2013年11月17日

清須会議

kiyosu 日本
 時代劇&コメディ
 監督:三谷幸喜
 出演:役所広司
     大泉洋
     小日向文世
     佐藤浩市

【物語】
本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家と羽柴秀吉が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝、秀吉は次男の信雄を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市、秀吉は信長の弟・三十郎信包を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく。   (シネマトゥデイ)

 戦国時代における会議といえば秀吉による小田原攻めの際の北条家の【小田原評定】、関ヶ原前における家康の【小山評定】とそして本能寺で果てた信長の後継者選びを決める本作の【清須会議】の3つが有名。今まで戦国史ものというと武将なり川中島や関ヶ原といった合戦ものが9割以上占める中にあってこの会議&評定を取りあげた目の付けどころはさすが三谷幸喜といったところで原作もすこぶるオモシロかったし、いち戦国時代好きとしては観ておかないといけない作品なんで張りきって観にいってきた。

 原作はこの一件に関わる面々の独白というスタイルで展開していたことで、義か利かの心の機微、おべっかを使いながらも心の中では舌をだしている駆け引きが見事に表されていてとてもオモシロかった。しかし映画では独白だと成立しづらいこともあってか掛け合い劇に姿を変えていて、そのせいか心の機微と関係者の個性が薄れてしまい、良くも悪くも映像&掛け合い劇にしたことで類稀なる政治力と才覚を持つ秀吉ひとりだけが、他をさしおいて際立ってしまったうえにどちらかといえば映画よりも舞台向きかなぁと。
著者&監督の三谷幸喜自身「原作とは違うアプローチ云々」みてぇなことをいっていたことを思えばオモシロ味は1/3ほど減だけどコレはコレでじゅうぶんにオモシロかった。
 黒人の弥助が登場したんでおもわず感心するも「ナゼに日本人?ボビーなりB・サップを使わんかった?」と思ったんだけど、初めて黒人を見た信長は「墨を塗っていると思い風呂に入れた」のエピがあることを思い出し「なるほど、だからあえて黒塗りした日本人を起用したのね!」とマニアックな演出に感心。それにクレジット後の銃声と勝鬨の声に後に火ぶたを切ることとなる秀吉と勝家の賤ヶ岳の戦いの顛末を窺わせる演出は巧い。
 この評議以降、勝家のような武辺者よりも秀吉をはじめとする石田三成や家康の懐刀の本多正信のような政治力、大局を見る目に長けた面々が表舞台に立つようになる世に移行していくことを思うと改めてこの清須会議という出来事は戦国史において大きな転換期だったのだと再確認させられる。また関係者も勝家&お市の方は自刃、丹羽長秀も厚遇されるも病の苦しみとともに秀吉に加担したことを後悔しながら割腹した説もあるし、池田恒興は小牧長久手の戦いで嫡男元助と婿の鬼武蔵こと森長可(森蘭丸の兄)とともに討ち死し、織田秀信こと三法師は信雄とともに後に不遇を囲い、信孝は自刃。逆に勝家に義を通すも賤ヶ岳ではその勝家を裏切った前田利家をはじめ、黒田家&堀家&池田家(恒興、次男の輝政)に前田玄以等が栄達を手にすると清須会議以降の様々な人間模様が去来してなんとも感慨深い。

 本作は秀吉と並んで本来の武骨なイメージとは逆の柴田勝家を楽しむところも先で書いたように秀吉がひときわ際立ってしまったことで、演じた役所広司はとてもヨカッタんだけど、秀吉同様に演じた大泉洋ひとり勝ちといったところ。そういう意味では池田恒興=佐藤浩市も原作でのかなりおいしい役まわりが薄れちゃっていてなんか可哀そう。お市の方役で歯に鉄漿を塗った鈴木京香の見た目は岩井志麻子そっくりというか妖怪というか…。
 「火天の城」「のぼうの城」と最近ベストセラーになった戦国絵巻が映画化されるのは大歓迎。でも出来れば関ヶ原で敵陣中央突破で撤退した島津義弘を描いた池宮彰一郎氏の「島津奔る」の映画化をお願いしたい。

notorious74 at 22:30コメント(2)トラックバック(9)劇場公開  

トラックバックURL

トラックバック一覧

1. 清須会議〜中谷美紀@アッキー  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   2013年11月17日 22:00
剛力彩芽の能面メイクがある意味凄い 公式サイト。三谷幸喜原作・監督。役所広司、大泉洋、中谷美紀、剛力彩芽、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香、妻夫木聡、浅野忠信、寺島進、 ...
2. 清須会議  [ Akira's VOICE ]   2013年11月17日 22:00
虎視眈眈の駆け引き合戦。  
注・(おそらく重要なポイント)内容に触れています。三谷幸喜監督書き下ろしの小説を自ら映画化した群像喜劇『清須会議』 物語・本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉
4. 清須会議/役所広司、大泉洋  [ カノンな日々 ]   2013年11月17日 22:20
三谷幸喜さんが自ら17年ぶりに書き下ろした小説を原作に脚本を書き上げ映画化した最新作です。前作でも落ち武者が出てきますし、TVドラマではNHK大河ドラマ「新撰組!」の脚本などを ...
5. 清須会議  [ うろうろ日記 ]   2013年11月18日 00:46
映画館で見ました。 【私の感覚あらすじ】 本能寺の変で織田信長が亡くなり、織田家
6. 劇場鑑賞「清須会議」  [ 日々“是”精進! ver.F ]   2013年11月18日 05:44
評定という名の戦、勃発… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201311090001/ 【送料無料】「清須会議」オリジナル・サウンドトラック [ 萩野清子(音楽) ]価格:2,625円(税込、送料込) 【送料無料】清須会議 [ 三谷幸喜
7. 清須会議  [ とりあえず、コメントです ]   2013年11月18日 12:56
三谷幸喜監督が原作&脚本も担当したコミカルな時代劇です。 これだけ俳優陣が豪華な上に、これだけ宣伝を頑張っていたら、やっぱり観なくてはと思いました(^^ゞ 日本の運命を大きく変えた会議の裏側は、欲望と騙し合いのドロドロな世界でした〜
8. 清須会議 : こんな柴田勝家初めて!!  [ こんな映画観たよ!-あらすじと感想- ]   2013年11月18日 18:55
 最近は忙しくて、ブログの更新が疎かになっています。でも、どうしても観たい映画は何としても観るつもりです。本日紹介する作品も、どうしても観たかったこちらになります。
9. 清須会議  [ 象のロケット ]   2013年11月19日 13:50
天正10年(1582年)。 「本能寺の変」で織田信長が死亡した直後の織田家の目下の課題は、跡目相続だった。 筆頭家老・柴田勝家は信長の三男でしっかり者の信孝を、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)は次男で大うつけ者と噂される信雄を、それぞれ信長の後継者として推すことに。 

コメント一覧

1. Posted by BROOK   2013年11月17日 20:50
過去の三谷作品のテイストはかなり抑え目でしたが、
最後まで楽しむことは出来ました♪
豪華キャスト陣がこれまたそれぞれのキャラにピッタリだったのは良かったのかもしれません。
実際の歴史上の人物もあんな感じだったのかなぁ…と思いつつ。


>クレジット後の銃声と勝鬨の声

これを聞かないで帰ってしまう客が多かったです。
後々の展開を予想させる演出としては、面白かったですよね。
2. Posted by 風情♪   2013年11月20日 13:56
コメント感謝です♪

確かに過去の作品と比べると三谷テイストは抑えめでしたね。
史実ものってホントにムズかしくてディフォルメ化したり、自分
なりの新解釈の色を濃くしちゃうと歴史好きとしては引いてしま
う傾向にあるなかで、限りなくマンガちっくでありながら史実を
逸脱し過ぎてないそのバランス感覚はホントに目を見張るものが
あってオモシロかったです。

クレジット後のオマケもふつうだったら映像なところを音声だけ
ってぇ演出も素晴らしかったです♪
(゚▽゚)v

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
もう、グダグダ…。
ina11

風情♪、ぷじょうと読みます。
フランスの自動車会社の
「Peugeot」とは全く関係
はございません。

kotowaru

taiyo

 
FC東京
最新コメント
最新TB
『すれ違いのダイアリーズ』 2016年5月10日 ユーロライブ (気ままな映画生活 −適当なコメントですが、よければどうぞ!−)
すれ違いのダイアリーズ
『カルテル・ランド』 2016年5月2日 ユーロライブ (気ままな映画生活 −適当なコメントですが、よければどうぞ!−)
カルテル・ランド
 

  • ライブドアブログ