2011年11月
2011年11月26日
Sweet potato チーズ入りスィートポテト
イタリアでは、さつま芋は生産してません(と思われます。
輸入品らしいさつま芋のようなイモを稀に見かけることはありましたが、あまり甘みがなく、ゴソゴソと繊維が多いものでPatate dolci「甘い芋」と呼ばれています。それは在伊の外国人用なのでしょう)。
よって、スィートポテトも存在しませんが、もしあったらイタリア人も大好きだと思います。
以外にも、じゃが芋をお菓子に使うことは、イタリアの郷土料理に時々見られます。例えばじゃが芋ドーナッツ。
さつま芋がイタリアにあったら、さつま芋のティラミスとか色々なイタリアンドルチェが生まれそうです。さつま芋ケンピ、イタリアの友人にお土産で持って行ったところ大好評でした。
私のスィートポテトはシンプルです。
柔らかく茹でるかふかしたさつま芋を、ニョッキを作る時に使うスキャッチャーパターテschiacciapatateと呼ばれる道具でつぶして、熱いうちにバタとキビ砂糖を加えよく混ぜ、バニラエッセンスを加えます。
(左がschiacciapatate。シソシロップを作る時にも活躍)
それを形成し、卵黄を刷毛で塗って、高温(230~250度)のオーブンで13~15分焼き目がつくまで焼きます。
(途中、卵黄をもう一度ぬります)
目分量なのですが、1本300g程度のさつま芋を3本に対して、バタは60~80gほどです。この分量で、小さ目のものが20ケできます。
今日は、棒状に切ったクリームチーズを中に詰めました。
2011年11月25日
Fritto di salmone e Nagaimo 鮭と長芋のフリット
おいしいイタリアは、毎月一回、イタリア料理を参加者の皆さんと一緒に作って楽しむ会です。
今日のメニューは、
〇レモンのリゾット
〇鮭と長芋の
フリット
〇レタスと
アスパラ菜の
サラダ
でした。
(献立のカロリー
718kcal
たん白質27.0g)
フリットとは揚げ物のことです。
イタリアではカラッと揚げるために、衣を炭酸入りの水で溶いだりしますが、日本ではあまり一般的でないので、ちょっと工夫してベーキングパウダー、片栗粉、コーンスターチなどを小麦粉に加えて作ります。
コツは、塩を割合しっかり加えることです。衣をなめて、ちょっとしょっぱいくらいが、揚がって食べた時に具とのバランスが良いと思います。薄味すぎると、せっかくの鮭と長芋がぼんやりしたものになります。
写真手前の醤油に見える黒い液体はバルサミコ酢です。レモン汁やバルサミコ酢など酸味のあるものといただくと、揚げ物がさっぱりいただけます。
この衣は割合、カラッと揚げやすく、これをベースに変わり衣へと展開できます。
例えば、パルメザンチーズを加えて、鶏ささみなど脂肪分の少ない素材を揚げてもおいしいです。
鮭と長芋のフリット
Fritto di salmone e Nagaimo
(一人あたり熱量: 345kcal たんぱく質19.0g)
<材料Ingredienti 4人分>
鮭............................切り身3枚 (300g)
長芋.........................150g~200g
小麦粉.....................70g
片栗粉....................大さじ2
コーンスターチ..........大さじ2
ベーキングパウダー...小さじ1
塩
揚げ油
バルサミコ酢..............大匙4
<作り方 Preparazione>
下準備:鮭は、皮と骨を省き、一口大に切って、塩と白ワインを振りかける。長芋は皮を剥き、一口大に切る。
①ボールに粉類、ベーキングパウダーを入れてよく混ぜたら、塩と水を加えてゆるめのマヨネーズくらいの固さの衣を作る。(写真はパセリのみじん切りを加えました)
②①の衣に水気を拭いた鮭、長芋を加えて合わせ、スプーンで落とし入れていき、180度の揚げ油でカラッとなるまで揚げる。(箸で叩いてみて判断する)
③よく油を切ったら、皿に盛り、バルサミコ酢を添える。
2011年11月18日
Tagliatelle al cavolo キャベツと豚肉の手打ちパスタ
尚絅学院大学の生涯学習で、イタリア語講座を担当させていただいてますが、「イタリアに学ぶスローフード」~家庭の味を伝える~という講座も月一回開いています。
場所は、名取市保健センターを使わせていただいているので、出来上がった料理を試食しながら、センターの管理栄養士さんによる栄養のお話しも聞くことができ、盛りだくさんの講座です。
食べることは生活のあらゆることに関わってくる大切なことですから、毎日忙しい生活を送りながらも、心に余裕を持って台所に立てたらといつも思っています。
会でみなさんと作る料理のレシピは、イタリアにいた頃、一緒に住んでいたおばあさんなどから教えてもらった家庭料理を、地元名取の食材を使って手軽に作れる内容にしています。
私は面倒くさがりですが、一から作ることが好きです。インスタントを使って3品作れるなら、一から作った料理1品の食卓のほうを好みます。1品であっても、食べた時に感じられる豊かさで充足した気持ちになるからです。
手打ちの卵パスタは、イタリアで毎日食べられている料理というよりも、家族全員の顔がそろう日曜日のランチや、お客様が来る時などに作る「ハレの料理」です。
イタリアでも、今では、真空パックになったもの、冷凍ものといった便利なものが近年発達していますし、町には肉屋や魚屋と同様に、生パスタを扱う専門店が存在するので、お金を出せば作らずともすぐに生パスタを食べらる時代になりました。
またパスタマシーンという便利な物も存在します。
私も15年以上前にイタリア製のものを購入しましたが、使う時はごく限られています。どうしてかというと、麺棒でのばすからです。6人分くらいまでは、そば打ち用の1メートルちょっとある長い麺棒でやってしまいます。
手でのばすと、パスタマシーンでのばした時のように、完璧な均一性をもった厚さではなく、いくらかの凸凹が出ます。でもその分、ソースに絡まりやすくなり、食べる者たちは、その凸凹さ加減に手作りの温かみを感じます。
私がイタリアで出会ったおばあちゃんたちもそうでした。マシーンがあるのに、リウマチの手をさすりさすり、家族の喜ぶ顔が見たくて、テーブルクロスほどの大きさのパスタを2枚3枚と打つのでした。生パスタ専門店が目と鼻の先にあるのにもかかわらず自分の手で作るということにこだわるのは、もしかしたら、手打ちパスタこそ愛情を注ぐのに一番ふさわしい家庭料理の代表であって、出来上がったパスタがどこか無骨であったとしても、自分の手で一から仕上げたい大切な一皿だと思うからかもしれません。
さて、今日の尚絅学院大学の料理の会では、手打ちパスタを皆さんで作りました。
講座名に「スローフード」とありますが、総勢30名ちょっとの参加者のみなさんと限られた時間内にテキパキ進められるか少々心配してましたが、チームワークの素晴らしさで、手際よくパスタを含めた3品を作ることが出来ました。
出来上がったパスタは、グループによって細さも、厚さもさまざまでしたが、共通して言えることは、どれもこれもおいしそうだったということです。
クッキーなどで使う家庭用の麺棒(30~40㎝)でのばす場合、以下の分量の半分で行ってください。生地を練って休ませたら、のばす時だけ半量ずつ行ってください。
参加者の方の中には「市販のパスタより断然おいしいので、是非手打ちパスタを習慣化したい」とおっしゃる人もいました。たしかに、「習うより慣れよ」と言いますものね。
パスタ打ちを教えてくれたフェルナンダさんは、3歳のころから踏み台を台所に持っていき、お母さんの隣りで打ち始めたそうです。回数を重ねることが上達の道であって、決して難しいことはないと話しながら打つ姿は、とてもカッコよく、手際の良さに惚れ惚れしていつも見ていました。
私が手打ちにこだわるのは、もしかしたら、いつかイタリアのおばあさんたちみたいにカッコよくパスタ打ち出来るようになりたいなぁと思っているからかもしれません。
その後で一緒に住んだリーナさんは、一緒にパスタを打ちながら、お嫁に来た時、パスタ打ちを通して、姑から台所へ入る許可を得たという話しをしてくれました。
嫁に行って間もない頃、「あんた、ちょっとパスタ打ってみなさい」とお姑さんに言われたそうです。パスタを打つ嫁の後ろ姿で、どの程度の料理の腕前か、また、気働きのできる賢い嫁かどうかが大体わかるそうです。
そんな風に、手打ちパスタはイタリア人の人生の節目節目に深くかかわる料理なのでしょう。
キャベツと豚肉の手打ちパスタ Tagliatelle al cavolo
この料理は、イタリアの生ソーセージ、サルスィッチャSalsicciaを使うところをアレンジしたものです。特に私が住んでいたウンブリア州は、おいしいサルスィッチャが作られていることでよく知られています。豚肉のミンチと様々なスパイスを加えた生ソーセージは、そのままグリルしたり、豆とトマトソースで煮たりする他、腸の袋から中身を取り出して、パスタソースにちょっぴり加えるだけでぐんっと味わいが深くなるため、料理の隠し味にも使える便利な食材です。
日本では手に入らないので、豚の薄切り肉を叩いて、ベーコンのみじん切りを加え、おろしにんにく、塩、黒こしょを混ぜ合わせたものを使います。ベーコンだとわからないように細かく刻むことがポイントです。これでサルスィッチャがなくとも充分おいしく出来ます!
近頃のキャベツは、春だけでなく、年中柔らかいようです。シャキシャキ感を楽しみたいので、キャベツの硬さによってですが、パスタと同時に茹で上げるように時間配分して下さい。ちなみに春キャベツは、パスタを茹で上げる10秒前くらいに投入するだけで充分です。
材料(4人分)
薄力粉 120g
強力粉 120g
卵 L2ケ
オリーブ油 大さじ1
塩 小さじ1/2
キャベツ 大1/4ケ
豚薄切り肉 200g
ベーコン 80g
塩 小さじ1
ニンニク 1/2片
オリーブ油 小さじ1+適宜
<作り方>
① 打ち台、または、大きめのボールに粉類を合わせ、粉をひと摑み分、別に取り分けておく。粉を山型にして、真ん中にくぼみをつくり、そこへ卵、オリーブ油、塩を入れ、フォークで掻き混ぜながら、少しずつまわりの粉を崩し入れていく。粉が足りないようだったら、取り分けていた粉を付け足して調節しながら、全体を混ぜ合わせ、卵と粉が大体交じり合ったら、台の上で10分程度練り、その後、ラップに包み寝かす。(30分~)
② 台の上に打ち粉をしながら麺棒で徐々に厚みが平均になるように伸ばす。時々、陽の光に透かしてチェックする。(こうすると、どこが薄く、厚みがあるかがわかる)
最終的に、厚さ1~2mmに。大きめの布巾やシーツの上に置いて、30分以上放置して少し乾燥させると切りやすくなる。
③コンロでは、鍋にたっぷりのお湯を沸し、塩を加える(2リットルに対して塩大さじ1半~2)。
豚の薄切り肉は、細切りにして叩いてボールに入れる。ベーコンも細かく切ってボールへ。塩小さじ1杯と、すりおろしニンニク1片分を加えて、練る。キャベツは、手でバラしてちぎっておく。
フライパンを熱し、オリーブ油小さじ1をひいたら③を炒める。火が通ったら、パスタ用の塩入り熱湯を大さじ4加えて火を止める。
④パスタを好きな幅に切る。ちなみに今日のタリアテッレは、幅6~8mm程度。
広げた生地の上下から中心に向かって、くるくる巻いて棒状にしてから切るとやりやすい。生地が柔らか目の時は、特に打ち粉をたっぷりすること。
⑤ 切ったパスタを茹でる。再び沸騰して1分くらいで茹で上がるので、再沸騰したらキャベツも加えて、パスタと共に茹で上げる。(パスタの厚みにもよるので、キャベツの硬さ同様、様子を見て茹で上げる)
⑥ 茹で上がったパスタとキャベツを⑤のフライパンに入れて手早く絡める。好みでオリーブオイルを仕上げにまわしかける。
☺茹でたてが美味しいので、パスタを鍋に入れる前に、食事する全ての人を席に着かせておきましょう。
2011年11月16日
Imoni-kai (Festa della zuppa di patate) 芋煮会
Un’usanza della mia zona, la regione
Tohoku, la Prefettura di Miyaghi e di
Yamagata: all’aperto si prepara e si
mangia una specie di zuppa fatta con
patate, diverse verdure e carne.
今年は1回だけ芋煮会をしました。
いつもは友達10人程度で、母校のすぐそばの広瀬川のほとりなどでしますが、今年は大勢の人たちとでした。大きな鍋で作る芋煮はなんであんなにおいしいのでしょう。
外でみんなでワイワイ煮炊きをしながら、太陽の元、大勢で食べるのが好きなので、芋煮会の習慣はとてもいいと思います。東北人に生まれて良かった!
イタリアで、そんな習慣があるのかといろいろ考えてみましたが思い当たりません。日曜日のランチに、庭先で火を起こして、肉を焼いて食べるということはあります。炭火で焼くのでとってもおいしいけれども、芋煮の楽しさとは違います。
お弁当を持ってピクニックするという習慣も、イタリア人というよりも、イギリス人がしているのをイタリアでよく見かけます。
フィレンツェの町を眺める絶好の場所としてBelvedereという要塞跡があります。ポンテヴェッキョのそばにある階段を上って10分ほどずっと登って行くと、その要塞にたどり着きます。有名なミケランジェロ広場よりも近く、より大聖堂が間近に見られる場所ですが、以前人身事故があってから、開館日を限定しているようです。
要塞ですから高台にあって、中心街と反対方向に目をやると、オリーブ畑が広がる牧歌的な風景が楽しめます。フィレンツェの街並みを眺められる表の場所は、一般的な観光客にまかせて、風光明媚な光景が臨める裏側に集まって、敷物の上でランチボックスを広げている人たちがいたら、それは間違いなくイタリア人ではなく外国人です。6~8割の確率で、その人たちはイギリス人だと思います。
彼らも観光客だと思いますが、ウッフィッツィ美術館なんかで時間をつぶすより、こんなお天気の日には、ホテルの近くのお惣菜屋さんから、サンドイッチやちょっとした惣菜を買ってきて、ああやって太陽を浴びながら食事することを面倒がらずにいそしむのは、太陽にあまり当たることがない国の人たちです。
春になって、木々が芽吹いてくると、ピクニックをしたくなります。自然を愛でるというよりは、新鮮な春の風を感じながら食べることに執着するからですが、そういう点で、海外の名所でもピクニックをしたくなるイギリス人の気持ちがわかります。
特に、イタリアの田舎の春には、お弁当を広げたくなるような大らかさがあるので、イタリアでピックニック用の敷物を買ったことがあります。日本のブルーシートのように実用的だけれども夢がまるでないものではなく、外側は黒いビニール製で出来ていて、座る内側には毛布のような柔らかな生地が張られているステキな敷物です。毛布生地はチェックで、たためば、コンパクトな黒いバックになる優れものです。
イタリア製だとばかり信じて使ってましたが、それはイギリスで作られたインポートものでした。
Nell’ Imoni (letteralmente vuol dire
la zuppa di patate) di Miyaghi
bisogna mettere le patate, la carne
suina e diverse verdure come cavolo
cinese, carote, daikon, porri...ecc e
si deve condire con il miso (pasta
di soia salata e fermentata. Quella
pasta marone nella foto).
Invece nella zuppa di Yamagata
devono esserci una specie di patate
chiamate Sato-imo ( il mio dizionario dice "taro d’Esitto" in italiano)
e la carne bovina e bisogna condirle con la salsa di soia.
E' piu' semplice di quella di Miyaghi, ma devo dire che sono buone
tutte e due! Qualche volta prepariamo tutti e due tipi nella stessa
festa "Imoni-kai"
Alcuni fanno il BBQ con la zuppa.
Cosi' sara' piu' perfetto!
Questa volta abbiamo preparato i
Yakisoba, quei spaghetti maroni
nella foto.
Un'usanza è molto piacevole,
perché prepariamo e mangiamo
tutti insieme all'aperto!
2011年11月11日
Estate di San Martino 聖マルティーノ
日本では、11月11日、つまり棒が4本並んでいるということで、ポッキーの日だとか、きりたんぽの日だとか色々あるようですね。
日本語で、秋の晴れを「小春日和」と言いますが、イタリア語では、「サンマルティーノの夏 L'estate di San Martino」と呼びます。
確かに、私の記憶が間違ってなければ、私がイタリアにいた3年間は、11月11日は不思議と、秋晴れに恵まれ、日中は夏が戻って来たかと思わせるくらいの陽気になったことを思い出します。
聖人ですが、もちろん西暦300年代に実在した人です。
「サンマルティーノの夏」は、一つの伝説によるものです。
寒い吹雪のある日、騎士であるマルティーノは、馬でフランスに向かっていると、道端でぼろきれをまとっただけの貧しい人が寒さに震えているのに出会いました。
あいにくその日、彼は何も持ち合わせてませんでしたが、剣を抜くと、自分のマントを半分に切り、貧しい人に与えました。半分のマントで間に合うようにと、その瞬間から、太陽が照り始めた...という伝説です。
また、”聖マルティーノの日には、ぶどうの絞り汁はみなワインになる A San Martino, ogni mosto e' vino.”という諺もあります。
確かに、今年のノヴェッロ novello(新酒)は、数日後解禁のようですね。聖マルティーノは太陽とワインをもたらすシンボルとして、なんだか親近感を覚える聖人です。昔どこかでみた、彼の姿の絵もなかなかハンサムで、そんなことも記憶にあるからかもしれません。
novelloを飲む習慣は、イタリアでもごく最近流行ってきたもののようです。フランスのボジョレーに倣って...ということらしいです。まだワインになりきらない若い味のノヴェッロを数千円も出して味わう気にはなりませんが(イタリアではとっても安価)、いち早く、今年のワインの様子を見たいという好奇心でみなさん飲むのでしょう。今年のイタリアのワイン、期待したいところです。
Mostoモストいうのが、ぶどうの絞り汁のことで、通常、ヴェンデンミア Vendemmia(ぶどう狩り)をしながら、同時に絞っていくので、作業合間のランチ時に、モストを飲ませてもらいました。
とても甘くて、クラクラするくらいです。土の香りもまじって、どこか野性的な味わいのモストですが、あまりごくごく飲むと、「酔っぱらうよ」と注意されます。まだアルコールにはなってなくとも、いずれワインに化ける液ですから、「後が怖いよ」とおばあさんが言ってました。