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トランプ大統領が北朝鮮に対し、その避難として使った、「Fire and Fury」を「炎と怒り」と日本で訳しているようであるが、筆者は、この言葉を聞いた時、とっさに浮かんできたのが、アメリカの作家で、筆者の好きなウイリアム・フォークナーであった。それを創造させたフォークナーの作品は「Sound and Fury」(「響きと怒り」)であった。

恐らく的外れであろうが、トランプ、もしくは、トランプの側近でインテリジェンスのある人がこの小説を読んでいることは確実で、そこから、出て来た言葉であってあっても不思議ではない。

よく調べてみると、この小説の題は、シェークスピアの「マクベス」の一人しゃべりの一節からきていることが分かる。

「あすが来、あすが去り、そうして一日一日と小きざみに、時の階(きざはし)を滑り落ちて行く、この世の終わりに辿り着くまで、

いつも、きのうという日が、愚か者の塵にまみれて死ぬ道筋を照らしてきたのだ。消えろ、消えろ、つかの間の燈し火!

人の生涯は動きまわる影に過ぎぬ。あわれな役者だ、ほんの自分の出番のときだけ、舞台の上で、みえを切ったり、喚いたり、

そしてとどのつまりは消えてなくなる。白痴のおしゃべり同然、がやがやわやわや、すさまじいばかり、何のとりとめもありはせぬ。――福田恆存訳, ウイキペディア

トランプの言う「火」とは、火の海となった爆撃された街をさすのであろう。だから、この「マクベス」の「燈し火」とは異なるが、アメリカ文学には、このような暗闇を描いた作品がある。アメリカ的実存主義と呼べるような作品である。

さて、このトラン大統領の「Fire and Fury と言う言葉は、現在、筆者にこのアメリカ的な暗さを見出させるのである。トランプ大統領は、マクベスのように見える。

過激な言葉表現を使って、北朝鮮の金正恩を恐怖に包み、締め上げるトランプではあるが、そんなに効果はあるのであろうか。筆者は、このような締め上げ方は、やがて限界に達し、トランプが北のミサイル基地や、核兵器庫をトマホークミサイルで攻撃することをしでかしないのでは、と思うようになっている。

それで、もし、北朝鮮内部で、核兵器の爆発が起こり、北朝鮮内部が滅茶苦茶になり、多くの人々が死亡するケースは、全く否定できることではないと思う。また、逆に北朝鮮のミサイルが発射され、日本の米軍基地、グアムやフィリピンなどにも、ミサイル攻撃が行われる可能性もあると思う。そんなことになったら日本はどうなるのか。

金正恩が気違いなら、トランプも同じくらい気違いであると思う。だが、アエリカは、議会があり、戦争に突入するには、議会の承認を得なければならない。ここで振るいがかかる。しかし、金氏が先に手を出し、何らかの戦闘行為に出た場合、トランプ大統領も軍部もそれなりの軍事行動を取ることは必至であろう。その場合は、議会も素早く軍事行動を認めるであろう。

とにかく、金氏もトランプ氏もまず、恐喝は止めることである。このことを進めるには、第三者がいてほしいのだが、だれもいないのが、現在の世界情勢なのである。

佐藤則男

ニューヨーク