2006年12月29日
第44話/第9章 再会(その4)
それからの山田は食欲も出て、血色も良くなった
愛の力だろうか、医者も首を傾げるほどだった。
美奈には、南条との事が心に深くわだかまっていた。そのことを打ち明けると山田はかぶりを振った。
「美奈、キミにはすまない事をした、俺がしっかりしていないばかりに、そんな辛い思いをさせて申し訳ないと思ってる。これからは、どんなことがあってもキミを守ってやる」
山田は、美奈が南条に抱かれたことを責めるどころか自分のせいだと言ってくれた。事実その通りだったが、美奈の心の重荷は解き放たれ、躰さえ軽くなった気がした。
山田は美奈さえ良ければ、世間がどう言おうと、一緒に暮らしたいと願った。
「直ぐに退院して、君さえ良ければ、ご両親にも会って、きちんと了解を得た上で正式に結婚を申し込みたい。勿論、大学を卒業するまでは、待つつもりだ」
この山田申し出に、美奈は天にも昇る気持ちだ。
「また、卒業まで待たなくてはいけないの?」
美奈としては、やっと高校を卒業し、しかも今や山田はフリーだ。世間がどう思うと、法的には問題無いから、もうこれ以上待ちたくない思いだった。
「きっと、君のご両親は、反対する。俺は君の御両親に解ってもらうよう努力して、祝福されて君をお嫁さんにしたいんだ。それにはお互い、時間を掛け、やるべき事をやって認めてもらうしかない。その頃は歳の差もそれ程でも無くなるから、君のご両親もきっと解ってくれると思う。それに、これからは今までみたいに、隠れて逢う様なことはしたくない。堂々と逢いたいんだ」
「それは、私も同じ。分かったわ、あなたの言うとおりにします」
〈芳恵も言ってた。人生はプラスマイナス・ゼロ。焦ることはないわ〉
ただ、以前とは違い、山田を信じてはいるが、今の美奈は自分につなぎ止める自信が無い。そこに一抹の不安が拭いきれなかった。
やがてこの不安は、別の形で現実のものとなった。

