Tinker,Tailor,Soldier,Zombie

未公開映画を中心にレビューしていきます。

XX(2017)

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【あらすじ】

1. The Box
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ディナーの後は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」で団欒する仲良し家族。
ある日、地下鉄で隣に座った男が赤い箱を持っており、長男は気になって中を見せてもらった。その後、長男はなぜかご飯を一切食べなくなってしまった。
1日、2日、3日と、長男は何も食べようとしない。
なぜかと問うても「お腹が空いていない」としか返答しない。
両親が頭を悩ませていると、いつしか長女も物を食べなくなり…

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食欲は人間の三大欲求!


2. The Birthday Party
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今日は娘の誕生日。
家の中を飾り付け、午後には娘の友達や親が集まってパーティーを開く予定である。
しかし、万事はうまくいかないものである。
夫の書斎を尋ねると、なんと睡眠薬を飲んで死んでいるではないか。
困った奥方はなんとか死体を隠そうと奔走するが…

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この死体をどうにか死体!


3. Don't Fall
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登山を楽しむアホ共が、山頂から美しい風景を見下ろして感嘆している。
岩陰に象形文字のような絵が描かれていることに気がついた…頃には時すでに遅し。
女の子が悪魔に取り憑かれて怪物化し、仲間を取り急ぎ食してしまうのだった…

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食欲は怪物の三大欲求!


4. Her Only Living Son
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息子の様子がおかしい。
ネズミを木に打ちつけて殺したり、夜な夜な血だらけで鏡の前に立っているのだ。
学校でも女の子とトラブルを起こしたらしいが、先生達はなぜか息子の肩を持つ。
ある日、息子の部屋のベッドの下に隠された木箱を開けてみると…

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ムスコよ何処へ!


【あらすじ】

4人の女性ホラー作家による、端正なホラー・アンソロジー。

『クリープショー』から『V/H/S』シリーズに至るまで、ホラー・アンソロジーはいつの世もファンに愛されてきましたが、女流ホラー作家だけのホラー・アンソロジーというのは本作が初めてかもしれません。
ホラー映画監督と言うと、マニアックな男性ばかりの印象がありますが、近年女性のホラー映画監督が着実に増えてきています。そして女性ならではの繊細な感覚や映像表現が作品の特徴として表れているように感じます。

『ザ・ヴァンパイア/残酷な牙を持つ少女』で衝撃を放ったアナ・リリー・アミールポアーは、キアヌ・リーブスとジェイソン・モモアを起用した青春カニバルロードムービー『The Bad Batch』の公開を控えています。
また、フランスの女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作『Raw』は現在世界中の映画祭にて旋風を巻き起こしています。

本作に参加した女性監督は、『インビテーション/不吉な招待状』のカリン・クサマ、『サウスバウンド』のロクサーヌ・ベンジャミン、ホラー雑誌「ル・モルグ」の元編集者ヨバンカ・ヴコビッチ、カーラ・デルヴィーニュの恋人でありセイント・ヴィンセント名義でシンガーソングライターとして活動するアリー・クラークの4人。

当初参加予定だった『アメリカン・ドクターX』のソスカ姉妹、『サベイランス』のジェニファー・リンチ、『アメリカン・サイコ』のメアリー・ハロンが降板し、やや影の薄い面子となってしまいましたが、全体的に端正にまとまったホラー・アンソロジーに仕上がっていた印象です。


ヨバンカ・ヴコビッチの「The Box」は、ジャック・ケッチャムの同名原作(未邦訳)をベースとしたミステリアスな家族ホラーです。来る日も来る日も夕食を食べない長男の姿が不気味であり、不穏な空気感がうまく表現されていたと思います。

アリー・クラークの「The Birthday Party」は、サスペンスともコメディともつかない中途半端な作品でしたが、『ザ・ヴァンパイア/残酷な牙を持つ少女』『24レガシー』のシェイラ・ヴァンドが出演されており、相変わらずの神秘的な美しさを纏っていました。

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この人の雰囲気は人間を超越した何かを感じさせます。

ロクサーヌ・ベンジャミンの「Don't Fall」は、唯一のグチャドロホラー枠。
『共喰山』を彷彿させる10分間のクリーチャーホラーで単純に楽しめます。

カリン・クサマの「Her Only Living Son」は、彼女が『インビテーション』で見せた “常にゾクゾク感じる不気味な不穏ワールド” を引き継ぐ心理的ホラー短編で、いやはや流石のクオリティでした。


作品全体の印象としては、女性ならでは繊細な感覚、心理描写、端正かつ上品な映像表現が特徴的であり、これまでのホラー・アンソロジーとは一味風味の異なる作品となっていました。
ソスカ姉妹やジェニファー・リンチがここに加わるとまた違った雰囲気になりそうですが、こういった手堅く楽しめる小品は今後もどんどん製作されてほしいです。

本作の日本公開予定はありません。
そのうちDVDスルーか、NETFLIXで配信されそうな気がします。


【邦題予想コーナー】
①「XX/世にも奇怪な物語」
②「XX/魔女たちの饗宴」
③「XX/終末の女たち」






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Stake Land Ⅱ(2016)

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【あらすじ】

(前作のあらすじ)

吸血鬼が蔓延る終末世界。
アメリカ合衆国は事実上崩壊し、人類は絶滅の窮地を迎えていた。
両親を殺されたマーティンは、絶体絶命のピンチを謎の男 “ミスター” に救われた。
“ミスター”とマーティンは、終末世界をサバイバルする武術の鍛錬を積み、迎え撃つ吸血鬼を退治しながら、希望の街ニューエデンを目指し、北へと旅を続けた。

旅の途中でマーティンは吸血鬼と戦う少女と出会い恋に落ちた。
“ミスター”はそんなマーティンの姿を横目に、一人旅路へと消えた。
その後、マーティンと少女は無事ニューエデンに到着した。

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(本作のあらすじ)

数年後、マーティンは立派な大人に成長し、子宝にも恵まれていた。
しかし幸福な日々は長くは続かなかった。
平和だった街を吸血鬼の集団が襲撃し、妻と子供を殺されたマーティンは絶望の底へ突き落とされた。マーティンに残された道はただ一つしかない。復讐である。

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街を襲った吸血鬼軍団のボスは “マザー” と呼ばれる女吸血鬼だった。
復讐の鬼となったマーティンは、かつての恩人かつ師匠であり、吸血鬼ハンター界のレジェンドと称される“ミスター”を探す旅に出た。

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【感想】

ベストキッド風・吸血鬼大戦終末ロードムービーの正式続編。

『コールド・バレット/凍てついた7月』『肉』のジム・ミックル監督が、長編デビュー作『ネズミゾンビ』に続く2作目に描いたベストキッド風の終末ロードムービー『ステイクランド/戦いの旅路』の正式続編がやってきました。
今回、ジム・ミックル監督はメガホンを取らず製作に回っています。キャストには前作同様、主人公マーティンにコナー・パオロ、吸血鬼ハンターのレジェンド “ミスター” にジム・ミックル映画の常連俳優ニック・ダミチが続投しています。

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イケメンに成長したマーティン。

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相変わらずの激渋オヤジ・ミスター。

絶望感に満ち溢れた灰色の空、人類の退廃をあざ笑うような雄大な自然風景、乾ききった終末世界観は前作からしっかりと引き継がれていますが、作品自体のパンチ力は前作と比べて確実に弱くなっているのが残念です。

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家族を惨殺され、もはや何もなくなってしまったマーティンは、唯一の生きる原動力である復讐に身を捧げ、伝説の吸血鬼ハンター “ミスター” を探して旅に出ます。
吸血鬼の残党に襲われたり、善良そうな人間夫婦に襲われたり、カニバル集団に襲われたり、一難去ってまた一難を繰り返しながらようやく“ミスター”との再会を果たしますが、マーティンの記憶に残る過去の“ミスター”とは少し変わっています。

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これまで問答無用で天誅を下してきた“ミスター”も、実はマーティンと同様の境遇を経て復讐の鬼となった一人であり、復讐を遂げた後に何も残されないことを知っているため、マーティンを自分のようにさせたくないという気持ちがあります。

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男の中の男、ニック・ダミチ!

前作はニューエデンという救いの地=「絶望の中にあるわずかな希望の光」を目指したロードムービーでしたが、本作では“ミスター”との共闘による復讐の完遂=「唯一の生きる目的」を目指したロードムービーとなっています。

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吸血鬼軍団のボス “マザー” 。弱点=キャラの薄さ。

吸血鬼との戦いは暗闇ばかりで見えにくく、全編を通してテンションの上がるような展開はほとんどなし、前作と比べて全体的にインパクトを欠いた本作ですが、ニック・ダミチの激渋ぶりを堪能できる点は大いに評価ができます。
作品自体の雰囲気や世界観は悪くないだけに、無難すぎる設定と展開に止めてしまったのが勿体なかった印象です。

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キリストみたいに囚われながらも、この後吸血鬼を一網打尽に!

ミスターのミスターによるミスターのための映画。
前作ファンには必見の作品と言えますが、あまり大きな期待を抱かずに鑑賞してもらった方が純粋に楽しめるかと思います。

本作の日本公開予定はありません。
前作もDVDスルーだったので、今回も同じ流れになるかと思われます。


【邦題予想コーナー】
①「ステイクランド2/復讐の旅路」
②「ステイクランダー」
③「ヴァンパイアハンター・ミスター」



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Massacre on Aisle 12(2016)

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【あらすじ】

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クリスマスイブ。
デイブは今日から田舎町のホームセンターで初勤務となる。
勤務先のスタッフは予想以上にクズばかりで困惑するデイブ。
しかし、こんなことで困惑している場合じゃないのである。
地下倉庫から謎の死体と大金が見つかったのだ。

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この死体は誰だ?いや、そんなことよりお金!お金!うひょー!
現場にいるのはクズかビッチだけなので、ただちに殺し合いの争奪戦に発展。
果たしてホームセンター・ロワイアルの軍配は誰の手に?
いずれにしてもクズであることには違いない!

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おっぱいサンタが一枚上手か!?


【感想】

クズ共の大金争奪戦、心の底からしょうもないホラーコメディ。

魏延「心の底からしょうもない映画があるか!?」
馬岱「ここにあるぞ!!」


世の中には、心の底からしょうもない映画があることを、みなさんはお気づきであろうか?哀しきかな、本作はまさしくそのような作品の一例となっています。

デイブがやってきた勤務先のホームセンターには、できることなら関わりたくないサイコパス野郎、愛想悪いくせにガバガバ股を開くビッチ、サンタコスでイチャイチャするエロカップル、男性職員の尻を狙うゲイ社長と、今回もろくな人間がいません。

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そんな奴らが地下倉庫で謎の死体と大金を発見しますが、死体の身元を探るミステリー要素は皆無であり、はなから死体そっちのけで大金の奪い合いが展開されます。

奪還戦にシリアスな様子は一切みられず、ところどころに脱力的なギャグを入れて場を凍らせます。誰かが有利になったかと思えば、今度は立場が逆転して・・・と、どうでもよい形成逆転劇が次から次へと展開しますが、なんのスリルもなければ捻りもないので、どうでもよい奴らがどうでもよいことで喚きあっている様をただただ延々と眺めさせられることになります。

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唯一の目の保養といえば、誰かが殺されても一人黙々とおっぱいの具合をチェックするサンタコスギャルですが、監督は何を血迷ったのか、この観客にとって最も重要なキャラを序盤であっさりと退場させてしまいます。何やってんだよ!

また、ホームセンターといえば特殊な武器倉庫であり、ホラー映画にとっては実においしいネタの宝庫であるにもかかわらず、使用されるのはテンプレ武器のチェーンソーとボーガン。

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オリジナリティを解放せよ!

よくよく考えてみても、サンタコスギャルのおっぱい以外に見所を追求することができません。
かといって『The Orange Man』のようなツッコミどころ満載のゴミ映画でもなく、「なにも特記することのない、真に面白くない映画」という枠にしっかりと腰を下ろした作品です。

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これ以上はもう何も語れない!

当然ながら本作の日本公開予定はありません。
さすがにこれはソフトリリースすら必要ないと思います。

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もうウンコでもするしかない!


【邦題予想コーナー】
①「ホームセンター殺人事件」
②「ホームセンター・ロワイアル」
③「金を返せ!」← 観客の声を反映



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