花が好きだった母の急逝後、毎年決まった時期に咲く医院周りの花たちに母の意志を感じる。母明子なくして今の僕はない。自分があの世に行った時、母や祖父母らに労ってもらえるよう横着をせず不器用ながらも今の自身に与えられた仕事を地道にやってゆこう。

玄関花壇

令和2年12月28日年内最後の診療も無事終わった。開業4年目で早くも試練の年、今年1月下旬、武漢から端を発したパンデミックに襲われ生活様式までもが一変するとは本当にこの世の中 ”一寸先は闇” であり、さらには悲しいかな今の日本政府、与野党また公僕であるエリート官僚らに国民の生命を守ろうとする気概はなく、先人達が命を賭してこれまで築いてきたこの国の基盤の「液状化」は着実に進行中であることを痛感した1年だった。
こうして自分自身を棚にあげても言いたいことは山ほどあるが年の瀬にブログを書く程度の余裕があるのはこの1年、家族や両親そしてスタッフ、当院の関係各社の献身的なサポートのおかげであって感謝してもし足りないほどだ。本当にありがとうございましたと深謝の念が尽きない。

先日、東京駅の丸善で日本画家 東山魁夷のギャラリー展があり、新幹線の発車時刻まであまり時間はなかったものの吸い寄せられるように立ち寄ってしまった。以前からこの日本画家の緑の色彩や幻想的な雰囲気に惹きつけられ、柄にもなく以前の職場の診察室にその絵を飾ったり、時に画集に目を通すことさえある。その東山魁夷の代表作ともいえる『道』が今回のギャラリー展でのシンボリック作品として飾られていた。ただ一本道がまっすぐに広がったシンプルな絵なのだけれどそれを観賞しているとこの1年自分を取り巻く色々な事柄に対する身の振り方を自省させられるくらいの強烈なメッセージを受けてしまった。『ほんとうに勇気をもって自分の力を100%、いや120%使い切っているのか?』と…。

道

この魁夷の『道』に自分が立つことを想像し、この眼前に広がる一本道を着実に一歩一歩踏みしめながら、この長い道の途中、名も知れぬ草花に生命の息吹そして美しさを感じるような小さな恍惚感を大切にしながら一寸先は闇の混沌とした世界情勢であっても日本人として勇気をもって天命を全うするために歩を進めて行く。

御代替わりの令和元年も残りわずかとなってしまった。大人になると子供の頃と比べて1週間が、1ケ月が、1年があっという間に過ぎて行ってしまい、今年は特に光陰矢の如し、気づけば開院丸3年そして年の瀬になっていた。

今年の年頭に自分へ課した2大イベントを上半期、下半期におのおの抱えていたせいかもしれない。ひとつは、以前からお世話になっている皆川洋至先生を当地へお招きして特別講演をして頂くこと。そしてもうひとつはMRI導入、リハビリ室増築工事の着工だった。大袈裟に思われるかもしれないがいずれも手抜かりがあってはならないイベントであってこの1年の間、常にこのことが頭によぎり、あれよあれよの緊張感のある1年だったように思う。

まず上半期の大イベント、皆川先生の御講演に関しては、私が今年6月の第40回東信整形外科懇話会の当番世話人ということもあって約2年前から先生にお願いをしていた。

先生は毎週末、全国のどこかで(時には海外)講演やセミナーなどで東奔西走、八面六臂の活躍されており、この時も前日に八戸での外傷学会での講演があり、講演当日、陸路にて青森から佐久平へお越しくださった。

講演内容は、『痛み・しびれに対する最新の運動器超音波診療~マトリックスコントロールの実際〜』でエコーガイド下でのハイドロリリースによる運動器疾患に対する最新治療のお話は期待以上の秀逸な内容で日整会総会でもないこの佐久の地にて聴講できることに感動すら覚えた。講演の終盤は、旧態依然の医学教育の中でいかにわれわれ整形外科医が洗脳されてきてしまい今の治療に甘んじてはいないか?本当に患者さんに有効な治療ができているのか?などある意味、耳の痛いお話でもあった。

その中で『今の常識が明日の非常識』という言葉は、こと整形外科診療にエコーが登場し、それを駆使することで一気にその言葉の信憑性が高まったことを私自身も日常診療を通しても実感している。

講演は、あっという間の1時間でその後の質疑応答でも東信地区でご活躍されている重鎮の先生方からご質問も頂戴し、とても有意義な会にとなった。しかもご参集頂いた東信地域の先生方や医療関係者の方々皆さんらからは「勉強になった!」、「おもしろかった!」との言葉を頂戴することができ、皆川先生のいつもながら非常にわかりやすく、ユニークでしかも魂を揺さぶるお話をしてくださり、感謝してもしたりないほどだった。
皆川先生講演①

さて下半期の大イベント、というか今もまさに進行中のMRI導入とリハビリ室増築も10月より着工が始まった。

当院の日常診療においては臨床症状、身体所見をもとにまずはエコー、それだけでは評価困難なときにレントゲンで診断ならびに治療方針を決定してきたが中にはこれらの情報だけでは確定診断に至らないケースが少なからず存在する。

そこでMRIを加えることでこれらの診断をスピ-ディーに行え、また手術が必要なケースであれば近隣の基幹病院、中核病院にスムーズに紹介することができることなどを考え、無床診療所の分際ではあるものの清水の舞台から飛び降りるつもりで1.5T-MRI装置を導入することに至った。

また当院では、このところ老若男女問わずスポーツ外傷・障害の患者さんの受診を増えており、こうしたケースにMRI検査を行うことでなるべく早く診断し、治療、リハビリにつなげて安心してスポーツに復帰させることができるのではないかと思っている。

さらには医師の私だけでなく、当院の理学療法士もリハビリにエコーを活用することを常に心掛けており、今回、MRIを導入することでエコーでの答え合わせ(病態の把握)ができるだけでなく、機能解剖をふまえた上での圧痛の取り方など彼らのスキルアップにも繋がるはずである。

そして最大の利点は患者さんが当院のみでスピーディーにMRI検査まで受けれることができ、これまでのように基幹病院への検査受診の手間も減り、診断、治療までのプロセスがコンパクトになることを期待している。


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さらにリハビリ室増設にあたってスポーツ障害を含めた運動器疾患に対して従来の筋力アップだけでなく、体幹、四肢の関節可動域を改善できるようなコンディショニング器機の充実化も図っていければと考えている。

今回のことを機に私自身そしてスタッフらもこれまで以上に患者さんらにしっかりと対応できるよう準備を怠らず、当院の理念である ” 心を添える医療 " に日々精進してゆかなければならないと令和元年の年の瀬に節に思う。

最近、読んでいた本の一節が胸に響いた 『進むべき道は一筋、世のため いそぐべからず 誤魔かすべからず』、これからの当院のモットーにこれ以上の言葉はないように思う。


今年も多くの方に支えられ無事に1年を終えることができました。ほんとうにありがとうございました。

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