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民主党大会三日目、筆者は、やっと「我がアメリカの姿」を見た。そこには、本来の筆者が認識しているアメリカがあった。「自由と平等、そして、アメリカンドリームを追及でき、力いっぱい生きられる国」アメリカがあったのである。

 

筆者は、1975年アメリカにやってきたが、アメリカをそのように見て、懸命に生きてきたつもりである。

 

今日の民主党大会の主な演説者は、オバマ大統領、バイデン副大統領、ケイン副大統領候補、ブルムバーグ前ニューヨーク市長などであった。皆、それぞれの特徴を生かした演説でただ「素晴らしい」の一言に尽きる。筆者は、感激のあまり、感涙した。

 

皆、ヒラリー・クリントン大統領誕生で一致している。まさに、挙党体制である。不満を持ち、ひねくれ、いじけているのは、熱狂的サンダース支持者である。しかし、そこは、民主主義を信奉する国である。彼ら感情も存在も尊重されなければならない。

 

それにつけてもオバマ大統領の演説は冴える。人心を捉える。多くの観衆が涙を出している。内容もさることながら、しゃべり方がうまい。それに、素晴らしい笑顔である。

 

前大統領であったブッシュ親子、マッケインなどの主要上院議員、共和党大会が開かれたクリーブランドのあるオハイオ州知事であり、共和党の予備選に立候補した、ケーシック氏も欠席した共和党大会とは、まったく異なっている。共和党大会は、ヒラリー・クリントンを憎悪と嫌悪で、つるし上げの大会であった。リンカーン大統領を生んだ政党とは、とても信じられなかった。

 

このような民主党大会を見ると、トランプがいかに不純な人物かよくわかる。この人物が、現在、アメリカ大統領選のトップを走っているなどということが信じられない。批判、嫌悪、憎悪をむき出しにし、それもデマゴーグを用い、相手候補をののしり、選挙民を不安に陥れ、さも、自分がメサイアのように演技する。批判や非難はするが、政策は何一つ具体的現実的な政策は示さず、ただ、独りよがりの独善的な「考え」を示すだけである。

 

だが、これも民主主義である。そんなトランプも尊重しなけっればならない。

 

アメリカの選挙民が、この人物に、絶大な支持を与えていることが誠に不思議である。白人ブルーカラーはそうはいかない。しかし、それも民主主義である。彼らを尊重しなければならない。

 

そして、トランプか、ヒラリーかで、堂々と一騎打ちが、118日に行われるのである。

 

そんな貧しい共和党大会であったが、クリントンに対するネガティブ度があまりにも高く、「嘘つき」などという強い嫌悪感を選挙民にもたれているせいもあるのであろう。世論調査では、トランプがヒラリーを追い抜いてしまった。

 

果たして、この民主党大会で、また、ヒラリーがトランプに追いつき、追い越すのか、注目される。

 

この民主党大会は、本日、ヒラリー・クリントンを圧倒的な迫力で、指名候補とするのであるが、ヒラリーがどんな演説をするか楽しみである。子供たちを考え、アメリカの将来を高らかに描く演説だと思うが、その方向でよいと思う。

 

相手のトランプの演説には、明るい将来がない。非難と否定と憎悪、そして、それらから出てくる暗さである。

 

おそらく、アメリカ人も「本来のアメリカ姿」を見られるようになるだろう。

 

今夜も、筆者は、徹夜でテレビを見ることになる。筆者、今回の大統領選挙があまりにも変わっているため、一時、一時を逃したくない。

 

佐藤則男

ニューヨーク