何について考えるべきか、というテーマ、議題を与える効果。
日本語では「議題設定」効果という。
マスメディアは議題設定効果を持っている。
新聞やテレビなどが、郵政民営化なり韓流ブームなり若貴騒動なり熱心に採り上げて報道することで、多くの国民はその事柄に関心を持ったり自分なりの意見を持つようになる。
逆に、人権擁護法案やら日中記者交換協定がどうとか、マスメディア側の都合が悪くて報道されない事柄は、一部の物好きな人が自ら調査などしてやっと知ることができたりして、多くの国民の関心事になる機会には恵まれない。
マスメディアは、国民の意識をコントロールすることはできないが、国民の関心事をコントロールすることはできるのだ。
まぁ、中にはマスメディアに意識をコントロールされてしまう国民もいるかもしれないけど。
話はそれるが、個人的には土曜21時のドラマ「女王の教室」に非常に関心がある。
内容への反響の多さがニュースでも採り上げられているようだ。
ドラマ初回、真矢先生が、新年度の初日に小学6年生に対して言い放った内容・・・
「愚か者や怠け者は、差別と不公平に苦しむ。賢いものや努力をしたものは、色々な特権を得て、豊かな人生を送ることが出来る。それが、社会というものです。あなたたちは、この世で、人もうらやむような幸せな暮らしが出来る人が、何パーセントいるか知ってる? たったの6%よ。この国では100人のうち6人しか幸せになれないの。このクラスには24人の児童がいます。ということは? この中で将来幸せになれるのは、一人か二人だけなんです。残りの94%は、毎日毎日不満を言いながら暮らしていくしかないんです。もしあなたたちが、その6%に入りたければ、今から努力をして、いい成績を取り、いい大学に入るしかないでしょう。」
「あなたたちは、もう有名私立小学校に通う生徒たちからずっと遅れをとっているんです。イメージできる? 彼らはこうしている間にも、あなたたちが経験したことのないような裕福な生活をし、決して手に出来ないような、特権やサービスを受けているんです。病気になれば、順番を待たずに、一流の大学病院の診察を受けることが出来るし、朝から並ばなければ手に出来ないようなゲームだって、簡単に手に入る。ディズニーランドだって、特別の出入り口から入って、人気のアトラクションだって並ばずに、乗ることが出来るんです。」
「いい加減、目覚めなさい。日本という国は、そういう特権階級の人たちが、楽しく、幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が、安い給料で働き、高い税金を払うことで、成り立っているんです。そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるか知ってる? 今のままずーっとおろかでいてくれればいいの。世の中のしくみや、不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら、上司の言うことを大人しく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険な所に行って戦ってくればいいの。」
またも引用が長くなってしまったが、この内容は腐ったサラリーマンにとっては非常に感極まるものがある。
大人たちがタブーとして語られずにいたこと、またおそらく現場の教師の本音であろう内容など、国民に対して疑問を投げかける「議題設定」が、ふんだんに盛り込まれているということだと思う。
オフィシャルサイトの掲示板でも、初回放送当初は「放送を中止しろ」といった臭い物に蓋をしたがる意見が多く書き込まれていたが、それが徐々に好意的な意見に負けてきているあたり、すごいことだと思う。
アジェンダセッティングの良い手本ではないだろうか。
個人的に、ドラマの行方と、人々の議論に、期待したいところ。