家入一真さん、不登校やひきこもりだったにもかかわらず、20代はじめに起業して成功をおさめて今でも様々な分野で活躍している。そんなの稀有な実例だ、みたいな風に思うかもしれないけれど、別にそう思ってもらっても構わない。ただ、家入さんが伝えたいと考えていることが後半あったので、ぜひこれを紹介したい。

学校にいけない、人の顔を直視できない、外に出られない。そんな悩みを抱えていたあのころの僕に、今の僕から一つだけ、言葉を掛けてやれるとすれば、僕はこう言いたい。

「逃げることは、悪いことじゃない」

改めて振り返ってみると、小学生だったあの頃、どこかいかがわしい男女を前に逃げ出したあの日以来、僕の人生、逃げっぱなしだった。体育祭から逃げ、高校からも逃げ、大学受験から逃げ、仕事先から逃げ・・・。どんな困難にも真っ向から立ち向かうことがよしとされる世の中で、とにかくひたすら、逃げ続けることに、全力を注いできた。

あの頃の僕は、そんな自分のことをただただ、情けなく思っていたし、何度となく失望した。

でも、今、僕は思う。

逃げることは、決して悪いことじゃない。前に進めなくて立ち止まるくらいなら、全力で後ろ向きに走ればいい。尻尾を巻いて逃げてしまえばいいのだ。

どんな道にも必ず行き止まりはある。自分が、道の行き止まりにたっていることに気づかずに、前に進めないともがき続けるくらいなら、来た道をちょっとだけ戻ってやり直してみればいい。身動きがとれないことに絶望的になって、自ら命を絶ってしまうくらいなら、誰も追ってこないところまで、全力で逃げればいい。





僕も普段は講演とかで「自分をあきらめない」ということを大学生とかの前で話すことがあるが、別に何かを諦めても構わないと思っている。それは一時的には必要なことだとも思うからだ。

矛盾しているように聞こえるかもしれないが、何かをあきらめることや逃げてしまうことは全く悪くない。すべてを一時期は放っておいて、保管しておき、いずれ戻すことはできる。だから、自分が合わないと思ったことは一度置き去っていていい。

きっと、その置き去ったことによって自分の新たな可能性が見えてくるから、逃げても諦めてもいいんだと思う。

僕にもそういうことがたくさんあった。嫌いだった自分、人と話しづらかった4〜5年ぐらいの時間があったからこそ、今は希望を語れるし自分が幅広い分野でやりたいことがあることに気がつけた。

あきらめることは悪くないし、逃げることも悪くない。

世界は面白い。