2012年04月

2012年04月26日

Necci ネッチ

DSCN6191ネッチとは、フィレンツェより北西に位置するピストーイア周辺で食べられる栗の粉のクレープのことです。

栗はトスカーナの山間部でよく採れるらしく、パンやパスタ類など栗の粉を使った料理が色々あってとても興味深いです。

まだ食べたことはありませんが、栗の粉のポレンタというものもあるそうで、想像しただけでワクワクします。
ポレンタは通常、トウモロコシ粉で作るもので、簡単に説明すると、沸騰した湯にトウモロコシ粉を入れて、ゆっくり弱火で練り上げる”そばがき”のようなもので、中部から北イタリアで食べられます。

栗の粉を「ネッチの粉」と呼ぶピストーイア近郊で生まれの方が、「子供の頃、ポレンタといえば、栗の粉で作るものだと思っていた」と言っていたことを思い出します。

さて、ネッチとの出会いはトスカーナ地方料理を紹介する本でした。イタリアの料理本は写真がついてないことが割りあい多く、不親切なようでもありますが、文章から想像を掻き立てられるという意味で、イマジネーションが豊かになります。

Necciという音の響きがまず面白いし、レシピから想像するものと実物の間にどれくらいの隔たりがあるのか、しかし、リコッタ&はちみつの組み合わせは、間違いなく私好みの味だろう...と考えながら、いつかお目にかかりたいと期待していました。

その頃、私はフィレンツェにいたのですが、トスカーナと言えども、ケーキ屋さんなどでは決して見かけることはないし、生粋のフィレンツェ人の友人は、ネッチというものの存在さえ聞いたことがないと言い張ってました。フィレンツェで栗のお菓子と言ったらカスタナッチョで、それ以外は見たことがありません。

ピストーイアより西に位置するルッカで、栗の粉のパンのスライスを、大理石の重しで塩漬けにしたラードの薄切りと一緒に食べたことがあります。フィレンツェでは、栗のパンは一般的ではないので、同じトスカーナ州と言えども、まったく違った食文化があるのをあたらめて知りました。栗の粉は、そレ自体ほのかな甘みがあり、ラードの塩辛さとあいまって、味のコントラストがもたらす妙というものに驚きました。

それから時が経ち、ほとんど忘れかけていた寒い秋の昼下がり、木枯らしが吹く日だったと記憶していますが、フィレンツェの町を歩いていると、サントスピリト教会の広場で時折開かれている市場の中に、ネッチの屋台を見つけたのでした。

ネッチの焼き器おばあさんが、鉄製の特別な調理器具を持って焼いている姿に、すぐにピン!ときました。それは丸く平たい小さな鉄板が2枚に合わさったもので、そこから柄が伸びています。
片方の鉄板に生地をぼてっとのせ、上から同じ丸い鉄板をおろすと、ちょうど生地が鉄板に挟まった状態になり、それを炭火に直接かざします。数分後、器具をそのまま裏返し片面も焼きます。

生地がくっつきはしないかと心配しましたが、よくよく脂(ラードだと思います)が浸み込み使い古されたもののようで、合わさっていた鉄板を開けてみると、ドロンとしていた生地が、いつの間にか香ばしい匂いを立てながら厚ぼったいクレープといった様子で焼きあがっているのでした。

焼き器はおばあさんの手に馴染んで、ひっくり返しては火にかざし、次々焼いている姿はかっこく、いつまでも見ていたのを覚えています。

私が、郷土料理の本で知ってからずっとネッチを見てみたかったこと、でもフィレンツェでは見かけないこと、でも、今日思いがけず出会えたことを話すと、おばあさんは、あまり表情を変えず、「トスカーナと言っても、この辺ではなく、山あいの地域の菓子だからね」と言いました。横にいた客のご婦人も、古風な道具と工程に少し感動した面持ちで「本当にこういうのっていいわよねー」と見とれています。

おばあさんは、粉は自分の家の栗を粉にしたもので、ブルーベリーのジャムも自家製だと言ってました。1ケいくらだったから忘れましたが、とても安かったのを覚えています。
羊乳でつくったリコッタチーズにハチミツかブルーベリージャムか選ぶことが出きました。出来立てにリコッタチーズをのせて、クルクルっと巻いたものを、すぐに食べてみると、想像通り、私好みの素朴なおいしさでした。

フィレンツェに長く住んでいるピエモンテ州出身の友人も、「ネッチ?何それ?」と言っていたのに、私の興奮気味の話しにすぐ乗って、翌日おばあさんの焼き立てを食べてから、すっかりネッチファンになりました。

家では、炭火や鉄のネッチ専用焼き器は使えませんが、ネッチを作ることができます。おばあさんのネッチには及びませんが、これはこれで満足できるおいしさです。栗の粉さえあれば、すぐに作れるので是非試してみてください。
DSCN6190



















ネッチ(直径15㎝のもの3枚)
栗の粉     100g
水        150㏄
塩        一つまみ
オリーブオイル 小さじ1

羊のリコッタチーズ
栗のハチミツかブルーベリージャム


DSCN6185材料を泡だて器を使ってよく混ぜる。水は2~3回に分けて混ぜるとやりやすい。割と硬めの生地が出来る。


直径15㎝くらいの小さなフライパンをよく空焼きして(テフロンだったら楽でしょうね)、オリーブオイルをほんの少し垂らして、生地の3分の1量を平たくのばして焼く。弱火から中火の火力で両面焼く。少し焦げ目がついたくらいが香ばしくておいしい。


DSCN6188リコッタチーズは日本では手に入りにくいので、カッテージチーズ(裏ごしタイプ)にクリームチーズを少し加えたもので代用。

カッテージチーズだけでもいいが、独特のモロモロ感が、クリームチーズを加えるとコクが出てなめらかになる。(クリームチーズだけでは、リコッタのような軽さがでない)

サワークリームをカッテージに混ぜてもいいかんじです。
カッテージ3:サワークリーム1


焼きあがったネッチに、チーズと栗のハチミツ(もちろんお好みのハチミツでもOK)をのせて、クルクルと生地を巻いて出来上がり、温かいうちにどうぞ!
DSCN6193

norichetta at 23:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0) デザート dolci | イタリアの食材と歴史

2012年04月25日

Insalata di calamaretti ホタルイカとつぼみ菜のサラダ

DSCN6173ホタルイカの季節です。
はらわたも丸々いただくホタルイカは、コクのある素材で、これもまた、旬のつぼみ菜と新玉葱と一緒に、マスタードの効いたドレッシングで和えたサラダは、前菜として白ワインにぴったりの一品です。

先週金曜日(20日)は、「おいしいイタリア」の日でした。毎月第3金曜日、イタリア料理を通してイタリアを楽しむことをコンセプトに、仙台福祉プラザの調理室で開いている会です。参加者の皆さんと一緒に作って、わいわいテーブルを囲んで会食します。

「わいわい」と言いましたが、食べ始めの数分間は無言になるのが常です!


今月のメニューは以下の通りでした。
白いラザーニャ 
lasagne bianche ai piselli
ホタルイカとつぼみ菜のサラダ 
Insalata di calamaretti e tsubomi-na

でした。

手打ちパスタを作ってのラザーニャは、少々手間がかかりますが、市販のラザーニャ生地を使ったものとは似て非なるもの。出来上がって一口食べた時に、「がんばってよかった!」と思えるはずです。

DSCN6162オーブンで焼きあがるのを今か今かと待ちながら、ようやくオーブンから取り出し、アツアツを切り分け、食べた時の参加者の皆さんの「おいし~!」という声と表情は、見ている私も幸せになってしまうほど幸福に満ちたものでした。

前菜として、上記のホタルイカのサラダも作りました。ホタルイカの代わりに、スモークサーモンやタコ、イカ、または生ハムなどでもいいと思いますが、ホタルイカのはらわたがかもし出すコッテリ感がおいしいサラダです。

写真はつぼみ菜ではなくチンゲン菜花です。菜の花もいいですし、雪菜の花、アスパラ菜など、いろいろな菜花が今売られてますが、それぞれ、甘みがあって、黄色い花も春らしくて、いいですね。


DSCN6153DSCN6154 
  






ホタルイカとつぼみ菜のサラダ(一人あたり熱量: 81kcal たんぱく質6.9g)


Ingredienti  材料 4人分>

ホタルイカ(ボイルしたもの)       100g
つぼみ菜                一束
新玉ねぎ                半ケ


マスタード              大さじ1

オリーブ油              大さじ1

レモン汁               小さじ2

砂糖                 1~2つまみ
塩                  適宜



Preparazione 作り方>

つぼみ菜は色よく塩茹でして、食べやすい長さに切る。新玉ねぎは薄切り。ホタルイカは、口当たりをよくするために目玉を取りはぶく。

ドレッシングを合わせて、ホタルイカ、つぼみ菜、玉ねぎを和える。




 


 


 


 



norichetta at 18:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 前菜 Antipasti | 野菜料理 Contorni

2012年04月22日

Spaghetti all'improvviso 思いつきのスパゲティ

DSCN6150スペシャルな材料がなくとも、棚や冷蔵庫を覗いてみると、スパゲティのソースに適した材料は、案外揃うものです。

例えば、棚を覗いたら、ツナ缶とトマト缶を発見し、冷蔵庫からケッパーの酢漬け小瓶を取り出し、カゴにゴロンと転がる玉ねぎを見るける...なんてことよくあります。これらは常時、家にあるものですから、スパゲティを食べたいなぁと思いついた時にすぐに作れます。

イタリアでも、友達と長話をしていて、「ああ、お腹すいたね」なんて話しになると、ゴソゴソ冷蔵庫を覗いて、ささっと友人がこんな風にスパゲティを作ってくれることがあります。さすがはパスタの国の人だと、そんな時特に感心します。
私たち日本人が、小腹がすいたからお茶漬けでもしようと、あり合わせのものでサササと用意してしまうみたいです。

しかし、思いついた時に、あり合わせで作るパスタは、いつも間違いなくおいしいのは何故でしょう?

さて、写真のスパゲティは、玉葱を沢山入れるとトマトソースに甘みが増しておいしいので、一人半ケくらい使います。特に今は新玉葱がいいですね。

オリーブオイルでざく切りにした玉葱を炒め、トマト缶(角切り)(二人で半分)を加え煮詰めます。塩コショウ、ツナ缶を加え、ケッパーを加えて出来上がり。茹でたてのパスタと和えます。スパゲティをゆでている数分間内に、ソースが出来上がるくらい、煮詰める時間は数分です。



norichetta at 17:45|PermalinkComments(2)TrackBack(0) パスタなど Primi piatti 

2012年04月11日

Porri grigliati all'olio 焼き葱のオリーブオイルがけ 

DSCN6145葱は一番好きな野菜です。
イタリアにも、太くて、硬めのポロ葱や、青ネギのようなものなど、日本の長ネギとはちょっと異なるけれども、従妹か親戚とでも言えるものは存在し、冷蔵庫に、何はなくとも葱はいつもありました。アジアチックの料理にも、イタリア料理にも合う野菜だから、あるととても安心します。

葱の旬は寒い冬ですから、暖かくなってくると、特に外側の皮がごわごわと硬くなって、繊維が気になるようになります。でも、そんな時は、魚焼きグリルで黒く焦げるくらいじっくり焼いて、その焦げた外側一枚分だけ剥けば、中からトロンと甘みが増した葱が顔を出します。

もし、太めの長葱が手に入ったら、こんな風にやってみてください。

まず、魚用グリルに入る長さに葱を3~4等分に切り、魚グリルで中火の弱火で焼きます。
DSCN6124
表面が黒く焦げるまで焼いてかまいません。(外側の焦げたところは硬い表皮だからちょうどいいわけです)。
黒焦げを剥いてから、食べやすい大きさに切って、皿に盛ります。

上質のオリーブオイルと塩をパラリと振って出来上がりです。ここにバルサミコ酢をかけて、酸味でアクセントをつければ前菜の一皿になります。

塩の代わりに醤油をちょろりとたらし、かつお節をかけた、アッラ ジャポネーゼ(日本風)にすればご飯に合うおかずになります。イタリア風であれ、日本風であれオリーブオイルの風味は葱のおいしさをアップさせるので、是非たっぷりかけてください。

毎年、新オリーブオイルが出回り始める11月末から12月の始めに、トスカーナでオリーブを有機栽培している友人が5リットル缶に入れて日本に送ってくれます。
郵便局で、大きな段ボールに入れて日本へ送ろうとしている友人に、郵便局職員が、「内容:オリーブオイル」、「送り先:日本」と書いた箱をいぶかしげにしばらく眺めた後、「日本ってオリーブオイルないわけ?」と聞いてきたそうです。友人は四国で栽培していることなど知るはずもないので、「あら、日本はまったく別な食文化を持っているのだから、作ってないわよ」と言い切ったそうです。

さて、10日~2週間後、はるばるイタリアから日本に無事到着したことにホッとするや否や、すぐに缶の蓋を開けて、まずは、ペロリと舐めてみます。トスカーナ州の内陸部で作られるオリーブオイルは、青臭さが強く、苦み走って、ピリピリとした刺激が舌を刺すという、とても個性的なもので、心はトスカーナ人のわたしとしては、これこそがオリーブオイルだと思っています。味見したとたん、トスカーナのなだらかな丘や糸杉が立ち並ぶ風景が浮かび、郷愁にかられます。このはっきりとした個性は、時間が立つにつれて、ゆるやかのものになっていきます。同じイタリア産と言えども、その土地風土気候によって個性はさまざまで、それぞれに味わい深く、みんな自分の故故郷のオイルが世界一だと信じています。

通常トスカーナでは、”フェットゥンタ Fettunta”で、新オリーブオイルを味わいます。フェットゥンタというのは、スライスしたトスカーナパンを炭火であぶって、ニンニクをこすり付けてからオリーブオイルをたっぷりかけて頂く料理です。料理というほどのものではありませんが、このシンプルさでもって、この年のオリーブオイルの出来具合をみるわけです。ちなみに、他の地方ではブルスケッタ Bruschettaと呼ばれていて、フェットゥンタと呼ぶのはトスカーナ州だけであることをずいぶん後になって知りました。

DSCN6134しかし、日本では身近においしいパン屋がないので、イタリアから届くと、べつな方法で新オリーブオイルを味わいます。炊き立ての玄米にかけ、ゴマ塩を振っていただくのです。この時、私のこだわりですが、ご飯茶碗ではなく、皿に盛って、ナイフフォークでいただきます。えも言われぬおいしさです。

玄米の粒粒感とオリーブオイルはとても合います。もう数か月経ったので、5リットルのオリーブ油は、新オリーブオイルとは言えませんが、”玄米オリーブオイルがけ”は、よくやる食べ方で、しみじみおいしい一皿です。

火を通す料理に使う時は、イタリアやスペイン、ギリシャなど輸入食材店で手に入るものを使って、友人からのオイルは、主に生食用として使いますが、それでも、あっという間に大きな缶は空になってしまうのでした。





norichetta at 10:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 前菜 Antipasti | 野菜料理 Contorni

2012年04月05日

Spaghetti ai bianchetti con Tsubomi-na しらすとつぼみ菜のスパゲッティ

DSCN6070つぼみ菜やかき菜などナバナ類の青菜を見かけるようになりました。甘みがあるので、どうやって食べてもおいしい野菜ですが、オリーブオイルととても合う素材だと思います。今日は、旬のしらすと一緒にして、スパゲッティを和えました。

写真のスパゲティが少々色がついているのは全粒粉のスパゲティだからです。

パンにはじまり、ピザやスパゲティ、ケーキ類など、小麦粉を沢山食べるイタリア人ですが、最近はグルテンアレルギーの人たちが沢山います。花粉アレルギー人口が増え続けている流れにちょっと遅れて、このグルテンアレルギー人口も増加をたどっている気がします。

考えてみれば、数十年前までは、日本でも花粉アレルギーはとても珍しいものでした。私がいたウンブリア州は「緑のハート」という別名があるくらい緑豊かなところで、その美しい景色のあちらこちらに杉が沢山立ち並んでいます。大学の周辺はのどかな風景が広がっているところでしたが、杉も沢山あって、すでに1月から、授業中鼻水との格闘が始まったものでした。

10年前にはあまりみかけなかったトウモロコシや米で出来たスパゲティやマカロニなど、近年では、スーパーの一角にグルテンアレルギー用食材コーナーを設けているくらいです。他にも小麦粉を使わないクッキーやパンなどが並んでいます。トウモロコシも米もグルテンが入ってない素材なので、アレルギー患者にとっては救世主となっているわけです。

他にもスペルト麦を使ったスパゲティや、上記の全粒粉のパスタは、グルテンが含まれているのにかわりありませんが、滋養があるということで、健康オタクの人たちに喜ばれています。これもまた日本と同様、雑穀ブームによって、最近、健康食として注目されています。全粒粉のパスタはモチモチ感があまりなく、ちょっとパキパキした食感があり、保守派の人たちには不評のようです。全粒と言っても茹で時間は普通の物とそう変わりません。

こんなふうにスパゲティ一つとっても、人々の嗜好や時代の流れが見えるので面白いなぁと思います。

さて、しらすとつぼみ菜のスパゲティの作り方は、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノが基本です。フライパンでスパゲティを和える時に、味付けに塩を入れなくて済むよう、しっかり塩の入った湯でパスタを茹でることと、良質のオリーブオイルたっぷりがポイントになります。


①一つのコンロで、スパゲティを塩の入った湯(目安:水2リットル+大さじ2弱の塩)で茹ではじめる。

②隣りのコンロで、ニンニクのみじん切りを、たっぷりのオリーブオイルが入ったフライパンに入れて弱火にかけます。途中から鷹の爪も加えて、焦がさないようじっくり火を通します。しらすを加え、スパゲティを茹でている湯を少々加えて火を止めます。

③表示された茹で時間の残り30秒前くらいのところで、2~3㎝幅に切ったつぼみ菜も加えてひと混ぜし、時間がきたらスパゲティともどもザルにあげます。しらすオイルのフライパンに入れてよく和えます。

④皿に盛り、オリーブオイルをまわしかけて出来上がり。

norichetta at 20:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0) パスタなど Primi piatti