそうな寒さとたたかいながらもなお、律儀なわたしとしては、「春は近い」と書いた前回の報告はしばらく棚上げということを、とりあえずお伝えしなければ、と。

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nor_sasaki at 10:42|Permalinkclip!イーストエンド発 | 実家警備員日記

2017年01月20日

報告

だいじょうぶ。南東方向、あなたから2キロのところまで春は来ている。

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(*写真をクリックすると春が拡大接近します)

nor_sasaki at 18:19|Permalinkclip!路上 | 東京ウエストエンド発

2017年01月18日

履歴

壁面(かつて石であり砂であり水であり風であったもの)は語る。
ここで過ぎた数千の昼と夜のことを。
壁面は語る。
かつて激しく対流する熱や転がる岩塊であった時―いま、ここではない場所に堆積している膨大な時―の記憶のことを。

壁面は語る。
わたしがその声を聴こうとすれば。

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nor_sasaki at 23:26|Permalinkclip!路上 | 東京ウエストエンド発

2017年01月12日

ありふれた夕景

スーザン・ソンタグはすでに古典となった著『写真論』の中で、人は写真をとおして美を発見し、(何世代も写真を撮っている間に)それを使い尽くしてきたと書いている。
「たとえば、ある種の自然の壮観はアマチュア・カメラ・ファンの飽くことない注視にさらされてきたといえる。映像過多になった人間は日没を古くさいと見がちだ。それはいまではなんと、あまりに写真的に見えるのだ」(近藤耕人訳、晶文社)

その古くさくありふれた美である日没、夕景を撮りにカメラを持って散歩に。
しかも富士山の。何百万の人が撮った・・・。
振り返れば、東から月が昇って来る。「月は東に日は西に」。ここでは、さらに蕪村の極めて映像的な句までがおまけとしてついているではないか。

夕景――その使い尽くされた美を、そのあまりに写真的な風景を、わたしはつたなく(そして飽くことなく)カメラによってなぞろうとする。わたしにとって写真を撮るという行為は、多くの人が発見した美のカタログの無自覚な〈模倣〉である。

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nor_sasaki at 16:03|Permalinkclip!路上 | 東京ウエストエンド発

2017年01月04日

夕暮れの決闘

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ネコ「おい、なに撮ってんだよ! 肖像権侵害だぞ。あ、いつのまにかカラスも来やがって。おまえは不法侵入な。おい!」

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カラス1「うるせい。近代国家が成立する前からおれらはずっとカラスで、ゆえにカラスはカラスであるという自同律によって法的概念の外で生きてんだよ」
ネコ「は?」
カラス2「こいつ、たたみましょうか。兄貴」
ネコ「あ、卑怯だぞ。2対1って」
カラス1「わかってねえな、お兄さん。野生の世界の辞書に〈フェアネス〉なんて美しい項目はねえんだよ」

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ネコ「やるの? 本気で? 血出るよ。痛いし。いや、いいよオレは、いつでも。後悔するのはそっちだから。ネコ科つえーぞ。トラとか。でも、何ていうか、その、世間はまだ松の内だろ。だから、それ終わってからの方がいいという気もする・・・。トランプの大統領就任後の動向とかヨーロッパ諸国の選挙結果を見極める必要もあるんじゃないかと。いや、これ、あくまで、えーと何て言うだっけ、オルタナティブ? それ的な提案だけどさ」

nor_sasaki at 20:55|Permalinkclip!路上 | イーストエンド発