「これで終わりということだよ」-。民主党の小沢一郎幹事長が東京地検特捜部の事情聴取に応じた15日、小沢氏に近い党幹部は余裕の表情を見せた。特捜部の要請から4日目のスピード対応には夏の参院選を前に「政治とカネ」問題の早期幕引きを図る狙いがうかがえる。だが、15日の小沢氏や鳩山由紀夫首相の言動を見ると内閣支持率の浮上のきっかけはつかめそうもない。(船津寛)

 小沢氏の事情聴取直前の午後4時前、首相は旧宅の「鳩山会館」(東京都文京区)に行き、地元・北海道の後援会メンバーに囲まれていた。「心配しないでください。ぶれません」。首相はノーネクタイの私服姿でにこやかにこう語り、気軽に記念写真に応じた。

 本来ならば、別の用事があるはずだった。5月15日は38年前、沖縄県が本土復帰した日。米軍普天間飛行場移設問題の「決着」に向け、首相はこの日の沖縄入りを熱望したが、「鈍感で無神経」(伊波洋一宜野湾市長)と拒否された。首相はそんな経緯も忘れたかのように振る舞い、沖縄の本土復帰に関するコメントを出すこともなかった。

 政権の屋台骨である小沢氏の事情聴取にも首相は沈黙を貫いた。政権が末期症状にもかかわらず危機感はうかがえない。

 午後10時10分、事情聴取を終えた小沢氏はホテルの地下から車に乗り込み、報道陣を振り切るように自宅に帰った。

 「何か具体的な動きがあれば、記者会見やぶら下がり取材でしっかり対応します」。特捜部から事情聴取要請を受けた12日、民主党幹事長室は報道各社にこう伝達していたが、小沢氏は「私はこれからも誠実に対応してまいる所存です」と書かれた紙一枚を出しただけだった。

 「このままでは参院選を戦えない」。これが政府・与党内の共通認識となりつつある。内閣支持率は時事通信の世論調査で19・1%となり、2割を割り込んだ。党内では首相による小沢氏解任に淡い期待が広がるが、現実には厳しい。

 首相も「政治とカネ」問題を抱え、きれいごとは言えない。普天間問題で首相の発言がぶれたあげく、自らが公約した「5月末決着」をほごにしたことも支持率下落の大きな要因となっている。首相に、小沢氏の首に鈴をつける権限はあっても、その資格はない。

 渡部恒三元衆院副議長は首相をかばうのをついにやめた。15日夜、千葉県銚子市での講演で、自らを水戸黄門になぞらえ、「民主党議員の九十九パーセントはまじめにやっている。ナンバーワンは人はいいが頼りない。ナンバー2は力があるが悪いことしそうだ。近いうちに首相にも、小沢氏にも印籠(いんろう)を出してけじめをつける」と宣言した。生方幸夫副幹事長は「このままでは無限に浮かび上がれない。自滅だ」と嘆く。

 首相と小沢氏に重くのしかかる政治家の「責任」。これと真剣に向き合わない限り、二人三脚で臨む参院選の展望は開けず、鬱憤(うっぷん)はたまっていくばかりだ。

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