2007年09月

2007年09月28日

DOWNTOWN TRAIN

Tom Waitsニューヨークのサブウェイ。

木曜日の夕方、6時半。
雑多な肌の色とファッションに身をくるんだ人々の顔に染み付いた疲れ。
ダウンタウン・トレインは地上に上がり、チャイナ・タウンの猥雑をかきわけ、いつまでも終わらない改修工事の続くマンハッタン・ブリッジをスローに渡っている。

窓の外にブルックリン・ブリッジのくすんだ橋げたの色。
12年暮らして、一度も歩いて渡ったことがない。

ロウアー・マンハッタンの高層ビルに灯りはまだ燈っておらず、一瞬この街の鼓動が止まったような錯覚を覚える。でも次の瞬間橋を渡る列車の轟音に現実に引き戻された。

橋を渡りきれば列車はまた地下にもぐり、ブルックリンの下を這っていく。



Tom Waitsは好きですか?
僕は好きです。
『DOWNTOWN TRAIN』、聞いたことありますか? なかったら聞いてみてください。

色んな人が唄ってます。
Holly Coleのカヴァーもいいです、と書きかけてこれは『Train Song』という別のTomの曲だったと思い出す。でもこれも同じ「匂い」がします。そしてグッときます。
Rod Stewartも唄ってましたね。他にもいっぱいあります。


僕は12年のNY暮らしでたった3ヶ月しかブルックリンに住むことがなかった。
でも、好きです。
ドジャースの記憶は忘れ去られ、何年かの内にはNBAのNETSが移ってくる。
ブルックリンの街も変わっていく。
変わらないのは、ダウンタウン・トレインとそれに乗っている家路を辿る人々の顔。


Will I see you tonight
On a downtown train
Every night its just the same
You leave me lonely, now



ダウンタウン・トレインに乗って恋人に逢いにゆく、なんてのも随分昔の話になっちゃったな。

だめだ、Tom Waitsが流れるとバーボン飲まずにいられないや・・・




nywine at 23:13|PermalinkComments(3)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月25日

ノンキなニューヨーカー

ゴリラ ゴリラ ゴリラNYのオフィス街、街行く人々はせっかちに歩き、ランチもそそくさと済ませてしまう。
日本のサラリーマンと違うのは6時になったらやりかけの仕事もほったらかして即オフィスを後にしてしまうことぐらいかな?

万年渋滞のマンハッタンはイラッチ・ドライバーの無意味に鳴らすクラクション(アメリカではHORN、クラクションとは言わない)で誰もがキレル寸前である。

そんな中、広大なアフリカの大地を思いつつ(かどうかは知らないが)のどかに毎日を暮らしている方々?がブロンクスにおられます・・・


旭山動物園のブレイクをきっかけに日本中の動物園が改良されつつあります。
たしか『行動展示』とかいうスタイルで動物の動き回る姿が見学でき、そのため全国の入場者数も激増しているとか。
僕が子供の頃行った動物園の記憶といえば、「クタァ〜」っとへばり気味のライオンやゾウなんかを遠目に見たかなぁ?くらいのもんです。それがこんな風に変化するのはよいことですな。

故、團伊久摩さんは旅をすると世界中どの街でもかならず動物園に行ってたそうです。 「その国の文化レベルが判る〜」みたいなことをエッセイ『パイプのけむり』で読んだ記憶があります。
日本の人口に対する動物園/水族館数は世界でもトップクラスだそうですが、個々の施設の環境はこれからやっと向上していくとこなんですかね?


さてさて写真のゴリラ君(チャンかもしれない・・・)、いいですねぇ。
自分が世界一デカイ街の高層ビル群からたった30分の所にいるとは思ってもいない! 「株価の下落? それよりあたしゃバナナの味が最近落ちたことのほうが問題なのよ!」、と言ってたかどうか・・・


突然ですが、ここBRONX ZOO、楽しいです!
グランド・セントラル・ステーションから電車で30分、広大な敷地の中に植物園と併設されています。
僕は昨年仕事でここの視察に来られた方に同行したのが初めてだったわけですが、これが仕事そっちのけで面白い! 名古屋の動物園改良のために来られたリサーチ会社の方も「なんでここの動物はこんなに動いてるんだっ!?」と感心しておられました。

そして中でもこのゴリラ・セクション、エンターテインメントならお任せのアメリカ人、さすがに演出がウマイッ!
ネタばらしするようで悪いんだけど、言っちゃおう。

まず、観客は小さな劇場風のスペースでスクリーンに映し出される映像を観ます。
ゴリラの生態や、環境破壊による彼らの生活への深刻な影響などをお勉強し、「うーむ、自然保護はさしせまった問題じゃのう」などと感心していると、そのスクリーンが中央で二つに割れ、左右に開いていくと今まで暗かった場内に外の日差しが差し込む。と同時に奥のガラス窓の向こうには、いやぁーいますゴリラ君!
映像で観たゴリラがそのまんま目の前に現れるというこの演出。会場からは「Oooooooh!」と感嘆の声が上がるわけです。

となりの部屋に移るとそこは一面のガラス張りでそれこそ30センチ先にゴリラ一家がゴロゴロしてたりする。
僕が行った日には近くの小学生がいっぱい来てて、一匹が目の前で鼻をほじほじして、その指を口にくわえたもんだからガキンチョが一斉に「イゥ〜!!!」などど騒ぎまくってた。


ゴリラだけでなく熊もトラもガンガン走りまくるし、コウモリ館は不気味なフンイキがして面白いし、オトナも楽しいBRONX ZOO。
短いNY旅行でここに来る人は少数派だと思うけど、「NYでどこがオススメですか?」って聞かれたらここも候補にあげちゃうな。

注:さすがに真冬に行くとこうはいかないとオモウケド・・・



nywine at 13:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月20日

北京―パリ レース 100周年

Beijin-Paris2007年8月のある土曜日、モンゴルの首都ウランバートルの広場に130台のヴィンテイジ・カーが集結した。
ドライバーは総勢250人、25カ国からのエントリーである。

前回ふれた100年前の冒険をもう一度、と開催されたレース。どういう規定があったのかしらないが、道路の整備された21世紀でもパリまで到達できたのは参加中たったの5台だったそうだ。
『The Mad Motorists』の本文中、ゴビ砂漠を越える際にはかなりのトラブルに見舞われたことが書いてある。100年前のモンゴルとはいえウランバートルにたどり着いたドライバー達はほっと胸をなでおろしたことと想像する。(とは言ってもレースはまだ半分も来ていないわけだが・・・)

記念日の翌日、毎日買って読むでもない英字新聞に偶然この記事を見つけたとき僕は、「やっぱり何か縁があるのかな?」とロングアイランドののどかな風景を思い浮かべた。

詳しく調べれば色んなエピソードが連なって出てきそうなこのレース。少し落ちついたらやってみよう。
そしてもう100年待つわけにはいかないので、10年以内には自分でこの行程を走ってみたいものだ。
ま、ヴィンテイジ・カーとまではいかないだろうけどね。


あ、ワインのこと書くひまがなくなってしまった。
今週は出かけておりますので次のアップデートは来週です。
ではでは・・・


nywine at 12:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月15日

イタリア貴族のワインとマッドな冒険者たち

Mad Motorists手元に一冊の本がある。

『The Mad Motorists』

カヴァーは色あせ、古本屋の値段シールが貼ってある。
価格はセールで$1。
出版元はロンドンの会社で1964年に印刷されており、したがってカヴァーに表記してある値段は£7.5となっている。
Mad Motorists2 
この本、元はNYで僕の一番の友人であるSamの親父さん(Nick)のものだった、というか今もそうである。2年近く前に借りたっきりなのだが、それには理由がある。
今年初めNickは脳梗塞を患い、軽い言語障害になってしまった。
元来陽気な人で、4月に僕とSamと3人で食事したときも朗らかに笑ってはいたけれど会話は無理な状態だった。あれから4ヶ月ほど経っているが、回復に向かっていてくれればいいと思う。

そんなわけでこの『Mad Motorists』は帰国の際にSamに了解をとって僕が預かっておくことになった。


この本の和訳版は99.9%存在しないと思う。
オリジナルの英語版でさえロンドン中の古本屋を探しまくって見つかるかどうか。
そんな忘れられた40年前の本が僕とNickとあるワイナリーをつなぐ不思議な縁をつくった。


自動車が発明された20世紀初頭、ヨーロッパ各地では様々な趣向のレースが行われていた。
そんな中、フランスの出版社がとんでもない企画を発表したのだ。

その内容とは、「北京―パリ ラリー」
当時アジアはもとよりロシアにさえ自動車はほとんど普及しておらず、したがってガソリン・スタンドなんてものもありはしない。
外交ルートを通じて各国の了解をとり、予定のルート上に燃料をディポジットするところからレースの準備ははじまる。

本文はレース中のドラマを淡々と語り、アジアには「自動車」という単語すらなかった時代の強行軍の模様を克明に伝えてくれる。
今回のブログに関係があるのはレースの参加者の一人、イタリア貴族であったBohgeheseという人。(ボウゲイジと発音する)
彼はトップでこのレースのゴール、パリに到達するわけだが、このBohgehese、ロングアイランド・ワインを調べるとそこのワイナリーの一つに名前がついている。
オーナーはイタリア人である。さてそこに何らかの関係があるのか?

「YES」

僕はワイナリーは数年前から知っていたが、リサーチのためオーナーに会いに行く前日、ロングアイランドのNick宅に泊まったとき彼から『The Mad Motorists』のことを教えてもらった。

翌日Nickと二人でBohgehseワイナリーに向かう。
運良くオーナーと会うことができ、テイスティングをした後ワインの日本輸出のことなどを話し、落ち着いたところでこの自動車レースのことを聞いてみた。

彼曰く、「ああ、もちろん知っているよ。レースに参加したのは私の大叔父にあたる人だ」

「おぉー、やっぱりそうか! なんだかいかにも貴族の子孫みたいにお高くとまったところがあると思った」、とはもちろん口にできない・・・
Mad Motorists3
おもしろいのはNickはロングアイランドに何十年も住んでいるにもかかわらず、僕がSamを通じてワインの話を持ち込むまでほとんどワイナリーに足を向けることはなく、したがって随分前に古本屋で手に入れた本に出てくるイタリア人貴族の末裔が車で15分のところにワイナリーを営んでいる事実も知らなかったのだ。

初めて行ったBohgehseでNickはそこの白を気に入り、「明日友人のパーティーに持っていこう!」とシャドネイを2本買って帰った。


一冊の古本がNickと僕とワイナリーを結ぶ。


次回はBohgehseワインのもう少し詳しい話と、僕が帰国した後偶然見つけた「北京―パリ レース」100年後のニュースをお伝えします。

お楽しみに!


nywine at 13:42|PermalinkComments(3)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月08日

ズバリ、嫌いな日本語って?

長く異国に暮らすと少しずつ母国語を忘れていく、それは悲しいけれど仕方のないこと。

帰国して、日本人だけに囲まれて生活し、毎日日本語だけが聞こえてくる。
十数年ぶりに生活の基盤を母国に移して数ヶ月、その日本語が気になってしょうがない。


僕は常々外国人に『日本語は表現力豊かな美しい言語である』、と伝えてきた。
言語学的に見て日本語は他のアジア言語とは異なる成り立ちをしているとモノの本で読んだことがある。
漢字だけでなく英語やフレンチなど、様々な外国語を吸収しつつも言語の本質を失わない、世界でもユニークな言葉だと思う。

時代の流れと共に言語も変化していく、それはどの国/文化にもあることで、そのことをネガティヴだとは思わない。
しかし、日常やたらと耳にする言葉であまりにも安易に使われていて、それでいて物事の本質をぼかしている都合の良い単語が一つある。それが『きちんと』だ。

政治への不信感が高まる中、政治家の不正がさらけ出され、そのたびに繰り返される謝罪と信頼回復への訴え。
「収支報告はキチンとなされなければならない」、政治/行政のみならず民間の企業も『金』の行方を明確にすべき、という風潮になってはいる。
一方で1円以上の領収書提出は必要ない、といった声も政治家から上がっていると聞く。
また民間でも商品の記載を故意に操作したという事件が後をたたない。
そして事件発覚後に責任者が言う決まり文句に『今後はキチンとした管理を行っていきたい』


日本語の持つ「あいまいさ」は『和』を重んずる日本人特有の国民性がそのまま現れているように思う。
それが文学の世界で表された時、日本人古来の繊細な感覚が浮かび上がり、行間を読ませる優れた作品になる。

だが、ニュース報道で毎日のように聞かされる『きちんと〜』。これに僕はうんざりさせられることしばしだ。

ためしに広辞苑でひいてみた。

きちんと:崩れや乱れがなく整然としているさま。過不足なく正確なさま。基準に合致しているさま、とある。

相手にこの『〜しているさま』を伝えようとするならば、具体的な内容を示すのが条件ではないだろうか?

「わが政党の収支報告書はきちんとしています」、こう聞いて納得する人はまずいない。


舛添厚生労働大臣は僕も活躍を期待する閣僚の一人だが、マスメディアに顔を出すことの多いこの方、残念ながらコメントの中で「きちんと」を連発する。
任命からわずか2週間、具体的な結果を求めるのは早すぎるが、この「きちんと」連発に一抹の不安を感じるのは僕だけなのだろうか・・・


みなさんの嫌いな日本語って何ですか?



nywine at 01:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月06日

ギミア・ドッグ!

Give me a dog街をぶらついていて小腹がへった。
とりあえず何か口に入れたい・・・

コンビニのおにぎりがベストなんだけどNYにはそんなモノはない。(正確に言うとあります。最近ランチ客目当てのおにぎり屋さんなんてのも出来てまして。。。)

ま、ホット・ドッグですな、ここは。
ヴェンダーと呼ばれる屋台で一個$1。ただしこれがセントラル・パークの中とか観光スポットだと$2したり、ヤンキー・スタジアム内だと$5近くしたりする。(ちなみにこの写真は7Aveと56Stの角)
背にはらは変えられぬ、ということでそこの相場に従うしかないわけだが、原価数十セントしかしない、とは考えないほうがよい。

街角には『パパイヤ・キング』なんていうドッグとドリンクだけのお店もあり、こっちはかなりのお得感。
ブロードウェイの72Stや8番街の35St、7Aveと8Stの角にもあったかな?
あと6Aveと5Stのとこにもあるなぁ。

パパイヤ・キングの写真、どこにしまったっけ???

それからオーダーするときは「キャン アイ ハブ〜?」なんて言わずに『ギミア・ドッグ!!!』でいいのだ!


nywine at 15:50|PermalinkComments(4)TrackBack(0) Far East Cafe 

2007年09月02日

ハーレムのゲルニカ

ハーレムのゲルニカ
ニューヨークの街並みを思い浮かべる、、、

まだ行ったことのない人の頭に浮かぶシーンの一つに壁の落書きアートがあるのではないかと思う。

実際、ツアーガイドをしていた頃よく聞かれた、
「ビルの壁に描かれてるアートが観たいんですけど、どこに行けばいいですか?」
残念ながら、と言うべきか今のNYでこういうアートを見つけようと思ったらマンハッタンから出たほうが確立が高い。
僕がNYに行く前の80年代であればそれこそ数ブロック歩けば何処にでもあったのだろうが、街の再開発とクリーン化のせいで随分減ってしまった。
独特の字体で書かれた様々なメッセージがサブウェイの中や道路わきの壁など、いたるところをにぎわせていたのだが、今やサブウェイの車内も綺麗なもんである。
最近はブルックリンやクイーンズなんかを車で流していて「おぉ、こんなところにスグレタ作品があるではないか!」、と驚かされることしばしば。
逆にマンハッタン内ではミッドタウン以南では中々お目にかかれない。


ここにある『ハーレムのゲルニカ』(勝手に名前つけちゃったけど)は、その名の通りハーレムのはずれにある。
確か127Stのイーストだったと思う。
近頃安全になったハーレムではあるが、この辺りはまだまだヤバイ!
僕は車で信号待ちのときに撮ったわけで、グラフィティーの写真を集めたいからといって旅行者がフラフラと歩いていてトラブルに巻き込まれないという保障はないのだ。

誰がどんな意図で書いたか知らないが、街の街灯とあいまって結構イイカンジだった。

もう一枚の「RUN DMC」はクイーンズ・アストリアの産業地区にある。


こういうの写真を撮って回ろう、というのもありふれた企画だなぁ、と住んでいる時は思ったけど、いざ帰国してみると「やっぱせめて一日これに費やしとけばよかったかな?」などと思うこのごろである。


RUN DMC

nywine at 19:04|PermalinkComments(2)TrackBack(0) Far East Cafe