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2007年07月23日

ジャックの大塚シェフの授業がありました

[福岡市にある中村調理製菓専門学校・中村国際ホテル専門学校「てつ校長」のブログです]

福岡にあるアルザス菓子の「パティスリー ジャック」のオーナーシェフ大塚良成さんの授業が先日、2日間にわたってありました。

大塚シェフは中村調理製菓専門学校昭和59年卒です。在校時はお菓子ではなくフランス料理にあこがれ、夏休みの校外実習には、福岡市内のフランス料理の名店「花の木」に行きました。
その休憩時に、以前このレストランのシェフを務めていた井上旭氏の料理本が置いてあったのを読み感動を覚えます。
そこで、冬休みに井上氏がオーナーシェフを務める東京のレストラン「シェ・イノ」で実習させてもらいます。ちょうどクリスマスの超繁忙期で実習も大変だったと思います。この店でもさまざまな衝撃を受けるのですが、特にデザートの素晴らしさに心を動かされ、「パティシエ」という言葉も初めて耳にします。そして、この製菓の道に進もうと決心したのです。

卒業後は福岡の「シェ・クァノ」の加野シェフの下でパティシエとしての基礎を学びます。
その後、東京の有名店「オーボン・ヴュータン」に何とか入りたいと思い、いろいろツテを当たりますが、なかなか入店の了承が得られません。そして大塚青年は、採用が決まっていないにもかかわらず「シェ・クァノ」を退職し、東京に引っ越してしまいました。
その行動に「オーボン・ヴュータン」のオーナーシェフ河田勝彦さんも驚いて、ついに同店への入店を認められたそうです。

「オーボン・ヴュータン」でも数多くの刺激を受けた大塚さんは、今度は「どうしても本場フランスで修業したい」と思うようになり、フランスのお菓子屋に手当たり次第に手紙を書き、自分の情熱を訴えます。
その中の1軒、アルザスの「ジャック」という店から返事が来て、大塚さんはそれを手にフランスに渡ります。
(なんだか、先日のテレビドラマ「バンビーノ!」を思い出させるような実話です)

さて、手紙を手に「ジャック」に行き、オーナー夫妻の面接を受けますが、労働ビザが無いために入店を拒まれます。しかし、大塚さんの情熱に、マダム(オーナーの奥様)が「入れてあげたら」と一言おっしゃり、ついに採用が決まります。日本もフランスも、マダムの発言が最重要です!

「ジャック」がどの程度の店かも大塚氏は知らなかったそうですが、実はフランスの製菓業界で知らない人がいないという名店だったのです。
その後、労働ビザも取得し、約3年間のフランス修業の末、日本に帰ってきます。
そして、福岡・天神の製菓店のシェフを務めた後、ついに赤坂(福岡市中央区)に小さな自分の店を開きます。店の名前は「ジャック」。あのアルザスで修業した名店の名前を使う許しを得ての命名でした。

大塚氏は、先日の私のブログにも書きましたように、世界的な洋菓子の協会である「ルレ・デセール」のメンバーです。日本人で会員と認められているのはわずか4人で、杉野英美氏(イデミ・スギノ)、寺井紀彦氏(エーグル・ドゥース)、川口行彦さん(オリジーヌ・カカオ)といったそうそうたる方々です。
お店の場所は創業当時と同じですが、お店の規模はかなり大きくなっています。
(現在のお店のことと「ルレ・デセール」については6月26日のブログをご覧ください:http://blog.livedoor.jp/nsg3/archives/50786493.html

ジャック1ジャック2ジャック5
↑現在の「ジャック」のお店です。右写真は店内に飾ってある「ルレ・デセール」の会員証です。

私は大塚シェフの経歴を振り返りながら、グラン・シェフが育つためには何が必要か、そして学校は学生たちのどんな点を伸ばしていくべきかを深く考えさせられました。

さて、前置きが長くなりましたが、授業は朝9時半から夕方5時までの授業を2クラス分、合計2日間にわたる日程でした。大塚シェフの「学生たちの思い出に残るものにしたい」という想いが色濃く出たもので、説明も大変詳しいもので、また学生の質問にも優しく丁寧に答えていただきました。
すべての実習を終えた大塚シェフの顔も学生たちの顔にも、充実感が浮かんでいました。

ジャック1ジャック2ジャック3

ジャック4ジャック5ジャック6

シェフがつくられたお菓子を私も試食させていただきました。
クグロフ・ショコラは酸味のあるチョコレートの味と、生地の中に入っているフランボアーズのジャムが調和がとれていて絶妙でした。
マカロン・カラメル・オランジュは、濃厚でしっかりとした味のマカロンと、これも濃厚なクレーム・ムースリーヌの味が良い相性でした。
ガレット・ブルトンヌは、発酵バターの香りが効いて、またサクサクとした生地は口どけのよいものでした。

いずれも、大塚シェフの経験と技術、それにお菓子や後輩たちへの深い想いを感じさせるものでした。
ごちそうさまでした。

ジャック11ジャック10
↑クグロフ・ショコラ

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↑マカロン・カラメル・オランジュ

ジャック7
↑ガレット・ブルトンヌ



nsg3 at 00:01│Comments(2)TrackBack(0) パティシエ | 専門学校

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この記事へのコメント

1. Posted by 芸術を愛するブタ   2007年07月23日 23:25
「パティスリー ジャック」のオーナーシェフ大塚良成さんの物語に、しばし感動…読み直して、更に感動…。
気軽に立ち寄り、何気なくシュークリームを買い「ああ、やっぱりここのが一番」などと思っているだけでしたが…。
小さくて可愛いのに、ずっしりと重量感のある、あのシュークリームには、大塚シェフの情熱や夢が詰まっているのでしょうね。
巷で人気だけれど、いまひとつ好みではなかったマカロンも「ジャック」のものを食べてから、とても好きなお菓子の一つに変わりました。
「情熱」なんて気恥ずかしいものだと思っている若者も多い世の中。中村調理製菓専門学校から、第二第三の大塚シェフが生まれることを楽しみにしています。
2. Posted by てつ校長   2007年07月24日 09:47
芸術を愛するブタ様
いつもご愛読、またコメント投稿ありがとうございます。
私は仕事柄、たくさんのグラン・シェフ(偉大なシェフ)と呼ばれる方々とお会いして、いろいろお話します。
生まれながらのグラン・シェフなんかいない訳で、皆さん、若いときはフツーの学生や見習いからのスタートです。
しかし、わずかずつですが本当にフツーの料理人やパティシエと違う努力をされた結果がグラン・シェフ、という方ばかりです。
先日も、学生たちにそのことを話しました。
「大塚シェフの学生時代と、皆さんは基本的に変わらない」と。
これからも素晴らしいシェフ達が生まれることと思っています。

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