Tinker,Tailor,Soldier,Zombie

未公開映画を中心にレビューしていきます。

Don't Breathe(2016)

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【あらすじ】

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ロッキーは、幼い娘を養育し生活環境を変えるための金を欲しており、仲間と共に裕福な家を狙う強盗団の一員として金稼ぎをしていた。
誰も傷つけずに、金品だけをかっさらう。しかしあくまでも犯罪である。
そんなに生易しいものではない。

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次のターゲットが決まった。
仲間の情報によると、その家には、もともと老人と若い娘が暮らしていたが、娘は交通事故で他界し、事故の賠償金がたんまりと発生したらしい。そのため、現在は老人が一人で暮しているが、彼は両眼ともに視力を喪失した身体障害者であった。
強盗する側にとっては、とてもラッキーである。

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さらっとやっちまおうぜ、と意気込んで老人の家に侵入した三人。
しかし、この後彼らは地獄のような悪夢を味わうこととなる。

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なんと盲目の老人は、軍隊あがりのバリバリマッスルおじいちゃんであり、腕っ節が強く、銃も携帯しており、目が見えないといっても屋内は庭のようなものなので、強盗三人組は立場一転して追われる側となってしまった。
盲目無双の老人は壁や窓をシャットアウトし、逆籠城作戦を敢行。
強盗団と老人の戦いの行方やいかに!


【感想】

強盗団 VS 座頭市の逆籠城バトル、密室脱出型ホラーの完成形。

物議を醸した『死霊のはらわた』リメイク版(個人的には嫌いじゃない)を手がけたフェデ・アルバレス監督の最新作は、批評家にも観客にもすこぶる評判が良く、それもそのはず、本作は2017年最高の密室スリラー『グリーン・ルーム』と肩を並べる至高の密室ホラーとなっています。

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強盗団が押し入った家の主人が無敵の老人であり、屋内から施錠されて脱出できなくなるという逆籠城的なアイディアはとても新しく面白いのですが、デヴィッド・フィンチャーの『パニック・ルーム』でも似たような展開がありました。本作はそこに盲目という設定を加えたところが面白さの秘訣となっています。

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命懸けのかくれんぼ&鬼ごっこ!

『暗くなるまで待って』の主人公と犯罪者の立場を逆転したような本作は、基本的に強盗側の視点から恐怖を体感する構成となっています。彼らは視覚というアドバンテージを活かして脱出を試みますが、ひとたび光を失えば一気に形勢が逆転し、座頭市有利の状況となります。

本作はアイディア一発勝負に収まらず、あらゆる手段を駆使して脱出を試みる展開、最後の最後までどちらに軍配が上がるか予測できない展開など、秀逸な描写に裏付けられた密室脱出型ホラーの一つの完成形と言えます。

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狭い家の中で、常に動き回る強盗&座頭市。

上映時間は90分。冒頭開始わずか10分で目的の家に侵入し、すぐに老人との邂逅。
こんなペースであと1時間強も持つのかという不安にかられますが、その不安は杞憂に終わります。狭い屋内で次から次へとめまぐるしい展開が発生し、息をつく間もない、というかタイトル通り息もできません。

『グリーン・ルーム』のような激しい人体破壊描写はありませんが、中盤を過ぎたあたりで怒りの老人による最凶の攻撃が繰り出されます。年内に劇場公開が決まっているので、詳しくはその目で確認していただきたいと思います。

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その恐怖、しかと見届けよ!

強盗団を演じるのは、『死霊のはらわた(リメイク)』のジェーン・レビ、『プリズナーズ』のディラン・ミネット、『イット・フォローズ』のダニエル・ゾバット。
そして、盲目の無双老人を怪演するのは、『アバター』のスティーヴン・ラング。
まさにハマリ役。個人的には『攻殻機動隊』のバトーはこの人のイメージでした。
ちょっと年食い過ぎてるか。

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絶対に侵入してはいけない民家24時!

本作は12月16日より、『ドント・ブリーズ』の邦題で劇場公開が決定しています。
ホラーファンの中でも大いに話題となっている作品であり、その期待が裏切られることはありませんので、是非とも劇場でこの恐怖を体感していただきたいと思います。





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The Monster(2016)

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【あらすじ】

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リジーはアル中の母親キャシーと二人暮らし。不安定な生活でありつつも、リジーは母親と暮らし続けたかったが、キャシーはリジーを実父の元へ送ることを決意した。
早朝に家を出発し、日中のうちに実父の元へ着く予定となっていたが、キャシーの寝坊により出発は夕方近くになり、山道に入るとすでに辺りは暗闇に包まれた。

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街灯もないうえに、大雨も降り始め、視界は極めて悪化していた。
すると突然タイヤがパンクしてスリップし、前方に現れた狼と衝突してしまった。
車は廃車寸前、狼は即死したようだ。

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レッカー隊員の到着を待っていると、いつの間にか狼の亡骸が消えている。
狼は生きていたのか?それとも…?

レッカー隊員が到着し、車の修理にかかり始めたが、しばらくすると彼の姿も見えなくなった。どこへ消えた?もしかして、森の奥に何かいる…?

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ぐへへー、いるよー!


【感想】

泣かせるモンスターホラー、“いつものやつ”の枠を超えた好事例。

母娘が森の奥で怪物に襲われる、たったそれだけのお話なのですが、丹念に描かれた親子の愛憎描写と、丁寧にじっくりと描かれた恐怖演出により、いつものよくあるB級クリーチャーホラーとは一線を画した独特の味わいのある小品となっていました。

主要登場人物は、キャシーとリジー、レッカー隊員、救急隊員2名の計5人。
舞台は真っ暗な山道のみ。
これだけの限られた空間の中で90分を退屈させずに堪能させる手腕は素晴らしいと思います。

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真っ暗な山道で形の見えない恐怖にさらされた母娘の脳裏に、過去の記憶がフラッシュバックします。
クソ野郎の継父とキャシーに怒鳴られ詰られるリジー、居間で眠るキャシーの寝顔に包丁を向けるリジー、禁酒3日目にして葛藤の末にウィスキーに手を出してしまうキャシー、トイレでつぶれたキャシーの背中を抱いて添い寝するリジー。
一つ一つの記憶からは愛情や憎悪の入り混じった強い感情が伝わってきます。

心の中では愛しているのに、嫌いだと言ってしまう。
変わりたいと思っているのに、うまく自分を変えられない。
正直でありたいと願っているのに、心にもない行動を取ってしまう。
本当は伝えたいのに、うまく伝えることができない。

そんな不器用な母娘の想いは、皮肉にも未知なる怪物を前にして初めて伝わる事となります。

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本作に登場するクリーチャーは、アナログな着ぐるみタイプの造形であり、B級クリーチャーホラー『Animal』に登場したクリーチャーと似た雰囲気があります。
この世ならざる怪物というよりは、獰猛な未確認生物に近いデザインであり、「モンスター」というよりも「獣(アニマル)」の表現がふさわしい描写となっています。

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ギャース!

映画の冒頭とラストに、こんな台詞があります。

ママは怪物なんかいないと言うけれど、それは間違い。
やつらは暗闇から私たちを見ている。


本作の原題が指し示す『The Monster』には、暗闇から現れる物理的なモンスターだけでなく、感情の奥底の暗闇から現れる精神的なモンスターの意味合いも含められているのかもしれません。
獰猛なモンスターと対峙することで、自らの感情と向き合う母娘の姿に、思わず涙腺を刺激されるエモーショナルなクリーチャーホラーでした。

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本作は2017年1月、『ザ・モンスター』の邦題で、未体験ゾーン枠での上映が決定しています。
エモーショナルな演出のみならず、派手にやりすぎないことが功を奏した人体破壊描写も秀逸であり、あらゆる面からオススメできる佳作となっています。
監督さんの次回作が楽しみです。

最後に余談となりますが、パトリック・ネスのベストセラー原作『怪物はささやく/A Monster Calls』が、「インポッシブル」のJ・A・バヨナ監督によって映像化され期待が高まりますが、『怪物はささやく』と本作は “怪物を通して描かれる親子の愛情” という点において、共通する部分があると思いました。

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画の雰囲気もちょっと似てる。







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Night of Something Strange(2016)

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【あらすじ】

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すべては屍姦からはじまった…
モルグの清掃員が若い女性の遺体にムラっときて楽しみ始めたが、この身元不明の女性は謎の性病に感染しており、家に帰った清掃員はチンコに激痛が走ってのたうち回った挙句コロッと死んだ。
するとゾンビとして復活、妻の子宮をほじくり出して食べるだけでは飽き足らず、暴力と性の衝動を解放させて街へ飛び出していった。

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寝顔落書きならぬ、寝顔下痢放出というハイレベルなイタズラ。

一方、例によって頭の悪そうな学生達が春休みを利用して海に行く計画を実行していた。男女5人組はHな妄想を抱えながらドライブしていたが、途中で1人が恐怖の性病に感染してしまう。感染した女の子は車内で突然ゲロをぶちまけたので、とりあえず近くのモーテルで一夜を明かすことに。

しかし、その街ではすでに例の性病が蔓延し、常時発情中の性病ゾンビがそこら中をうろついていた。果たして若者たちは生きてモーテルを脱出することができるのか。

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チンコおいてけぇぇぇ!!!!


【感想】

アホらしいけどガチで怖い、STD終末ゾンビ映画。

強烈な暴力と性衝動を爆発させたゾンビ像という観点からは、「シーバース」meets「ゾンビ・ハーレム」といった味わいがありますが、最も類似した作品は『Someone's Knocking at The Door』かもしれません。
本作は、特に男性にとってガチで恐ろしい作品となっています。

ミサンドリー女性ゾンビが男性を襲う「ゾンビハーレム」「女ンビ(漫画)」や、逆にチンコ丸出しミソジニストが女性を襲う「The Taint」とは異なり、本作の性病ゾンビ達は男女の区別なく性欲を爆発させます。
屈強な若者が巨漢の男にズボンを下げられる恐怖、恐ろしい限りです…

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乱暴しないで〜!

レイジウィルス感染者は凶暴化して周囲の人間を襲いますが、性病ゾンビは性欲と食欲を同時に満たそうとしてくるので厄介極まりない事この上なしです。
おまけに、射精した大量ザーメンや怪物化した性器自体も強力な武器となります。

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シコシコシコシコ…

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こら君、よしなさい!

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うぉっぷ!!!!

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溶けるぅ〜!!!

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うぉっぷ!!!!

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うぉっぷ!!!!

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うぉっぷ!!!!

下品極まりない攻撃ばかりですが、お約束がしっかりと押さえられています。
また、ゾンビ像として面白かったのは、頭を撃っても死なないこと。
本作のゾンビはとにかく死なない!何度も何度も本当にしつこく起き上がります。
頭ではなく性器を破壊すると死ぬ設定ですが、最後の最後までこのルールが明かされないので、何度も何度も同じゾンビに襲われる展開となります。

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やっと死んだっ!!

また、ゾンビの造形というか、表情が素晴らしいです。
まさしく変顔ゾンビ選手権。

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ハイパー顎しゃくれビッチゾンビ!

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安っぽいぴらぴらパテゾンビ!

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快楽の向こう側へ昇天ゾンビ!

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ゾンビに追われながらも一服を忘れない肝っ玉ババア。

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言わんこっちゃない!

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走るタイプだったのかよ!!

すでにお分かりの通り、本作は下品描写ばかりのコメディ系ゾンビ映画であり、ハチャメチャな描写の連発で楽しめつつ、特に男性が感じるであろう恐ろしさに満ち溢れています。
このレビューではあえて触れていませんが、中盤に思わず絶句してしまう最悪の出来事が起こります。笑えるけど辛すぎる前代未聞のシーンなので、ここは情報をシャットアウトしておきます。かなりの衝撃を受けること必至です。

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あれ、なんかテイストが…!?

本作の日本公開予定はありません。
長年の期待を裏切らない快作ゾンビ映画なので、早く日本でも鑑賞できるようになると良いです。未体験ゾーンでやらないかなー。


【邦題予想コーナー】
①「ナイト・オブ・サムシング・ストレンジ/爆・裂・性・欲」
②「セックス・ゾンビ/なんか変な夜」
③「インモラル・オブ・ザ・デッド/性病の街」









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