2013年03月12日
Pasta e lenticche レンズ豆のパスタ
地中海地方では、空豆やヒヨコ豆と同様、すでに先史時代から食べられていたというから、その歴史はとっても古いのです。
栄養満点で、その上、乾燥してれば保存がきき、軽いからでしょう、古代ローマには、兵士の食料として乾燥したレンズ豆を戦に持ち運んだという記録が残っています。
「庶民の肉」という別名を持つほど高タンパク質で、ビタミンB1、ビタミンA,、ビタミンB2などのビタミン類も豊富です。カルシウム、鉄分も含まれています。
他の豆類に比べて、レンズ豆はコレステロール値を下げる働きが秀でているため、消化し難い料理の副菜に大変適しています。
そこで思い出すのが、イタリアの大晦日に食べられるザンポーネです。ザンポーネは、豚の足にひき肉と脂身を詰めた加工食品で、レンズ豆の煮物と一緒に食べるのが習わしです。ザンポーネはヘビーな素材ですから、レンズ豆が添えられることは理にかなっているわけです。
イタリアで最も有名なレンズ豆は、ウンブリア州のノルチャというチーズやサラミなどの加工品の産地として知られた町のカステルッチョのレンズ豆です。太陽に満ち、強風から守られた渓谷という環境で、鉄分が多く含まれていている土壌のため、良質のレンズ豆が何世紀も前から栽培されるのです。
レンズ豆は大晦日に食べられる習慣があることを以前ここに書きましたが、大晦日だけでなく、普段からよく食べられる食材です。肉料理に添えたり、スープの具にしたり、今日のようにパスタにと大活躍します。
ウンブリア州に住んでいた時、やはり地元の人たちはレンズ豆に関して、ちょっとプライドがあるようでした。「レンズ豆だったら、カステルッチョ産以外は使わないよ。ちょっと値段がするけど、あれはmigliore(一級品)だからね!」という具合にです。
仙台では、ウンブリア産はもとより、イタリア産の乾燥レンズ豆を見かけることはありませんが、手早く調理出来る缶詰だったら、イタリア産のレンズ豆に出会えます。200円前後で販売されています。乾燥もの(200g)は主にアメリカやフランス産で370円程度です。
手元にある3種類のレンズ豆を並べていました。
手前のものがウンブリア州カステルッチョ産。とっても小粒であることがわかります。左奥もウンブリア州のもの。右側は仙台で手に入りやすいアメリカ産。
レンズ豆のいいところは「おいしくて健康に良い」という他に、扱いが楽なところです。
一般的に豆類は一晩水に浸す必要がありますが、10分程度の浸水でOK。薄っぺらい形ということもあって、煮る時間も30分程度で柔らかくなるのです。(アメリカ製のものは、先に軽く茹でた方が、火の通りが早いようです)
上の写真はレンズ豆のパスタ。
レンズ豆をミートソースのようにトマト味で煮て、ショートパスタと和える、とーても滋味深き味わいのパスタです。ショートパスタがない場合は、スパゲティをバキバキと折って茹でたものでもおいしいです。イタリア人がよくする手です。
こういう素朴な料理にこそ、イタリア料理の良さが際立つと私は思っています。今週の金曜日に行われる「おいしいイタリア」で作ります!
<材料 2人分>
レンズ豆 100g
オリーブ油 大さじ2
ニンニク 半片
鷹の爪 1ケ
玉葱 1/4ケ(60g)
人参 60g
セロリ 40g
トマトピュレー 50㏄
水 200㏄~300cc(茹で汁も活用し、足りない分は水をプラス)
ショートパスタ 100g
オリーブ油
パルミジャーノレッジャーノ
<作り方>
①レンズ豆はさっと洗って、鍋に入れてたっぷりの水に浸しておく。その間、野菜類、にんにくはみじん切り。
②①のレンズ豆を火にかけ、沸騰したら中火にして5分茹でる。(ゆで汁も使う)
冷たい平鍋にオリーブオイルとニンニク、鷹の爪(種を外したもの)を入れて弱火にかける。いい匂いがしてきたら、玉ねぎ、人参、セロリを加え、少し火力を上げ塩を軽くふって炒める。鍋全体が熱くなったら、弱火でじっくり10分ほどかけて焦げないように炒める。(←写真)
③5分茹でたレンズ豆、トマトピュレー、茹で汁+水を加えて火力を上げて沸騰させたら、中火に火力を下げ、蓋をして15分くらい柔らかくなるまで煮る。時々かき混ぜて、水気がなくなりそうになったら途中で水を加えること。塩で味を調える。
④パスタのソースなので、少し煮汁が残っている状態に煮上げるのが理想。
⑤茹でたてのショートパスタをソースと絡めて、皿に盛り、オリーブオイルをまわしかけ、パルミジャーノ・レッジャーノもたっぷりかけて、さぁ召し上がれ!
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この記事へのコメント
そのとおりです。ピュレーと共に入れてください。とほほ。
東京はわかりませんが、この辺ではレンズ豆はアメリカ産のものが主流で、先に5分ほど茹でてから調理していく方が柔らかくなりやすいようです。そんなわけで少し書き換えました。
素朴でじんわりしたおいしさがある一皿です。是非、作られた感想を後程お聞かせください!