稜線に吹く風をさがして

そのとき、その場所にしかない風景をさがして。山登りの記録と記憶。

仙丈ヶ岳 - 麗しき南アルプスの女王、美しく優雅な夏山情景

日程 : 2018.7.22(日) 日帰り
ルート: 北沢峠 → 小仙丈ヶ岳 → 仙丈ヶ岳 → 大仙丈ヶ岳 → 仙丈小屋 → 北沢峠 
天候 : 晴れ


ルート図:(ヤマレコより)

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「南アルプスの女王」仙丈ケ岳へ。
そこには、そう呼ばれていることを素直に納得できる風景が広がっていた。
ネットや本で幾度と見ていたはずなのに、それでもちょっと心が震えるようで。
そして、どこか優しい風景に心奪われてしまった夏山情景。

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南アルプスは前衛峰の日向山、鞍掛山は登ったことあるけど、主稜線は初めてだったりする。
特段の理由はないのだけど、少々アクセスが面倒くさいところは遠因なのかも。

仙丈ヶ岳の登山口である北沢峠へは、マイカーで乗り付けることはできない。
北沢峠に通じている南アルプス林道は通年、マイカー規制が敷かれているので、バスに乗り換えてのアクセスが必要になる。
長野側だと伊那の仙流荘、山梨側だと芦安が中継ポイントとなるが、前者が便利である。
芦安からだと北岳の登山口でもある広河原でバスを乗り継がなければならない。

仙流荘の駐車場に着いたのは4時前だった。
それでも、バス乗り場に近い「上の段」は満車に近い状態で、やはりすごい人気。
河原にある「下の段」もかなりの広さがあるので、停められないことは余程ないだろう。

時期や曜日によってバスのダイヤは異なるが、この日の始発便は5:30。
しかし、4時過ぎから列が出来はじめていた。
やることもないので、我々も4時半ぐらいに並ぶことに。


定刻より少し早く、5:15ぐらいからバスが運行を始め、2台目に乗車できた。
バスはカーブを攻めながら?なかなかのスピードで林道を登って行く。
僕は大丈夫だが、気持ち悪くなる人がいないか、ちょっと心配になった。


北沢峠への到着は6時。後続のバスも続々と到着する。
ここは甲斐駒ヶ岳への登山口でもあり、半々ぐらいに登山者が散っていく。
なお、下山の最終便は16時なので、日帰りの場合は注意が必要である。


6:10 北沢峠(登山開始)
トイレなど準備を済ませて、いざスタート。
登山口はバス停のすぐそばにある。
仙丈ヶ岳へはコースタイム240分の表示。


まずはシラビソの林を登って行く。
ところどころに急な部分もあるが、良く整備されており、とても歩きやすい道だった。


〇合目の表示があって、いい目安になる。
序盤は同じような林の中の登りが続くので、特に写真も撮らず、サクサクと四合目。
とにかく、仙丈ヶ岳の楽しみは森林限界を越えてからなので、ここはどんどん進む。


五合目の藪沢大滝ノ頭が近づくと、針葉樹に混ざって広葉樹も見られるようになる。
登山道の雰囲気も明るい感じに。


マルバダケブキの花畑があった。


所々で木々の間から眺望が開けるようになり、これは北岳。


オベリスクが目立つ鳳凰三山も。


スタートから1時間20分で、五合目の藪沢大滝ノ頭に到着。
500メートル登って来たことになるから、なかなかのペースだろう。
馬の背ヒュッテ方面への道が分岐するが、ここはまっすぐ、小仙丈ヶ岳を目指す。


まだもう少し樹林帯が続くが、背後には甲斐駒ヶ岳も見えるように。


なんだか空が近くなった感じがする。
もうすぐ待望の風景が見られそうな予感。


そして、ついに森林限界を越えた。
見渡す先には素晴らしい青空が広がっている。
ここからが、いよいよ仙丈ヶ岳の本番と言って良い。


仙丈ヶ岳はまだ姿を現さないが、背後に大きく聳える甲斐駒と鋸岳がいい。
その後側には八ヶ岳も望むことができる。


下界には雲が広がっているが、北アルプスも見渡すことができた。


ガスってしまう前に遠方の山々を押さえておこう。
立山方面の雄山と剱岳。その右側に針ノ木岳、蓮華岳。


後立山連峰。
左から、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、そして白馬三山。


ハイマツの茂る尾根を登って行く。
最初の目的地である小仙丈ヶ岳まではもう少し距離があるが、この道は歩いていてなんだかワクワク感がある。


登るごとにパノラマ感が増していく。甲斐駒の存在感がすごい。


となりの尾根の上に穂高岳と槍ヶ岳が姿を現す。


乗鞍岳も。


登山道に続く人の列。
さすがに人気の山、人が途切れることはなかった。


北岳と鳳凰三山の間に、富士山が登場。
これはなかなか贅沢な眺望ではないか。


8:35 小仙丈ヶ岳
藪沢大滝ノ頭から1時間で小仙丈ヶ岳に到着。


ここでついに南アルプスの女王、仙丈ヶ岳と初対面である。
「お目にかかれて光栄です」なんて、心の中で呟いてみたり(笑)
均等の取れた緩やかな曲線を描く小仙丈沢カールが美しすぎて、思わずため息が出る。


ここの眺望は、もちろん仙丈ヶ岳だけでない。
南側の方角に、富士山、北岳、間ノ岳。
日本の高峰 1,2,3位が揃い踏みである。
ちなみに間ノ岳は、2014年に標高の見直しがあって、奥穂高岳と同率の3位になった。


北岳から塩見岳まで続く南アルプスの主稜線。
塩見岳の背後には、赤石岳など南アルプスの南部まで見えている。
この山域も歩いてみたいが、いつになるだろう。


北側の眺望は穂高、乗鞍から中央アルプスの大パノラマが広がっている。
中央アルプスの後には、半分隠れるように御嶽山がある。
目視では白山も見ることができた。


さあ、ここからは山頂に向けて最高の展望ロード。
まだまだ登りはあるが、こんな風景の中なら疲れなど感じないというもの。


伊那谷に早くもガスが湧いてきて、中央アルプスがすでに危ない。
こちらも眺望が奪われてしまう前に、早く山頂に立ちたいところ。


それでも、これだけ雄大な景色を前にしたら、自然と歩みは遅くなってしまう。
本当に見事なカールである。
ただ美しいだけでなく、優雅で気品溢れる、といっても言い過ぎではないだろう。


小仙丈ヶ岳からは一旦、少し下って、山頂に向けて最後の登り上げ。


ちょっとした急登と終えると仙丈小屋への道が分岐するが、ここは稜線伝いに山頂を目指す。
見上げる夏空がどこまでも青く、清々しい気分になる。


振り返ると甲斐駒が雲を堰き止めてくれている。
八ヶ岳はもうガスに飲まれてしまったようだ。


右手には藪沢カールが広がっている。
優雅な小仙丈沢カールとは異なり、こちら側は少し荒々しい風景である。


いくつか小ピークを越えて(実際にはどれも巻く)、山頂はもう目と鼻の先。
山頂にはたくさんの登山者がいるのが見える。


9:40 仙丈ヶ岳・山頂
そして、仙丈ヶ岳の山頂に到着。
スタートから3時間半での登頂となった。


山頂からの眺望はここまでと大きく変わらないが、当然の大展望である。
新鮮なところでは、隣の大仙丈ヶ岳へ続く稜線が格好いい。
この山行の計画当初から歩いてみたいと思っていた稜線である。
時間的にも、体力的にも余裕があるので、予定通り大仙丈ヶ岳まで足を伸ばすことにする。


北岳、間ノ岳にも雲が迫っているようだ。


雲を押し返している甲斐駒、鋸岳も力強い感じがして格好いい。
眼下には、藪沢カールに立つ仙丈小屋も見える。


北アルプスも雲が優勢に。
こう見ると、一番天気に恵まれていたのはこの界隈だったのかも知れない。


それでは大仙丈ヶ岳に進もう。
こちら側には全然人が歩いておらず、ここからは静かな山歩きを楽しめそうだ。


この稜線は花畑ロードになっていた。
たくさん咲いていたのはイワギキョウ。


タカネツメクサ


イブキジャコウソウ?


イワベンケイとミヤママンネングサ


ウサギギク


稜線は岩稜帯になっていている。
難しいところはないが、伊那側は切れ落ちているので注意して進む。
なかなかのアルペンムードで、短い時間だったが、楽しい稜線散歩をすることができた。


鞍部から仙丈ヶ岳の山頂を振り返る。
随分と仙丈ヶ岳が上に見えるが、ここまで100メートルほど下ったことになる。
この稜線を分けて、穏やかな風景と荒々しい風景が同居していて、なんだか面白い。


仙丈ヶ岳から30分ちょっとで大仙丈ヶ岳に到着。
名前に「大きい」と付いているが、実際には仙丈ヶ岳よりも60メートルぐらい低い。


中央アルプスはガスで隠れて、断片的にしか見えない。


ここは塩見岳まで続く長大な「仙塩尾根」の入り口。
目を凝らして探してみたが、この尾根を歩いている人は見えなかった。
いつか歩いてみたいような、みたくないような…。


北岳と間ノ岳にも雲が湧き立ってきた。
時期にガスに飲み込まれてしまいそうだ。


ここでランチ休憩とする。
凍らせて持って来た、デザートのゼリーが美味しかった。


ランチの間に、雲は随分と多くなっていた。
再び稜線を伝って仙丈ヶ岳に戻る。
左側に延びている尾根は地蔵尾根で、伊那側から登るクラシックルートが通じている。


仙丈ヶ岳の南東側に広がる大仙丈沢カールはとても雄大だった。


帰りも花を楽しみながら。
岩陰にひっそり咲くタカネツメクサ。


タカネニガナとイワギキョウ


ミネウスユキソウ


イワベンケイとイワギキョウのつぼみ


ミヤママンネングサとイブキジャコウソウ


仙丈ヶ岳の山頂は続々と登って来る登山者で、さっきよりも賑わっていた。


喧噪を避けるように、山頂を素通りして仙丈小屋の立つ藪沢カールに下りる。


ミヤマダイコンソウ(たぶん)


チングルマ


チングルマの果穂


ミヤマシシウド


仙丈小屋の前から見上げる藪沢カールと仙丈ヶ岳。
下山は馬の背ヒュッテを経由して、藪沢大滝ノ頭に戻る。


小屋の下の水場は、細いけどちゃんと出ていた。
もう少し季節が進むと厳しくなるかも知れない。


カラマツソウ


仙丈ヶ岳があっという間に、どんどん遠ざかって行く。
こちらのルートは小仙丈沢カールの開放的な風景を見ることはできないので、行きは小仙丈ヶ岳経由がおすすめかな。


途中、柵で保護されている花畑があった。


馬の背ヒュッテを過ぎて、藪沢の上流部を渡りる。
ここから太平山荘に下る藪沢ルートは残雪で通行止と聞いていたが、規制ロープは外されていたので通れるようになったのかも。
今回は素直に大滝の頭(五合目)に向かい、登りのルートに復帰する。


クルマユリ


シナノキンバイ


1週間ぐらい前のレポートでは雪渓となっていた箇所。
雪解けが進んで雪はわずかに残る程度で、問題なく渡ることができた。


藪沢大滝ノ頭で朝来た道に合流したら、あとはひたすらの下り。
2合目には長衛小屋へのショートカット路の分岐がある。
途中でさらに北沢峠にも分かれるこの道は、直進ルートと異なり登り返しがなく、傾斜も緩やかなのでおすすめしたい。


北沢峠よりやや広河原側で林道に出て、緩やかに坂を登れば今回の山行は終了。


14:45に北沢峠着。
仙流荘に戻るバスはダイヤに関係なく、定員が集まったら順次出発していた。
少し前にバスは出てしまったようだが、待合小屋で残ったおやつを食べながら15分ぐらい。
思っていたより、早く帰路に着くことができた。

朝イチのバスに乗れば、帰りの時間に余裕はあると思うので、体力に不安がないのであれば、大仙丈ヶ岳まで足を伸ばすことを是非おすすめしたい。

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恵那山 - 梅雨の晴れ間、「がっかり百名山」をじっくり味わう

日程 : 2018.6.17(日) 日帰り
ルート: 神坂峠 → 大判山 → 恵那山(ピストン)
天候 : 曇り(ガス)時々 晴れ


ルート図:(ヤマレコより)

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梅雨の貴重な晴れ間となりそうな週末、どこかに登らないともったいない。
でも、この時期、名古屋周辺で絶対に登りたい山がなく、選ぶのに迷う。
鈴鹿は暑いだろうし、ヒルも怖いし。

最終的に選んだのは「がっかり百名山」なんて言われていて、後回しになっていた恵那山。
眺望が良くないのが「がっかり」の理由らしいけど。
さてさて、その真相は?

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恵那山には東西南北から山頂を目指すコースがある。
その中で最もメジャーぽいのが、阿智村の園原側から登る広河原ルートである。
マイナス評判の割に多くの人が登るのは、やはりこの山が百名山であるからだろう。
最短で山頂に立てる広河原ルートは、それこそ眺望が期待できないようだが、百名山登頂がメイン目的の人たちはこのルートを選ぶ傾向にあるようだ。

僕が選んだのは神坂峠からの縦走ルート。
距離は長くなるが、このルートが一番、眺望がいいそうなので。
実際にはアップダウンが多く、かなりタフなコースだったことも、先に述べておく。

スタートとなる神坂峠へは中津川からのアプローチとなる。
最後は狭い林道をひたすらクネクネと登って行き、中津川インターからは40~50分は掛かっただろうか。
途中、小熊に出くわしてヒヤッとする場面も。
いけない…、熊鈴を忘れた。
ザックを雪山仕様から夏用にする時に付け忘れるミス…。
山友はしっかり持って来ていたので、まぁ大丈夫かな?

神坂峠には5時半前に到着。
駐車スペースは広くなく、7~8台が限度だろう。
下山時には路肩部分が少し広くなっている場所にも数台が路駐していた。


5:40 神坂峠(登山開始)
神坂峠は霧に煙っていた。
天気予報では朝のうちの方が晴れ間が多そうなので、回復を期待しながらスタート。


ガスがなければ見晴らしがいいはずの笹原を進む。


とはいえ、ガスはそれほど濃くなく、朝日が透けて見えた。
ここは、幻想的な山の朝、と心に言い聞かせておこう。


15分ほど登ると最初のピークである千両山に到着。
ここは360°のパノラマが得られるはずなんだけど…。


眺望ポイントが少ない恵那山登山の中で、早くも前半戦のハイライトといえるピークだったので、ちょっとがっかり…、
なんて思ってたら、何やら急にガスが抜けてきそうな気配がする。
少し待ってみると青い空が見えて来るではないか。


恵那山の特徴である平らな山頂部も、少しずつ姿を現しはじめた。


遠くには南アルプスの山並みまでも。


こちらはヘブンスそのはらスキー場から来る「富士見台パノラマコース」。
気持ち良い稜線が続いている。
ブログには書いていないが、冬に雪山ハイクで来ているが、その時も天気は良くなかった。
ちなみに、恵那山はこっちじゃないので要注意。(結構間違える人がいるみたい)


ガスは完全に抜けはしなかったが、恵那山はほぼ全容を見せてくれた。
そして気づく…、これ結構、遠いな。
もう少し待って、もっとクリアな恵那山を撮りたかったが、この序盤で多くの時間を費やすわけにもいかず、先に進むことにする。


千両山からは一旦の下り。
クリアではないが、中津川の街を見下ろしながら進む。


登山道には、あちこちにサラサドウダンが咲いていた。
ちょうどいいシーズンだったようだ。
朝露の雫を纏った姿が可愛らしい。


ルートは樹林帯に入って、ガッツリ下って行く。
今は帰りのことを考えるのはやめておこう。


千両山から20分ほどで鳥越峠に到着。
スタートの神坂峠よりも標高を下げている悲しい事実…。
ここには神坂峠の手前にある「強清水」から登ってくるルートもある。


鳥越峠からしばらくはほぼ水平の道が続き、全然、高度を稼がない。


基本的には樹林帯の中を進むが、少しだけ眺望が開けた場所から御嶽山が見えた。


ひと際、赤い花を付けていたサラサドウダンが瑞々しい。
個体ごとに色付きが異なっていて興味深い。


南アルプスは塩見岳(中央)と農鳥岳(左側)。
右側のピークは蝙蝠岳だろうか?


大判山に向けた登りが始まる。


7:10 大判山
神坂峠から1時間半で大判山に到着。


ここからも恵那山が大きく見えるはずだけど、まだガスが抜け切ってくれない。
残念ながら、裾野が薄らと見えるだけだった。


登山道には相変わらずサラサドウダンがいっぱい。


大判山からはアップダウンを繰り返して、なかなかタフなコース。
これは辛い下山を覚悟する必要がありそうだ。


もうだいぶ色濃くなっていたが、新緑がきれいだった。


少しだけシャクナゲが咲いている場所があった。


青空がだいぶ多くなって来たようだ。
しかし、ここまで来てしまうと、どーんと恵那山が見える場所はないのが残念。


足元にも花が増えてきた。
マイヅルソウ


イワカガミ


ずいぶんと小さい松ぼっくり?が可愛いらしい。
これから大きくなるのだろうか?


ゴゼンタチバナ


このあたりまで来ると、もう登り一辺倒。
ここまであまり標高を稼いで来なかった分、最後は山頂に向けてしっかり登ることになる。
木々の隙間から覗く青空が気持ちいい。


ここはややザレている急登。


眺望は相変わらずほとんどない。
でも、少しだけ木々が途切れているところがあり、そこから北側を見渡すことができた。
見れば眼下には雲海が広がっている。
晴れてきたというか、ガスの上に出ることができたのか。
いまだ少し噴煙の上がる御嶽山を望む。


乗鞍岳も頭を出している。


穂高の吊尾根もくっきり見ることができた。


急登を登り終えると、宮前ルートと合流。
ここで平らな山頂部に乗り上げたことになる。
ちなみに、宮前ルートは古の信仰の道で、かのウェストンもこのルートを登ったらしい。
距離もコースタイムも長く、かなりきついルートのようだ。


山頂まではほとんど水平移動になり、この先、息の上がる場所はない。


木々が立ち枯れている場所があった。


そこのあたりからは、少しだけ西側の眺望を楽しむことができる。


山頂が近づくとお社が点在するようになる。
恵那神社の奥宮本社と6つのお社があるそうだが、これは三乃宮社。
一乃宮と二乃宮は宮前ルートにあるのだろうか?


さて、眺望なしで“がっかり”と言われる恵那山だが、しっかり眺望が得られる場所があった。
四乃宮社の裏手に踏み跡があり、進んでみると…、
これはいい場所ではないか。


中央アルプス、八ヶ岳、南アルプスの広角な眺望。


中央アルプス:木曽駒ヶ岳、空木岳


南アルプス:甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳


さっきまで雲で隠れていた部分も見えて来た。
南アルプスが勢揃いである。


荒川岳(悪沢岳)、赤石岳、聖岳、上河内岳


聖岳と上河内岳の間には富士山まで見ることができた。


前情報では避難小屋裏の岩場が唯一の展望ポイントと思っていたので、嬉しい発見だった。
広河原ルートを歩く人が多く、ここまでは来ないのだろう。
ここはぜひおススメしておきたい場所である。

登山道に戻り、恵那山頂避難小屋に到着。


そして、裏手にあるこの岩場が有名な眺望ポイント。
難しくはなく、簡単に登ることができる。


こちらからも南アルプスを一望できる。
ただ、少し木々がうるさく、さっきの場所の方が開放感があるかな。


岩場を降りて、山頂の三角点に向かう。
その途中にあるのが、恵那神社の奥宮本社。
祀られている神様は、伊邪那岐(イザナギ)、伊邪那美(イザナミ)だそうな。


10:10 恵那山・山頂
奥宮本社の裏手に回り込むと、恵那山の山頂に到着である。
ちなみにここは最高点でなく、一等三角点がある場所となっている。
まぁ、山頂部はほぼ平らなので、あまり拘る必要もないが。

山頂標には「胞山」の表記もある。
日本神話は全然わからないけど、イザナギ、イザナミの子、天照大神(アマテラスオオミカミ)の胞衣(エナ、へその緒)をこの地に納めたという伝説が、この山の由来らしい。


もうひとつの山頂標。阿智セブンサミットver.


そして、山頂の広場の一角にある、この展望台。
恵那山のことを記事にしているブログなどでは必ず登場し、何かと“評判”になっている。
僕も早速、登ってみる。


って、本当に何も見えない…。
これは完全にネタのレベル。
周囲の木が成長した、という時間的な要因でもない気がする。
ある意味、これが「がっかり百名山」のシンボルかも知れない(苦笑)


でも、登ってみると、ちゃんと景色もいいし、ルートも変化があって面白く、なかなか味わい深い山だった、とフォローしておく。

三角点と避難小屋の間に、少しだけ開けた場所があったので、そこまで戻ってランチ。
夏はノンアルビールが至福の時間となる。


ランチのあとは、早々に下山開始。
宮前コースとの分岐を過ぎた後は、一歩の段差が大きいところがあり、苦手な下りだった。


ミツバオウレン


サラサドウダン


まさに鈴なりに咲いていた。
今回の山行でこの花を好きになったかも。


天気は悪化傾向で、これ以上の眺望は期待できそうにない。


おそらく天狗ナギ。
登りではガスでちゃんと見えなかったが、登山道ギリギリまで崩壊が進んでいた。


そのうち、山全体が崩れてしまうのでは、とちょっと心配になってしまう。
ルートが付け替えられている箇所もあったので、このあたりの通過には注意が必要だろう。


笹原の混じる縦走路はアップダウンが多く、予想通りにかなりキツい下山となった。
本格的な夏山シーズンに向けたトレーニングと思って、修行の時を過ごす。


大判山への急登。


鳥越峠から千両山へ。
標高差は100メートルほどだが、しっかりと登らされる…


千両山の気持ちいい笹原は、すっかりガスの中だった。


ズミの花


14時半、疲労感たっぷりで神坂峠に下山完了。
下山に掛かった時間は3時間半だった。


色々いわれる百名山・恵那山。
個人的には「がっかり」では決してない山だと思った。
神坂峠ルートを選んだのが正解なのかも知れないが、変化があってなかなか面白いコース。
体力はまあまあ必要だけど、これから恵那山に登るならぜひ。

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北穂高岳 - 自分史上最大の挑戦、目映い残雪の穂高へ(Day2)

(5/11) 上高地 → 横尾 → 涸沢(涸沢ヒュッテ 泊)
(5/12) 涸沢 → 北穂高岳 → 涸沢 → 上高地

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2日目の朝が来た。
朝弁当を食べて小屋を出ると、涸沢カールが静かに白々と明けて来ていた。


日の出の方向には薄いけど雲が…。
涸沢カールのモルゲンロートは期待した楽しみのひとつだが、これだと少し厳しそうか?


しばらくすると、カールの上部に陽が差し込んで来た。


どこまで染まってくれるか、固唾を飲んで眺める。


ほんのり少しだけ赤みがかった雪面。
刻々と変化する山の表情を見ているのは、本当に飽きない。
特に朝と夕方は、ゆっくりだけど確実に時が流れていることを実感できて、とても特別な時間に感じる。


これから登る北穂高岳にも陽が当たる。
ちなみに、目指す山頂は手前の大きな頂ではなく、右奥に見えるピークになる。


今回、最大の色づきは、こんな具合だった。
モルゲンロートと言えるほどではなかったが、くっきり映る稜線の影がいい感じで、これはこれで十分に満足できる風景だった。


5:10 涸沢(出発)
さあ、いよいよ北穂高岳へアタック開始である。
数名、先行している登山者が見えるが、それだけで少し心強い。


涸沢小屋を過ぎた段階から、すぐに急斜面が始まる。
まぁ、ここはまだ序の口も序の口なのだが。
北穂沢の中央はデブリが散らかっているので、左寄りのルートを選んで登って行く。


左側に広がる奥穂高岳の雪景色が美しすぎる。


事前に予習していたルートは北穂沢の真ん中を突き上げるものだったが、大きなデブリを避けるように、トレースは島のような岩場の間を抜けて行っていた。
ここはトレースに習って進むことに。
今朝の冷え込みはそれほどではなかったが、雪はそれなりに締まってくれていて歩きやすい。


岩の間を抜けると、一段、斜度がきつくなった感じ。
周囲にはあちこちにデブリがあるので、どこで雪崩が起きてもおかしくはないに違いない。
緊張感を持って登って行く。
それでも、背後の景色が雄大すぎて、顔がにやけてしまう。


涸沢がどんどん小さくなって行く。
距離に対して高度の上げ具合が半端ない。
ここから見ると、ヒュッテの位置って雪崩は大丈夫なのか心配になってしまう。


夏期ルートは左側の南陵を登るが、積雪期はそのまま沢を詰めて行く。
このあたりは陽が雲に隠れてしまい、写真映りがちょっと暗めで残念。
でも、雪が緩まず、コンディション的には良かったのかも。


目の前のM字に見えるインゼルと呼ばれる岩場。
予習だと左側を巻いて登って行くのだが、トレースは右側がに続いている。
左側は斜面からの落石が心配になるが、インゼルの右側は直上の小屋からの落雪があって、それを避ける意味で左側ルートがリスクが低いらしい。
ここはかなり悩んだが、先行者の見える右側に進むことに。


ここからが本当の頑張りどころ。
体感的には45度に近い急斜面が続く。


前穂高の北尾根の背後には富士山や南アルプス、八ヶ岳が見えている。


富士山と南アルプスは甲斐駒、北岳、塩見岳、赤石岳ぐらいまでの大パノラマ。


このあたりが一番キツかったところ。
自分史上、最もつらい登りだったかも知れない。


もう少しでインゼル(写真左側の岩)の上部に到達。
でも、あと少しが全然、縮まらない現実…。


写真だけ見れば格好いいけど、とにかく必死だった。
今、改めてみると、良くこんなところ登ったな、本当に。
落ちたらどうなるんだろう、という不安と怖さもあったのも事実。


もう、両手を使ってよじ登って行く感じである。


背後には、“ゴジラの背”といわれる東稜。
その後には常念岳。


驚いたことに、ゴジラの背にくっきりとトレースがあった。
あのナイフリッジを越えるなんて、とても考えることができない世界…。


急斜面の終わる“松濤のコル”は、目と鼻の先まで迫っている。
でも、あと少しの距離がどれだけ長く感じたことか。


松濤のコルまで登り切って、ここまで来ればひと安心。
この岩場の向こうが山頂である。


松濤のコルから振り返って、前穂高の北尾根が格好良すぎる。


さあ、北穂高岳登頂へのビクトリーロード。
大袈裟だけど、ここは許して欲しい。


7:50 北穂高岳・山頂
そして、北穂高岳・山頂に到着である。
涸沢から2時間40分での登頂だった。


無事に登り切れたことに、胸がいっぱいになる。
ひとりだったら、涙が溢れてしまったかも知れない。
以前、夏の奥穂高でそんな経験をしてから、二度目を期待している部分もあるのだけど、やっぱり意識しちゃダメなのかな。

でも、達成感だったり、高揚感だったり、安堵の気持ちだったり。
色んな感情が胸の中で渦巻いて。
そんな気持ちを静めるように、しばらく目を瞑って、この瞬間を噛みしめる。

そして、ゆっくり目を開けば、目の前に素直に感動できる風景が広がっていた。

山頂からの眺望をぐるっと一周。
まずは北側、もちろん槍ヶ岳方面。
眼下に見える大キレットの険しさに圧倒される。


少し寄って、南岳から槍ヶ岳への稜線。


槍ヶ岳は相変わらず、無条件に格好いい。


槍ヶ岳の西側に広がる北アルプスの最深部。


どっしり幅広の薬師岳と鷲羽岳、水晶岳あたり。


薬師岳から左側は黒部五郎岳。


笠ヶ岳と背後に白山の山並み。


白山を望遠で。
雲はやや多めだったが、しっかりと遠くまで見渡すことができて何より。


南側は奥穂高岳。ジャンダルムも見える。


前穂高岳から奥穂高岳への吊尾根。


前穂高岳の北尾根。
背後に八ヶ岳、富士山、南アルプス。


東側に常念岳から大天井岳の常念山脈。


一周回って、槍ヶ岳の右側に後立山連峰。


鹿島槍ヶ岳や白馬岳など。


景色そのものがもちろん最高に素晴らしいが、この小さな挑戦を終えた感慨深さと合わさって、何物にも代えがたい、そして、忘れられない風景になった。

眺望を満喫したら、北穂高小屋に降りて小休止。
アイゼンを外すのが面倒くさかったので中には入っていない。
最高のロケーションなので、いつか泊まってみたいかも。


さて、下山開始。
17時の最終バスまでに上高地へ戻らないといけないので、あまりゆっくりはできない。
下りはじめの急斜面は、深い底に吸い込まれるような気持ちになった。
滑落しそうな怖さもあり、あまりいい心地はしなかった。


登った時よりも雪が多少緩くなっていて、下りやすい雪質で助かった。
固いままだったらもっと苦戦したかも。


最も急な部分をクリアしたら、あとは意外に軽快に下ることができた。
途中、尻セードも使いながら、あっという間に涸沢が大きくなって行く。


登りはあれだけ苦労したのに、70分ぐらいであっという間に涸沢まで降りてこれた。
涸沢小屋から見上げる奥穂高岳。


上空はかなりガスが多くなっていたので、いいタイミングで登頂できたようだ。


涸沢ヒュッテのテラスから北穂高岳を見上げて。
本当に良く登ったよ、自分を褒めてやりたい。


10:20 涸沢(再出発)
涸沢ヒュッテで大休止して、上高地に向けて再出発。
涸沢を去る頃には、また青空が戻ってきていた。


横尾を目指して涸沢を下る。
ここで緊急地震速報を受信。
長野県北部で震度5弱だったようだが、全然、揺れは感じなかった。
大きく揺れていたら、雪崩とか危なかったかも知れない。


さようなら涸沢。また会う日まで。


さて、修行の下山のはじまり。
行きには気づかなかった(咲いていなかった?)スミレが、たくさん咲いていた。


2時間で横尾に到着。まずまずのペースかな。


横尾大橋の上から。前穂高岳と新緑、梓川の流れ。


帰りもニリンソウロード。


徳沢園でお約束のソフトクリーム。やっぱり美味しい。
目的を終えた下山で、さらに横尾からの長い平坦路っていったら、ほぼ苦行に近い…。
そんな中、これを心の支えにして、何とか前に進んで来た感じ。


徳沢を出発。上高地まであと2時間の道のり。


そして、涸沢から休憩込み、5時間半で下山完了。
時刻は15:45で、無理なく帰って来ることができた。


河童橋は観光客でごった返している。
その喧噪に紛れながら穂高を見上げて、あの裏側にある風景を思い出す。
ここから北穂高は見えないが、今まで以上に穂高は特別な存在になったように思う。
前にも増して、もっと大きく見えるのは気のせいか。

僕にとっては試練のような、あの頂に立つとことができたという確かな事実。
だけど、「山を制した」とか、そんな気持ちにはならなかった。

雄大で険しい山々の懐で、小さいけど確かにそこにいるはずの自分の存在。
でも、山が大きすぎ、偉大すぎ、自分はその一部になってしまう。
だけど、それが妙に心地いい。
僕にとって穂高はそういう場所なんだって、そんな気がした。

(End)

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