先日、早稲田の先輩であり、青年海外協力隊の先輩でもあるKei Kawakitaさん(@Kei_LMNOP)にインタビューしてもらいました。
若干タイトルが気になりますが、「より多くの人に読んでほしい」というKei先輩の純粋な優しさゆえに盛られているだけですからね。心配いりませんよ。
今回は逆に、ぼくからKeiさんにインタビューさせてもらいました。
ネパールで協力隊として活動を始めて約半年。活動は「出来過ぎなくらいに順調に進んでいる」ということでしたが、そこに至るまでには様々な葛藤や苦労があったようです。
協力隊以外にも、会社を辞めるきっかけや、起業への想いなども聞くことが出来ました。
協力隊の活動に悩んでいる方、起業を考えている方、必見です!
■ネパール人から道を聞かれるKeiさん
タケダ:それでは自己紹介からお願いします!
Kei:ぽーい。
名前:Kei Kawakita
年齢:27歳
職業:青年海外協力隊・ネパール・コミュニティ開発
前職:電機メーカー・人事
最近の趣味:ブログ、下痢(月1回)
特徴:最近、ネパール人から道をよく聞かれます
タケダ:ネパール人から道を聞かれるってすごい! 道を聞かれるほど現地に溶け込んでるってことなんでしょうね。道案内はちゃんと出来てるんですか?
Kei:いやできない!知らん場所ばっかり聞かれる。。 だから「俺、日本人だよ!」って言うんよね。そうすると謝られる(笑)
タケダ:あ、じゃあネパール人だと思われてるんですね!確かにブログで現地の人たちの写真見ると、日本人とかなり似てますもんね。
Kei:
タケダ:どこのネパール人ですか?
Kei:そうそうそう、これカトマンズに住んでる・・・って俺!久々にノリツッコミしたな。
タケダ:チャットでこんなに上手にノリツッコミする人初めて見ました(笑)
■途上国で起業し、雇用を生み出す
タケダ:では最初の質問。前職の仕事内容を教えてください!
Kei:前職は電機メーカーで人事をしてました。といっても採用とかではなく、内部社員向けの仕事ですね。労務管理やったり、研修やったり、たまに海外と会議したりとか。
海外研修生と。
タケダ:当時から海外と関わる仕事をしたいっていう思いはあったんですか?
Kei:めちゃくちゃありましたね。というかそれしか考えてなかったです(笑)
タケダ:働いていたのは3年だったと思いますが、辞めたのは海外との関わりを増やすためですか?
Kei:そうですね。海外との関わりを増やすというか、途上国で起業したくなって辞めました。
タケダ:途上国で起業!これって、けいさんのキーワードのようなものだと思ってるんですが、そのきっかけは何だったんですか?
Kei:きっかけは今振り返ってみると、大学4年のときに1人でカンボジアに行ったことですね。 でも、起業したいなって思ったのは会社員3年目のとき。 その間、1回も起業したいって思ったことはないです(笑)
タケダ:最初のきっかけになった、カンボジアでの出来事から教えてもらえますか?
Kei:アンコールワットに行ったんですけど、そこに「アンコールクッキー」っていうお土産屋さんがあったんです。 日本人の女性がやってるお店ですごくきれいでおしゃれで。でも当時は何にも思わなかったんです(笑) 「ふーん」くらいで。
そこから何にもなくて、時は社会人3年目の夏に移ります。海外に行きたいっていう想いが抑えきれなくなって、青年海外協力隊を受けたんですけど、その結果が8月に出て合格しました。
いざ受かったので、そこから会社を辞めるかどうか本気で考えようと思って、ビジネスホテルで2泊3日で1人合宿したんです(笑)
タケダ:出た!1人合宿!ぼくも好きです(笑)
Kei:うわ出た!シンクロ(笑) その1人合宿で過去の日記を振り返ったり、これからやりたいことを書き出していったんです。
そうしたらその1人合宿から数週間くらい経った頃に、ふとアンコールクッキーを思い出したんです。 今頃どうしてるのかなって思ってWEBサイト見てみたら、 10周年記念パーティーの様子が出てたんです。
シェムリアップの町からも表彰されてて、働いている現地の人もすごく嬉しそうにしててね。 「ああーこれがやりたいんだ」って直感で思いました。
タケダ:リンク先、ほんと楽しそうな写真が載ってますね!単に海外で働くというよりは、仕事を通してその地域に貢献したいっていう思いがあったからでしょうか?
Kei:自分が人事だったこともあって、雇用を作ることの重みを社会人3年間ですごく感じました。 僕もしんちゃん(※)と同じで「社会貢献」が好きだったから、雇用を作ることがどれだけの社会貢献なのかを理解しました。 それで「起業」になったわけです。
※タケダの大学時代のあだ名。竹田→武田信玄→しんちゃん。もはや原型がない。
タケダ:人事としての経験がそこにつながったんですね。
Kei:そうなんです。まさかカンボジアでの経験とつながるとは思いもしなかったです。
タケダ:その会社を辞めることに対する葛藤はなかったんですか?
Kei:葛藤はめちゃくちゃありましたよ。 働いていた会社も、学生時代の第一志望だったんです。入社前は定年まで働くつもりでいましたからね。
タケダ:そんなに好きな会社だったのに、なんで協力隊を受けたんですか?
Kei:3年目になる頃、僕の同期が次々と海外駐在になっていったんですよ。 めでたいことだけど、なんで自分は行けないんだろうって。
そういう背景があったのと同時に、コーチング(※)の研修を受ける機会があって。 そこで、自分がやりたいことっていうのはやっぱり「海外」なんだってことに気づきました。
※コーチング=人材開発の技法の1つ。 対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術であるとされる。 相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法である。
待ってればチャンスはあるけど、人事のままだったら10年目が最短でした。 職種転換も考えましたけど、それよりもビジネスを自分でやりたいっていう気持ちの方が大きかったですね。
■2年間の活動は起業の試金石
タケダ:でもなんでビジネスをやりたかったのに、いきなり起業じゃなくて協力隊という選択肢だったんですか?
Kei:ビジネスやりたかったけど、何のビジネスをどこでやるかが全然決まってなかったんです。途上国でやりたいとは思ってましたけど、日本にいても分かるわけないですよね。
ってことで現場に身を置いて、その国にどっぷり浸かりたいなと。 そう考えたら、青年海外協力隊はぴったりでした。
タケダ:確かに、現場を知るという意味では協力隊はぴったりですよね。そういえば、Keiさんそんな内容の記事書いてましたよね?
Kei:書きました!さすが!
タケダ:「2年間のボランティア活動は起業の『試金石』です」っていう一文がすごく印象的でした。
Kei:なんか照れるな(笑)
タケダ:そこでいよいよ協力隊として、ネパールにやって来たわけですが「ビジネスの種が見つかった」とブログ内で言ってましたよね?まだ教えてもらえませんか?
Kei:まだ「種」なんで、もう少し待ってもらえたらなと。
タケダ:分かりました!公開が楽しみですね。でも、起業準備として協力隊がうってつけだということが証明出来ましたね。
きっと同じように起業したい後輩たちも多いと思うので、ロールモデルになってくれることを期待してます。
Kei:いやいや!一緒にロールモデルになりましょうよ(笑) 起業したい人って多いんですかね?協力隊に限らず、海外で起業したい人のコミュニティなんかあったらいいなって思います。
■現地にどっぷり浸かる&とにかく動く
タケダ:協力隊の活動内容について教えてください。
Kei:活動内容は、農家の所得向上です。 こういう場合、換金作物の育て方を教えて所得向上を図るんですけど、僕農業経験ゼロなんですよ。 農業経験ないのにどうやって所得上げるんだって感じです(笑)
タケダ:無茶振りですね(笑)
Kei:THE無茶振り(笑) 最初はめちゃくちゃ不安でしたね。
タケダ:その経験ゼロのけいさんが、これまでどうやって活動してきたんですか?
Kei:「現地にどっぷり浸かる」と「とにかく動く」ですね。
前者は毎日活動先の村に行って、村のおばちゃんたちと農作業してました。「教える」んじゃなくて、「教わる」をやってました(笑) あとは一緒にやると理解が格段に深まるし、信頼関係もできますしね。
村のおばちゃんと農作業。
後者はフットワークを軽くして、求めているものに突き当たるまで探し回ることです。 ある換金作物の苗を探してたんですけど、どこ探してもないんですよ。 そういうお店を何件回ったか分かんないくらい探しました。
でもたまたまふと聞いた人が知ってて、苗をもらえました。 コミュニティ開発隊員は専門性がないんです。だからこそどっぷり現地に入り込んで、足で稼ぐのがいいかと。
タケダ:そうやって現地に浸かって、とにかく動くことで何か変化はありましたか?周りからの評価とか、おばちゃんたちの意識とか。
Kei:おばちゃんたちからはプライベートな行事に呼ばれることが多くなりましたね。 「結婚式来て」!とか「息子の誕生日会来て!」とか。 あとはしばらく村に行かなかったりすると、「どこに消えてたんだ?」とか聞かれたり、電話がかかってきたり。 嬉しい限りでジーンとします。
動きまくってたら、配属先からは何も言われなくなりました(笑) 最初はあれこれやるなとか言われたんですけど、もうこいつは勝手にやらせたほうがいいと思ってもらえたみたいです。
タケダ:おお、それはすごい!おばちゃんたちから相当信頼されてますね!そんな関係作りたいなー。
Kei:真面目に働くだけで作れます! ルワンダはどうか分からないけど、ネパールの男は働かない人が多いので。
タケダ:配属先からはあれこれ言われてたんですね。
Kei:配属先も心配じゃないですか。日本から来た変なやつが好き勝手やってケガでもされたらたまらないでしょう。
タケダ:心配の仕方が優しい(笑) ブログを見てると、おやきや野菜チップスを売ったり、講義をしたりと、着実に実績を積んでるように見えますが、いまの課題は何ですか?
Kei:それは見せ方です(笑) 実際はもっと泥臭いし、地味なことやってますよ。 課題はやっぱり加工品ですね。 何をつくるかをまだ決められていないことが一番の課題です。 0から1をつくることの大変さを痛感してます。
タケダ:加工品の候補はいくつかあるんですか?
Kei:3つありますね。ただ、1つに絞ろうと思ってます。 まあ、そこらへんはまたブログ見てください(笑)
タケダ:おっ、これまた楽しみですね。その商品の選定もおばちゃんたちとやってるんですか?
Kei:そうですね。今は村に行って実験しながら一緒に作ってます。もはや何隊員か分かりません(笑)
タケダ:村で住民と働くなんて、それこそ「コミュニティ開発」じゃないですか(笑)
Kei:確かに!なんか一安心(笑)
■活動出来ていること自体が恵まれている
タケダ:これまでの活動を振り返って、もし活動当初の自分にアドバイスするとしたら何て言いますか?「もっとこうした方が良かったよ」とか。
Kei:面白い質問! でも残念ながら、ないですね。むしろ出来過ぎてるくらい。 おばちゃんたちや配属先の人には感謝してもしたりないくらいです。
地域の方々と。最前列でいじられているのがKeiさん。
タケダ:ない!予想外の答えでした。それだけ良い活動が出来てるってことですね。
Kei:それもあります。でも一番はここネパールで、こうして活動出来てること自体がすばらしいことなので。
僕の同期でも色んな事情があって、数ヵ月配属先に行けなかったり、任国が変わったり、途中で日本に帰ったり、っていう悔しい経験をしている人たちがたくさんいます。
そう考えると、こうやって活動出来てること自体が恵まれてるんだから「もっとこうしたほうがいい」ってのはないですね。
■「共に」&「小さな成功」
タケダ:では、残りの約一年半はどんな想いで過ごして行きたいですか?
Kei:「共に」と「小さな成功」です。
前者は村の農家さんと一緒になってやっていきたい、という気持ちを込めて。 後者はたった1個でいいので成功例をつくりたいなと。
成功例が出来れば、後は勝手に波及していきます。例えば、村の人全員の所得を上げるのが理想ですけど、そうじゃなくて1軒だけでいいから上げることに成功したい。
タケダ:ぼくも会社員時代の上司に「小さな成功」の大切さを教えてもらっていたので、よく分かります。 1軒成功例が作れれば、「じゃあ私もやってみようかしら」ってなりそうですもんね。
Kei:そうそう。特に村なんてみんなお互いの生活を知っているから、あっという間に波及しますよ。
タケダ:その成功例を作れそうな家庭とか、キーマンになりそうな人とかはいましたか?
Kei:見つけました!すごくあったかい人ですね。本当の家族みたいに接してくれる家庭です。あと飯が絶品!ネパール一美味しい食事が食べられます(笑)
タケダ:ご飯(笑)
Kei:飯大事ですよ!やばい家庭はテンション下がりますし、お腹も下しますから。。 活動に関して言うと、「加工品をやりたい」って明確に発した家庭でした。
タケダ:じゃあ能力的に優れてるとか、立場的に偉いっていうよりは、意欲があって共に頑張っていける家庭ってことでしょうか?
Kei:そうですね。一番大事なのは「意欲」です。 意欲がある・ないは本当に大きな差です。
タケダ:ぜひその方と一緒に、「小さな成功」を積み上げていってもらいたいですね。
Kei:がんばります!
■尊敬する人は、3名の女性起業家
タケダ:尊敬している人はいますか?
Kei:3人います! マザーハウス山口絵理子さん、ラリトプール向田麻衣さん、アンコールクッキー小島幸子さんです。 なぜか全員女性ですね(笑)
タケダ:ほんとだ(笑) なんでこのお三方なんですか?
Kei:アンコールクッキーの小島さんは、僕のやりたいことをカタチにしている人なので説明不要ですね。
山口絵理子さんは生き方、考え方どれをとっても素敵だなと思いますが、一番は「途上国」のイメージを変えてくれたことですね。 これって本当にすごいことだと思います。
向田麻衣さんは同じネパールの起業家ということもありますが、 何よりも、僕が事業の種を見つけるきっかけをくれた人なんです。
タケダ:みなさん、Keiさんの生き方に影響を与えてる人なんですね。
Kei:(向田さんは)「美しい瞬間を生きる」っていう本を書かれてるんですけど、「自分にとっての美しい瞬間って何なんだろう」って考えたことがきっかけになりました。
タケダ:「美しい瞬間」かー…答えは出ましたか?
Kei:出ました! 僕はその「美しい瞬間」をビジネスでどうやって再現できるかを考えて行ったら、事業の種にぶつかりました。
タケダ:「けいさんにとっての美しい瞬間とは?」と聞きたいところですが、これも…?
Kei:To be continuedで!
タケダ:全然オッケーです(笑) 今後のブログを要チェックですね。
■おすすめ記事紹介
タケダ:けいさんのブログで、おすすめの記事を教えてください!
Kei:やっぱりこれですね。ぼくの想いが詰まってます。
そして海外で働きたい人には知っておいてほしいことです。英語よりも大事なことがあるんです。
タケダ:これは反響が大きかったみたいですね。
Kei:大きかったです。この記事から自分のブログの書き方も変わりました。今まで弱い部分ってのはなるべく見せないようにしてきました。でも、そういう部分も見せていってもいいんだなと思えるようになりました。
タケダ:弱さを見せるからこそ、共感が生まれてバズるんだと思います。ぼくもうなずきながら読ませてもらいました。ぼくが好きな記事はこれです!
Kei:おー!これまた自信作ですな。
タケダ:この一記事の中に、開発段階からの苦労(おばちゃんに「まずい」って言われるとか)と、完売という小さな成功までのドラマが詰まっていて、思わず「売れた―!」ってこっちまで嬉しくなってしまいました。
■心に残る記事を
タケダ:最後に、締めのメッセージをお願いします!
Kei:このインタビューを読んでいただいて、ありがとうございます!もし少しでもこいつ面白いなと思ってもらえたら、ブログを覗きに来てください。
ルワンダやアフリカは全く出てきませんし、しんちゃんみたいなチャラい感じも残念ながらありません。 でも、読んでもらえたら何かしら心に残る記事を用意してます。これからもタケダノリヒロともども宜しくお願いいたします!
タケダ:なんで最後にディスるんですか!(笑)
Kei:いやいやディスってないよ!「チャラい」は褒め言葉です(笑)
タケダ:ありがとうございます(笑)
以上、Kei Kawakitaさん(@Kei_LMNOP)インタビューでした!
読むと不思議と前向きな気持ちになれる、Keiさんのブログはこちらから。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
若干タイトルが気になりますが、「より多くの人に読んでほしい」というKei先輩の純粋な優しさゆえに盛られているだけですからね。心配いりませんよ。
今回は逆に、ぼくからKeiさんにインタビューさせてもらいました。
ネパールで協力隊として活動を始めて約半年。活動は「出来過ぎなくらいに順調に進んでいる」ということでしたが、そこに至るまでには様々な葛藤や苦労があったようです。
協力隊以外にも、会社を辞めるきっかけや、起業への想いなども聞くことが出来ました。
協力隊の活動に悩んでいる方、起業を考えている方、必見です!
■ネパール人から道を聞かれるKeiさん
タケダ:それでは自己紹介からお願いします!
Kei:ぽーい。
名前:Kei Kawakita
年齢:27歳
職業:青年海外協力隊・ネパール・コミュニティ開発
前職:電機メーカー・人事
最近の趣味:ブログ、下痢(月1回)
特徴:最近、ネパール人から道をよく聞かれます
タケダ:ネパール人から道を聞かれるってすごい! 道を聞かれるほど現地に溶け込んでるってことなんでしょうね。道案内はちゃんと出来てるんですか?
Kei:いやできない!知らん場所ばっかり聞かれる。。 だから「俺、日本人だよ!」って言うんよね。そうすると謝られる(笑)
タケダ:あ、じゃあネパール人だと思われてるんですね!確かにブログで現地の人たちの写真見ると、日本人とかなり似てますもんね。
Kei:
タケダ:どこのネパール人ですか?
Kei:そうそうそう、これカトマンズに住んでる・・・って俺!久々にノリツッコミしたな。
タケダ:チャットでこんなに上手にノリツッコミする人初めて見ました(笑)
■途上国で起業し、雇用を生み出す
タケダ:では最初の質問。前職の仕事内容を教えてください!
Kei:前職は電機メーカーで人事をしてました。といっても採用とかではなく、内部社員向けの仕事ですね。労務管理やったり、研修やったり、たまに海外と会議したりとか。
海外研修生と。
タケダ:当時から海外と関わる仕事をしたいっていう思いはあったんですか?
Kei:めちゃくちゃありましたね。というかそれしか考えてなかったです(笑)
タケダ:働いていたのは3年だったと思いますが、辞めたのは海外との関わりを増やすためですか?
Kei:そうですね。海外との関わりを増やすというか、途上国で起業したくなって辞めました。
タケダ:途上国で起業!これって、けいさんのキーワードのようなものだと思ってるんですが、そのきっかけは何だったんですか?
Kei:きっかけは今振り返ってみると、大学4年のときに1人でカンボジアに行ったことですね。 でも、起業したいなって思ったのは会社員3年目のとき。 その間、1回も起業したいって思ったことはないです(笑)
タケダ:最初のきっかけになった、カンボジアでの出来事から教えてもらえますか?
Kei:アンコールワットに行ったんですけど、そこに「アンコールクッキー」っていうお土産屋さんがあったんです。 日本人の女性がやってるお店ですごくきれいでおしゃれで。でも当時は何にも思わなかったんです(笑) 「ふーん」くらいで。
そこから何にもなくて、時は社会人3年目の夏に移ります。海外に行きたいっていう想いが抑えきれなくなって、青年海外協力隊を受けたんですけど、その結果が8月に出て合格しました。
いざ受かったので、そこから会社を辞めるかどうか本気で考えようと思って、ビジネスホテルで2泊3日で1人合宿したんです(笑)
タケダ:出た!1人合宿!ぼくも好きです(笑)
Kei:うわ出た!シンクロ(笑) その1人合宿で過去の日記を振り返ったり、これからやりたいことを書き出していったんです。
そうしたらその1人合宿から数週間くらい経った頃に、ふとアンコールクッキーを思い出したんです。 今頃どうしてるのかなって思ってWEBサイト見てみたら、 10周年記念パーティーの様子が出てたんです。
シェムリアップの町からも表彰されてて、働いている現地の人もすごく嬉しそうにしててね。 「ああーこれがやりたいんだ」って直感で思いました。
タケダ:リンク先、ほんと楽しそうな写真が載ってますね!単に海外で働くというよりは、仕事を通してその地域に貢献したいっていう思いがあったからでしょうか?
Kei:自分が人事だったこともあって、雇用を作ることの重みを社会人3年間ですごく感じました。 僕もしんちゃん(※)と同じで「社会貢献」が好きだったから、雇用を作ることがどれだけの社会貢献なのかを理解しました。 それで「起業」になったわけです。
※タケダの大学時代のあだ名。竹田→武田信玄→しんちゃん。もはや原型がない。
タケダ:人事としての経験がそこにつながったんですね。
Kei:そうなんです。まさかカンボジアでの経験とつながるとは思いもしなかったです。
タケダ:その会社を辞めることに対する葛藤はなかったんですか?
Kei:葛藤はめちゃくちゃありましたよ。 働いていた会社も、学生時代の第一志望だったんです。入社前は定年まで働くつもりでいましたからね。
タケダ:そんなに好きな会社だったのに、なんで協力隊を受けたんですか?
Kei:3年目になる頃、僕の同期が次々と海外駐在になっていったんですよ。 めでたいことだけど、なんで自分は行けないんだろうって。
そういう背景があったのと同時に、コーチング(※)の研修を受ける機会があって。 そこで、自分がやりたいことっていうのはやっぱり「海外」なんだってことに気づきました。
※コーチング=人材開発の技法の1つ。 対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術であるとされる。 相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法である。
待ってればチャンスはあるけど、人事のままだったら10年目が最短でした。 職種転換も考えましたけど、それよりもビジネスを自分でやりたいっていう気持ちの方が大きかったですね。
■2年間の活動は起業の試金石
タケダ:でもなんでビジネスをやりたかったのに、いきなり起業じゃなくて協力隊という選択肢だったんですか?
Kei:ビジネスやりたかったけど、何のビジネスをどこでやるかが全然決まってなかったんです。途上国でやりたいとは思ってましたけど、日本にいても分かるわけないですよね。
ってことで現場に身を置いて、その国にどっぷり浸かりたいなと。 そう考えたら、青年海外協力隊はぴったりでした。
タケダ:確かに、現場を知るという意味では協力隊はぴったりですよね。そういえば、Keiさんそんな内容の記事書いてましたよね?
Kei:書きました!さすが!
タケダ:「2年間のボランティア活動は起業の『試金石』です」っていう一文がすごく印象的でした。
Kei:なんか照れるな(笑)
タケダ:そこでいよいよ協力隊として、ネパールにやって来たわけですが「ビジネスの種が見つかった」とブログ内で言ってましたよね?まだ教えてもらえませんか?
Kei:まだ「種」なんで、もう少し待ってもらえたらなと。
タケダ:分かりました!公開が楽しみですね。でも、起業準備として協力隊がうってつけだということが証明出来ましたね。
きっと同じように起業したい後輩たちも多いと思うので、ロールモデルになってくれることを期待してます。
Kei:いやいや!一緒にロールモデルになりましょうよ(笑) 起業したい人って多いんですかね?協力隊に限らず、海外で起業したい人のコミュニティなんかあったらいいなって思います。
■現地にどっぷり浸かる&とにかく動く
タケダ:協力隊の活動内容について教えてください。
Kei:活動内容は、農家の所得向上です。 こういう場合、換金作物の育て方を教えて所得向上を図るんですけど、僕農業経験ゼロなんですよ。 農業経験ないのにどうやって所得上げるんだって感じです(笑)
タケダ:無茶振りですね(笑)
Kei:THE無茶振り(笑) 最初はめちゃくちゃ不安でしたね。
タケダ:その経験ゼロのけいさんが、これまでどうやって活動してきたんですか?
Kei:「現地にどっぷり浸かる」と「とにかく動く」ですね。
前者は毎日活動先の村に行って、村のおばちゃんたちと農作業してました。「教える」んじゃなくて、「教わる」をやってました(笑) あとは一緒にやると理解が格段に深まるし、信頼関係もできますしね。
村のおばちゃんと農作業。
後者はフットワークを軽くして、求めているものに突き当たるまで探し回ることです。 ある換金作物の苗を探してたんですけど、どこ探してもないんですよ。 そういうお店を何件回ったか分かんないくらい探しました。
でもたまたまふと聞いた人が知ってて、苗をもらえました。 コミュニティ開発隊員は専門性がないんです。だからこそどっぷり現地に入り込んで、足で稼ぐのがいいかと。
タケダ:そうやって現地に浸かって、とにかく動くことで何か変化はありましたか?周りからの評価とか、おばちゃんたちの意識とか。
Kei:おばちゃんたちからはプライベートな行事に呼ばれることが多くなりましたね。 「結婚式来て」!とか「息子の誕生日会来て!」とか。 あとはしばらく村に行かなかったりすると、「どこに消えてたんだ?」とか聞かれたり、電話がかかってきたり。 嬉しい限りでジーンとします。
動きまくってたら、配属先からは何も言われなくなりました(笑) 最初はあれこれやるなとか言われたんですけど、もうこいつは勝手にやらせたほうがいいと思ってもらえたみたいです。
タケダ:おお、それはすごい!おばちゃんたちから相当信頼されてますね!そんな関係作りたいなー。
Kei:真面目に働くだけで作れます! ルワンダはどうか分からないけど、ネパールの男は働かない人が多いので。
タケダ:配属先からはあれこれ言われてたんですね。
Kei:配属先も心配じゃないですか。日本から来た変なやつが好き勝手やってケガでもされたらたまらないでしょう。
タケダ:心配の仕方が優しい(笑) ブログを見てると、おやきや野菜チップスを売ったり、講義をしたりと、着実に実績を積んでるように見えますが、いまの課題は何ですか?
Kei:それは見せ方です(笑) 実際はもっと泥臭いし、地味なことやってますよ。 課題はやっぱり加工品ですね。 何をつくるかをまだ決められていないことが一番の課題です。 0から1をつくることの大変さを痛感してます。
タケダ:加工品の候補はいくつかあるんですか?
Kei:3つありますね。ただ、1つに絞ろうと思ってます。 まあ、そこらへんはまたブログ見てください(笑)
タケダ:おっ、これまた楽しみですね。その商品の選定もおばちゃんたちとやってるんですか?
Kei:そうですね。今は村に行って実験しながら一緒に作ってます。もはや何隊員か分かりません(笑)
タケダ:村で住民と働くなんて、それこそ「コミュニティ開発」じゃないですか(笑)
Kei:確かに!なんか一安心(笑)
■活動出来ていること自体が恵まれている
タケダ:これまでの活動を振り返って、もし活動当初の自分にアドバイスするとしたら何て言いますか?「もっとこうした方が良かったよ」とか。
Kei:面白い質問! でも残念ながら、ないですね。むしろ出来過ぎてるくらい。 おばちゃんたちや配属先の人には感謝してもしたりないくらいです。
地域の方々と。最前列でいじられているのがKeiさん。
タケダ:ない!予想外の答えでした。それだけ良い活動が出来てるってことですね。
Kei:それもあります。でも一番はここネパールで、こうして活動出来てること自体がすばらしいことなので。
僕の同期でも色んな事情があって、数ヵ月配属先に行けなかったり、任国が変わったり、途中で日本に帰ったり、っていう悔しい経験をしている人たちがたくさんいます。
そう考えると、こうやって活動出来てること自体が恵まれてるんだから「もっとこうしたほうがいい」ってのはないですね。
■「共に」&「小さな成功」
タケダ:では、残りの約一年半はどんな想いで過ごして行きたいですか?
Kei:「共に」と「小さな成功」です。
前者は村の農家さんと一緒になってやっていきたい、という気持ちを込めて。 後者はたった1個でいいので成功例をつくりたいなと。
成功例が出来れば、後は勝手に波及していきます。例えば、村の人全員の所得を上げるのが理想ですけど、そうじゃなくて1軒だけでいいから上げることに成功したい。
タケダ:ぼくも会社員時代の上司に「小さな成功」の大切さを教えてもらっていたので、よく分かります。 1軒成功例が作れれば、「じゃあ私もやってみようかしら」ってなりそうですもんね。
Kei:そうそう。特に村なんてみんなお互いの生活を知っているから、あっという間に波及しますよ。
タケダ:その成功例を作れそうな家庭とか、キーマンになりそうな人とかはいましたか?
Kei:見つけました!すごくあったかい人ですね。本当の家族みたいに接してくれる家庭です。あと飯が絶品!ネパール一美味しい食事が食べられます(笑)
タケダ:ご飯(笑)
Kei:飯大事ですよ!やばい家庭はテンション下がりますし、お腹も下しますから。。 活動に関して言うと、「加工品をやりたい」って明確に発した家庭でした。
タケダ:じゃあ能力的に優れてるとか、立場的に偉いっていうよりは、意欲があって共に頑張っていける家庭ってことでしょうか?
Kei:そうですね。一番大事なのは「意欲」です。 意欲がある・ないは本当に大きな差です。
タケダ:ぜひその方と一緒に、「小さな成功」を積み上げていってもらいたいですね。
Kei:がんばります!
■尊敬する人は、3名の女性起業家
タケダ:尊敬している人はいますか?
Kei:3人います! マザーハウス山口絵理子さん、ラリトプール向田麻衣さん、アンコールクッキー小島幸子さんです。 なぜか全員女性ですね(笑)
タケダ:ほんとだ(笑) なんでこのお三方なんですか?
Kei:アンコールクッキーの小島さんは、僕のやりたいことをカタチにしている人なので説明不要ですね。
山口絵理子さんは生き方、考え方どれをとっても素敵だなと思いますが、一番は「途上国」のイメージを変えてくれたことですね。 これって本当にすごいことだと思います。
向田麻衣さんは同じネパールの起業家ということもありますが、 何よりも、僕が事業の種を見つけるきっかけをくれた人なんです。
タケダ:みなさん、Keiさんの生き方に影響を与えてる人なんですね。
Kei:(向田さんは)「美しい瞬間を生きる」っていう本を書かれてるんですけど、「自分にとっての美しい瞬間って何なんだろう」って考えたことがきっかけになりました。
タケダ:「美しい瞬間」かー…答えは出ましたか?
Kei:出ました! 僕はその「美しい瞬間」をビジネスでどうやって再現できるかを考えて行ったら、事業の種にぶつかりました。
タケダ:「けいさんにとっての美しい瞬間とは?」と聞きたいところですが、これも…?
Kei:To be continuedで!
タケダ:全然オッケーです(笑) 今後のブログを要チェックですね。
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タケダ:けいさんのブログで、おすすめの記事を教えてください!
Kei:やっぱりこれですね。ぼくの想いが詰まってます。
そして海外で働きたい人には知っておいてほしいことです。英語よりも大事なことがあるんです。
タケダ:これは反響が大きかったみたいですね。
Kei:大きかったです。この記事から自分のブログの書き方も変わりました。今まで弱い部分ってのはなるべく見せないようにしてきました。でも、そういう部分も見せていってもいいんだなと思えるようになりました。
タケダ:弱さを見せるからこそ、共感が生まれてバズるんだと思います。ぼくもうなずきながら読ませてもらいました。ぼくが好きな記事はこれです!
Kei:おー!これまた自信作ですな。
タケダ:この一記事の中に、開発段階からの苦労(おばちゃんに「まずい」って言われるとか)と、完売という小さな成功までのドラマが詰まっていて、思わず「売れた―!」ってこっちまで嬉しくなってしまいました。
■心に残る記事を
タケダ:最後に、締めのメッセージをお願いします!
Kei:このインタビューを読んでいただいて、ありがとうございます!もし少しでもこいつ面白いなと思ってもらえたら、ブログを覗きに来てください。
ルワンダやアフリカは全く出てきませんし、しんちゃんみたいなチャラい感じも残念ながらありません。 でも、読んでもらえたら何かしら心に残る記事を用意してます。これからもタケダノリヒロともども宜しくお願いいたします!
タケダ:なんで最後にディスるんですか!(笑)
Kei:いやいやディスってないよ!「チャラい」は褒め言葉です(笑)
タケダ:ありがとうございます(笑)
以上、Kei Kawakitaさん(@Kei_LMNOP)インタビューでした!
読むと不思議と前向きな気持ちになれる、Keiさんのブログはこちらから。
タケダノリヒロ(@NoReHero)