アメリカ中が人殺しの銃乱射に怯えている。毎日のように銃乱射事件は起こっている。先日のインディアナの乱射事件は8人の罪のない人を殺した。犯人の母親は、前もって、自分の息子がそんなことをしでかす可能性をFBIに知らせていた。こんな事件は、いまのアメリカでは、驚かない。このほか、人種差別、白人至上主義、右翼や無政府主義者、極端な左翼などがいかなる事件を起こすか分からない。
アメリカの乱れは、ある一線を越え、新たなる無秩序の状態に突入している。筆者の47年のアメリカ生活から、実感として言える。
そして、コロナ、まだ増え続けている。若者は、コロナはもう終わったなどと騒ぎだして、好き勝手な行動をし、コロナを広めている。コロナは、若者の中で広がっているのである。
バイデン大統領は、こんな中で、国政の指揮を執っている。約3兆ドルに上るインフレ策を取り、危機を脱しようとしている。
バイデン氏がこんな状態の時、日本の総理である菅首相を招待したのである。世界のリーダーの中で、バイデンホワイトハウス誕生以来、最初の招待である。しかし、これをどうとらえるか。それは、中国の勢いに乗った動きが東アジア、東南アジアに大きな影響を与えている事実を知れば知るほどバイデン大統領は動かなければ、ならないのである。だが、急を告げる国内問題でそれはできない。
そこで対中国のための助っ人として、日本が浮かんできたのである。日本ハブ論の採用である。日本政府、専門家と綿密な打ち合わせが行われたであろう。バイデン政権の最大の外交課題は、中国への対処である。その難しい課題に日本を当てたのである。国務長官、国防長官を日本に送り、日本政府、国民にアメリカの日本防衛の決意を伝え信頼を得た。そして、それを両国のリーダーがワシントンで確認すると言うことあったのであろう。
しかし、これには、日本の国民感情が十分考慮されなければならない。日本は、まだ眠っている人たちが多くいるのである。それは、丸腰ならば、敵は攻めてこない、と考える人たちである。
バイデン政権は、それを良く知っているし、だからと言って、中国の圧倒的な挑発行為を日本国民は、我慢できなくなっていることも知っている。日本国民には、いざという起き、果たして、アメリカは助けてくれるだろうか、という疑問が常にある。当たり前であろう。アメリカ軍とて、人間である。祖国の人のためであれば、意気も上がるだろうが、他の国の人たちのためにはどうか。
それは、イラク戦争、アフガン戦争などで証明されている。これらの戦争で、アメリカ兵の死傷者数、悲劇がメディアにひっきりなしに報道され、ノイローゼが広がりその数は、3万人を超えたと筆者は記憶している。
筆者は、何度もバイデン氏、菅氏の記者会見の様子をビデオで見たが、何と中国問題についての言及が少ないのである。確かに台湾問題に関する言及は行われていたが、肝心要の中国本土に関しては、両首脳は、捨ててかかっているのである。恐らくサミット会談では、それ相当なやり取りが行われたであろう。専門閣僚、関係省庁の議論は訪米前の段階で十分行われていたのであろう。しかし、日本ハブ論は、日本政府がそう簡単に飲み込むはずはなかったであろう。菅総理訪米の出発は、延期されたのではなかったか。
バイデン氏、菅氏の共同記者会見は公のことで、日本政府は、そのような両国の基本政策があることは、特に日本政府は、中国に対しては、公言できるものではない。勿論、中国は、日本はハブ論などはとっくに知っており、それが公に出れば、日本叩きが勢いを増すであろう。中国に、公の場で、尖閣に関し、日本に対する軍事行動さえもとる口実にも使うであろう。
いずれにせよ、日本国家自身、日本政府、日本国民が中国軍事的対立、摩擦など起こす気はないと判断しても差し支えなのではないかと筆者は見るのだが、いかがなものだろうか。
もし、尖閣に中国軍が上陸し、島を占拠し、軍事基地、経済基地を創り始めた場合、
日本は、自衛隊を出動させるか否かも分からないと現時点ではわからないと思う。防衛省では、いろいろな条件のもとにいろいろな軍事的シュミレーションがおこなわれていrと思うのだが、肝心なことは、日本国民に果たして、中国と対決する機運が起こり、命を懸けて、戦うこと自体が無理になっていることが現状ではないか、と指摘するのは、ウオールストリートの投資銀行で働く筆者の長年の友人であるフィリップ ウオークレイである。
「日本は、これから戦争する国ではなく、戦争を起こさないことを考える国民になっていると思う。世界で核兵器の恐ろしさを十分知っている唯一の国だからだ。アメリカ国民は、日本がハブとして、行動することは、ありがたいが、中国包囲網を創り、中国に圧力をかけることができるかどうか疑問である」と語る。
佐藤則男
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