友達から絶対におもしろいから読んでと勧められた一冊。アメリカの実業家25人のエピソードを扱っているがゆえに『アメリカン・ドリームの軌跡』(H.W.フランズ)というタイトルになっている。この本の特徴は各実業家の物語が非常に簡潔に分かりやすく無駄なくたんたんと語られている。著者の余計な批評や回りくどい説明が一切ない。そういった意味においてはドライだ。しかし文章そのものはものすごく洗練されており創意に富んでおり、ぐっと惹きつけられるものがある。ちょっとアメリカ人っぽい言い回しが多く出てくるが、ハッとさせられるような本質を突いたおもしろい表現の文章がちりばめられている。よくそことここのポイントをサラリと繋げたなと感心させられる。エッセイとしてもかなり模範的な文章力である。この本に登場する25人も石油と鉄道の産業革命から始まり現代のエンターテインメントビジネスにいたるまで、一つの歴史の流れが分かるように構成されている。鉄道のアンドリュー・カーネギーから金融の歴史であるJ.P.モルガン、石油王のロックフェラーから車のヘンリーフォードまで出てくる。各人の行った産業革命が次の人の産業革命へと影響を与えた様子が分かる。この本を読んで重工業が主だった時代に金融業が果たした役割もとてもよく分かった。そしてこれらの基本的な産業が整うとマクドナルドのレイ・クロック、夢産業のウォルト・ディズニー、メディア(CNN)のテッド・ターナーやらNikeのフィル・ナイトが現れる。もちろん最後はITのビル・ゲイツも出てくる。
この本だけでアメリカの歴史そのもの、産業の歴史、各人の歴史も分かるとても貴重な一冊だといえる。かなり膨大な量の資料をリサーチしただろうと思われるがよくここまでまとめあげたと思う。現在、産業そのものが目指すべき方向性を見失い、個人レベルでもキャリアの低迷が続いている。そん中、この本は多くの新しい世代の心に火をつけるものとなるだろう。















