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 コチラのレビューで書いたように、The Wonder Yearsのライブを観た後、これでライブを心から楽しめるのも最後かもなぁっていう気持ちになった自分。だからといって、ライブを楽しめなかったかといえばそんなことはなく、むしろ最後になるだろうからこそ思いっきり楽しんでやろうと、その後のライブも思う存分楽しむことができた。
 
The Menzingers
 見たのは途中から。前日に最高のライブを堪能できたから、この日は本当に気の抜けた状態で気軽に楽しめた。巨大なメインステージにも見事にマッチしていて、本当に後ろの方からでもその盛り上がりが伝わってくる。前日もかなりのお客さんがシンガロングしてるなぁって印象やったけど、この日はその10倍ぐらいの人たちが一斉に歌ってて、改めてバンドの大きさを実感することになった。すでに、バンドのレベルで言うと、メジャーに移籍する直前のThe Gaslight Anthemぐらいの大きさにはなってるんやろうな。

 セットリストは前日と順番もおんなじで進んでた。途中からみて、最後まで観れなかった自分にとってはラッキーって感じかな。大きなステージに映えるロックバンドやけど、曲の質感がやっぱりパンクロックで、そういうところが大好きです、このバンド。


Saves The Day
 日本を出国する時点で、この時間帯に見るバンドについてはもう意志を固めてた。The Menzingers,I Am The Avalancheとのカブリ。どっちも好きなバンド。それでもこの機会を逃したら、今後見れることないかもなった思って、前述の2バンドに比べると、そこまで思い入れはないSaves The Dayを選んだ。結論から言うと、観れてよかったと思うライブやった。

 曲は好きやけど、声はちょっと苦手。これがライブを観るまでにこのバンドに対して抱いてた印象。ただ、それがライブの出だしで覆った。いい意味で気の抜けた調子で、ポップな曲を軽ーく演奏する。その雰囲気に、パンクバンドとしてはちょっぴり高すぎる印象の声がピッタリとマッチする。なるほど、この調子やったらいくつになってもバンド続けられるやん!って思って、なんだか嬉しくなった。

 ポップでさらっとした曲の流れの中で、3rdの"Cars & Caories"が聴こえてきて、自分の興奮度が増す。たくさんの音源をリリースしてるけど、しっかり聴き込んだことあるのは2ndと3rdだけで。もしかしたら、その辺りの知ってる曲やってくれへんかったりするのかもなぁって思ってたから、嬉しかった。そして、そこから続けて2ndの"Shoulder To Wheel"ってのもアガったし、3rdからの選曲が多めで嬉しかったなぁ。

 セットが進むにつれて、前半のさらっとした感じから、徐々に粘り気のある世界観重視の深みのある曲へと変化していく。この辺りの構成もさすが。きっと後期の曲が中心で、聴いたことがあるわけじゃないのに、まったく退屈じゃなかったし、むしろどんどんのめり込んでいくことになった。

 そして、重みのあるギターサウンドにちょっぴり胸焼け気味になったところで聴こえてきたのは、ボーカルの"ディソングウィビカーム”の爽やかな声。名曲、At Your Funeral。歌い出しの瞬間、悲鳴にも似た歓声が会場中からあがったかと思うと、大声量での合唱が始まる。鳥肌たちました。音源で聴く分にはチープなアレンジやなぁって感じてしまうギターのカッティングも、ライブでは物凄く気持ちよく感じたし、なにより、ここまでシンプルな曲がよくもこんなに深みを感じさせてくれるなぁと、ただただ感動してた。

 At Your Funeralを聞けたということで、その後で次々と人が会場を後にするのが笑えたけど、自分はそのまま最後まで見ることに。そしたら、"Holly Hox, Forget Me Nots"をやってくれて。あの、胸がスカッとするような爽快感たっぷりのイントロが聞けた時点で感無量。

 昔とはラインナップがガラっと変わってしまってるバンドやけど、ずっと追っかけててるわけではない自分にとっては、そんなこと全く問題なかった。それよりも、若いときに甘酸っぱい等身大の曲をやってたバンドが、どんどん音楽性を変えながらも活動をずっと続けていて、今でも多くの人に支持されていて、これから先もずっと同じように活動を続けていけるだろうバンドの姿を見ることができて、本当に感慨深かったし、胸を打つものがあった。



Chunk! No, Captain Chunk!
 ヨーロッパでの人気っぷりはいかに?と気になって、チョロっとだけ見物。ただ、予想してたような盛り上がりはなく、逆にびっくり。やっぱりあの音楽性とバッチリ合うのはアメリカの方なんやろうなぁ。というか、このフェスのお客さんの趣向に合ってなかったってのが本当のところなのかな。唯一屋根のない完全なる屋外ステージで、音が流れしまうのは、こういう手のバンドにはかわいそうやったなぁ。あと、地域によってはフランス語も使われるベルギーで英語をしゃべってたのもびっくりした。まぁ、それだけワールドワイドなフェスやったってことやね。
 

The Lawrence Arms
 こちらも後ろから2,3曲見物。シンプルで力強いパンクロックが好きとか言っときながら、このThe Lawlence Armsとか、Alkaline Trioとかをしっかり聞きこんだことがないっていうね、自分。いやぁ、風格と勢いがものすごかった。これこそがパンクロック。これはチェックしないとなぁって思ったライブやった。


Iron Chic
 絶対ライブ動画を見ないようにしているバンドがいくつかある。それは、初めてライブで観たときに最大限に興奮したいから。Iron Chicもそんなバンドの一つやった。そして、念願の初ライブ。始まる前から荒ぶる。そして、登場したのは、ずんぐりむっくりのボーカル。ん?ギターとか持ってないの?まさかのピンボーカルに驚きあわてる。音からして、絶対ギター弾きながら歌うと思ってたんやもん。

 去年、新譜をリリースしたから、そっからの曲が多いのかなぁとか思ってたら、アルバム「Not Like This」のオープニングを飾る"Cutesy Monster Man"でスタート。うおー!!!!!!そう叫びたくなるほどの興奮が、シンガロングする歌声となって観客席全体から湧き上がる、あの瞬間。いやぁ、本当に今でもあのとき体中を駆け巡ったゾワゾワは忘れません。なにせ、あの曲を聴くたびにそのときの感覚がよみがえってくるからね。

 ボーカルの凄まじい声量にも本当に驚かされたし、感動させられた。なんか、パンクロックバンドやのに、一人のシンガーかのように気持ちよさそうに歌ってて、そこから聞こえてくる声が気持ち良すぎて。あと、他のメンバーも本当に楽しそうに演奏するんよなぁ。まぁ、あれだけみんなが自分たちの演奏に合わせて歌ってくれたら、楽しくてたまらんやろうけど。

 興奮しすぎて、ほとんどやった曲とか記憶にありません。でも、ひたすら盛り上がってたなぁ。みんな全曲シンガロング。"Every Town Has An Elm Street"のラストのパートのシンガロングとか、そらもうたまりませんでしたよ。空を飛んでるような気持ち良さ。

 ラストは爽快感全開で走り抜ける"Time Keeps On Slipping Into The (Cosmic) Future"。ラストのシンガロングパートのグググーンっていう盛り上がりは、まるで自分の体が川に流されているかのような気持ち良さ。うん、本当によかったライブって、何にも余計なこと考えずにただただ楽しんでるから、ちゃんと文章で説明できないですね。とにかく最高のライブやった。


B00EUMC1HENot Like This
Iron Chic
Dead Broke 2013-10-28

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