実質利回り10%超えも

 2月は小売や外食、サービス業界の多くが決算期末を迎える月。2月末の権利付き売買最終日となる24日にかけては、配当などの「インカムゲイン」を狙った売買が活発化していこう。特に上記のような業界の場合、一般消費者と近い存在であるだけに、自社に関連した株主優待も用意しやすい。こうした中、配当利回りと株主優待を金額換算したものを加えた「実質利回り」に注目が集まりそうだ。

ポイント、プレナスなど高還元率

 実質利回りが10%強となるのが、女性向けのカジュアルウエアを手掛けるポイント(2685)。年間120円の安定配当(中間50円、期末70円)を続けており、それだけでも利回りが3・8%に達する上、仮に最低売買単位である10株を保有していると、2000円分の自社商品引換券が贈られる。3万1000円程度から投資できる点も、個人投資家にとってはありがたいだろう。

 より利用機会が幅広そうな優待を実施しているのが、弁当店チェーン「ほっともっと」で知られるプレナス(9945)。グループ店舗で使える買物優待券を贈呈している。100株保有の場合は2500円相当を年2回受け取れる。配当も中間と期末(見込み)がそれぞれ25円。これらを合わせた実質利回りは7・4%になる計算だ。

 大手コンビニで、優待も併せて実施している数少ない企業がサークルKサンクス(3337)。配当利回りだけをとっても3%(中間、期末それぞれ20円)と「高利回り」に位置付けられるが、そのほかに100株保有の場合はグループ店舗で利用できる買物優待カード1000円相当がもらえ、実質利回りは3・8%となる。

 新興銘柄では、精肉店や総菜店を展開する柿安本店(2294・JQ)が実質利回り4・2%と魅力的。配当は期末一括の35円(記念配5円含む)で、さらに100株で1000円相当のレストラン・総菜店利用券が贈られる。今期営業最高益(24億9200万円)見込みと、業績面も申し分ない。

プレナスや柿安本店など、配当・優待取りから既に動意づき始めている銘柄もあり、乗り遅れないようにしたい。

イオン株にCBの壁、投資家は急激な希薄化を懸念

 イオンの年初来株価が日経平均に採用されている小売株の中で最も悪いパフォーマンスとなっている。市場関係者は、今年償還を迎える新株予約権付社債(CB)が株式の希薄化要因となるため投資家が嫌気していると見る。

  3−11月期決算でイオンは、過去最高となる1146億円の経常利益を記録した。しかし、今日のチャートによるとイオン株は3−11月期決算が発表される前に比べ5.1%下落している。

  イオンの株価パフォーマンスは同じく3−11月期で過去最高の経常利益を計上したセブン&アイ・ホールディングスだけでなく、平均株価や東証小売株指数と比べても下回る。

  昨年3月から始まった2011年度は、イオン、セブン&アイ、ローソン、ファミリーマートといった小売大手に追い風になっている。東日本大震災に端を発した一時的な商品不足から消費者が、調達力の高さや食の安心、安全に対する施策を打ち出す小売大手に引き寄せられたためだ。

  それでも年初から低迷するイオン株についてフィスコの藤井理債券ストラテジストは、株の希薄化リスクを挙げる。今年11月22日に償還日を迎える500億円のCBにはソフトコール条項が付いており、今年1月4日以降、株価が1081円を20営業日連続で超えることがあれば会社側が強制的に株式に転換できる。転換された株式数は発行済み株式数の6.9%に当たり希薄化要因となる。

  藤井氏は「同様のCBを発行していたソフトバンク株は昨年5月の強制転換後、急落した」として、急激に希薄化する懸念が上値を重くしている要因と説明した。そのため当面は1081円が上値の壁になると見ている。

        成長と財務体質強化の両立が課題

  同業他社に比べ、イオンは財務の安定性に難点があると指摘されてきた。ブルームバーグデータによれば、財務の健全性を示すイオンのデット・エクイティ・レシオ(負債・資本比率)は1.03倍とセブン&アイの0.43倍を上回る。

  昨年10月、イオンが中国・四国地方のスーパー、マルナカの買収を発表したことを受け、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は財務基盤が悪化する可能性が高いとし、イオンの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

  スタッツ・インベストメントマネジメントの大木昌光ファンドマネージャーは「イオンは中国や東南アジアにも積極出店する姿勢を見せ、成長が期待できるが資本が足りず増資するのではないか」と懸念する。

  ジャパンインベストの大和樹彦アナリストは、イオンが株式の希薄化を上回る成長を果たして株価が上昇しながら、転換社債の株式への転換が進み、財務の健全性が増すという好循環に期待する。大和氏はイオン株価上昇の条件に、「今期の好調要因が震災による一過性のものではなく持続的なものであることを実績で示すしかない」と話す。