223: 本当にあった怖い名無し:2012/10/05(金) 02:46:31.66 ID:12Bm0C9z0
腐乱死体
伯父と父は子供の頃、祖父の貿易関係の仕事で香港の港町で2年程暮らした。

当時中国の文化大革命で殺された犠牲者が大陸の河から流れ下り、よく海岸に漂着する事が
珍しくなかったそうだ。父も伯父も死体を最初は怖がったが頻繁に流れてくるようになり
次第に慣れて腐乱した犠牲者を棒で突いたりしてイタズラするようになっていた。
ところがある時調子にのった伯父が死体の顔を蹴飛ばした時…

「オ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーォ……」

死体の口が開き鳴いた…。死体の腹に溜まったガスがゲップの様に出たのだと
伯父は言っていたが父はとてもそんな感じはしなかったそうだ。

その日の夜、父が目を覚ますと布団を頭からかぶり寝台の下で震えている伯父がいた。
どうしたの?と伯父に尋ねようとした時、昼間にみたあの口を開いた腐乱死体が
伯父の勉強机の上で正座しているのがみえた…。

その腐乱死体は小刻みに震えながら、「オ゛…オ゛…」絞り出すように声を出していた。
それを見た父は大声で悲鳴をあげ泣いたので、祖父と祖母が飛び起きて来て
二人ともわんわんと泣きつき朝まで震えて過した。
次の日、事情を知った祖父と一緒に犠牲者があがった海岸に線香と花を供え
二人は冥福を祈り二度と犠牲者にふとどきな事はしなかった。

日本に帰国し伯父はその後…
織田無道みたいに派手な外車を乗まわす、しょーもない坊さんになったが
その傍ら身元不明の遺体を引き取り、永代供養する奉仕活動をずっと続けている。【おわり】


33:1/2:2009/09/12(土) 16:39:20 ID:/rljoh/Z0
手首
3ヶ月ほど前の出来事。

新宿の某百貨店の地下道を通って某大型書店へ通じる地下道があるのだが、その道を歩いていた時の事。
通路に入って暫らく歩いていると、床と壁の間くらいのところに人間の手が見えた。

なんと説明したらいいのか…壁から手首から先が生えているとでも表現したら
いいのか、「置いてある」という風には見えなかった。
作り物にも見えず、非常に生々しく今にも動きそうな手だったが、とくに血の跡などが
あるわけでもなく、ただ壁のかなり下のほうに手がだらんと垂れ下がっているだけだったので、
俺は「きもちわりーな…誰の悪戯だよ」と思いながらそのままスルーして通り過ぎた。
特にその日はそれだけで何もなかった。

そんな事も完全に忘れて1週間ほどたった頃、俺はまたその地下道を通って某書店へ行く事にした。
地下道は場所が少し辺鄙なところにあるため、普段あまり人通りはないのだが、その日は
俺の前方に20代中盤くらいの女の人が歩いていた。

地下道の書店側出口は地上へでるエレベーターになっており、女の人が俺に気付かず乗ってしまうと
エレベーターが戻ってくるまで待たないといけないので、少し早足に女の人を追うような形
で歩き始めた時ある事に気が付いた。

その女の人には左腕の手首から先がなかった。
俺はその瞬間先日の事を思い出したが、「まさか、偶然だろ」とそのまま女の人と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
俺が1階のボタンを押したのだが、その女の人はボタンを押す気配が無い。
「まあ俺と同じく1階で降りるんだろう」とそのまま1階に到着するのを待ったのだが何かおかしい。
普通なら1階までは30秒程度で到着するのだが、エレベーターが動いている気配はあるのに
いつまで経っても1階に着かない。

続く



34: 2/2:2009/09/12(土) 16:40:22 ID:/rljoh/Z0
続き

「おかしいなぁ」と思いながら何となく天井辺りを眺めていると、俺の斜め後ろにいた
女の人が急にボソボソと何かを呟き始めた。
最初はよく聞き取れなかったので、俺は「気もちわりぃなぁ」くらいにしか思ってなかったのだが、
女の人の呟き声が段々と大きくなってきて、はっきりと聞き取れるようになった時、俺は背筋が寒くなった。

女の人はずっと俺の後ろで「どうして左手がないか知りたい?」と繰り返し呟いていた。
俺は必死で気付かないふりをしていたのだが、
なぜか未だにエレベーターは1階に到着
しない、もう1分以上経っている。
明らかに異常な状況で俺は全身に嫌な汗をかきはじめ、必死で気付かない振りを
しながら「早く1階についてくれ!」と心の中で言い続けた。

それから更に1分ほどこの状況が続いたが、一向にエレベーターのドアが開く気配が無い。
俺は嫌な汗をかきながら1階のボタンを何度も押し続けた。
すると、今度は女の人が俺の後ろでクスクスと笑い始めた。

俺は耐え切れなくなり、「何なんだよ!」と言いながら後ろを振り向いた。
かなり強い口調で言ったのだが、女の人は全く動じずうつむいたまままだ笑っている。
その時、やっとエレベーターが1階に到着しドアが開いた。

俺は助かったと思い、早足に外へ出ようとすると、女の人が俺の去り際にこんどはこう呟いた。
「私の左手見たよね?これで終わりだと思う?」と。

何か思わせぶりだったが、あれから3ヶ月、特に俺におかしな事は起きていない。
ただ、あれ以来あの地下道は通っていない。
二度と通る事は無いだろう。
そもそもあの女の人が人だったのか、それとも「それ以外」だったのかすらわからないが…

終わり



102:
:2009/09/13(日) 02:32:11 ID:wrOFdkJNO
霊遊び
もうだいぶ昔、浮遊霊様っていう遊びにハマっていた時期がある。要はコックリさんの類。

名前なんて何でも良かったし、コックリさんをやっても、
どうせ近寄ってくるのはそこら辺の浮遊霊という話で、誰かが悪ノリして付けた名前だったと思う。


ただ、10円玉で試みて全く動かなかったことが度々あって、
エンジェル様だかキューピット様のようにシャープペンを使ってやっていた。これが面白いように動く。

友達がいっていたのだが、コックリさんの類に自分の寿命を聞いちゃいけないらしい。
それでも、やはり自分の未来については知りたいところ。

ある日、未来についての質問もネタが尽きかけていた時、こんなことを聞いてみた。

「俺はこの先、どんな人生を送りますか?」

カーテンを締め切り、蝋燭の光が不気味に揺れている薄暗い俺の部屋、
そこにはいつものメンツが四人。シャープペンがスルスルと動く。


『…て…ん…ら…く』

部屋の温度が少し下がった気がした。

「てんらく…転落?この先、転落人生ってことかよ?」

友達のひとりが笑ったので内心かなりブルーだったのだが、おどけたり悪態をついたりして見せた。
すると別の友達が、少し慌てたように、おい、あまりふざけるな、ヤバイって、と声を荒げた。
少しの沈黙の後、ついさっきまで俺を笑っていたはずの友達が、何の前ぶれもなく、
俺達四人のど真ん中に向かって大量のゲロを吐き、それは儀式に使われていた紙を中心に広がっていった。


その後は軽い地獄絵図。すっかり気分も萎えて、解散することに。
遠足のバスでの惨劇などを思い出しながら、『部屋の掃除ダルイなぁ』などと自分の哀れんでいると、
派手に吐いた友達が両脇を抱えられて外に連れ出されたのを見計らって、ひとりの友達が真顔で近づいてきた。


「だからヤバイって言っただろ?どんな浮遊霊だか地縛霊が来てたか分からないんだぞ?
タチ悪いのだったらどうする。しばらくは部屋の四隅に盛塩でもしとけよな」


その友達は、自称『見える人』だったが、見えない俺には、否定も肯定も出来ない存在だった。その時までは。



104: :2009/09/13(日) 02:33:45 ID:wrOFdkJNO
その夜は本当に寝苦しい熱帯夜だった。汗だくなのに、
頭からつま先まで布団をかぶって、みの虫状態。もう何時間こうしているだろう。

『盛塩しとけ』…そんなことを言われると、微かな物音でさえ、不吉な者の仕業に思えてしまう。
真に受けて、その盛塩を実行してしまったのだから尚更だ。

布団から足を出したら冷たい物に触れてしまいそうで怖い。

コンコン

静寂の中、不意に『何か』が窓を叩き、控えめな音とは裏腹に、
心臓を撃ち抜かれたような衝撃が走り、体が脈打った。


コンコンコン

その音がかき消されるくらい、鼓動は激しく鳴り響いていた。

ドンッ

体がビクッと脈打って、情けない吐息混じりの声が漏れそうになり、慌てて両手で口を塞ぐ。

ドンドンドンッ

これまで幽霊や呪いなど半信半疑。生涯そうだろうと思っていた。
その分、この現象に対する衝撃は大きかった。

その音に対して、脳はフル回転で現実的な原因を検索している。酔っ払い。変質者。友達の悪戯。
しかし、どう頑張っても脳裏に浮かぶのは、浮遊する人型の物体が窓を叩く絵図だった。
二階にあるこの部屋の窓を。



106: :2009/09/13(日) 02:39:49 ID:wrOFdkJNO
どのくらい経っただろうか。いつの間にか窓を叩く音は消えていた。
布団の隙間から部屋の様子を伺う。真っ暗な部屋。
布団の中には、吐いては吸った生暖かい二酸化窒素が充満していて、死ぬほど息苦しい。
もう限界だ。意を決して布団から頭を出してみる。
別にたいしたことはない。見慣れた部屋だ。

時計を見ると蛍光針の位置が二時半の辺りを指していた。まだまだ朝は遠い。
だが恐怖心はピーク時の半分以下。

しかし小さな物音ひとつで、あっという間にピークに逆戻りするだろう。
そう思うと、まるで爆弾を抱えているような気分になった。


毎晩、こんな恐ろしいことが続くのだろうか。これからずっと…。いや、化け物の仕業とも限らないぞ。
再び現実的な原因を探してみる。今度は冷静に。
『やっぱり、あいつらじゃないのか?』数時間前までこの部屋にいた友達三人が、
ハシゴに乗って窓を叩いている姿を想像して思わず笑いそうになった。

ひとりがハシゴの上、残りの二人はハシゴを押さえている姿だった。
それぞれ笑いを堪えながら。

『やりかねない。だから盛塩なんて言ったのか。ビビらせる為に』

もう物音がしたところで怖くなんかない。
ガバッと上半身を起こした。大量の汗で、パジャマが体に貼り付いて気持ち悪い。
窓を見ると、曇りガラスの向こうは真っ暗で、何のシルエットもない。

忍び足で窓の側まで近づき、耳を澄ませた。外からは何も聞こえない。何も気配を感じない。
『あいつら、もう帰ったのかな』
少し寂しくなった。
ゆっくり窓の鍵をあけ、音を立てないように、少しだけ窓をあけた。
そしてその隙間に片目だけ近づけて、外の様子を伺う。


窓の外から同じように片目が覗いていた。
「うわあああああああ」
俺は悲鳴をあげながら大きく仰け反り、腰を抜かした。



107: :2009/09/13(日) 02:41:44 ID:wrOFdkJNO
腰を抜かし床にへたれ込んだ状態で窓を見上げると、長い髪の『それ』は、
足場がないはずなのに、その空間で直立して、顔半分を窓の隙間に密着させていた。
俺を見ている。血の通った人間の目ではない。ニヤリと変形した口元。歯がなく、血が滴っていた。


「…どけて…」

喉が潰れているような声。
その女は右の掌で窓をさすりながら言った。その手は曇りガラスの向こうで真っ赤に滲んでいる。

「…どけて…どけて…」

盛塩のことだろうか。どけたらどうなる?想像もしたくない。

「…どけて…入れて…」

自分の楽観視を心底恨んだ。息苦しい布団の中で耐え続けて窒息してしまった方が幸せにすら思える。

「…入れて…入れて…」

真っ赤な右手は、次第に激しく窓を叩く動作へと変わった。
耳を塞いだ。それでも何の変化もなく聞こえてしまう。
そして強く目を閉じた次の瞬間、誰かが肩を叩いた。
心臓が止まるか止まらないかの狭間で、聞き覚えのある声が聞こえた。


「どうしたの?そんなに叫んだら近所迷惑でしょ」

肩を叩いたのは母親だった。息を切らせながら恐る恐る窓の隙間に視線を向けると、
そこには人影もなく、残り少ない静かな夜が刻まれていた。




108: :2009/09/13(日) 02:42:37 ID:wrOFdkJNO
それからは真夏でも夜は雨戸を閉めるようになり、盛塩も続けていた。
あの女の霊についても思うところがあった。
たぶん自殺者の霊なのかも知れない。それも飛び降り自殺。

うちの近くにはT団地という、ちょっと有名な飛び降り自殺の名所がある。
自殺を望む人が、わざわざタクシーに乗って、そこまで訪れる、なんて噂まであった。

幸い、あの女な顔は半分だけしか見ないで済んだが、もしかしたら、もう半分はもっと損壊が激しくて、おぞましい顔だったのかも知れない。そう思うと背筋に冷たいものが走る。

それに『てんらく』という文字も、飛び降り自殺と無関係とは思えない。
何よりその文字に自分の未来を案じずにはいられなかった。



117:
本当にあった怖い名無し:2009/09/13(日) 03:19:57 ID:RU+NBb3U0
>>108
これは乙と言わざるを得ない。
ネタも怖いが、書き方もスマートで怖さを引き立ててていると思った。



327:
本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 00:01:22 ID:L9yXi1SQ0
躁鬱
私の父は躁鬱を持った人でした

私が結婚すると決まって両家が初めての顔合わせの料亭での食事会の時
なにか楽しい話をしなければいけないと気張ってしまったのでしょう
私は父が50の時の子供ですので、父が大学生(今の大学という物はありません)
の頃 学生だったことと年齢ぎりぎりで赤紙は貰わずにはすみましたが
勿論食べ物には大変困る時代だったようです

その学生時代の話をし始めてだんだん興奮して躁になってしまったのでしょう
笑いながら「あまりにもお腹がすいたので罠を張り猫を捕まえてそれを食べた」
と言ったのです そんな話は聞いた事もありませんでしたし、あまりにも不謹慎なので
びっくりし、そしてあちらのご両親になんと思われるかと眩暈がしました

父ははっとしたようにしばらく黙り 手をブルブル震わせながら
「む、娘を宜しく御願いいたします 御願いいたします」と言って席を外しました
母も私も「お父さんたら変な冗談を言って・・申し訳ありません」と謝り続けました
父がなかなか戻ってきません
心配になり婚約者と共に探しに行きました

父はネクタイで首を吊っていました

本当ならば結婚など出来る状況ではありませんでしたがお腹の中に子供がいたので
式もあげず籍を入れ子供も産みましたが 子供が父そっくりの顔をした男の子で
私がどうしてもその子を愛せません



331:
本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 00:18:27 ID:OfYQHzrM0
>>327
これはなかなか辛い経験だな…。orz
お父さんとしても娘の為に盛り上げたかったんだろうけど、病気だったんだからね…。

娘を持つ父親の立場からするとお父さんの気持ちもわからなくはないけど、
発作的にそこまでやってしまうほど自分を追い詰めてしまったのか…。
やりきれん…。しかし息子さんの件は確かに繋がってないような?



338:
1/3:2009/09/14(月) 00:29:43 ID:nj4Acrhf0
障子の穴
子供(小学校高学年)の頃の話。


当時、自分の部屋は、畳と障子のバリバリの和室で、布団を敷いて寝る生活だった。

ある晩、高熱を出して寝込んでいた自分は、真夜中にふと目が覚めた。
寝込んでるときって日中もずっと寝てるから変な時間に目が覚めるんだよな。

当然、電気も消えてるし障子も閉め切ってるから、部屋の中は真っ暗。
でも真っ暗な中でも、目が慣れてくるとある程度(外の明かりもあって)
部屋の様子が見えてくる。そんな状態で、ぼーっと寝たまま障子の方を見ていた。

なんだか、部屋の様子が変な気がした。
いつも見慣れてる自分の部屋なのに、どこか違和感がある。ゲシュタルト崩壊とは
また違う、なんともいえない違和感があった。

で、気づいたんだ。自分の部屋の障子は、自分で開けてしまった穴が何箇所かあったんだが、
心なしか、その数が多いような気がした。
おかしいな、こんなに穴って多かったっけ、そう思って穴の数を数えだしたんだよ。
高熱で、寝起きのぼーっとした頭で。



340: 2/3:2009/09/14(月) 00:30:46 ID:nj4Acrhf0
明らかに、普段知ってる穴の数より多かった。普段3だとしたら7ぐらいまで増えてた。
さすがにおかしいだろ、ってことでもう一回数えようとしてたら

ぶすっ

と穴が開く瞬間を見た。
一瞬凍りついた。障子の外側は窓ガラスになってて、当然ガラスも閉め切ってる。
外から何か(誰か)が穴を開けるなんて有り得ない。混乱しながらどうすることも
できずに障子を見ていると、また

ぶすっ

と別のところに穴が開いた。怖くて飛び起きようとしても、高熱のダルさなのか
何なのか、起き上がることができない。もう障子の方を見たくない、でも背中を
向けるのも怖い、どうしよう、と思ってたら

ずぼっ

と、一気に五箇所、穴が開いた。まるで五本指をそのまま突っ込んだみたいに。
そして、五箇所の穴がそれぞれ下方にどんどん広がった。突っ込んだ五本指を
使って、障子を裂いていくみたいに。

実際に障子に五本指突っ込んで下方向に裂くと、きれいに五本筋はできずに、
途中からまとまって破けてしまうのはイメージできると思うけど、そのときも
まさにそうなった。まとめて結構な面積が破れた。

もう半泣きで、でも障子から目を背けられずにいると、破れてできた大きな
穴から、真っ黒い、長い髪の毛が垂れてきた。もう外の窓ガラスが閉まってる
とか閉まってないとか、そんなことは関係なく、幽霊がすり抜けて入ってこようと
してるんだと思った。髪の毛はどんどん垂れてきて、もう頭が全部部屋の中に
入ったぐらいになっていた。そこで意識が途絶えた。



341: 3/3:2009/09/14(月) 00:31:29 ID:nj4Acrhf0
次に気がつくと、もう朝になっていた。
無事に朝が来たことにまずほっとして、次に夜のことを思い出してゾッとして、
障子を見た。障子の穴は無くなっていた。そこでまたほっとしたが、また違和感を感じた。

障子の穴が、一つ残らずなくなっていた。自分で開けた、普段からあった穴も
全部無くなって、張り替えた直後のようになっていた。
不思議に思って障子をまじまじと見てみたが、張ってしばらく経った、若干色が
黄ばんだ感じのまま、ただ穴だけが消えていた。

障子を開けてまたぞっとした。窓ガラスには手形が二つと、長い髪の毛が10本程
べったりと張り付いていた。

親に言っても信じてもらえず、障子の穴も「最初からなかった」と言われた。
だけど、絶対自分で開けた穴はあったはずだった。

以来、家を建て替えるまで、寝るときは絶対に障子に背を向けて寝るようになった。
幸いその夜以外には異変とか怪異はなかったが、今でもどんどん障子の穴が増えていく
あの光景を思い出すとぞっとする。



374:
許容範囲 1/5:2009/09/14(月) 02:50:37 ID:UL+vul1d0
2年ほど前の話し。その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。
仕事でありえないミスを連発させたり、交通事故を起こしたり、
隣県に遊びに行って車にイタズラされた事もあった。


原因不明の体調不良で10キロ近く痩せた。そして何より堪えたのは、父が癌で急逝したこと。
そんなこんなで、「お祓いでも受けてみようかな・・・・・」、なんて思ってもない独り言を呟くと、
彼女(現在嫁)が、「そうしようよ!」と強く勧めてきた。

本来自分は心霊番組があれば絶対見るくらいのオカルト大好き人間なんだけど、心霊現象自体には否定的
(こういう奴が一番多いんじゃないか?)で、お祓いが利くなんて全く信じちゃいなかった。
自家用車に神主が祝詞をあげるサマを想像すると、シュールすぎて噴き出してしまう。
んなものを信用する
なんて、とてもじゃないが無理だった。

彼女にしてもそれは同じ筈だった。彼女は心霊現象否定派で、なお且つオカルトそのものに興味がなかった。
だから俺が何の気なしに言った『お祓い』に食いついてくるとは予想外だった。
まぁそれは当時の俺が、いかに追い詰められていたかという事の証明で、実際今思い返してもいい気はしない。

俺は生来の電話嫌いで、連絡手段はもっぱらメールが主だった。
だから彼女に神社に連絡してもらい(ダメ社会人!)、

お祓いの予約を取ってもらった。
そこは地元の神社なんだけど、かなり離れた場所にあるから地元意識はほとんどない。
ろくに参拝した記憶もない。

死んだ親父から聞いた話しでは、やはり神格の低い?神社だとか。
しかし神社は神社。数日後、彼女と二人で神社を
訪ねた。



375: 2/5:2009/09/14(月) 02:51:34 ID:UL+vul1d0
神社には既に何人か、一見して参拝者とは違う雰囲気の人たちが来ていた。
彼女の話しでは午前の組と
午後の組があって、俺たちは午後の組だった。
今集まっているのは皆、午後の組というわけだった。


合同でお祓いをするという事らしく、俺たちを含めて8人くらいが居た。
本殿ではまだ午前の組がお祓いを
受けているのか、微かに祝詞のような声が漏れていた。
所在なくしていた俺たちの前に、袴姿の青年がやって来た。
「ご予約されていた○○様でしょうか」袴姿の青年は体こそ大きかったが、
まだ若く頼りなさ気に見え、(コイツが
俺たちのお祓いするのかよ、大丈夫か?)、なんて思ってしまった。

「そうです、○○です」と彼女が答えると、もう暫らくお待ち下さい、と言われ、待機所のような所へ案内された。
待機所といっても屋根の下に椅子が並べてあるだけの『東屋』みたいなもので、壁がなく入り口から丸見えだった。
「スイマセン、今日はお兄さんがお祓いしてくれるんですかね?」と、気になっていた事を尋ねた。
「あぁ、いえ私じゃないです。上の者が担当しますので」
「あ、そうなんですか(ホッ)」
「私はただ段取りを手伝うだけですから」と青年が言う。

すると、待機所にいた先客らしき中年の男が青年に尋ねた。
どうやら一人でお祓いを受けに来ているようだった。

「お兄さんさぁ、神主とかしてたらさ、霊能力っていうか、幽霊とか見えたりするの?」
その時待機所に居る全員の視線が、青年に集まったのを感じた(笑)。
俺もそこんとこは知りたかった。


「いやぁ全然見えないですねぇ。まぁちょっとは、『何かいる』って感じることも、ない事はないんですけど」
皆の注目を知ってか知らずか、そう笑顔で青年は返した。
「じゃあ修行っていうか、長いことその仕事続けたら段々見えるようになるんですか?」と俺の彼女が聞く。
「ん~それは何とも。多分・・・」青年が口を開いた、その時だった。



376: 3/5:2009/09/14(月) 02:52:56 ID:UL+vul1d0
シュ、シュ、シュ、シュ、シュ、シュ、シュ、
入り口にある結構大きな木が、微かに揺れ始めたのだ。何事だと一同身を乗り出してその木を見た。
するとその入り口の側に、車椅子に乗った老婆と、その息子くらいの歳に見える男が立っていた。

老婆は葬式帰りのような黒っぽい格好で、網掛けの(アメリカの映画で埋葬の時に婦人が被っていそうな)
帽子を被り、真珠のネックレスをしているのが見えた。
息子っぽい男も葬式帰りのような礼服で、大体50歳
前後に見えた。
その二人も揺れる木を見つめていた。


シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ、と音を鳴らして、一層激しく木は揺れた。
振れ幅も大きくなった。根もとから揺れているのか、
幹の半分くらいから揺れているのか不思議と分からなかった。

分からないのが怖かった。

ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!
ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!
木はもう狂ったように揺れていた。老婆と男は立ち止まり、その木を困ったように見上げていた。
すると神主の青年が、サッと待機所から飛び出すと、二人に走り寄った。

「△△様でしょうか」木の揺れる音のため、自然と大きな声だった。
うなずく男。
「大変申し訳ありませんが、お引取り願いませんでしょうか。我々ではどう対処も出来ません」
こちらに背を向けていたため、青年の表情は見えなかったけれど、わりと毅然とした態度に見えた。
一方老婆と男は、お互いに顔を見合わし、うなずき合うと、青年に会釈し引き上げていった。
その背中に青年が軽く頭を下げて、小走りで戻ってきた。
いつの間にか木の揺れは収まり、葉が何枚か落ちてきていた。




378: 4/5:2009/09/14(月) 02:55:05 ID:UL+vul1d0
「い、今の何だったの!?」と中年のおじさん。
「あの木何であんなに揺れたの?あの二人のせい?」と彼女。俺はあまりの出来事に、言葉が出なかった。
興奮する皆を、青年は落ち着いて下さい、とでも言うように手で制した。
しかし青年自体も興奮しているのは
明らかだった。手が震えていた。

「僕も実際見るのは初めてなんですけど、稀に神社に入られるだけで、ああいった事が起きる事があるらしいんです」
「どういう事っすか!?」と俺。
「いや、あの僕もこういうのは初めてで。昔居た神社でお世話になった先輩の、
その先輩からの話しなんですけど・・・・」


青年神主の話しは次のようなものだった。
関東のわりと大きな神社に勤めていた頃、
かつてその神社で起きた話しとして先輩神主が、さらにその先輩神主から
伝え聞いたという話し。

ある時から神主、巫女、互助会の組合員等、神社を出入りする人間が、『狐のお面』を目にするようになった。
そのお面は敷地内に何気なく落ちていたり、ゴミ集積所に埋もれていたり、
賽銭箱の上に置かれていたりと、日に日に
出現回数が増えていったという。

ある時、絵馬を掛ける一角が、小型の狐のお面で埋められているのを発見され、
これはもうただ事ではないという話しになった。

するとその日の夕方、狐のお面を被った少年が、家族らしき人たちとやって来た。
間の良いことにその日、その神社に所縁の
ある位の高い人物が、たまたま別件で滞在していた。

その人物は家族に歩み寄ると、

「こちらでは何も処置できません。しかし○○神社なら手もあります。どうぞそちらへご足労願います」
と進言し、家族は礼を言って引き返したという。



379: 5/5:2009/09/14(月) 02:56:42 ID:UL+vul1d0
「その先輩は、『神社ってのは聖域だから。その聖域で対処できないような、許容範囲を超えちゃってるモノが来たら、それなりのサインが出るもんなんだなぁ』って、言ってました」
「じゃあ今のがサインって事か?」とおじさんが呟いた。
「多分・・・・まぁ間違いないでしょうね」
「でもあのまま帰しちゃって良かったんですかね?」という俺の質問に青年は、
「ええ、一応予約を受けた時の連絡先の控えがありますから。何かあればすぐに連絡はつきますから」
「いやぁでも大したもんだね、見直しちゃったよ」とおじさんが言った。俺も彼女も、他の皆もうなずいた。
「いえいえ!もう浮き足立っちゃって!手のひらとか汗が凄くて、ていうかまだ震えてますよ~」と青年は慌てた顔をした。


その後、つつがなくお祓いは済んだ。
正直さっきの出来事が忘れられず、お祓いに集中出来なかった(多分他の皆も)。

しかしエライもので、それ以後体調は良くなり、不幸に見まわれるような事もなくなった。
結婚後も彼女とよくあの時の話しをする。

あの日以来彼女も心霊番組を見たりネットで類似の話しはないかと調べたり、

どこで知ったのか洒落コワを覗いたりもしているみたい。
やっぱり気になっているのだろう。もちろん俺だってそうだ。

しかし、だからといってあの人の良い青年神主に話しを聞きに行こう、という気にはならない。

「もしもだけどさぁ、私たちが入った途端にさ、木がビュンビュンって、揺れだしたら・・・・もう堪んないよね~」
彼女が引きつった笑顔でそう言った。全くその通りだと思う。あれ以来神社や寺には、どうにも近づく気がしない。



406:
本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 08:54:28 ID:DRIzU7p+0
>>379
乙です
すごく読みやすくて良かったです



513:
本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 23:22:22 ID:TGwkFCOi0
骨と鎖
二年ほど前に遡ります。

私は父が経営する土建屋で事務をしています。
今は兄が実質の社長ですが、やはり父の威光には
かないません。

そんな父の趣味が発端と思われる出来事です…。

父は、自ら所有する山にどうやら「ログハウス」を建てたいらしく、
元々、日曜大工が趣味であった父ですから、中古の重機を購入しとダンプを
友人の土建屋さんから借り入れ、本格的に基礎工事まで着手するようでした。
週に一度の休みを利用して、父はまめに通っていました。

着手してから、数ヵ月後。
父「○○(母の名前)~、警察よんでけれ」
母「え、え、え?なしたの?」
父「骨出てきたから、警察に電話してけれじゃ」
母「ぇえぇ、殺人事件?」
父「いいがら、はやぐ」
(父は、未だに携帯を持とうともしないので、
わざわざ山から40分かけて自宅に。母は用心の為と
携帯を持たせているのですが意味なしですよね。)

警官が三名やって来まして、父はその現場を案内する為
先導することに。私も休みでしたから、興味本位で同行する事にしました。
現場に到着しますと、散乱している白骨が
飴色に変色した骨が剥き出しになっていまして
足枷があり、それに鎖が繋がっているのも見えました。
素人目にも古い骨だということはすぐわかりました。
事件性の有無などの確認の為なのか、父は細かい質問を随分受けていました。



514: 本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 23:24:30 ID:TGwkFCOi0
検死官もその後、到着しまして、
とても古い骨であると言う事。事件にしてもとっくに時効を
迎えているであろう事から、意外なことに…。
警察官「申し訳ないですが、そちらで処分ねがいます」
私も一瞬呆気にとられましたが、父は元々豪胆で、
父「したら、こっちで坊さん呼んで供養してもらうわ」
と、果物用の木箱に骨を入れ始め、
(検死官と警察官も手伝ってくれました。)

その日は、その骨を檀家の住職さんの所へ持ち込み
無縁仏として供養して頂くことにして貰いました。
(その枷と鎖は、まだ寺にあるはずです。)
豪胆な父は、その後また現場へ戻り作業の続きをしようとしたので、
心配になり、父が帰宅するまで一緒にいました。

帰宅する時に、体が異常にだるかった事を覚えています。
父母と三人で、昼間の奇妙な事件について
食卓を囲みながら話、私は体がだるかった事もあり、
入浴の後、父母よりも先に寝ました。
夢を見ました…。

***夢の内容***
なぜか私は、木製のリュックというか
箱を背負い石を運ばされています。
朝早くから、日が沈むまでそれは続き
やっと開放されたと思えば、
小さな掘立小屋のような所に押し込められ
寒さと、飢えを感じながら床に着く。
そして夜中に、口を押さえ付けられ
代わる代わる犯される…。
**************

朝起きると、汗びっしょりで
変な経験したから、あんな夢みたのかなぁ
くらいに考えていました。



515: 本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 23:27:41 ID:TGwkFCOi0
それからも、三日おきくらいに「同じ夢」を見ました
一月ぐらいの間ですが。それから三ヶ月後、生理が二回も来ないので
婦人科にいくことにしました。
医師「○○さん、妊娠の可能性があります。」
私「え?どういう意味ですか?」
医師「詳しいことはこれからの検査が必要ですが。」
私は当時、彼氏も居ませんでしたし、「妊娠」なんてありえませんでした。

その事を医師に伝えますと
医師「皮様嚢胞かも知れないので、後日またいらして下さい」
夢の事が何より怖かったですし、聞いたことも無い病名でしたので
不安で不安で、その日は会社でも仕事が手に付きませんでした。
その日の夜、急に子宮の辺りに激痛が走り動くこともままならなかったので、
母に救急車を呼んで貰い、昼間受診した病院へ向かいました。

ストレッチャーの乗せられ、車内で唸りながら病院に着くのを待ち、意識が遠くなりそうに
なった時…。こう、子宮が蠢くような感覚と共に、何が出るようなきがします。
また痙攣のような感じと一緒に、私の入り口から「赤みがかった半透明なゆでたまご」のようなものが
5~6個ぼろぼろと出てきました。病院に着く頃には、痛みも和らいで来ましたが
まだ意識は朦朧としていました。
(その水風船のようなものは救命士の方が
医師に手渡してくれたようです。)

翌日のお昼近くになってから、
私は意識を取り戻し、医師にあれはなんだったのか。
という質問をしますと
医師「皮様嚢胞というより、胎児が分裂に失敗して
あのような形になる事があります」
私「でも、本当に心当たりがありません」
医師「そう気に病まずに、嚢胞の一種かも知れませんし
後で悪性でないかどうかお知らせします」
結局、悪性ではないことがわかりましたが、
どうしてこうなったか、医師に尋ねても
「よくわからない」と言った返答しかありませんでした。



516: 本当にあった怖い名無し:2009/09/14(月) 23:29:26 ID:TGwkFCOi0
そして、その一週間後。
またあの、リアルな夢を見ます。
立て続けに三日間も。
本当に怖くて、父母に相談した後、心療内科にもいってみましたが
「特殊な体験の後の、珍しい疾患を患った訳ですから、
悪夢をみてもしょうがない」とだけ言われ
薬の処方を薦められましたが、どうしてもそういう薬には抵抗がある為
なるべく考えないように、生活を送ることにしました。

そして三ヵ月後…。
また生理が止まり、婦人科にいきますと…。
医師「前回と同じ症状ですね」
私「…。」
とにかく私は、怖くて怖くて、すぐに摘出してもらうよう
頼むことにしました。
でも、前回は上手く出てきたからいいものの、
普通なら手術が必要ですし、「掻爬」もリスクが大きいので
薦められないとの事。
その一週間後、また前回のように痛み出し
意識が朦朧とする中、「ソレ」を排出…。

気が狂いそうになりましたし、
理由もわからず、なぜこんな病気に罹ったのか
今でも私は、この病気に苦しめられています。
枷と鎖があった白骨は、お寺で供養したはずなのに…。
病気の発症と、妙な出来事が重なっただけかも知れませんが、
今も時折、あの「夢」を見ます。

そして、生理が今月も来ません…。



642: 本当にあった怖い名無し:2009/09/15(火) 21:07:42 ID:pQdvGy/Q0
>>513って、「鎖塚」じゃないか?
方言も道内みたいだけど。

鎖塚
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%96%E5%A1%9A

鎖塚 - 北海道開拓の光と影
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/7248/album/kusarizuka.html

夢の内容と言い枷だの鎖だの、ガチでやべんじゃね?



821:
513 ◆M6R0eWkIpk :2009/09/18(金) 00:54:44 ID:kgeQzF/j0
>>642さん
ここに書き込んで良かったと思えました。
私が住んでいるのは道南で、「鎖塚」という言葉も初耳です
wikiに記載されてあるとおりで、もしかしたら良く探せば
鉄球もあるのかも知れません。



680:
お墓の中1/2:2009/09/16(水) 00:24:00 ID:NXCPeul2O
お墓の中
私の田舎では有名な怪談めいた話し。


今から30年以上前、ある妊婦さんが亡くなったそうだ。
死因は散歩の途中で高い所から田んぼに転落して頭を打った事により首の骨を折った事。

当時は土葬だったので八角形の大樽のような棺に入れられ膝を抱えた体育座りの様な格好で埋葬された。

埋葬直後から村の人達の間で女の幽霊話しが持ち上がった。
墓地の近所に住む人は女の泣き叫ぶ声を聞いた。
また昼間でもそこを通りかかった人が不気味な地の底から響くような女のうめき声を聞いたりしたと言う。


不謹慎ではあるが、やはり臨月で亡くなってしまった妊婦の霊がさ迷っているのではないかとの噂が立った。

それから2~3年後、詳しくは私も分からないが
恐らく法律の関係上最近土葬された遺体を火葬にし直す事になった。

3人の仏さんが処置される事になったが、その中にあの妊婦も入っていた。
村の若い衆と遺族らが掘り起こし火葬場へと運ぶ訳だが全て手作業で行われる為、
かなりの重労働だったらしい。




682: お墓の中2/2:2009/09/16(水) 00:29:47 ID:NXCPeul2O
>>680続き
二体の搬出が終わりいよいよ例のお墓の掘り起こしが始まる。
みんな口には出さなかったが気味悪がっていた。異様な空気が漂う。


2m程掘り下げたところで棺の蓋が見え始める。特に変わった様子はない。更に棺の周りを掘りロープを掛ける。
やぐらに取り付けたチェーンブロックにロープを繋ぎ引き上げた。
久し振りに地上に現れた棺は白から黄土色に変色し、時間の経過を感じさせた。

神主さんがお祈りを済ませ遺族が棺を開ける。


開けた瞬間遺族が声をあげた。周りの人間も何事かと棺を覗き込んだ途端悲鳴を上げて後ずさった。

それは見た者を恐怖に陥れるのに充分な代物だったと言う。他の二体に比べあまりに不自然だった。

狭い棺の中で暴れた様な形跡。足はがに股に広がり背中を大きく反らし顔を棺の蓋に押し付けていた。
口が裂ける程に開いたミイラ…それが妊婦の姿だった。

そして傍らには小さな遺体も…

遺族らは涙を流しながら二人を再度手厚く葬ったと言う。
埋葬後に生き返ったとしか思えない状態だったがそれは有り得ない事だった。
そして村人らが聞いたと言うあの声も。


この話しは今では村のタブーとなり語る人も少ない。



785:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 14:45:09 ID:xo/MJyV70
灯りの中
1

結構前の話しなのですけど。

当時の彼と喧嘩して、話し合う為に静かなところがいいという事で、
近くの山のふもと?山道の様な所へ車を停めました。

時間は0時ごろだったと思います。

ライトを消してしまうと真っ暗なのでエンジンもライトも点けっぱなしで話し合いしてました。
二人の話しは平行線で売り言葉に買い言葉。
「もう別れよう」と私が切り出すと彼も納得。
「話し続けても意味がないからもう帰ろう」ということになった時、

フロントガラスのちょっと先に小さな灯り?が見えました。
「蛍?」「こんな時期に?」(晩秋)
彼がライトを消してみると、目の前はその小さな灯りでいっぱいでした。
「なにこれ?」と少々怖くなりかけ、彼を見たら小さな声で何かをつぶやいていました。
「どうしたの?」と聞いても返事はなく、段々と顔が怖くなり声も大きくなっていきました。
「ちょっと!大丈夫?」私の問いには答えず、彼はドアを開け外に出ようとするので、
「止めなって!」と引き戻そうとすると、目の前の小さな点の灯りが動き出して、まるで車を包むかの様に見えました。



786: 本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 14:46:28 ID:xo/MJyV70
2
彼はその点の灯りの中に行こうとしながら「・・・俺を呼んでる」と無表情で言いました。
もう半泣きの私は彼を力ずくでひっぱり、身を乗り出しドアを閉め彼のほほを叩きました。
「しっかりしなさいよ!」
彼はその小さな点の灯りを眺め、ぶつぶつとつぶやいています。
もう怖くて怖くて仕方がなくて何度も彼をゆすったり叩いたり。、声が枯れるほど騒ぎました。
数分経ったのでしょうか。
彼はふっと正気に戻り「・・・帰るぞ」と言い、すごいスピードでバックしました。

しばらくその点の灯りはまとわりつくように付いて来ましたが、山道から抜ける頃にはいなくなっていました。

街灯のある市街地まで来た時に彼は
「なんだかわかんないんだけど、あの小さな灯りに呼ばれた気がしたんだ。」
私が「うん 俺を呼んでるって言ってた」というと
彼は「行かなきゃならないような気がしたんだけど、ふと正気に戻ったらものすごい恐怖感で、ここに居たらやばいと思ったんだ」

それから
「あの小さな点の灯りがあっただろ?あれがなんていうか人なんだよな。すごく優しい灯りだと思ったんだ。でも、正気に戻った時な、その点の灯りの中に怖い顔の人が立ってるのが見えたんだ。」
と。私は怖くてそれ以来その山には近づけません。



789:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 15:26:51 ID:0v3Ps3wc0
>>786
>>声が枯れるほど騒ぎました。
萌えた

よかったら、その山は何県のどこにあるのか教えて頂きたい。言える範囲でいいので。



791:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 16:43:29 ID:xo/MJyV70
彼とは数年後に別れました。
その山は東北にあります。地元では有名?だとは思います。
遊歩道もあり、昼間行った時は何も感じませんでした。(あの数年前です。)
本当に小さな点のような灯りでした。



792:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 17:13:06 ID:hQeFCJUa0
地名出し茶ってもいいんじゃないのかねえ



793:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 18:16:08 ID:xo/MJyV70
では 宮城県の仙台市です。
区の名前にも使われている山です。

あの当時、木を運ぶ足の太い馬を見れたりしたので、好んでよく行きました。



798:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 20:25:53 ID:Xo9Pyzx/0
>>793
馬がよくわからんけど、○○山公園かな?



816:
本当にあった怖い名無し:2009/09/17(木) 23:31:11 ID:xo/MJyV70
>>798
いえ、公園とは付きません。
○○山ですね。これでお分かりになると思います。
あの山は伐採した木を馬が運んでいたのです。
で、普段見たこともないような太く大きな馬が見れたのですよ。
今はいるかどうか分かりませんが。

遊歩道を歩いて行くと、○○山裏手の大きな総合病院近くに出る道もあります。



853:
本当にあった怖い名無し:2009/09/18(金) 12:33:40 ID:1zHldnmt0
カラオケ
男3人でカラオケにいった

1時間ほどして酒も入り、テンションも上がっていった
そして昔自殺した岡田由●子の歌を3人で合唱しようということになった
イントロが始まって歌いだしのフレーズである
「ねぇ誘ってあげる♪」にさしかかる


「ねぇ誘ってあげる♪」「ねぇ誘ってあげる♪」「ねぇ誘ってあげる♪」

と何故だかそのフレーズの部分だけがリピートされる


マッハで酔いが冷めた



856:
本当にあった怖い名無し:2009/09/18(金) 13:35:56 ID:pdFMecbmO
>>853
怖い。



919:
本当にあった怖い名無し:2009/09/19(土) 15:09:37 ID:LF6IrkkkO
ドック
先輩から聞いた話


先輩や私は船に乗る仕事をしていて、年に一回修理地に入る。
そこでの話。

私は入った事の無いドックなんだが、O県にあるところらしい。
そこは今までにも人死にが多く、渠底への転落とかもあったそうだ。
そこで先輩は深夜の当直にたっていてヒマを持て余しといた。
調度舷門小屋にあった二本の索が目に留まり、なんの気無しに輪を二つ作ってみた。
本当に手遊び感覚で意味もなく作ったんだと。

ふと見ると壁の程よいところに釘みたいな物が刺さってて、つまり物がかけられるようになっていた。
そこに作った輪を一つかけ、結び目にかかるようにもう一つの輪をひっかけたら
調度椅子に座った先輩の顔の位置に輪がきたらしい。


その時何を思ったかその輪に首をかけ、体重を預けるかたちになった。
徐々に力を抜けば索が首に食い込み血が止まり意識も薄れてくる。
力が完全に首だけにかかり、おちる瞬間
身体って痙攣するんだよぬ。

ぴくぴくって!
そしたら偶然索の結び目が輪から外れて輪が二つに分かれたんだよね。
分離した輪とともに地面に落ちて先輩は床に崩れ落ちて一命を取り留めた。

こんな事をした先輩だけど、明らかに自殺願望がある訳でも悩みがある訳でも無い。

そのドック全体が悪い場のようになっているらしい。
他の先輩も違った怖い思いをしているらしい。
あまりうまくかけなかったが私の最近聞いた話でした。



17:本当にあった怖い名無し:2012/10/01(月) 00:04:36.57 ID:dA941r7I0

一昨日実体験をした。洒落恐と言うほどか知らんが他に書くとこも知らんので書かせて欲しい。

翌日は休みと言うことで電気を消してゲームで夜更かしをしていた。
時間は三時前後だったと思うが、突然人の声がボソボソと聞こえてきた。


声はどうやら外から聞こえてくるらしい、超ド田舎で近所とは顔見知りだが、
家の敷地に深夜に入り込み独り言を呟くような逝ってる人間はいない。

となると泥棒かとその時の自分は考え、自衛のため静かに携帯と木刀を手元に持ってきた。

相手の動向を知るためその声に対して注意深く聞き耳を立てた。
声は聞き取りづらいが男性の物とも女性の物とも思えるものであったため、
相手は男女二人組で土壇場になって何か言い合いをしてるのだろうか、という推測をした。


しかし奇妙なことに気がついた。相手の位置を掴むため声がする方向に
注意を払っていたのだが、声は自分の部屋の周りを回っていた。

自分の部屋は家の端っこにあるため周りを回るとなると家を大回りしなければならない為、
こんな規則正しく部屋の周りを回ることは人間には不可能である。

(あ、これ幽霊とかの類だわ)と気がついた自分は

幽霊なら財産奪われたり物理的にぶっ殺される事はないし、憑き殺される可能性もそこはかとなく低そう

物理的被害は考慮しなくて良いから逆に安心

意識すると逆にちょっかい出してきそうだし対策できることもない

めんどくさいから無視して寝る

という考えにいたり、安心感が勝ったせいか恐怖心は沸かず外の音に関心を無くし布団に潜った。
直後に声もすぐに聞こえなくなった。


その後金縛りにあったり部屋の中で不気味なことを呟かれたり
髪の長い女が部屋の真ん中に立っていたりとか、その手のお約束展開は残念ながら一切無かった。
わりとこういう類の物は無視するのが一番なのかも知れない。




21:
本当にあった怖い名無し:2012/10/01(月) 02:58:34.80 ID:V5zt7/uJ0
>>17
そんなんあったら絶対眠れんわ
オレはさっき窓にでかい虫が張り付いてたってだけで寝られんからなw

どこ行ったんだろうあの虫
張り付いてたのが窓の内側でなきゃ良かったのに



197:
本当にあった怖い名無し:2012/10/04(木) 16:23:32.96 ID:uuFdayxfO
怖くないけど崖から落ちる夢の話が出てたので自分も一つ
小学校3年の頃二段ベッドの上で寝てたら夢の中ででんぐり返し、
寝ぼけながらやったらしく落ちる瞬間に目が覚めてそのままドスン!
腰から落ちた

今でも思い出すたびに頭から落ちなく良かったと思う
頭から落ちてたら首の骨とか折って俺今このスレ見れてないかも?
怖くないのに長文スマソ



199:
本当にあった怖い名無し:2012/10/04(木) 16:31:57.00 ID:QAKpUBcv0
>>197
こええよw



201:
本当にあった怖い名無し:2012/10/04(木) 16:38:37.53 ID:qRLCiS0hO
>>197
洒落になってねーぞ。
とにかく無事でよかった。



213:
本当にあった怖い名無し:2012/10/04(木) 22:00:04.72 ID:vFDIx3X+0
安全保障
702 名前: 名無しさん@13周年 [sage] 投稿日: 2012/10/04(木) 21:46:47.55 ID:AGbS7rfF0

最近暑くてシャワーしか浴びてないから久しぶりにスーパー銭湯に行ったんだよ。
湯船につかりたくて。
頭洗って体洗ってさっぱりして露天に出ると一人用の釜風呂みたいなのが3個くらい並んでた。
そこにざぶんと入って久々の風呂を満喫してたんだ。
そしたらしばらくして鳩山由紀夫似の電波な目したおっさんが近づいてきて突如俺の釜に足を
入れて入ってこようとした。

俺はまじでびびった。思考停止。
ふだんはこの板で有事の際は、とか日本の防衛は、とか偉そうに語ってたのに
まさかこんなところで自分のテリトリーを侵犯されるとは思っていなかった。
どうしたらいいかわからなかった。気がつくと俺はその釜から出て逃げていた。
振り返ると鳩山由紀夫は満足気にその釜の風呂につかっていた。

あのときどうすればよかったのか今でもわからない。
ただ俺は何もせずに領土を奪われた形になった。
安全保障って本当に難しい。



214:
本当にあった怖い名無し:2012/10/04(木) 22:04:31.61 ID:DT3JuyV10
>>213
そんな奴けっこういるよね
ガラ空きなのにわざわざ隣に陣取ってきたり、ホモかよ…



288:
本当にあった怖い名無し:2012/10/06(土) 16:58:00.41 ID:5g6/aQdk0

これから鍋の季節になるので私の話をひとつ

私が小学生の頃だから15年ぐらい前かな。
その日の夕食はネギ白菜大根なんかをいれた野菜のごった煮みたいな鍋だった。
その野菜の殆どは祖母が畑で育てたもの、それを母が一口サイズにザクザク切っては
鍋へ入れグツグツにてからみんなで囲ってつつく、平和な一般家庭の夕食。


何事もなく食べ終え私は鍋の底にたまった汁の上に浮く野菜グズを箸でつついてた。
そこで頭が?になる光景を見てしまった。
今何かいけないものを箸ですくった、また箸でかき混ぜでみる、たますくった。
その途端今食べ終えたものが全部胃から出てきた。

満腹になり横になってテレビを見ていた父は急に吐き出した私を見て飛び起き私がつまんでいる箸の先を見た。
父「お前なに持ってる」
私「中にいた ゴボゴボ」また吐く
それを見た母、中学生の姉、高校生の兄みんなその場で吐く平和な夕食が一瞬で修羅場とかした。

私がはしですくい上げたのは一口サイズに切り刻まれ
煮込まれ変色した繋ぐと15~20cmほどある大ムカデ2匹だった。

父だけ冷静で、切り刻まれたムカデを一つ一つつまみ上げ皿にのせる。
父「婆さんにもらった白菜の間か、ネギの青いところにでもいたんだろ、ハハハー」
家族が吐いてる中のんきに笑った父が洒落にならない。



493:
本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 23:37:12.43 ID:0y8SIHPf0
古本屋
俺は二年くらい前から小さい古本屋でバイトをしてる。

まさに「古本屋」のイメージ通りの店。
床や柱は黒っぽい木造で、ちょっと暗くて古めかしい感じなんだが
俺が来る前に入口を改装したらしく、そこだけ不自然に自動ドアになってる。
客が来るとピンポーンってセンサーで音がなるタイプ。

こないだの土曜日、店長と奥さんが地域の集まりかなんかで出かけてて
店には俺一人だった。まぁそれが暇なんだ。いつも暇なんだけど。
たまに通りすがりの人が外のワゴン売りの安い文庫をパラパラしてるのが見えるくらい。
店長達がいたらサボれないけど、一人だから堂々とカウンターで本読んでた。

18時半くらいかな?さすがにちょっと掃除でもしようと思って本を閉じた時に
チリーン って音が響いた。風鈴みたいな。
何故かその時俺はそれが自動ドアのセンサー音だと思って
「いらっしゃいませー」って入口の方を見た。自動ドアが開いた。

でも人の姿はなくて、あれ?って思った時、ふいに左側から影が現れた。
反射的に振り向いた。目の前に麻みたいなガサガサした着物があった。
え、ってそのまま見上げると、のっぺりした黒い一つ目のものがいた。
目というか、のっぺらぼうに絵で丸を描いた感じ。
ロンドンオリンピックの変なキャラクター、あれに似てた。

あれの首をひっぱって伸ばして肌を全部かさぶたにしたような、
よく分かんないものが暗い緑の着物を着て立ってた。
腕は無さそうだった。
蛍光灯の灯りが逆光になって俺にそいつの影がかかってた。



494: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 23:38:15.82 ID:0y8SIHPf0
俺はもう完全に固まってて、ひぃ、みたいな声を漏らすだけ。
金縛りだったのかもしれない。よく思い出せないけどとにかく動けなかった。
そいつはその絵みたいな目の黒目をグリグリ回しながら頭を左右に揺らして
ザザザザザ…みたいな変な音を出してた。

声だったのか、あのガサガサの肌と着物がこすれてたのかは分からない。
少しずつ、そいつが顔を近づけてくる。
細くくびれてる首をぐにゃ~っと曲げて俺の目の前まで寄った時
またあのチリーン  って音がした。

途端、そいつの頭が首からもげるようにべろんって落ちた。
千切れた首の上に下あごが、小さい歯がびっしり並んでた。
黒い穴みたいになった喉からおおおおおおおって妙に甲高い震えた声を出しながら
ごぼぼぼ、と黒い血のようなものを吹き出した。


まばたきの間か、ほんの一瞬でそいつは跡形もなく消えてた。
全身の鳥肌と変な汗が気持ち悪くて、できるだけカウンターから離れて
入口の所で外を通る人を眺めて気持ちを落ち着かせてた。

その後すぐ店長達が帰ってきたけど、こんな話をするわけにもいかず黙って店じまいを始めた。
俺が自動ドアのセンサーを止めてシャッター閉めて帰るんだけど、そのセンサーの下に
かさぶたのようなものが落ちてるのを見た時は本当に気持ち悪かった。
もう出ませんように…



510:
本当にあった怖い名無し:2012/10/11(木) 10:55:26.48 ID:hJGb3bUk0
御神木と風
どこに書き込んでいいのか分からなかったけど、ここに書かせてもらいます。


15年ほど前の話。
中三の夏休み友達二人(AとB)と毎日のように遊んでいた。
部活も引退していたし、受験はあったけど、
「なんとかなるわw」ってタイプの三人だったんで勉強もしなかった。

だから暇持て余していたんだ。

うちの近所には中くらいの規模の神社があって、そこには御神木がある。
そこは夏でも涼しくて気持ちがいいのでよく行っていた。
その日もいつもみたいに「涼みに行くか」とジュースを買って行った。
御神木の下に着いてしゃがもうとすると、何かが木にぶら下がっているのに気づいた。

それは首吊りしている人間だった。
「うわーーー!」と俺たちは一目散に神社から飛び出た。
「警察に行った方がいいんじゃ...」ともなったが、面倒に巻き込まれたくなかった俺らは、見て見ぬ振りをした。

しかしそれから数日経っても、首吊り死体発見!とのニュースはなかった。
地元で死体など見つかったら大ニュースになるはずなのに...
合点はいかなかったが、俺らは「見間違いだった」と思い込むようにした。
それから当分神社は怖くて行けなくなってしまった。



511: 本当にあった怖い名無し:2012/10/11(木) 10:56:37.95 ID:hJGb3bUk0
またそれから二ヶ月ほどして、その話題も忘れていた頃。
Aが足を怪我をした。遊びでサッカーしてて骨折したらしい。
Bと見舞いに行くと思いの外元気で、俺らが病室に入るなり
「屋上行こうぜ!」と言い出した。

個室でもなかったし中坊が大声で喋ってたら同室者に迷惑だろうと思ったんだろう。
屋上に着いて暫く喋っていると、ふと違和感がした。
何か得体のしれないものが柵の向こうからくるような感じ。
二人も気付いたみたいで同じ方向を見ている。と次の瞬間風が吹いた。

今まで風なんか殆ど無かったのに。
「この風に呑まれたらヤバイ!」と直感した俺は屋上の入り口に走った。
友達も同じだったと思う。
風に追いつかれる前になんとか入り口のドアを開け、飛び込んだ。
横には息を切らしたBがいる。しかし、Aがいない。


「そうだ。あいつ足怪我して...」
五分ほど経ってもう一度屋上に行くとAの姿はなかった。
「大変なことになった」と思いながらとりあえず病室に戻ると、Aのベッドには見知らぬお爺さんがいた。
「あれ?」と思い、病室のネームを見ると、Aの名前がない。
病室間違えたかと思い、同じフロアを全室確認したがいない。

しかしそれだけじゃなかった。
Aなんて人間自体存在していないことになってた。
Aの家に行くと、Aの母ちゃんはいるけど、Aなんて子はいない。
妹も弟もいるのに。(Aの弟が長男ってことになってた)

学校に行っても奴の席はなかった。(写真等にもいない



512: 本当にあった怖い名無し:2012/10/11(木) 10:57:40.02 ID:hJGb3bUk0
Aが居たことを覚えているのは俺とBだけ。15年経った今でも不思議でならない。
Bとは「Aはあの風に呑まれて異世界に行ったんだ」と話した。
でも俺もBも「それは違う」とほぼ確信している。
そうじゃないと思いたいけど、Aが異世界に行ったんじゃない。俺らが異世界に来たんじゃないのかと。

何故ならあの時首吊り死体を見た御神木がないから。
そこは神社の駐車場になっていた。(御神木は違う場所になっていた)

あの時屋上の入り口の扉を開けた先こそが異世界だったんじゃないか?
じゃあ異世界に元からいた俺らは?(あの時都合よく入れ替わった?)
夏休みに御神木で見た首吊り死体はこの事と関係があるのか?
そもそも屋上に吹いた風はなんだったんだ?
疑問はいくつも残るけど、俺もBも結婚して、こっちの世界で幸せにやってます。

長文失礼しました。



513:
本当にあった怖い名無し:2012/10/11(木) 11:18:02.74 ID:FMJWYDz/0
なかなか面白かった



613:
本当にあった怖い名無し:2012/10/13(土) 14:07:29.10 ID:gMWIEX8eO
悪戯書きの電話番号
帰宅中、俺は急に腹が痛くなり、途中の駅で降りて、トイレに駆け込んだ。

用を足し、ふとトイレのドアを見ると電話番号が書いてあった。

その下には
「かけるの禁止!、後悔するぞ」
とか書かれていた。

まあ、よくある悪戯書きだった。

しかし、なんとなく気になり非通知でかけてみた。

隣から着信音が聞こえた。



614:
本当にあった怖い名無し:2012/10/13(土) 14:29:36.40 ID:Vu4ztGgm0
>>613
そこ以外にその番号書いてないなら・・・



954:
本当にあった怖い名無し:2012/10/21(日) 10:26:15.74 ID:taNu1TzE0
ヤバイナンパ
まだ十代でバカなコギャルだった時

ファミレスで始発を待ってたらナパされて車に乗せて貰ったことがある。
「送ってやるから」とか言われて自動車に乗ったのに、
あきらかに車は山に向かっている。

ああ、婦女暴行されるのか、とか思った。
マタがゆるめの子だったのでそれはどうでもよかった。
ただ殺されるのは困るな、と思った。

とりあえずコミュニケーションを取っておこうと、
やばいのに気がつかないフリをして、無邪気を装いおしゃべりした。
石ノ森正太郎の仮面ライダーの話に乗ってきたので、
古本マニアな私は、なつかしの漫画やアニメの話をしまくった。
「むかし近所に石森が漫画制作している所があって、遊びに行ったんだよ」
とかいう話になった。オヤジの目は心なしか潤んでいた。

いのまにかおやじの自動車は土地勘のある青梅街道に戻っていた。
「ここからなら自分で家に帰れます。
 ありがとうございました。なつかしい漫画の話できて楽しかった~!」
とか言って頭下げて降りた。
降りる瞬間ちらりと見た後ろの席には、
ロープとスコップとマサカリがあった。



971:
本当にあった怖い名無し:2012/10/21(日) 18:21:25.91 ID:oRgKPrtj0
>>954
マサカリってとこが凄いな
頭に浮かんだ映像で笑っちゃったよ



468: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 16:58:39.60 ID:Kb1YeoC9O
背無し
会社からの帰路の途中、ある大学の前を通る。

そこは見晴らしの良いただの直線だが、何故か事故が多いことで有名だった。
その道をあまり使わない人には分からないだろうが、
毎日車で出勤するオレや同僚には事故の理由は明白だった。

あるおっさんが原因なのだ。



469: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:10:38.29 ID:Kb1YeoC9O
そのおっさんは大学手前の横断歩道の脇に立っている。それも毎日。
雨の日も昼も夜も、ただ無表情で突っ立っている。
そして何故かカラダごと真っ直ぐこちらに顔を向けているのだ。
おっさんに気付いてからしばらくは「気味が悪い人がいるなぁ」程度の認識しかなかった。
しかし更なるおっさんの異常性に気付くのに、そう時間はかからなかった。



470: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:23:06.76 ID:Kb1YeoC9O
おっさんはカラダごとこちらを向いている。いつ、どんな時でも。
例えば横断歩道の手前30mからおっさんを認識したとする。
「ああ、今日もいるな。そしてこっち見てる…」
そのまま横断歩道を通過して、素早くバックミラーでおっさんを確認すると、
やはりこちらにカラダごと顔を向けているのだ。

この異常さが理解出来るだろうか?



471: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:26:36.62 ID:Kb1YeoC9O
おっさんはどんな時でも必ず、真正面からこちらを見ているのだ。
向きを変える気配すら見せず、瞬時にこちらを追跡してくる。

それに気付いた時オレは確信した。
あのおっさんは人間ではないのだと。



472: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:35:22.86 ID:Kb1YeoC9O
うすら寒さを感じたオレがそのことを同僚に話してみると、そいつもおっさんのことを知っていた。
何でも地元では「背無し」という名称で有名らしい。
確かにおっさんは正面しか見せない。後頭部や背中は見たことがなかった。
変な霊もいるんだな、とその日は同僚と笑い合って終わった。



473: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:42:19.52 ID:Kb1YeoC9O
オレがビビりながらも、ある思いを持ったのはその時だった。
何とかしておっさんの背中が見たい。そう思うようになったのだ。
毎日通勤しながらおっさんを観察する。普通に通るだけではダメだ。おっさんには全く隙が無い。
通過後、バックミラーに目を移す瞬間におっさんはカラダの向きを変えてしまう。
オレはチャンスを待つことにした。



474: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 17:51:45.90 ID:Kb1YeoC9O
数日後、残業で遅くなったオレは深夜の帰路を急いでいた。
そしてあの道に差し掛かる。
目をやると、やはりいた。おっさんがこちらを向いている。
「背無し」の由来を思い出したオレは素早く周りを確認した。
深夜の直線道路。幸い前後に他の車は無く、歩行者もいない。信号は青。
チャンスだった。



475: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:01:25.46 ID:Kb1YeoC9O
横断歩道の手前でぐっと車速を落としてハンドルを固定する。とにかくゆっくり、真っ直ぐに。
そして心を落ち着け視線を向けた。
おっさんはいつものように無表情でこちらを見ている。

目は何の感情も示しておらず、本当にただ立っているだけだ。

しかし改めてじっくり見るおっさんは、いつもより不気味だった。
何を考えているか分からないというか、得体が知れないのだ。




477: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:07:43.12 ID:Kb1YeoC9O
やがて車はゆっくりと横断歩道を横切っていく。
目線はおっさんから外さない。怖くても意地で見続けた。
するとオレが目線を切らないからカラダの向きを変える暇が無いのか、
いつも正面からしか見れなかったおっさんの顔の角度がゆっくりと変わっていく。

車の動きに合わせてゆっくり、ゆっくりと。おっさんは始めの向きのまま微動だにしない。



478: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:13:21.95 ID:Kb1YeoC9O
ついにおっさんの完全な横顔が見えた時、「これはいける!」と確信した。
おっさんから目線を切らないためにオレも顔の角度を変えなければ行けないため、
今や車の後部ガラスからおっさんを見るような体勢だ。

当然前なんか見えちゃいないが、気にもしなかった。
もうすぐで「背無し」の由来に打ち勝つことが出来るのだ。



480: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:25:02.75 ID:Kb1YeoC9O
そうしてゆっくりと永い時間が流れ…ついにその瞬間が訪れた。
「背無し」の今まで誰も見たことの無い背中が後頭部が、今はっきりと見えているのだ。
それはあっけない程に凡庸な背中だった。何一つ不思議なところは無い。
しかしオレの胸にはささやかな達成感があった。
じっくりと背中を観察し満足感を味わったあと、オレはようやく目線を切って前を向いた。いや、向こうとした。



482: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:35:43.72 ID:Kb1YeoC9O
目線を切って前を向こうとしたオレはしかし、あるものを見て固まった。
助手席におっさんがいた。もの凄い怒りの形相て。
心臓が止まったかと思った。
「うわぁあ!」
オレは悲鳴を上げブレーキを踏んだ。
徐行していたはずの車は何故か強烈な衝撃とともに電柱に激突し、オレは失神した。




484: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:42:44.62 ID:Kb1YeoC9O
翌朝、病院で目が覚めたオレはすぐに警察の聴取を受けた。
幸いにオレを除いて怪我人は無し。オレの車が全損した以外に大した器物損壊も無かった。
警察は事故の原因をスピードの出し過ぎによる暴走運転と断定したが、オレは抗議する気力も無かった。
あんなこと、話す気すら起きなかった。



486: 本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:50:27.97 ID:Kb1YeoC9O
あれから5年。オレは通勤のために今もあの道を走っている。
おっさんは変わらずいるし、相変わらず事故も多い。

ただ一つだけ変わったことは、オレがおっさんの方を見なくなったことだろう。

あの時、聴取の警察官がボソッと言った、「今回は連れて行かれなかったか」という言葉が今も耳から離れない。
   
以上




487:
本当にあった怖い名無し:2012/10/10(水) 18:59:11.13 ID:A6n7TkmDi
うん、面白かった。
なんか妖怪っぽいな



転載元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1348888166/
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1252694576








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