2020年01月20日

名古屋と半田市

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盆栽展というのは、全国にたくさんあるのでしょうが、銘風展は歴史が二番目に古く、毎年1月に名古屋で開かれていています。今年で90回目というから驚きです。

今回、初めて銘風展行って見ました。

90周年を記念する新しい試みがありました。実は、それにイタリアの盆栽愛好家のお客さんが参加し、その作品を見に来ました。

thumbnail_IMG_9330新しい試みというのは、「手作り鉢コンテスト」です。自分の盆栽に合わせた鉢を常滑の窯元で作り、焼き上がった鉢に盆栽を植えて提出するコンテストです。

植物のすばらしさだけでなく、手作りの盆栽鉢とのバランス、アイディアとセンスを競い合います。

1年前から募集が始まっていて、その頃、取材に来たイタリア人に常滑を案内したのですが、その方はデザイナーで、、ものすごい盆栽愛好家。植物だけでなく、盆栽の鉢にとても興味を持っている人でした。鉢をデザインして自分で焼いているというから驚くではありませんか。そのために、自宅のそばに焼き窯を作ったということでした。

このコンテストを知った時、外国人の参加者もいたら盛り上がるのではないか、などと私は思い、さっそく彼に声をかけたら、二つ返事ですぐに乗ってきてくれました。

このコンテストに協力してくれている常滑の窯は8カ所。彼の尊敬する中野行山さんのところで、中型の鉢を制作したのがおととしの12月です。
thumbnail_IMG_9356その鉢に黒松を植えて作品として完成したものがこちらです。

唯一の外国人参加だったのですが、題は「Meeting between cultures 文化の出会い」だそうです。

その他にも、力作が集まっていました。個性的なものなど、自由な発想で、見ていて楽しかったです。

このコンテストは、来場者の人気投票で決まります。もちろん、わたしはこのイタリア人の作品に投票しましたが、1位にはなれませんでした。残念!

名古屋はやっぱり大きな町です。
歴史的にも重要な町ですが、ビルが立ち並ぶ現代的な大都会の面もあり、私にとっては、特に、食の異文化を感じる興味深い場所です。

夕方町を歩いていたら、一つの小さな店から歩道へ沢山人があふれ出ていました。

IMG_9360中を覗くと、やはりあまり大きいとは言えない店内のテーブルは、相席で知らない者同士も一緒になって楽しそうに飲んでいます。

外はカウンターのようになって、「土手焼き」と書かれた提灯のそばで、グツグツと茶色のたれが煮詰まった鍋があります。そこに大根らしいもの、厚揚げらしいものが串にささって煮えています。

その脇では、串カツが次々揚がって、油きりの網の上にいくつも無造作に並んでいます。それらを立ち飲みしている人、店で飲んでいる人が、勝手に取っては食べているのです。

いったいどいう仕組みになのでしょうか?仲間に入りたくても、満員だし、仕組みを理解するため、しばらく様子を見ていましたが、やっぱりさっぱり分かりません。

店の人も忙しそうにしていたのですが、ようやく捕まえて質問してみると、それが聞こえたのか、外で立ち飲みしていた一人が、「ここ、空いているからどうぞ」と、少しスペースをあけてくれました。

写真の通り、とても狭いスペースです。生ビールを頼んで、あとは隣りの方に、「どうやって食べるんですか?」「それは何ですか?」などと聞きながら、みんながしているように、食べて飲みました。こうなると外国人も同様です。仕来たりがさっぱり分かりません。そんな時は、周りの人のまねをすればいいのです。

土手焼きというのは、おでんの味噌煮込みのようなもので、あちらではごく普通のことなのでしょうが、。家康も好きだったという八丁味噌は、東北人には斬新で新しいものです。私自身も、味噌カツを作って食べますが、こういう場面を見ると、こちらは本当に八丁味噌文化なのだなぁとしみじみ日本の広さを感じます。

グツグツ煮込んでいる土手焼きに、みんなが勝手に手を伸ばしているのを真似て、私も手を伸ばしたら、店の人が、「ダメダメ、それはまだだよ」と止められました。よく煮えたものは、串を立ててレディゴー体勢。一方、私が取ろうとした串は、まだ赤信号。確かに、心持ち、タレの中に横になって入っていました。その角度はかなり微妙でしたが、店に集う人たちには、暗黙のルールがあるようでした。

隣りの常連さんが、丸々としたフライが3個串にさしてあるのをハフハフいいながら食べています。おいしそうなので、「私にもこれ下さい」と注文。食べてみると、丸々としたフライの中身は牡蠣で、半生状態の絶妙な揚げ具合。柔らかい牡蠣をどうやって串に刺すのか、まんまるに揚げるのは、どうするのか分かりません。とにかく、常連さんのまねをすれば間違いありません。

自分が飲んだ飲み物を自己申告し、後は、店の人が、私の皿の上に並んでいる串を数え、計算しているようでした。ずいぶん色々食べたようでしたが、支払いは2000円弱でした。

通訳ガイドで、名古屋を案内した時、いつかここにイタリア人を連れて来たいなあと思いました。人にもよりますが、こういう「本格的な」ところ、結構イタリア人は喜びます。

私は、イタリアでも、こういう庶民的で、人がごちゃごちゃ群がっているところに惹かれ、すーっとその群れに入ってしまう特技があります。例えばフィレンツェのもつ煮込み屋。トリッパやランプレドットという牛の胃袋料理を出すキッチンカーが、お昼ごろになると町のあちこちに出没しますが、集まって来るお客さんの大部分は男性です。

人生の先輩という男たちが、黙々と食べている場所に身を置くと、何故か落ち着きます。

私は20歳の若かりし時代から、オジサマしかいないような、8人も入れば超満員というカウンター席の店や、煙モクモクの焼き鳥屋など、フラリと入るような女子でした。

さて、先日、名古屋にイタリア人観光客を連れて来た時、お目当ては盆栽園だったので、ほとんど町を見ることはなかったのですが、いつかまた名古屋を訪れる時のために、いくつか見どころを回ってみました。

IMG_9374<トヨタ産業技術記念館>
日本の車メーカーはイタリアでも知られています。「車は日本車に限る」と言い切るイタリア人にも何人か会ったことがあります。

トヨタグループの創始者、豊田佐吉さんは、日本初の動力織機や自動織機など発明し、そこからトヨタはスタートしています。機械音痴の私は、そんな大昔に、ものすごい発明をした日本人の存在を改めてすごいことだと驚きます。

その繊維機械事業を基盤に、自動車の大量生産を目指して国産技術の開発に努め、自動車産業の基盤を築いた、二代目の豊田喜一郎の物語りも興味深いです。

自動車の製造工程の歴史や昔のトヨタ車のモデルが並んでいるところなど、これはイタリア人観光客にも面白がってもらえるように思えました。

IMG_9391<ミツカンミュージアム>
名古屋を離れて、次に行った博物館はミツカンです。ミツカンミュージアムは、半田市にあります。

江戸で誕生した握りずしに、当時高価だった米酢を使っていました。酒蔵がたくさん立ち並ぶ半田市で造り酒屋だったミツカン初代、野中又左衛門は、粕を使った粕酢を考案します。安価なうえに、その風味がすし飯にピッタリだということで、江戸で人気となります。また酒で培われた半田市の海運力は、江戸に粕酢をどんどん売り込むことが出来た基盤となりました。

IMG_9429酢が好きな私は、とても面白く見学しました。

必ずガイドさんがついてしっかり説明してくれるので予約必須です。

子どもの食育的な要素が強いミツカンミュージアムでした。

ミツカン工場のわきに、運河が流れ、半田市の景色はとても趣があります。

IMG_9468半田市は、半年前も来た、私にとって憧れの場所です。というのも、私の好きな新実南吉のふるさとだからです。また新実南吉記念館へ行って来ました。

←記念館のデザインも自然の中に融合してステキ。


今回は、しっかりガイドさんに説明してもらいながら見ることが出来ました。ガイドさんはとても勉強されていて、詳しくそして愛情たっぷりに南吉の人生を伝えてくださって、また知らなかった南吉を知ることが出来て本当に良かったです。

小学3年生の男の子を連れたご夫妻と一緒だったのですが、ごんぎつねを学校の教科書で習い立てたてだ、ということで、現代の子どもたちがどんな風に、南吉作品を読んでいるのか、そんな話も聞かせてもらいながらの見学だったので、とても興味深かったです。

私の子供時代以前から、今も変わらず教科書に掲載されているというのは、考えてみたらものすごく凄いことです。

自分の作品が、こんなに国民に親しまれるだろうとは、夢にも思わず亡くなったことを考えると、益々感慨深い気持ちになります。彼は日記や手紙を残しているのですが、病気になっても、作品作りの意欲は衰えない、信念を感じました。

IMG_9435また今回は、レンタサイクルで新実南吉のお墓参りも行くことができて嬉しかったです。墓場に着いたものの、どこが南吉の墓か、はじめ分からなかったのですが、地元の人らしき方に、「南吉はあそこだよ」と教えてもらいました。

半田市の要所を回っているバスの名前は「ごんぐる」。色んなところでキツネのキャラクターや置物を見かけました。新実南吉は地元の人たちのとても身近な存在なのかなぁと思いました。


↓お地蔵様の奥にごんぎつねが顔を出している。
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norichetta at 23:15│Comments(0) 通訳ガイド | 自分のこと

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