248: 癒されたい名無しさん 2007/04/06 01:26:53 ID:cM8DzYDd
まだ俺が19歳で慣れない仕事を自分なりに一生懸命にこなしていた頃、俺は必氏だった。 

6歳で母親を亡くしてからは施設育ちだった俺は、父親の顔を知らない。 

施設での生活はそこまで悪くはなかったが、出たからにはもう一生施設の世話になりたくなかったから、(俺のいた施設では退所後もしばらくは監視される) 
早く一人前になって一人で生きて行こうという思いが強かった。 

1番困ったのは自炊だったが、それも何とかこなしていた。 
そんなある日仕事で重大なミスを侵してしまい、上司にきつく怒られてしまった。以前も同じミスで怒られたばかりだったので、上司は怒り狂い 
『こんな事でヘマをやってどうすんだ!…だから親のいない奴は嫌だったんだよ。』 
と吐き捨てるように言われた。 

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上司のその言葉につい腹を立ててしまい、俺はそのまま会社を飛び出して家に帰った。
 
249: 癒されたい名無しさん 2007/04/06 01:52:54 ID:cM8DzYDd
家に帰って怒りを堪えていたら、テーブルに置いていたきんぴらごぼうが目に入った。 
俺が昨晩作った物だ。いつも自分で作った物は味が薄くて不味かったなぁ。 
そんな事を考えていたら、急に自分が情けなくなってきて、涙がポロポロと溢れてきた。 
母親の事はあまり覚えていなかったが、料理が得意だったのを覚えていた。 
特にきんぴらは絶品だった。自分は少なくとも幼少時までは母親にちゃんと育ててもらっていた。 
そう思っていたから悔しくて腹が立っていたはずなのに、この不味いきんぴらは何だ? 
母親の作った味も覚えてないなら、結局は上司の言う通りなんだなと思ったら涙が止まらなかった。 
そのまま馬鹿みたいに泣いているといつの間にか寝ていたらしく、夢を見た。 
それは小さい頃の自分と母親が一緒に台所に立っている夢だった。 
包丁でせっせと野菜を切る母と皮を剥いている俺。

250: 癒されたい名無しさん 2007/04/06 02:09:37 ID:cM8DzYDd
母親はやけに楽しそうだった。 
『ゴボウはね、炒める時にこうやってね…』 
と俺におはしを握らせて後ろから母親が手取り足取り教えている。 
『それで隠し味に…』 
俺はこの瞬間に目が覚めた。 
びっくりしてしばらく放心状態だったが、時計を見て慌てて仕事へ向かった。 
『どうか仕事を続けさせて下さい!』 
と上司に必氏で頭を下げてまた小言を言われた挙げ句、ようやく仕事を命じられた。 
その仕事は今も続いている。 
夢で見た内容は結局は自分で念じただけかも知れない。 
でも確かに自分の中にも母親との記憶が残っていた事が嬉しかった。 
ちなみにきんぴらは未だに美味く作れない。母親が隠し味を教えてくれなかったからw 
それでも随分うまくなったと思う。隠し味は何だったのかは分からないままだけど 
『負けるな。』 
母親がそう言って背中を押してくれた気がしている。 


自己満足でごめんね。

251: 癒されたい名無しさん 2007/04/06 03:37:38 ID:q4jH5aDe
いい話だなぁ。こういうの好き。心に染みました。 
ありがとう。

253: 癒されたい名無しさん 2007/04/08 23:23:18 ID:524C64Yt
>>248 
泣いた。

272: 癒されたい名無しさん 2007/05/06 03:17:23 ID:h2hzBHfj
>>248 
最初はなんか狙いすぎの言葉選びが鼻についたが、最後はウルッと来た

255: 癒されたい名無しさん 2007/04/09 07:08:02 ID:nvSAGPIA
家族いない身としては家族ネタ嫌だな。

256: 癒されたい名無しさん 2007/04/09 17:49:17 ID:hscKx620
>>255 
泣いた。

引用元: 【泣ける話】