稜線に吹く風をさがして

そのとき、その場所にしかない風景をさがして。山登りの記録と記憶。

藤原岳 - 御池岳はおあずけ、それでも霧氷は青空に輝く

日程 : 2018.2.4(日) 日帰り
ルート : 木和田尾 → 頭陀ヶ平 → 藤原岳 → 大貝戸(周回)
天候 : 晴れ(稜線は風強し)


ルート図:(ヤマレコより)

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霧氷鑑賞を目的にした今回の山行チャンス。
一番行ってみたいのは、奈良にある明神平だった。
ただ、天気予報では青空が望めそうになかったので、天気の良さそうな鈴鹿へと計画変更。
第一候補はテーブルランドの霧氷に期待して御池岳である。

しかし、はじめに結果を言ってしまえば、御池岳は断念。
稜線に上がった段階で体力的、時間的に厳しいと判断し、藤原岳周回に予定を変更した。
でも、霧氷はばっちりで、ちゃんと満足できる雪山ハイクとなった。

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御池岳を目指す計画ルートは、白瀬峠登山口から木和田尾を登り県境尾根へ、
そして、稜線を辿ってカタクリ峠経由でテーブルランドに上がる、というものである。
帰りはトレースがあれば、コグルミ谷右岸尾根を下って国道に出てもいいかなと考えていた。

駐車場は国道306号沿いの藤原簡易パーキングが便利かと思うが、少しでも下山後の車道歩きを少なくしたいので、白瀬峠登山口に乗り付けてしまう。
水道施設(山口配水池)のそばに、いくらか駐車スペースがあるが、5台程度のキャパ。
この日は6時半過ぎで一番乗りだったが、出発の準備をしている間に、2台ほどが到着した。

7:10 白瀬峠登山口(出発)
登山口からしっかり雪があり、後で付けるのも面倒くさいのでスタートからアイゼンを装着。


しばらくは植林地の中の谷筋を詰めて、木和田尾を目指す。
はじめからキツい登りではあるが、雪がしっかり締まっていて歩きやすかった。


黙々と登って、1時間ほどで木和田尾に乗っかる頃には、朝の陽が差し込んできた。
ルートは想像以上の雪の量であった。


時折、木々の隙間から見える稜線は霧氷が付いていそうで嬉しくなる。


木和田尾を歩くのは2回目だが、明るい二次林が続いて好きな雰囲気である。
ありがたいことにトレースはしっかりあり、時々ズボっと行くが、全体的に歩きやすかった。


雪面に映る木々の影もアート感があって好き。


高圧線の鉄塔が近づいて来ると視界が開けて開放的に。


稜線方面を眺めると、どうやら霧氷確定のようである。
溶けて消えてしまう前に、急いで登らなくては。


鉄塔下で小休止。ただ、風は強いので、とても長居はできない。


鉄塔が邪魔ではあるが、見晴らしはなかなか良く、眺望は大きく開けている。
これは鞍掛峠の方角。


反対側では伊勢湾が眩しく輝いていた。


稜線上に立つ鉄塔を遠望で。おそらく、あそこが頭陀ヶ平だろう。
電線も凍っているのがわかり興味深い。


御池岳に向かうなら白瀬峠(指導標は白船峠)方向に向かうべきだが、トレースがない。
やや遠回りになりますが、直進してトレースのある頭陀ヶ平方面を目指す。
ちなみに白瀬峠へは嫌らしいトラバースとなるらしいので、意図的に頭陀ヶ平を経由するのもありかと思う。


ここからは地形のせいか、かなり雪の量が増えた。
トレースを少しでも外すと、簡単に膝ぐらいまで踏み抜いた。


鉄塔下で振り返れば、麓からかなり登ってきたのがわかる。背後は養老の山並み。


稜線が近づいて、いよいよ霧氷が付きはじめた。


やっぱり霧氷はいいな。思わず、はしゃいでしまいたい気分になる。
初霧氷の山友たちも、テンションが上がり気味だったように思う。


見上げれば、ガラス細工のように繊細な霧氷が空を覆っている。


霧氷の咲く森。


背景が青空っていうのも嬉しい要素。
陽が当たっている場所は、純白の如く輝いていて美しい。


霧氷に思いっきり寄ってみると、こんな感じ。


雪原と霧氷の森のコントラスト。
鉄塔が映り込んでしまうのは残念だけど、ちょっと感動してしまう風景だった。


ひと際、存在感のある大木を見上げながら登る。


何と言うか、もう言葉にならないんだけど、すごく澄んだ透明な空気感が堪らない。


稜線は目前に迫っているが、ここはかなりの斜度で厳しいところ。
休み休みで登って行く。


横に目を向けると、真っ白な霊仙山。


吹き飛ばされそうな突風の吹き荒れる中、県境尾根の稜線に到達。
氷の粒が襲ってきて顔が痛い…


10:15 県境尾根(頭陀ヶ平手前)
3時間掛けて稜線に立つと、真ノ谷を隔てて目の前に御池岳が大きく横たわっている。


あそこへ到達するためには、ここから県境尾根をカタクリ峠まで進んで、もうひと登りする必要がある。
御池岳の山頂まで、コースタイムは夏道で1時間40分。
テーブルランドはゆっくり散策したいから、それも加味すると時間的に余裕はなさそう。
ひとり登山なら多少、自分の責任の範疇で強行していたかも知れない。
でも、ここまでの木和田尾の登りで体力はそれなりに消費していたし、
何よりその遠さに心が折れる部分もあったので、御池岳は断念することにした。

奥ノ平あたりだろうか?
しっかり霧氷が付いているので、テーブルランドは素晴らしい風景だったことだろう。
ちょっと惜しい気もするが、作戦を練り直して、またいつかリトライしたい。


霊仙山の右側に伊吹山も見えてたが、上空には雲が掛かっている。
今日は鈴鹿を選ぶのが正解だった模様。


予定を変更して、県境尾根を辿って藤原岳に向かうことに。
こちら側の霧氷も抜群に美しかった。


頭陀ヶ平の鉄塔を通過。
このあたりは吹き曝しの稜線で爆風状態、立ち止まると容赦ない寒さが襲ってくる…。


これから向かう藤原岳方面も、嬉しいことに霧氷がびっしり付いている。


突風が吹くと霧氷のかけらが空を舞う。
時々、上空の高圧電線から大きな塊も落っこちて来た。
一回、思いっ切りデッドボール(?)を喰らったが、かなり痛かった…。


緩やかなアップダウンを繰り返しながら藤原岳へ。


県境尾根の積雪はかなりのもので、踏み抜きが多くなった。
フワフワの雪の感触も楽しみたかったので、ここでワカンを着用。
ちなみに、この区間だけは霧氷が付いておらず、ちょっとした地形の差なのだろうか?


鈴鹿の目映い冬景色の中を進む。


振り返ると、霊仙山と伊吹山のパノラマが広がっている。
伊吹山もなんとか晴れてきたようだ。


どっしりとした山容の伊吹山。
左側の斜面に、山頂にまっすぐ続くトレースが見えているような?
最後の登りはかなりキツそう。


逆光で透けるように輝く霧氷の中を突き進む。
この凜とした冬の森の雰囲気がいい。


時折、空を見上げながら歩く。


目標の御池岳には行けなかったけど、心は十分、満たされた気がした。


霧氷には群青の空がよく似合う。


霧氷の森を抜けると不意に視界が開けて、そこは天狗岩だった。
ここまでトレースを辿って来たが、夏道とは違うところを歩いてきたようだ。
正規の登山道だと分岐から寄り道する形になるが、今回はダイレクトに天狗岩に出た。


天狗岩は藤原岳の最高点であり、開放的な眺めが広がっている。
この先は雪庇になっているようなので、近づきすぎに注意して写真撮影。


正面の白い山は1月に登った竜ヶ岳である。その後には御在所岳なども。


三角の形が目立つピークは展望台といわれている場所。
最高点はこちら側だが、一般的にはあちらを藤原岳山頂とするようである。


いくつかなだらかな丘を越えて行く。
このあたりから霧氷はなくなってしまったが、ここまで十分に楽しむことが出来たので良し。


時々、突風が吹き抜けて行く。風が強い場所のようで雪は少なかった。


カレンフェルトの向こうに雪原の斜面が広がる展望台ピーク。
雲が適度に躍動し、立体的な風景を作ってくれた。


だいぶ疲れてきましたが、終日、青空に恵まれて楽しい雪山ハイクが続く。
霧氷初体験だった同行者たちも喜んでくれたようだ。


12:10 藤原山荘
緩やかに丘を下って行くと避難小屋(藤原山荘)が見えてきた。


小屋は冬季も解放されており、中で食事にしようとしたが、なかなかの混雑だった。
風の弱い小屋の影でランチとした。
今回のメニューは、レトルトのユッケジャンクッパ。
冷凍の白米を持ってきて、軽く煮込む。キムチは持参品のトッピングで、これは大正解。
なかなかの美味で、何より体が温まる。
冬山メシとしては、かなりの高得点だった。


ランチをゆっくり取ったら、時刻は13時半でそこそこの時間になっていた。
展望台ピークまでは30分程度だが、一度、登ったこともあるので、まあいいか。
ここまでの霧氷ハイクで十分に満足だったので、スルーすることに。


帰りは表登山道で大貝戸に下る。
こちら側はヤマレコなどを見ると、朝はしっかり霧氷が付いていたようだが、さすがに昼を過ぎてしまっては、すっかりなくなっている。


下りはじめは麓の町のミニチュア感がすごい。


下り斜面はかなり急降下で、疲れた足には少々堪えた。


2時間弱で大貝戸の登山口に下山できた。
しかし、車回収のために、まだ3kmちょっとの車道歩きが残っている…。


1時間弱を掛けて白瀬峠登山口に戻ると16時半。疲労感はかなりのものだった。
御池岳のテーブルランドを目指してスタートした今回の山行。
目的は果たせなかったが、県境尾根の霧氷は生涯最高の美しさで、無駄にはならなかった。
でも、御池岳への未練はやっぱり残るので、いつかは必ず。

竜ヶ岳 - 穏やかな鈴鹿の冬景色、青空と雪原と

日程 : 2018.1.14(日) 日帰り
ルート : 宇賀渓 → 遠足尾根 → 竜ヶ岳 → 金山尾根 → 宇賀渓(周回)
天候 : 晴れ


ルート図:(ヤマレコより)

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2018年の初登山は雪の鈴鹿へ。
会社の同僚たちが雪山を始めたいとのことでアテンドすることになった。
どこが適当かかなり悩んだが、竜ヶ岳を選んだ。
僕自身は春、シロヤシオの時期に登っており、今回で2回目となる。
広々と開放的に広がる笹原の風景が雪景色になったらどうなるのか、楽しみである。

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今回のスタートは、前回と同じく最もメジャーな登山口である宇賀渓。
車窓から見える竜ヶ岳はほのかにモルゲンロートになっており、気持ちが高まってくる。


石榑峠へ向かう登り坂に差し掛かると、道にうっすらと雪が積もっていた。
名古屋では雨だったが、こちらでは夜のうちに降雪があったようだ。
宇賀渓の駐車場にはそこそこの台数が先着しており、たくさん入山者がいるようで心強い。


山頂付近を見上げると真っ白である。
天気も抜群の快晴で、楽しい雪山ハイクが期待できそうで何より。


8:10 宇賀渓(出発)
観光案内所で登山届を提出して出発する。なお、下山報告も必要なので注意のこと。
ちなみに駐車場は¥500で、利用しない場合はひとり¥200の入山料が必要になる。
食堂や土産物屋が並ぶ通りを抜けて、しばらくは林道歩き。


テント村付近の森には粉雪が掛かっていい雰囲気。
ただ、朝日が当たっている場所は、みるみる雪が溶けて行っているようだ。


20分ほど林道を歩くと遠足尾根の取り付きに到着する。
登りは遠足尾根、下りは金山尾根を使う予定の今回の山行。


遠足尾根は稜線に出るまで急登が続くので、なかなか骨が折れる。
雪は軽く積もっているものの、凍ってはないのでアイゼンを付けずとも問題なしで登れた。


岩山展望台の手前でちょっとした岩場を通過する。
難しくないけど、滑らないように慎重に進む。


展望台から見上げる山頂は、まだまだ遠い。


四日市方面の眺望。伊勢湾が朝の光で輝いている。


取り付きからたっぷり1時間15分掛かって、ようやく山頂まで長く続く稜線に乗っかる。
ここで大きく北西方向へ転進。
植生も植林の針葉樹から広葉樹に変わって明るい雰囲気になり、穏やかな尾根道が続く。


雪の量が一気に増えて、部分的に深い箇所もあったが、ツボ足で問題なし。
静かな冬の森を軽やかに行く。


ちょっとしたトラバース区間。それほど危険ではない。


ここが遠足尾根で最大の核心部か? 痩せ尾根を慎重に通過。


やがて樹林帯を抜けて、待ちわびた開放的な風景が広がって来る。
ここからが遠足尾根の本領発揮である。


最高の雪山ハイクが始まった。


なかなか山深い鈴鹿の山並み。正面に位置するのは釈迦ヶ岳。


時折、強い風が吹いて、まずまず寒い鈴鹿の稜線。
でも、こんな青空のもと歩くことができるのなら、これ以上の贅沢は言えないだろう。


稜線には小さいながら、ちゃんとした雪庇が成長中。
流石にこのあたりは雪深く、油断すると時々ずっぽりと踏み抜くけど、それも楽しかったり。


振り返れば、眼下に広々と濃尾平野の眺め。
すれ違った下山者はスノーシューを履いており、飛ぶよう下って行き、なんだか楽しそう。


青空、雲、雪原。どれもが主役の鈴鹿の冬景色。
これは期待以上に素晴らしくて、ちょっと感動してしまった。


行く手には、なかなか手強そうな壁が立ちはだかる。


雪山と海を同時に眺められるのもいい。


急斜面に取り付く。
初雪山の仲間たちの練習を兼ねてアイゼンを履いてもいいかなと思ったが、グリップの利く雪質だったので、そのまま進んでしまう。


距離は短いがここの斜度はキツく、一気に息が上がった。


右手には大きく藤原岳。
あの階段状の斜面(石灰の鉱山)は痛々しく見えてしまうが、立派な山容。


11:15 金山尾根・分岐
急斜面を登り切ると金山尾根のルートと合流する。
そちら側から登ってくる登山者もたくさんいた。


稜線からの眺望は山頂方面に遮るものがなくなり、たおやかだけど、どっしりと存在感のある竜ヶ岳がいっそう大きく見えるようになる。
稜線は正面の谷を大きく回り込んで山頂を目指す。


この開けた稜線でも風はいたって穏やかで、快適な雪山ハイクはまだまだ続く。


春のシロヤシオも良かったけど、冬の竜ヶ岳も甲乙付けがたし。
だんだんと雲が増えてきたのが気になるが、山肌に影ができて、それもまたいい。


山頂へのプロムナード。
このあたりは風の通り道になっているので、雪が吹き飛ばされている部分もあった。


霧氷を期待していたのだけど、今回は残念ながらダメだった。前夜が雪なら仕方なし。
でも、雪原の斜面にシロヤシオの木々がいいアクセントになっている。


右手に大きく見えるのは静ヶ岳である。
いつかは県境尾根を辿って、藤原岳まで歩いたルートを繋げてみようかとも思う。
ちなみに、この日は治田峠方面にトレースは付いていなかった。


山頂に向かって最後の登りに取り掛かる。


シロヤシオの森を振り返る。
稜線の奥には、御嶽山と中央アルプスが連なって見えていた。


山頂へと登山者の列が続く。
冬でもこれだけの人が入っているとは思っていなかったが、人気があるのは納得。


11:45 竜ヶ岳・山頂
そして、広々とした山頂に到着である。
ここまでの道中、風は穏やかだったのに、吹き曝しの山頂は強風でかなり寒い。
あまり長居はしたくない…ので、写真だけ撮って下ることに。


北側に見える平らな山は御池岳。
雪景色のテーブルランドに行ってみたいけど、この冬、叶えることはできるか?


南側は釈迦ヶ岳と御在所岳。雲が増えてきた。


風のないランチ適地を探すために、早々に下山開始。
下りはじめの正面に広がる藤原岳と御池岳の眺望が最高だった。


山頂直下の下りは踏み固められているせいか、やや凍結気味で滑るので慎重に。
同行者のひとりは派手に転んで痛そうだった。
アイゼンを付けても良かったかも。


濃尾平野の向こうに見えた御嶽山と乗鞍岳。
肉眼ではかなり遠いが神々しい。


治田峠分岐あたり、南向きの斜面で山頂を見上げながらランチとした。
雲が日を遮って陰影ができて、それもまたいい感じであった。


ランチの後、雪と戯れながら下山開始。


このあたりは空の上を歩いているかのようだ。


帰りは金山尾根を下る。
下り始めがなかなか急斜面だったので、ここでアイゼンを付けることにした。


金山尾根は早い段階で樹林帯に入ってしまうので、これで山頂は見納めとなる。


南向きで陽当たりがよく、だいぶ雪は緩んでいた。
時々、踏み抜くこともあり、かなりの汗をかきながらの下山となった。
さらに下ると地道が出ている箇所も多く、でも日陰ではまた雪道になるので、アイゼンの外しどころに迷った。


1時間半で金山尾根を下り切った。
白滝丸太橋を渡ったら、あとは林道歩きで宇賀渓に戻って本日の山行は終了。


青空と雪原のコントラストが美しかった冬の鈴鹿。
仲間たちも初の雪山を十分に楽しめたようで、今後も続けていきたいとのこと。
冬装備に掛けた経費を回収するためにもどんどん登らないと、なんて話をしながら、山を後にした。

雨乞岳 - 深秋の鈴鹿、笹の海を掻き分け稜線散歩

日程 : 2017.11.12(日) 日帰り
ルート : 甲津畑 → 大峠 → 清水頭 → 雨乞岳 → 杉峠 → 甲津畑(周回) 
天候 : 晴れ(風強し)


ルート図:(ヤマレコより)

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鈴鹿セブンマウンテンの一座に名を連ねる雨乞岳。
ここにずっと歩いてみたかった笹原の稜線があった。

雨乞岳は御在所岳に近く、メインルートは鈴鹿スカイラインの武平峠が登山口になる。
しかし、今回歩くのは、近江側の甲津畑をスタートする裏ルートである。
大峠、清水頭を経由して雨乞岳に向かうルートは、地図上では破線となっている。
距離も所要時間もこちらが断然、長い。
それでも、あえてこのルートを選ぶ理由は、前述の稜線がとにかく素晴らしいからである。

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7:05 甲津畑・鳴野橋(出発)
アクセスは名古屋からいなべを経由し、石榑トンネルを抜けて甲津畑へ。
集落を過ぎて5分ほど林道(舗装)を走り、鳴野橋手前の路肩に駐車する。
10台ほど停められるスペースがあり、先客の3台はすでに出発済みであった。

一般車は通行できない岩ヶ谷林道の起点から本日の山行をスタート。


しばらくは川に沿った林道歩き。この道は歴史ある千種街道で、趣のある雰囲気だった。
千種街道は近江と伊勢や尾張方面を結び、商業的、政治的に要衝路であった。
かつて織田信長がここを通った際に狙撃を受けたとの記録もある。
道中には狙撃手が身を隠した「善住坊のかくれ岩」があったが、少し寄り道になりそうなので、今回はスルー。


まだ陽が差し込んで来んできていないが、紅葉の色づきはまずまずのようだ。
落ち葉を踏みしめながら進む。


見上げた空に黄葉が透ける。



沢の対岸では、朝日を受けて紅葉が輝いていた。
鈴鹿の紅葉は初めてだったが、これが予想以上に鮮やかで、嬉しい誤算である。


林業か猟師か分からなかったが、山師の集まる作業小屋?の前を過ぎると、道は細くなる。
やや心許ない小さな橋を渡って、さらに先へと進む。


スタートから1時間とちょっとでツルベ谷出合に到達。
ここから千草街道を離れて大峠に向かうが、やはりメインのルートではない様相である。
ただ標識はしっかり出ているので、それなりの整備を期待していいだろう。


分岐から少し進むと沢に降りて徒渉となる。
ここが今回のコースで一番の核心部かも知れない。
水の勢いはなかなか強く、水量が多い時には渡るのが難しくなることもあるかと思う。


ここを通過した後も、徒渉を何度も繰り返すして行く。
しかし、最初以外はどれも難しくない。


破線ルートなので、全体的に荒れ気味であるのは確か。
足元が崩れやすいところが随所にあるので、注意しながら登るべき。


テープ類はたくさん付いているので、しっかりと探しながら沢を詰めていく。


ここまで上がって来ると、紅葉は終盤だったが、真っ赤なモミジが残っていた。


最後は涸れ沢を登り詰めて、大峠までもう少し。
このあたりは踏み跡が不明瞭になり、ルートがわかりにくい部分もあった。
なお、地形図に記載されている道ではなく、ひとつ東側の沢を登ることになる。


9:15 大峠
ツルベ谷出合から1時間掛かって大峠に到着。
ここで、綿向山から雨乞岳に連なる稜線に乗っかる。


大峠からは稜線に沿って東に向かう。
すぐに急登(本日一番)が始まるが、ここのルートもわかりづらかった。
右側の崖を避けるように広い斜面を登って行ったが、落ち葉でズルズル滑って苦労した。
崖に沿うように道が続いていたようで、そちらが正解だった。


急登をクリアするとシャクナゲのトンネルに。


大峠からはずっと展望の利かない道だったが、不意にルート上に大岩がある。
それに登ると目的地の雨乞岳を望むことができた。
まだまだ遠いが、待望の稜線までもう少し。


反対の西側を見ると、崩落の目立つ尖ったピークがあり、これはイハイガ岳。
その先に続いているのは以前、登った時、霧氷が美しかった綿向山。


再びシャクナゲの尾根道を進む。
かなり枝がうるさく、しゃがんで歩かなくてはならない箇所もあった。
そういうところでは方向を失いやすいので、慎重にルートを選んで行く。


シャクナゲ帯を抜けると広々とした広葉樹の林に出る。
明るい雰囲気で、これまで緊張感があったためか、なんだかホッとする場所だった。
踏み跡が多数あるが、広い尾根の真ん中を辿って行けば大丈夫。


ところどころで林が切れて、視線の先に楽しみにしていた稜線が見えてきた。


樹林帯を抜けて、いよいよ稜線歩きがスタートする。
ただし、吹きさらしで風がめちゃくちゃ強い。
思いっきり西高東低、冬型の気圧配置なので、予想はしていたが。
体感温度はかなり低く、慌ててアウターを着込んで再出発。


なだらかで牧歌的な斜面と、その奥に雨乞岳。
頭上では真っ青な空の下、雲がすごい速さで流れている。


稜線からはの眺望は抜群であった。
一番目立つのは、鎌ヶ岳から連なる鈴鹿の主稜線。


出発地の甲津畑方面。紅葉しているフジキリ谷を望んで。
ずっと奥には薄らと琵琶湖の姿も見えた。


断続的に突風が稜線を吹き抜けるが、身の危険を感じるほどではない。
雨乞岳を目指して再スタート。


清水頭(しょうずがしら)を通過。


ここからがこの稜線のハイライトである。
小さなアップダウンを越えて、丸い山容の雨乞岳を目指す。
広々とした稜線に青空。開放的すぎる風景が堪らない。


ただ、ひとつ気になることがある。
事前にネットで見たこのあたり写真では、もっと笹が生い茂っていたはず。
以前は膝下ぐらいまで笹があったようだが、今は枯れてしまったのか、更地に近い状態。

調べてみると、鈴鹿では各所で笹枯れが進んでいるようだ。
笹は地下茎で繋がっているので、育つのも枯れるのも同時期に広範囲で起こるらしい。
今は笹の減退期のようで、その周期は50年とか数十年の単位といわれる。
そういう長い自然の理の中で、山の風景がいつだって同じでなくても当然なのかも。


もう少し進んでいくと青々とした笹も現れはじめて、歩いてみたいと思っていた風景に。
笹原の小径を足取り軽く。


気持ちのいい青空を見上げて登って行く。


歩いてきた稜線を振り返って。
あと一週間早かったら、笹原と紅葉のコントラストが良かっただろうから、少し惜しい気分。


雨乞岳手前の小ピークである南雨乞岳に向かって、徐々に登りがキツくなっていく。
笹は少し深くなって来たが、このあたりはまだ道がはっきりしていて問題なし。


南雨乞岳の直下は、いよいよ笹が濃くなり、掻き分けながら急斜面を登る。


斜面を登り切って、南雨乞岳へは右側に少し寄り道する形になる。
見晴らしのピークからは、正面に御在所岳と鎌ヶ岳が大きく広がっている。
ここでランチとも考えたが、そこそこに風が強く断念。


雨乞岳と東雨乞岳を繋ぐなだらかな稜線。
ここから先は、遠目から見ても笹が深いことがわかった。


ここからが、この稜線の本当の姿? 写真では気持ちよさそうだけど…


いつしか完全に笹の海である。
このあたりは笹を掻き分けて進むのが、まだ楽しい状態。


しかし、雨乞岳の山頂直下は背丈に迫る笹藪に。
慎重にルートを選んでいたつもりだが、最後は完全にロスト。
掻き分けやすい部分があるので、それを探って進むが、あちこちで枝分かれして、どれが正解なのか全然、分からない。
でもまあ、山頂は間近なので、不安になることはない。


11:50 雨乞岳・山頂
結局、最後は半ば強引に笹藪を抜けて、不意に山頂に飛び出した。
朽ちかけた簡素な山頂標が佇む山頂は、少し寂しげだったけど、嫌いではない雰囲気。
個人的には、これで鈴鹿セブンマウンテンを全制覇である。


山頂の片隅に「大峠はここから」の標識があるが、出てきたのはここではない(苦笑)


東雨乞岳に続くなだらかな稜線。こちら側が武平峠から登って来るメインルートになる。


対照的な山容の御在所岳と鎌ヶ岳。なかなかのパノラマである。
その間の背後には伊勢湾と四日市のコンビナートも広がっている。


鎌ヶ岳


御在所岳


それほど広くない山頂では数名が昼休憩をしていたが、ここも風があるので、適当な場所を探しながら、もう少し進むことにする。
下山はまず杉峠に向かうが、標識は見当たらなかった。踏み跡を辿る。


山頂の裏手には、ひっそりと小さな池があった。
名前の由来の通り、ここで雨乞いの儀礼が行われていたらしい。


笹原を下って行くと、正面に鈴鹿北部の山並み。
竜ヶ岳、藤原岳、御池岳と一望できた。さらに奥には伊吹山も。
ちなみに、すぐ向こうの平たい山は鈴鹿の秘境と呼ばれるイブネ、クラシである。


いかにも眺望良さそうな東雨乞岳のピーク。
斜面の木々が紅葉していたら、いかほどの美しさだったことだろうか。


国見岳と釈迦ヶ岳


釈迦ヶ岳の背後には、霞んでいるけど御嶽山の姿もある。


杉峠への下りは湿気を帯びた滑りやすい急斜面だった。
何度か転びそうになりながら、少々難儀して下って行く。


結局、杉峠まで下ってランチ。途中に眺望がいい場所もあったが先客あり。
本日のメニューはインスタントスープを使ったスンドゥブ鍋。
トック(切り餅)を入れたのは大正解だった。


山友はホットサンドメーカーを持ってきて、色々と挟んでいた。
少しお裾分けしてもらったが、これがめちゃくちゃが美味だった。


腹が満たされたら、杉峠から千種街道で甲津畑に下る。
このあたりは晩秋の雰囲気で紅葉は終盤だが、陽だまりがいい感じ。


フカフカの落ち葉道が心地よい。


ちょっと頼りなさげな吊り橋で沢を渡る。


標高が下がってくると、紅葉がいい盛りに。


蓮如上人旧跡近くの大シデ。
この街道沿いには他にも巨木がいくつもあった。


晩秋の千種街道は最高の散歩道である。
これまでノーマークだった鈴鹿の紅葉もなかなか侮れない。


ツルベ谷出合で今朝来た道に合流し、ゴールまでラストスパート。
紅葉はこのあたりが最盛期だった。


西日が当たって柔らかい色合いになった紅葉。
こんな風景の中なら、長い林道歩きもそれほど苦にはならない。


眩しいほどの逆光の中で輝く紅葉の道。


杉峠から2時間と少しで下山が完了。紅葉のおかげか、それほど長く歩いた印象はない。
笹原の稜線と紅葉を存分に堪能できた、晩秋の鈴鹿登山であった。
マイナールートで人も少なく、静かな山歩きをしたい人にぜひお勧めしたい。


鈴鹿はなかなか奥深い。
今度はイブネ、クラシなんかも歩いてみたいと思っている。
photo
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masa.o-chiku's Select photoset masa.o-chiku's Select photoset
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