1999年01月30日

こなし山荘 長野県

仕上げ:土しっくい 作業内容:内装

こなし山荘




塗り壁隊活動記録        03
May21, 2000
新宿 キャラバンホテル
参加者数25
内部 土しっくい

2回目の作業はいきなりカフェバーのお店の内壁を土壁にする作業となる。恐いもの知らず、大胆な企画である。
日曜の早朝、新宿の街の一角に隊員、約20名が集まる。まず、作業説明をするが私を含め、みんな緊張気味である。カフェバーは土曜日がオールナイトでつい先ほど、夜の明けた6時過ぎに客が出てクロウズになったばかりである。塗り壁隊の作業は今から、夕方の8時にオープンするまでのわずか14時間のみである。
あらかじめ、下地作りが同時進行のため、工務店と左官屋さんに手伝いを頼んでおいた。左官屋さんはつるつるのコンクリートの上にラス網を張ってうすくモルタルを塗って行き、塗り壁隊はモルタルを塗った後から、少しモルタルが固まったのを見計らって、そのうえに土しっくいを塗っていくという余裕の無い段取りである。
モルタルをつるつるのコンクリートにどのようにして塗り付けるかが工夫のいるところである。しかし、工務店と左官屋さんが用意していたのは両面テープとラスを引っ掛けるピンであった。時間もなく、無理を承知で作業を進めるしか無い。今日の夕方には土壁が塗られ、ちゃんとイスとテーブルが元通りになって店が開かれるまでに復旧していないといけないのである。
工務店と左官屋さんにはラスモルタル下地を進めてもらうよう頼んでおいて、塗り壁隊は作業に取りかかった。参加者は全員、作業は未経験、しかも、若い元気のいい女性が半数以上を占めている。道路に車を停めて、1階の建物の入り口のそばにちょうど土練りができるだけのスペースがあったのでそこで材料を練って2階にバケツで運びあげる。左官屋さんがモルタルを塗った後を少しだけ間をおいて土しっくいを塗っていく。とにかく恐いもの知らずなのでどんどん塗る、昼休みもそこそこに2階から3階へと塗っていく。
夕方近くなっても作業はつづく、やっと8時前、開店まぎわに全ての壁を塗り終えた。かたづけ、イス、テーブルを元の位置に戻してから、カフェバーの一角のテーブルで冷えた生ビールをごちそうになる。
この作業は実はこのあとで落ちがつくことになった。例のつるつるのコンクリートとモルタルのくいつきの問題があとあとでとんでもない事態を引き起こしたのである。
作業が終わって2週間ほどたったある日にオーナーから電話が入ってきた、どうも壁が動いているらしい、連絡を受けて、お店にいって壁をさわると上部のほうで完全にはく離して、土壁全体が下地のコンクリートの壁面から離れて2〜5?浮いて、さわると動く。ただし、下地のモルタルが硬化しているので、1枚の薄いせんべいのようになっているので部分的な剥落という事態には至っていない。オーナーには状況の説明をし、1ヵ月後に土壁がしっかりと固まるのをまってから補修するので、それまでは我慢して使って頂くよう、お願いする。
1ヵ月後、真夜中の12時過ぎて店が閉じるの待って総勢5人で補修作業をする。明け方の6時には再び店は開けられるので、わずか5〜6時間しか補修作業の時間はない。
まず、ドリルで土とモルタル、コンクリートに穴を開け、ビスをもみこむ。ビスには座金をつけてあるのでこれがラス網を引っ掛けてコンクリートと密着するわけである。穴を開けるときに振動で土が崩れないように左右から座ぶとんで土壁を押さえ付けておく。ビスをもんだ後は穴があいているので同じ土しっくいで埋めていく。穴のッピッチは約60?なのでこの作業を繰り返していく。修復作業が進んでいくと壁全体にポツポツと水玉模様が現れてきた。無事、補修作業は夜明けの開店時間までに終えることが出来た。





塗り壁隊活動記録        001
Spring, 2000
プロローグ
塗り壁隊は2000年春に発足した。しろうとによる土壁を塗る集団である。
発足以前は土壁塗りの勉強会やワークショップをこれまでに数回行なってきた。出来上がった土壁が予想以上に美しく魅力的なもので、しかも、しろうとでも十分に塗れるものであることが分かった。ワークショップでは1回限りとなってしまう、なんとか自立した継続的な活動にしたいと考えた。名前は分かりやすく、塗り壁隊と決めた。
発足会には6〜7人が集まり、以下のような塗り壁隊の活動の基本的なコンセプトをつくった。
しろうとであること
自然素材の土と石灰を材料とする
参加した隊員が楽しんで作業できること
作業はオーナーの自力工事を塗り壁隊がサポートする形とする
単なるボランチアとは違い、作業代をオーナーは塗り壁隊に支払う
隊員には誰でもなれること、会費、参加費は無料とする
隊員は手弁当で作業に参加する


こうして塗り壁隊は活動を開始したのである。
春、日比谷公園で行われたアースデイに参加、土、日の2日間、たたみ2枚分のベニアを立て掛けて見学者に実際に土をこてで塗ってもらった。
なかでも若い元気な女性達が最も興味を示した。この時の体験者の中から塗り壁隊の初期の作業の中心となっていく隊員が生まれていった。

発足してまだ数カ月しか立たない夏に塗り壁隊は新宿のど真ん中でいきなりカフェバーの店内を塗る事になった。店はキャラバンホテルという名前の1970年代の新宿のふんいきを残したなかなか、堂々としたカフェバーである。店内のメインの壁と天井の一部を塗る事になった。塗り壁隊が実際に土壁を塗るのは初めてであり、無論、隊員はすべて土壁を塗った経験は無い、そして、作業は店の閉まっている日曜日の明け方6:00からその日の夕方の7:00までのわずか12時間あまりという厳しい条件のなかで行わなければならなかった。



活動記録
塗り壁隊フントウ記
塗り壁隊は行く!
企画説明書

2000年春、結成から2010年まで
10年間に及ぶ素人左官集団
塗り壁隊の活動記録である

素人の左官集団 塗り壁隊の活動記録をまとめたものです。
塗り壁隊は結成以来、10年間で全国各地70ケ所余りの壁塗りの作業を実際に行ってきました。
この中から約半数にあたる作業の記録を文章と写真によって作業風景、仕上がった壁、作業の内容をまとめ、ビジュアルに追っていきます。失敗を重ねながらも、めげず、土壁塗りの要領を1つずつ手に入れていくプロセスです。
塗り壁隊が塗るのは、生石灰と土を混ぜた、土しっくいと名付けた土壁と、石灰を水で溶かした石灰クリーム壁の2種類に限定しています。自然素材そのものである、土と石灰にこだわっています。
素人の左官集団が実際に現場に行き、塗り壁の作業を8年間にわたって行なってきたのは塗り壁隊が初めてのことです。この貴重な体験をここでまとめ、社会に衆知したいと考えます。


塗り壁隊は行く! 第2弾、第3弾として、
土壁の話(約200ページ)
 塗り壁隊オープン事務局便り(創刊号〜300号)
を準備しています。

  

Posted by nurikabetai at 14:41Comments(0)TrackBack(0)