2009年10月18日

2009年イグ・ノーベル賞

ナショナルジオグラフィックスより

 風変わりな研究に対して与えられるイグ・ノーベル賞の第19回受賞者を称える授賞式が10月1日、アメリカのハーバード大学で開催された。テロ発生時に人命を救うブラジャー、テキーラから作るダイヤモンド、パンダの排泄物を利用したゴミ削減策など、ユーモアあふれた研究内容は今年も多岐にわたっている。

◆ガスマスク・ブラ:公衆衛生賞
 公衆衛生賞を受賞したエレナ・N・ボドナー氏率いる研究チームは、緊急時にガスマスクとして使用できるファッショナブルなブラジャーを開発した。2つのカップがマスクに早変わりする方式で、粒子捕集効率の高いHEPAフィルターを採用している。

「ブラとしても25秒で着用できるが、緊急時にマスクとして使う場合は1つ5秒で装着できる。余ったもう片方は、たった20秒でラッキーな男性の命を救うことになる」とボドナー氏は話している。

 滑稽な発明だと思うかもしれないが、本人はいたってまじめである。ウクライナ人のボドナー氏が医学生だった1986年当時、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で大事故が発生した。そのときに被害者を助けた経験がこの発明の原点だという。

◆ウシに優しく:獣医学賞
 獣医学賞を受賞したのはイギリスにあるニューカッスル大学の研究チーム。名前を付けて育てた牛の方が、名無しの牛より乳の出が良くなることを証明した。

 研究に参加した家畜生産学者のピーター・ロウリンソン氏は次のように解説する。「名前を付ければ愛着が増し、手間を惜しまず世話をするようになる。ウシのストレスが軽減し、乳の出も良くなるというわけだ。実際、1頭に付き1日当たり1リットルほど増えることが確認されており、これだけ増えれば酪農家も助かるだろう」。

◆ビール瓶の乱闘:平和賞
 平和賞を受賞したスイスにあるベルン大学のステファン・ボーリガー氏らの研究チームは、ビール瓶で頭部を殴打した場合、実際にはどれほどのダメージがあるのか空き瓶と中身の詰まった瓶で比較調査した。

 法医学の専門家であるボーリガー氏は、酒場のケンカでビール瓶が与えるダメージの程度について、何度も法廷で意見を求められたという。調査の結果、ハリウッド映画の乱闘シーンよりはるかに深刻なダメージを与えることが明らかになった。空瓶かどうかに関係なく、ビール瓶で頭部を殴れば頭蓋骨が骨折する可能性があるという。

◆テキーラからダイヤモンド:化学賞
 メキシコ国立自治大学に在籍するミゲル・アパティガ氏らの研究チームは、テキーラからダイヤモンドを作ることに成功し、化学賞を受賞した。

 低コスト生産が可能で、原料のテキーラも安物で十分だという。ただし、テキーラが変身するのは光学機器や電子機器の生産などで使われる極小のダイヤモンド薄膜で、ダイヤモンドの指輪ができるわけではない。

◆銀行の膨張と関節鳴らし:経済学賞、医学賞
 経済学賞はアイスランドの4つの銀行の重役たちに贈られた。彼らは小さな国の小銀行が国際的なメガバンクへと急成長できること、そしてその逆もあり得ることを証明した。また、国家経済でも同じ理論が当てはまることを実証し、それも評価の対象となった。

 医学賞はアメリカ、カリフォルニア州在住のドナルド・L・アンガー氏に贈られた。関節を鳴らすことで関節炎が生じるのか、60年かけて究明した功績が高く評価された。アンガー氏は左手の指関節を60年間毎日鳴らし続けたが、右手の指関節は1度も鳴らさなかった。いまだどちらの手にも関節炎の症状は出ていないという。

◆妊婦のバランス感覚:物理学賞
 妊婦はなぜひっくり返らないのか。キャサリン・K・ウィットカム氏らの研究チームはこの昔からの疑問に答えを出し、物理学賞を受賞した。

 女性は3つの腰椎がくさび形に進化しているため、体重のかけ方を変えてバランスを維持できるのだという。一方、男性にはくさび形の腰椎は2つしかない。男性の体が出産に向いていない理由は多々あるが、これもその1つである。

◆違反切符、パンダの排泄物、etc.:文学賞、数学賞、生物学賞
 アイルランドの警察は“1人”のポーランド人“プラヴォ・ヤズディ(Prawo Jazdy)”に対し50回以上違反切符を書き続け、文学賞を受賞した。ポーランド発行の運転免許証には「運転免許証」を意味するポーランド語「PRAWO JAZDY」が冒頭に表記されているが、取り締まりに当たったアイルランドの警察官はこれを個人名と誤認し、ポーランド出身の人物が違反すれば誰でもプラヴォ・ヤズディ名で登録し続けたのである。アイルランド警察が真相に気付いたときには、この勘違いが50回を超えていた。

 数学賞は、独創的な通貨を採用したジンバブエ準備銀行(中央銀行)の頭取ギデオン・ゴノ氏に贈られた。同氏は1セント〜100兆ジンバブエドルという額面が非常に幅広い銀行券を発行して、国民の計算能力を世界トップレベル(推定)に押し上げた。

 最後の1つ生物学賞は、北里大学大学院医療系研究科の微生物学者、田口文章氏率いる研究チ―ムが受賞した。同氏らはジャイアントパンダの排泄物を利用して台所の生ゴミを削減する画期的な方法を編み出した。

 田口氏によると、パンダはその愛らしい見た目からは想像できないほど大量の糞(ふん)を排泄するが、その糞には生ゴミを分解する菌が豊富に含まれているという。しかも、排泄されるのはほとんどが未消化の笹であるため悪臭もない。

「悪臭で実験が難航せず良かった」と同氏は話している。


 日本人の受賞は3年連続だそうです。なかなか日本も世界レベルのユーモアを持ってきたといえるかもしれません。しかしまあこの場でいう事も無いんですけど、政治のユーモアは口だけで、実行はしないでほしいなー。

nsylvania at 21:14│Comments(0)TrackBack(1)コラム | サイエンス

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