本作品は、「元殺人犯が刑期を終え出所、人生をやり直す」という話です。

まっすぐな性格で、困った人を見過ごせない。人懐っこい笑顔で笑う一面と、カッとなると狂暴的になる一面を持つ男を、名優・役所広司が演じています。

この男が『すばらしき世界』で、どう生きていくのか…。

『すばらしき世界』です。



監督:西川美和
出演:役所広司、仲野太賀、六角精児 他
公式HPは、こちら。


あらすじ
殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、テレビディレクターの男とプロデューサーの女が近づいてくる。彼らの真の目的は、社会に適応しようとあがく三上の姿を番組で面白おかしく紹介することだった。まっすぐ過ぎる性格であるが故にトラブルの絶えない三上だったが、彼の周囲にはその無垢な心に感化された人々が集まってくる…。


感想(ネタバレしてる…どうだろう?)

原作は、直木賞作家の佐木隆三が、実在の人物をモデルにした作品『身分帳』で、主演の役所広司は、本作品でシカゴ国際映画祭の『ベスト・パフォーマンス賞』を受賞しました。

役所広司の演技を、いまさら疑うことはないのですけど、古い歴史を持つ映画祭で「最も良い演技をした」と評価された本作での役所広司は…よかったですねぇ。

強面の男が、なんとかカタギの人間になろうと、七転八倒する姿は、当人が至って真面目にやっているので、スクリーン越しでみると、コミカルにも見えつつ、時には同情してしまいました。

それほど、スクリーンのなかの世界は、出所した元殺人犯には、生きづらそうに映りました。

それでも、最後には『すばらしき世界』が、垣間見えます。

話の流れは、ハッピーエンド。

星空を見上げる三上(役所広司)の顔が、あまりにも素敵に見えてホロっときたり、三上のアパートでの就職祝いにホロっときたり、大変でした(笑)。

ハッピーエンドっぽかったんだけど…話は、少し違う方向に向かいます。

まっすぐな性格を捻じ曲げてまで、社会で生きていこうとしたのに、あのラストは…。

『頻涙』の『nutahachi』には、辛過ぎました。

とても良かった作品で、満足しました。


あとがき

『nutahachi』は、作品をより深く理解しようと、映画館で観た作品は、かならずパンフレットを購入するのですが、本作のパンフレットには、脚本の決定稿が記載してありました。

なかなか目にするものではないので、興味のある方は、購入してみてはどうでしょうか。

映画ファンのみならず、脚本を書く仕事に興味のある方にも、おすすめします。

今日のところは、ここまで。

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