大統領選予備選の開幕ともいえるアイオワ州党員集会を月曜日に控え、民主党トップを走るヒラリー・クリントン候補が新たな危機を迎えている。

 

クリントン女史が国務長官の時、国務省サーバーを自分のサーバーにつなぎ、自宅で仕事をしていた当時のメールに「国家機密に触れる内容」のものがあり、22通のメールを公表できない、と国務省が発表した。

 

これは、クリントン女史が「国家機密に触れる内容のコミュニケーションはなかった」という主張を覆すもので、クリントン女史が嘘をついてきたこと、法的にも違法行為をしたとする見方が強まった。共和党候補は一斉に「クリントン女史は、大統領選に出る資格はない」と声を挙げている。

 

クリントン女史の正直度の低さは有名で、民主党支持者でも36パーセントしかない。だが、この正直度がどれだけ投票に影響するかは明らかではない。そんなことを言ったら、共和党レースのトップを行くトランプなどはどうなるのか。嘘つきも甚だしい限りである。

 

大統領選挙の場合、こんなんことが決定的な問題ではないと筆者は思う。大統領選挙を動かすのは、筆者が最近の著書で述べたように「選挙民が求めているトレンドをつかみ、モメンタム、つまり、勢いをつける」ことである。この「勢いをだれが持っているか」である。それも、長い大統領選の期間、だれが「その勢いを持ち続けられるか」である。

 

果たして、ヒラリー・クリントンにそのモメンタムがあるかどうかどうかが問題なのである。筆者の予測は、確かに、民主党の対立候補、サンダースに若干のモメンタムはあるが、何せ、自分を社会主義者として自認する人物である。社会主義者がアメリカの大統領になることもないだろうし、民主党の指名候補になることも可能性は低い。

 

マイケル・ブルムバーグにチャンスか?

 

クリントン女史がこの新たなるスキャンダルで、苦戦すればするほど、これまで筆者が述べたように、マイケル・ブルむバーグ全ニューヨーク市長に出馬のチャンスを与えることになると思う。そして、共和党支持者が万が一、トランプを指名候補に選出するようなことになれば、ブルムバーグシのチャンスが出てくると思われる。

 

ブルムバーグ氏は、共和党穏健派の支持が得られる人物である。もし、そのような動きになった場合、1992年、独立の立場で立候補したロス・ペローの再現となるが、ペロー氏は政治経験が全くなかった。実業家である。しかし、ブルムバーグ氏は、12年間もニューヨーク市長を経験している。

 

大きな自己資金をもっている。早くも、出馬した場合、10億ドルの自分の資金を使うといっている。政治的立場も保守的面、リベラル面、両方を兼ね備えている。立候補はすでに遅い、とみている筋もあるが、筆者はそうは思わない。ボビー・ケネディが大統領選出馬を決めたのは、もっと、後であった。スーパーチューズデイのいかに前かが決め手となるだろう。

クリントン女史がもたつけばもたつくほど、ブルムバーグのチャンスが出てくると思う。もちろん、同氏が出馬するには、難しい決定をせねばならず、出馬の可能性が、低いことには変わりはない。

 

佐藤則男

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