donald-trump-trashes-f

民進党代表に前原誠司氏が選ばれたが、ニュース価値は小さいようである。その理由は、おそらく民進党が政権を担う能力がなく、自民党本流の日本政治に立ち向かう能力もないからであろう。民主党は、一時は、政権を握ったが、惨めな結果に終わっている。

その理由の一つは、民主党は、日本の官僚機構を動かせなかったからだと理解している。日本の官僚は、政治家を動かす大きな力を持っている。日本の政治家、つまり、立法府である国会議員が、自分のスタッフに法案を生み出す能力がなく、また、国会にも、立法の草案を創るスタッフも揃っておらず、行政官僚にほとんど頼らざるを得ないからであろう。

複数の若手官僚が筆者に漏らしたことがある。「仕事が終わる時間になると、国会議員から電話がかかってきて、つまらぬ調べ物の依頼がしょっちゅうある。それに長い時間がかかる。こんなことをやっていては、自分の一生は無駄になる。早く辞めたい」と。そして、「こんな仕事を我々にやらせるシステムが間違っている」と言うのである。

三権分立国家として、日本は、立法と行政に明確な線引きができない国なのであろう。したがって、政治家は、日本的な意味でいわゆる「政治」に専念できるのであると思う。つまり、本来の立法の仕事は、官僚に任せ、自分たちは、政治家同士密接にコミュニケーションでき、長い間、派閥政治が横行してきた原因の一つであろう。

筆者が見てきた限り、アメリカの議員も勉強していないと思うのだが、日本の政治家の勉強不足には、驚く。特に、外国、それも頼りのアメリカの理解に大きく不足していると思う。

そして、政治家と官僚は、密接に結びつき、切っても切り離せない関係が成立し、それが日本の政治の特徴であると思う。このようにして、自民党が官僚機構を長年握り、日本の政治を独占することになり、自民党一辺倒の政権が次々に誕生しているのではないだろうか。

選挙民も野党が政権を握ると違和感を持つと同時に、「彼らに何ができる」と言う先入観がある。つまり、官僚を動かせないからではないだろうか。国民自体、官僚と自民党が治める国、と言う先入観があるのだと思う。

前原氏が民進党の代表になろうとなるまいと、国民にはさほど大きなニュースではないのであろう。

筆者は、このような自民党一辺倒の日本の政治を快く思わなかったが、今回のアメリカのトランプ騒動を見て、日本のそんな政治がよく見えるようになっているのが不思議である。

自民党独裁のような日本の政治は、長い歴史過程を経て、様々な危機を乗り越えて、鍛えられてきたと思うのである。批判されがちな自民党は、それを乗り切るたび政治にとって重要なことを学んできたと思う。それ故、国民の支持を得てきたのだと思う。

「自民党にとって代われる政党がないから、自民に投票した」と日本の多くの選挙民は、消去法に基づき自分の票を投じたことを言うが、その根本は、「変化を望んでいない」と見る方が真実だと思う。要するに、自民党を選ぶ選挙民自体、その選択に「自信」を持っているのであり、「満足」しているのであると思う。

政治は、「何も大きな変化を起こさないこと、国を乱さないこと、できれば、現状のまま進めること」が日本の選挙民の選択なのではないかと筆者は思う。

北朝鮮のミサイルが日本を攻撃するのではないか、と不安はあるが、根本は、「そんなことはあり得ない。アメリカが何とかしてくれる」と言う安心感があると思う。

安倍首相も一生懸命、トランプ大統領に日本の防衛を懇願する。そして、河野外務大臣は、ティラーソン国務長官、小野寺防衛大臣は、マッティス国防長官に懇願する。

アメリカの力を示せば、北朝鮮も中国も、その他いかなる敵国の攻撃の恐れがあろうと、日本の安全は、確保されるという考え方が日本国民に出てくるのであろう。

筆者は、その安心感を恐れている。少なくても、トランプ時代は、その考え方は危険であると思う。「果たして、トランプは裏切らないか」と言う不安である。

日本は、日本が国家として、自らを防衛することを即座に考えなければならないと思うし、国民がその意識を持たねばならなないのではないか、と考えるのである。

その心は、トランプ大統領の下では、アメリカは、これまでのアメリカではないからであるからである。日本国民は、自らの力で、自分たちを守ることを考えなければならないことをすでに、自覚しているのではないか、と言う印象を筆者は強く思っている。

佐藤則男

ニューヨーク