紙と負荷【あとがきにかえて】
2010年06月18日norainufilm at 15:55│Comments(6)│TrackBack(0)│
│映画・小説・シナリオ等の評論
■小説「SRサイタマノラッパー」(太田出版)が発売されました
2009年の春からゆるゆると書き始めて1年以上、ようやくといった感もありますが、今はただ〆切を守らない私に気長に付き合って下さった編集者の方に感謝するばかりです。
実は「SRサイタマノラッパー」という映画を撮るもっと前、つまり脚本に着手する前に一度、小説としてこの題材に取り組んだことがありました。
正確にいうとそれは途中で止まって、脚本になり、そして映画が先に完成しました。
だから、あの時に書いた文字群は「小説」以前のもので、もしかしたら「しょうせつ」ではなく、「しょうせ」ぐらいのものかもしれません。
いや、「しょう」程度かもしれない。
「しょう」だと「章」っぽいから、ここは思い切って「しょ」とします。
「しょ」だと「書」っぽいですからね。または「初」。
初々しい感じで、まさに勢いだけで取りかからんとする意気込みを感じさせて相応しい。
とにかく、その「しょ」を映画が劇場公開されて1年以上もたってこうして「小説」にすることができたのは、編集者の方の力でした。
あらためてありがとうございました。
あと、素敵な表紙画を書いて下さった若杉公徳さん、ありがとうございました。
(マイティにブロッコリーを持たせて下さったことに感謝です)。
■唐突ですが、紙が好きです。
本に限らず、ありとあらゆる紙が好きです。
打ち合わせ用の資料等を家の安物プリンターから吐き出して行って、打ち合わせ先の会社でもっといいプリンターから吐き出された紙を見ると、その質感の違いだけですこしテンションが上がります。
本屋にも2日に1度はいかないとちょっと息苦しくなります。
外出する時はメインとサブ用に2冊の本をカバンに忍ばせておかないと不安になります。
だから、完成した本が手元に届いたときは興奮しました。
ペーパーバック的なザラザラした質感も、本の厚みも、悩んだ末に統一した散文と韻文のフォントも。
あと、あれが好きです。
「本を読み進めるときに、左手の親指の腹でこれから読むページを抑えている時の圧力/重み/厚み」。
同時に、「本を読み進めてきて、右手の親指の腹にたまったページの圧力/重み/厚み」。
それが来し方、行く末を感じさせてくれるから、というようなロマンティックな理由ではなく(それもちょっとありますけど)、単純に肉体への軽やかな負荷が好きなんです。
電子書籍はこれからますます増えてくると思いますが、多分この負荷への欲求のためだけにでも僕は本を買い続けると思います。
Amazonとかで本を買うのもいいですが、この負荷を味わった上で書店で小説「SRサイタマノラッパー」を買ってくれる人がいたら嬉しいなと思います。
その負荷には実は著者と編集者の想像以上の思いがつまっています。
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この記事へのコメント
1. Posted by DJアフター5 2010年06月22日 17:18
タイムクリップ熊谷店で買いました!(相関図がありました)
映画のノベライズって、首をかしげる様な作品が多い中、
SRの小説版は完璧に当たりました。
監督は文章も上手なんだな〜と思っていたら、
立派な活字中毒者だったのですね(笑)
色々と補完が出来て、読みながらまた泣いてしまいました、、、
SR2も楽しみにしています。
今後も影ながら応援させて頂きます。
2. Posted by 入江 2010年06月23日 02:10
>DJアフター5さん
小説読んで頂きありがとうございます。
文字と紙にまつわるすべてが好きです。
レイアウトが美しい文章を見ると胸が躍ります。
小説読んで頂きありがとうございます。
監督は文章も上手なんだな〜と思っていたら、
行く末を感じさせてくれるから、というようなロマンティックな理由ではなく(それもちょっとありますけど)、単純に肉体への軽やかな負荷が好きなんです。
今後も影ながら応援させて頂きます。