研修生の日記KIDS&ARTS キッズ&アーツ2004春&夏

2004年04月01日

「左利き」は障害?

この度、縁あってNPO法人EDGEの仕事のお手伝いを始め、「Dyslexia」を持つ人達の苦労、努力を知った。そして、「左利き」である自分は、「左利き」は障害と思わないが、日常生活で如何に不便や努力を強いられ、且つ差別されてきたかを考えてみた。

物心がついた時から、私は「左利き」「左ぎっちょ」などと言われていることに気が付く。辞書によると「左」は「左巻き」やら、「左党―酒飲み」、「左前」等「右」とは違った意味で使われることが多い。しかし私は酒・アルコールは嗜まないし、世間で言われるような器用さも持ち合わせていない。学校もそれなりに出て、サラリーマン生活を無事終えたことからも、所謂「左巻き」とも違うように思える。

英語でもleftyは、左利きの人以外に左翼・左派の意味がある。日本やUKの様な左側通行の国についてアメリカ人は、USの通行規則が正しいcorrect-side(right)と言う。何故英語でも右が、正しい(right)のであろうか?

私は、小学校入学直後に両親と担任の先生が相談し、放課後右手で字を書く練習を行った。この補習は、担任の関沢先生のお陰で非常に楽しかった。お蔭様で、字だけは右で書けるようになったが、黒板に書くことや絵筆を持つのは左手の方が今でもやり易い。「右」・「左」の概念を覚える学習では、「右手=お箸を持つ手」「左手=お茶碗を持つ手」と教わり、いつも皆と反対の手を挙げる事に躊躇はしなかった。少なくとも自分は、お箸は左で持つのだから、他の人が右を上げようと自分は皆と違うとの意識があった。
逆の手を挙げることや「左利き」で所謂いじめにあったことは無かった。

しかし、今までの生活を振り返ってみると、「左利き」の為、色々苦労をした。小学校生活で、最も困ったのは、切り出しナイフと三角刀を使う工作であった。刃の向きが、まるで逆。工作は苦手で嫌いな科目になった。

中学では、「左用」彫刻刀を買って貰ったが、高価であった。ハサミは「右用」に左手を無理やり入れて使う為、やり難く、家庭科の運針や編み物と同じく、苦労多くして役立たず。野球をやるにも、グローブが大変。学校にあるのは全て左手にはめる、「右利き」用のものだけ。

親にねだって買ってもらったが大人用のグローブで、これまた高価。中学に進学してから、左右の違いが無いと思われるテニスを始めたが、教則本が無く、右と左を置き換えて読んだ。不思議なことに普段の練習相手が「右利き」なので、試合の相手が左だと、おかしな感じになった。相手も同じだろう。

中学・高校では、西部劇にのめり込み、映画館通いと、TV放送に夢中となった。映画では、「左利きの拳銃」等「左利き」も多いがモデルガンはともかくホルスターは左用が無く「早撃ち競技」では苦労した。TVで活躍していた元MBAスターの「ライフルマン」役者は「左利き」だったが、ライフルに弾を込める時は、やり難そうだった事を覚えている。六連発の弾込めも「左利き」の人は苦労したのではないだろうか? その為命を縮めたガンマンが居たら同情する。

最近では、PCのkey boardなど細かな動きがやりにくい。
ten keyを打つとかmouseを使い細かな作業は難しく、数字は左で入力する。
パチンコは昔の機械で、右手で微妙な打ち方のコントロールが出来ず、未だに出来ない。
カメラ(ビデオを含む)は、シャッターだけでなく殆どの機能操作・選択が右手で行うようになっている。「左利き」用のピアノなんて見た事も聞いた事も無い。
ギター、三味線などの弦楽器は、弦を逆にしても、左用の教則本なんか無い。
ポールはどうやってギターをマスターし、ビートルズを結成したのだろうか?
レコードプレーヤーを左手で操作するのは至難の技。

最近ではCDとなりユニーバーサル・デザイン化されたが、アナログ音を愛する、200枚を超えるLPコレクターにとって針を狙った場所に置くことは必須条件。
エジソンが「左利き」だったら世の中でレコードがこんなに普及したか疑問である。

社会人となって、ゴルフを薦められ始めたが道具が中々無い。
何とか左用のクラブセットを求めて、練習場に行くと一人だけ逆向きで、前の人とご対面となる。こちらは何時もの事で苦にならないが、お向かいさんは、とんでもない悲運に遭遇したようになり、あわてて場所を変えるか、やめて帰宅される。

お陰で、私はマイペースで練習に励める。しかし、右の人が使う、自動でボールをセットしてくれる機械は、左用に用意している所は、殆ど無い。近頃歳のせいか、飛距離が出ない。仲間は皆さん、よく飛ぶクラブを購入し得意げに振り回している。しかし、左用のクラブを用意しているモデルは限られている。

アメリカでも国内でも20年前は、色々有ったが、今では数モデルで且つ、高いクラブに限られる。グローブは、右手用のものは国内では殆ど入手不能。
両手用を買うか、海外で捜すかである。
同じように占有スペースが左にずれる事で困るのは、狭い食堂での食事。
左肘がお隣さんの右肘に当たる。そんな時は別に悪い事をしている訳でないのに「済みません」と言ってしまうが。左の席が空いているのを確認して座っても後から来た人に「済みません」 何とも割り切れない思い。

以上を纏めると

1)左用の製品が品揃えとして用意されていない。世間ではユニーバーサル・デザインとか言って誰でも使えるような物が増えているのに、業界は「左利き」顧客ニーズを無視しているのか?

2)左用の製品が少なく、且つ専門家用で非常に高い

3)占有スペースが異なる(左側にシフトしている)為の不都合等が、私の体験から生じた「左利き」の被差別感である。

文責:篠田文彦

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