Tinker,Tailor,Soldier,Zombie

未公開映画を中心にレビューしていきます。

Murder Party(2007)

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【あらすじ】

NY、ハロウィンの日。

孤独な独り身のクリスは、例年通りお菓子を食べながらホラー映画を見て過ごす予定だったが、道端でとあるハロウィンパーティーの招待状を拾ったので、勇気を出して仮装して出かけた。

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いくらなんでもクオリティが低いぞ!

招待状の示す場所は人気のないガレージ。
中に入ると、数人の仮装した人間が屯していた。なにやらヤバそうな雰囲気。
嫌な予感は的中し、あっという間に椅子に縛り付けられたクリス。
ここに集った者達は、いかにアーティスティックに人を殺すかを夢想するキチガイ芸術家集団であり、パーティーの招待状は餌食を誘い込むためのトラップだったのだ。

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しかしこの芸術家達も苦労している。才能の有無は知らないが、とにかく金がない。
そんなわけで彼らの活動に賛同し金を投資してくれるパトロンが必要なのであった。
彼らのパトロンは生意気で嫌な奴だが、出資してくれるのだから文句は言えない。

すると、ひょんなことからパトロンに金を出資する気がない事が判明し、世にも滑稽な仲間割れが発生。完全に巻き込まれてしまったクリスの運命やいかに。

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そうなのよ、私たちも大変なのよ。

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私の話も聞いてくださいよ。


【感想】

MADな殺戮パーティー、ジェレミー・ソルニエ監督長編処女作。

『ブルー・リベンジ』『Green Room』と、バイオレンス映画界に旋風を巻き起こしているジェレミー・ソルニエ監督が2007年に製作した長編処女作です。
インディーズ特有の低予算な荒っぽさがありますが、後の二作品にも通ずる監督らしさが光る作品でもありました。監督の得意とする「予期せぬ突発的な死の描写」や「生々しい人体破壊描写」は本作からすでに顕在です。

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主人公のクリスは、内気で孤独な独身男性。せっかく勇気を出して行動したのに、キチガイ芸術家達にあっけなく監禁されてしまう始末。

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芸術家集団の筆頭には、以後ジェレミー・ソルニエ監督作品の常連となるメイコン・ブレア。彼は細々とした妙な存在感があって本当に良い俳優です。

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上流階級の吸血鬼、チアリーダー、「ブレードランナー」のプリス、「ウォリアーズ」のBaseball Furiesと、明らかに協調性のないコスプレ集団。
クリスは彼らに囚われてしまいますが、クリスが持ってきたケーキをチアリーダーがつまみ食いしたところ、アレルギーのレーズンが入っていてすかさず失神、倒れた際に角材が頭部を抉って死亡。いきなりの突発的な死にっぷり、さすがはジェレミー・ソルニエといった感じです。

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序盤はコメディノリで展開しますが、終盤には監督お得意のゴア描写がてんこ盛り。
顔面丸焼けウルフマン、顔面チェーンソーなどなど、低予算ながらによく出来た切り株描写に満足できます。

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後の二作品と比べると、小品であることは否めませんが、監督のセンスが迸る初期作品として抑えておきたい一品です。
本作の日本公開予定はありませんが、予想通り『Green Room』のしたコメ映画秘宝枠でのプレミア上映と来年2月の正式公開が決定したので、それに乗じて本作の短期公開もあり得るかもしれません。

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ゴア上がりの牛乳はたまらんのです。


【邦題予想コーナー】
①「マーダー・パーティー/殺人芸術家の夜」
②「ザ・ハロウィン・ナイト/真夜中の殺人パーティー」
③「アート・オブ・マーダー/殺戮の秋」









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Green Room(2015)

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【あらすじ】

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パットを含む4人の仲間がバンで目を覚ました。
彼らはパンクバンド “The Ain't Rights” のメンバーであり、アメリカ西部大平洋沿岸を縦断するツアーを敢行中だったが、いかんせんマイナーバンドで金がなく、そこらに停まってる車からガソリンを拝借しながらその場凌ぎの旅を続けていた。

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その夜、彼らは辺鄙な山奥に建つアングラなライブハウスのイベントに出演することになった。ライブハウスのスタッフや客はネオナチ集団で構成され、傾倒を異にするパンクバンドへの風当たりは強かったが、ライブ終了後にはそれなりの手応えが感じられ、それなりの報酬も受けることができた。

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そろそろ帰ろうかというとき、バンドメンバーの一人が楽屋に携帯電話を忘れたと言うので、パットが代わりに取りに戻ったが、その場で見てはいけないものを見てしまった。

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床に倒れた客の女の子のこめかみにナイフが突き刺さっているではないか。
こりゃえらいもんを見てもーた…
パットはしれっと帰ろうとするが、そうは問屋が下ろさない。部屋にいたネオナチ野郎やスタッフによってバンドメンバーは楽屋に拘束されてしまった。

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当然、店側の人間としては目撃者を帰してはならない。
バンドメンバーとしては、なんとかこの場から逃げ出したい。
両者共に余裕がなく、互いに牽制し合いながら、緊張感溢れる時間が過ぎていく。
果たして、パット達は無事に楽屋から脱出することはできるのか…

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【感想】

恐怖の楽屋から脱出せよ!息もつかせぬ密室バイオレンス大傑作!

原題の「Green Room」とは、出演者控え室=楽屋のことであり、本作は大半が狭い楽屋を舞台とした密室劇となっています。
監督は『ブルー・リベンジ』で最高のバイオレンス復讐劇を見せてくれたジェレミー・ソルニエ、傑作に次ぐ傑作を生み出し、いまやバイオレンス映画界の頂点に立つ存在と言っても過言ではないほど、非常に高いクオリティの作品を放っています。

前作『ブルー・リベンジ』では、徐々に明らかになっていく主人公の人物像や目的、予想を裏切る展開の数々、寒々しさを覚える圧倒的な暴力表現、と監督の豊かな作家性が存分に発揮されていましたが、本作ではさらに昇華した極地に達していました。

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狭い密室内に閉じ込められたバンドメンバー達。部屋の外にも中にも武装した男達がわんさか。こんな状況で、一体どうやって脱出できるというのか。
こりゃシュワちゃんにもスライにもマイケル・スコフィールドにも厳しいのでは?
と思いきや、予想を裏切る展開の数々、一難去ってまた一難を繰り返し、4人の大脱出劇はやがてパンクバンド VS ネオナチ集団の構図となり、多くの血が流れることとなります。

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『ブルー・リベンジ』と比べて、本作のバイオレンス描写はよりショッキングで生々しいものとなっています。凶暴な犬に喉元を喰いちぎられたり、銃撃で顔面が吹き飛んだり、ナタが首元に食い込んだりと、強烈な人体破壊のオンパレード。
予測できない脱出劇としても一級品、バイオレンス映画としても一級品、これを傑作と呼ばずしてなんと呼びますか!

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キャスティングも完璧です。
バンドメンバーのパット役には、先日26歳の若さでこの世を去ってしまったアントン・イェルチン。どの出演作でも最高のパフォーマンスを見せてくれた最高の俳優は、本作でも素晴らしすぎる演技を披露してくれました。
映画界は本当に惜しい人を失くしてしまいました。

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死んだ女の子の友人で、不運にもバンドメンバーと運命を共にすることとなるアンバー役に、『28週後…』のイモージェン・プーツ。彼女がまた最高にクールでした。

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ネオナチ集団のボスには、プロフェッサーXことパトリック・スチュワート。
彼の側近的存在に『ブルー・リベンジ』のメイコン・ブレア。今回も凄くいい味を出していました。

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ありがとう、アントン・イェルチン。どうぞ安らかに…

本作の日本公開は今のところ未定ですが、おそらく年内に公開されるのではないかと思います。もしくは、したまちコメディ映画祭の映画秘宝枠での上映もあり得るかもしれません。今年の映画秘宝枠は、本作か、ロブ・ゾンビの新作『31』と予想。

『Blue Ruin』『Green Room』と続いたので、次は『Red〜』か『Yellow〜』か?
ソルニエ監督の次回作に期待大です。

最後に、本作のテーマの一つでもある「無人島バンド」、「無人島に一組だけ連れて行くなら、どのバンドを選ぶか」という問いがバンドメンバーの間で交わされます。
自分だったら、Sidewalk Chalkか、Porter Robinsonか。いや待てよ、よくよく考えたら「夢のゆくえ」の白鳥英美子さんかも…なんてことを考えながら観ることができる最高の映画でした。


【邦題予想コーナー】
①「グリーン・ルーム」
②「グリーン・リベンジ」
③「パンクス VS ネオナチ/ライブハウス大戦争」




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The Orange Man(2015)

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【あらすじ】

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オレンジの訪問販売員ピーター・ウィルキンスは、町の飲食店経営者にオレンジを売りつけようとするが、みんなから拒否されてブチ切れた。
オレンジ購入を断った奴らを30人もぶち殺してしまった。

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Buy or Die !!!!!!

27年後、ピーター・ウィルキンスのオレンジ農園があった土地を、不動産屋のジェラルドが買い取った。ジェラルドは、早速買い取った土地に旧友3人を招いて釣りを楽しんでいた。

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偶然にもジェラルドの離婚調停中の元妻が新しい彼氏を連れて、この土地へ遊びにきていた。ジェラルドらオッサン4人組と、元妻&彼氏の低次元の諍いが勃発した。

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27年間行方不明となっていたピーター・ウィルキンスも参戦。
一人、また一人とオレンジを投げつけられて殺された。

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オッサンやデブ女達はオレンジ投げつけ男から逃げ延びることはできるのか。
まったくもってどうでもいい!

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オレンジはいらんかね〜?


【あらすじ】

オレンジ男に襲われる、中年世代スラッシャー。今年一番のゴミ。

コアな映画ファンの中には、「これはひどい!クズの中のクズ!これぞゴミ映画!」と評されると、かえって食指が湧いてくるような人種が確実に存在します。かくいう自分もこの人種であることを否めません。そして、この人種にとって真のゴミ映画とは「究極のゴミ映画」ではなく「ごく普通の映画」です。
何が言いたいのかというと、面倒なことは抜きにして、本作は正真正銘のゴミ映画であるということ。

“殺す前にオレンジを投げつける殺人鬼” という一言で鑑賞意欲をかき立てられたのが運の尽き、本当に見ていて恥ずかしくなるような駄作でした。
まず本作には、若者が一人も登場しません。
歯抜けのオッサン殺人鬼、餌食となるオッサン4名、デブ女3名、ヒトラーとチャップリンを足して存在感を引いた男1名。
まさしく中年世代のスラッシャーです。高齢化・肥満化スラッシャー。

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キャンプの夜に殺人鬼の都市伝説で盛り上がる姿は、「バーニング」などの往年のスラッシャー映画のお決まりですが、参加者の平均年齢はいつもの倍となっています。
「こんな殺人鬼がいたんだぜ〜!」「お〜こえ〜!」とオッサン共がビビるシーンなんて特段見たくもありません。

さて、この冴えないオッサン達がいかにして惨殺されていくのか、本作の見所はそこにしかないわけですが、上映開始から一時間が経過するまでの間、そのほとんどがオッサン達の悪ふざけ映像に当てられています。

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車椅子のオッサンが的を狙って小便できない件。

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デブの元妻が、ヒトラーチャップリンとイチャつく件。

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ヒトラーチャップリンにバケツの水をぶっかけて大喜びする件。

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亀が股間に噛み付き、ハットトリックを決めた選手になる件。

こんな苦笑すらも湧かないふざけた場面が1時間も延々と続きます。
オレンジ男は一体何してるんだ!久々に姿を現したオレンジ男が、木陰でデブ女の裸を見ながら自慰にふけるオッサンに狙いをつけたら、凶器の鉤フックが木にひっかかってもがいているうちに、オッサンはイッちゃってどっか行っちゃった…
こんなまるで需要のないギャグシーンがてんこ盛り。本当にしょうもありません。

オレンジを投げつける殺人鬼、という発想はとても面白いのですが、そのやっつけ感もハンパありません。その一例を紹介します。

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吠えよ、デブゴン。

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逃げよ、デブゴン。

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オレンジ発射。

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当たる、デブゴン。

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食らう、デブゴン。

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転ぶ、デブゴン。

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落ちる、デブゴン。

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落ちた、デブゴン。

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死んだ、デブゴン。

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この嬉しそうな顔!

本作の日本公開予定はありません。あったとしても、スルーして良い案件です。
いまのところ2016年最大のゴミ映画。このレビューを読んで逆に食指をかきたてられた一部のコアファンの方には、一応警告しておきます。本物のゴミ映画です。

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他のデブが酷すぎて、このデブが可愛く見えるのが悔しい。


【邦題予想コーナー】
①「オレンジマン」
②「苦渋100%・生しぼりオレンジキラー」
③「デーブをねらえ!/地獄の柑橘」








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