河野

日本政府の元官僚と夕食をした。筆者の判断で、この方がどの省に属していたか、どんな職務についていたかなど、一切、明かせないことをお許しただきたい。筆者は、この方は尊敬できる方であり、立派な実績を持っておられる方である、と思う。以下、この方をX氏と呼ぶ。

「日本は、自分の国は、自分で守らなければならない。日米安保条約は破棄すべきである」と強く言う。そして、筆者が多少驚いたのは、「日本は、核武装すべきだ」と言うのである。日本政府の元官僚で、ここまで言う人にはお会いしたことがない。

筆者は、若かりし頃、ライシャワー米国駐日大使にお会いしたことがあるが、日本は核武装した方が良いと言われていた、と記憶している。

 

「国民が自分の力で、国を守ろうとしない国など考えられない。日本人は何を考えているのであろうか。大体、日本国憲法などマッカーサー司令官に押し付けられたものである。憲法9条は即刻改正されるべき」と、X氏は言う。

確かに、現在の日本国憲法は、日本が敗戦直後、日本を二度と軍国主義国家にしないと言うマッカーサー司令官の意図が働いていたと筆者は理解している。

 

ここまでは、筆者が日本に行って、いろいろな日本の方々からうかがっていることであるが、X氏は、「日本は、なぜ、これほどまでに国防で、アメリカに頼らなければならないのか。日本がいざ外国に攻撃されても、アメリカが安保条約に基づいて、日本のために戦うことなどあろうはずがない」と言う。

 

また、「アメリカ政府には、国際問題を国際社会の一員として、論議し、国際社会全体で解決を図ると言う意思がない。

「アメリカ政府は、アメリカの国益優先で、現在のトランプ大統領はその典型的例であり、このようなアメリカの態度は、国際社会を混乱させる」と主張し、「アメリカほど国際機関で非協力な国はない」と断定する。

そして、「アメリカ政府は、世界を知らない。外国に関し、知識がない。だから、これだけの経済大国、軍事大国でありながら、国際社会と協調して問題解決にあたることがない」と指摘する。

X氏は、国際舞台である国際協定を成立させた経験があるが、アメリカの非協力で苦しんだ。

筆者は、日本の元官僚にお会いし、話を伺うことは、大変有意義だと思っているし、事実勉強になる。

だが、いつも残念に思うのは、「それだけの考えを持っているのに、現役時代にその考えを出せず、自分の見方を抑え、与えられた仕事を持ち前の優れた実施能力でこなさなければならない。自分自身の価値観は、仕事に入れてはならない」と言う立場である。

 

筆者は、外交は、集団で決められないのではないか、外国と集団体制で交渉できるものではないと思う。真剣に世界を勉強し、価値観を持ち、世界観を持ち、世界各国の状況を知り、外交を展開する人物で、優れた個人としての力が重要と思うのである。

日本には、アメリカの優れた歴代国家安全保障補佐官のような人物が必要なのではないか、と思う。

外交が外務大臣と言う内閣総理大臣が任命する政治家を頂点として、実際は、外務省の官僚が行う、という体制は、初めから限界があるのではないかと思う。つまり、議院内閣制の下では、外交は限界がある、と言う見方である。

 

佐藤則男

ニューヨーク




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