2002年08月

2002年08月15日

NO.13 映画の中のディスレクシア

台風が続いて来ると戦々恐々とします。このNPOの事務所になっている北青山の事務所は地下鉄青山一丁目駅から徒歩2分、周りは東宮御所、外苑の銀杏並木が見張らせる抜群の立地ですが、なんと言っても築40年の建物の最上階なので何回直しても雨漏りがするのです。
今週もポタポタと嫌な音がノ

映画の中のディスレクシア

雨の日の楽しみはビデオです。
先日、外国では見る気がしなかったといって、子ども達が「パールハーバー」のビデオをレンタルしてきました。なんと主人公の男性はディスレクシアではありませんか?パイロットになるために健康診断を受けるときに、目の検査をしながら、読めない彼に看護婦さんが「小学校に行きなおしてからもう一回きなさい」というと彼は「僕は馬鹿ではない、昔から字が読めないだけで数学や空間認知、運動能力には長けている。今僕をパイロットとして合格させないと君は国家に対して大きな損害を与えることになる」というような会話がなされていました。

ディスレクシアと言う名は出てこなかったものの、主人公はディスレクシアそのものです。

講演会の質問へのお答え

7月7日は200名以上の方に御来場いただき大変有意義な講演会を催すことが出来ました。途中でいただいた質問に関しては来月にはウェブサイト上でお答えをお載せできると思いますが、いくつかこの場を借りて参加できなかった方たちに臨場感を味わっていただきます。

1)成人したディスレクシアの人が犯しがちな日本語の間違いと称して御紹介したのが区_凶(16歳の子が手紙の宛名で書いた)杉山_山形(メスタが新聞で見て、他の人に伝えるときに「やまがた」と言った)三木_森(三本の木というイメージからか?)

それに対して英語で犯しがちな間違いは?と言う質問がありました。
メスタはいまだにPoepleなのかPeopleなのか間違えます。
今ではワープロの自動修正に登録しています。
was_saw
dog_god
bed_deb
なんていうのはよく言われます。

2)ディスレクシアの青年は自分がディスレクシアだとアセスメントを受けてほっとしたといいました。

それに対して質問は「いつアセスメントを受けるのが一番適当か?」でした。

本人の答えは「早ければ早いほど良いと思うけれど、僕は日本で小さいときに言われても受け入れられなかったと思う。それは判明しても何のサポートもなければ、そして周りの理解がなければ意味がない。」でした。

ディスレクシアやADHDを持つ本人が講演会などで発言したのは今までも余りありませんでした。彼らの勇気に感動をしたという感想を一杯いただきました。そのような中で、一日も早く、アセスメントとサポート体制を作らねばとの思いを新たにしました。



npo_edge at 00:00|PermalinkComments(0) メスタの独り言 

2002年08月01日

NO.12 アメリカは大きい

小学校の頃とっても大きく見えた小学校の机や校庭、担任の先生が卒業して同窓会などでみると拍子抜けするほど小さく見えた思い出を皆様はお持ちではないでしょうか?

私のアメリカの原体験は6歳のときフランスから6歳上の姉と日本へ向う飛行機が給油のため立ち寄ったアラスカのアンカレッジで機体の整備の都合で飛び立たなくなりホテルで2泊したときにあります。何と今はなき石原裕次郎が一緒で彼に絵本を読んでもらったりして気を紛らわした思い出と共にアメリカの朝ごはんが忘れられません。絞りたてのミルクが大きなコップになみなみと注がれ、大きなパンにたっぷりのバター、卵を3個は使ったと思われるオムレツ。

時は流れて40数年後、私もずいぶん大きくなったはずなのにアメリカはやっぱり大きかった。昼食は副会長の長田さんと半分こにしてもまだ多いくらい。服も日本ではLサイズの私でもSサイズで十分。国の中に時差が3時間、ハワイまで入れると5時間もあるなんて!ホテルの部屋も大きくて寂しいくらい。

何をいまさらといわれそうですが、原体験を再現した旅でした。

多言語、多文化下のディスレクシア

今回の訪米の主目的はアメリカ、イギリス、ヨーロッパのディスレクシア協会が共催する多言語、多文化下のディスレクシアに関する国際会議に出席するためでした。EFL、ESLを学ぶ人たちの英語教育、香港の漢字でのディスレクシア、アセスメントのあり方等興味深いセッションが続きました。中でもわかりやすいテーマでおもしろかったのはOECD加盟国で実施しているLiteracyの調査の中間発表でした。

22カ国で16歳から上の成人に聞き取り調査をしています。サンプル数は68000件。通常の日常生活で不便をしない程度のLiteracyが5段階のレベル3という測り方でいくつものテストや質問で浮き彫りになるのはアメリカ、イギリスではレベル1と2で50%になるという驚くべき数字だというのです。すべての国ではありませんがLDだと自分で申告している人の率(この場合は学校で学習で困難さを覚えていたという率)や不便を感じている程度、そして実際のLiteracyも統計で見られます。初めに簡単なスクリーニングで知的な障害者は省かれています。

識字率の意味が生活に密着した形で測られていることが重要だと感じました。その方法は例えば薬の効能書きから自分はどの程度その薬を飲めばいいのかがわかる、除草剤の正しい使用方法が読み取れるなどが設問でした。

イギリスはすでにこの調査から識字率が低いことが経済的だけではなく雇用など社会的にもどれだけの損失を国家に与えているかをポンドでしっかりと計算した上で、対応して政策とそれに見合う予算を算出しています。

OECDの重要な加盟国である日本の調査の報告がないので訊ねたところどういうわけか、我が日本はこの調査のフィールドリサーチは参加したがそのあとは何の連絡もないとスウェーデンの担当者が言っていました。是非日本でも受験用の識字ではなく生活に密着した識字率の調査を実施していただきたいと思った次第です。



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