稜線に吹く風をさがして

その時、その場所にしかない風景をさがして。写真で綴る、山登りの記録と記憶。

中央アルプス

御嶽山 ‐ 秋色に染まる御嶽、変わるものと変わらないもの

日程 : 2020.9.27(日) 日帰り
ルート: 黒沢口・中の湯 → 御嶽山・剣ヶ峰 → 二ノ池 → 三ノ池乗越 → 黒沢口・中の湯
天候 : 晴れ 時々 ガス

200927 御嶽山 (25)

ルート図:

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もともとは小屋泊で鹿島槍に行くことを計画していた週末。
紅葉も見頃を迎えて楽しみにしていたのだが、天気が良くないので泣く泣くキャンセルに…。
しかし、日曜が晴れ予報に変わって、どこかに行こうとを決めたのは土曜の夕方。
下調べをする時間もあまりなく、なんとなくで決めたのは御嶽山である。

過去に御嶽山には二度、登っている。
初めは田の原から、二度目は濁河温泉から(この時は剣ヶ峰には未登頂)だった。
いずれもあの噴火より前のことだ。
今回は開田高原の黒沢口ルートを選んだ。

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黒沢口六合目の中の湯にしたのは5時半。
登山口そばの上の駐車場はすでに満車で、少し離れた下のスペースも間もなく埋まった。

5:45 中の湯(登山開始)
剣ヶ峰までは4時間のコースタイム。
余裕があれば、登頂の後、三ノ池まで足を延ばす計画でスタート。

200927 御嶽山 (1)

山岳信仰の山である御嶽山。
道中、祠や仏像が点在している。
最初のお社に手を合わせて登りに掛かる。

200927 御嶽山 (2)

序盤からなかなか手強い登りが続く。
前日に降った雨のせいで水たまりや泥んこが多く、ちょっと歩きづらかった。
苔むした森の雰囲気は好きな感じ。

200927 御嶽山 (3)

スタートから40分で七合目の行場山荘。
ここでロープウェイ駅からのルートと合流する。
始発は7時半なので、登山のアクセスとしてはちょっと遅いかな。

200927 御嶽山 (4)

高度を上げて行くと色付いた木々も見られるように。

200927 御嶽山 (5)

すでに真っ赤に染まったナナカマドもあった。
背景の空もしっかり秋晴れで、いい一日になりそうな予感。

200927 御嶽山 (6)

八合目手前で間もなく森林限界を越える。
ここからが御嶽登山の楽しみの本番となる。

200927 御嶽山 (7)

7:15 八合目・女人堂
八合目・女人堂まで来ると大きく視界が開けて、山頂部を見通すことができた。
紅葉もいい具合に進んでいるようで楽しみ。

200927 御嶽山 (8)

振り返ると麓の方は雲海気味に。
全体的にガスは多めで、遠くの山々はあまり見ることができなかった。

200927 御嶽山 (9)

真っ赤なナナカマドの実。

200927 御嶽山 (10)

山頂方面はガスが掛かったり、抜けたりを繰り返している。
眺望が得られるかどうかはタイミング次第になるかも。

200927 御嶽山 (11)

八合目から登って行くと山肌に沿うように紅葉が現れる。
ハイマツの緑色とのコントラストがなんとも鮮やか。

200927 御嶽山 (12)

特にいい色のところを望遠で。
まだ少し早いかと思っていたが、ちょうどいい時期に来ることができた。

200927 御嶽山 (13)

紅葉を横目に見ながら、火山らしい岩の道を登って行く。

200927 御嶽山 (14)

今回もてるてる坊主のおかげでいい天気。
まあ、好天を選んで登っている疑惑もあるけど、この子たちの力と信じている 笑

200927 御嶽山 (15)

九合目の石室山荘とその上の覚明堂が大きく見えて来た。
登りとしてはこの区間が一番きつい。

200927 御嶽山 (16)

険しい岩稜線と紅葉。

200927 御嶽山 (17)

石室山荘は目の前なのだが、このあたりはなかなか距離が縮まらないような感覚だった。

200927 御嶽山 (18)

石室山荘を過ぎると周囲は荒々しい風景に。

200927 御嶽山 (20)

覚明堂(小屋としては休業)の前の鳥居をくぐる。
急な登りはここでひと段落といった感じ。

200927 御嶽山 (21)

二ノ池との分岐を過ぎて、山頂に向けて緩やかに最後の登り。
時折、ガスが速いスピードで目の前を通り過ぎて行く。

200927 御嶽山 (22)

最後の階段下に慰霊碑があり、手を合わせてから山頂に登る。

200927 御嶽山 (23)

8:55 御嶽山・剣ヶ峰
登山開始から3時間と少しで山頂に到着。
7年ぶり2度目の御嶽山・剣ヶ峰登頂である。

200927 御嶽山 (24)

周囲は薄っすらとガスが掛かっている状態。
その中、一ノ池の方を覗くと、ガスの中に白い虹が架かっていた。
なんだか幻想的な光景だった。

200927 御嶽山 (25)

帰ってから調べると「白虹」とか「霧虹」とか言われる現象らしい。
虹は太陽の光が雨に反射する時、雨粒がプリズムの役割をして七色に見えるけど、
雨粒よりも細かい霧に反射する場合は、光の散乱が起こって白く見えるそうだ。

しばらくするとガスが晴れて、広大な一ノ池の全体が見えてきた。

200927 御嶽山 (26)

前回来た時は一ノ池を取り囲む火口壁をお鉢巡りしたが、今は通行止めになっている。
山頂部全体に白い火山灰が降り積もっているのがわかる。

200927 御嶽山 (27)

さて、時間は十分に余裕があるので、予定通り三ノ池を見に行こう。
二ノ池方面に下って行く。
本来なら正面に北アルプスなどの山々が見えるはずだが、遠方は雲に覆われていて残念。

200927 御嶽山 (29)

左手に二ノ池。

200927 御嶽山 (30)

山頂から20分ほどで二ノ池の畔に降り立つ。
以前は少し緑色が混ざったような美しい青色の水を湛えていた二ノ池。
火山灰が池を埋めて、大きな平地ができていた。
どこか月面ようなイメージ。

200927 御嶽山 (31)

二ノ池山荘の前を通り過ぎたあたりにあった池の畔の鳥居。
前回に登った時も印象的で、よく覚えている。
まわりの風景は変わったけど、この鳥居は変わらずにここにあった。

200927 御嶽山 (32)

その時の写真を載せておこう。
2013年の同じ場所。
静まり返った水面が風とともに動き出し、それを繰り返す光景をしばらく眺めていた。
山行記事:御嶽山 - 雲上の極楽浄土へ (2013.6.23)

御嶽山_130623 (26)

何が好きで、何が嫌い、
何かが良くて、何かが悪くて、とかじゃなくて。
時は流れてて、変わるものと変わらないものがあって。

それは我々の日常も同じで。
少し山の話から逸れるけど、じゃあ、その中で自分はどう過ごそうかなって。

色々と思うところはあったけど、これが今の御嶽山。
確かにあの噴火で御嶽山の風景は変わったけど、山は変わらずそこにあって、僕らと向き合ってくれている。

なんとなく、今日こうやって登って来て良かったなって、なんだかそんな風に思った。

200927 御嶽山 (33)

二ノ池を過ぎと現れた賽の河原は荒涼とした広大な大地。
独特な雰囲気があって、異空間といった感じだった。

200927 御嶽山 (36)

正面に見えるのは、外輪山である摩利支天山。

200927 御嶽山 (37)

賽の河原に点在する岩々と草紅葉。
まるで造り込まれた庭園のようである。

200927 御嶽山 (38)

クロマメノキの紅葉が真っ赤。

200927 御嶽山 (39)

実もたくさんなっていた。
何個かつまみ食い。

200927 御嶽山 (40)

振り返ると壮大な御嶽山がそこにある。
こちら側から見る剣ヶ峰はどっしりとした山容で、存在感がすごい。

200927 御嶽山 (41)

10:10 三ノ池乗越
とりあえずの目的地である三ノ池乗越に到着。
白竜避難小屋の前の祠。

200927 御嶽山 (42)

その裏手にある小高いピークに登ると眼下に三ノ池が。
この風景を見たくて、ここまで足を延ばしたのだ。
湧き立つ雲がいい演出をしてくれている。

200927 御嶽山 (43)

ここで昼食タイムに。
カップ麺とお握りだけど、いちおう記録の写真。
こちらは行き交う人も少なく、静かに御嶽の風景を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごす。

200927 御嶽山 (44)

余裕があれば摩利支天山まで行こうと考えていたが、なんだかすごく満足してしまい、ここをゴールとした。
まあ、以前、濁河温泉から登っているので、いいかなと…。

200927 御嶽山 (45)

昼休憩を終えて、来た道を戻る。
賽の河原の石は整然と並んでいるように見えるけど、人為的に積まれたものなのだろうか?

200927 御嶽山 (47)

二ノ池まで戻ってきた。
前方には、まだまだ剣ヶ峰に登る人たちの列が見えた。

200927 御嶽山 (48)

覚明堂から急な斜面を下りる。
下界からガスが押し上がって来る。

200927 御嶽山 (49)

ガスの中では紅葉も映えない…。

200927 御嶽山 (50)

ただ、ガスの時間は長くは続かず、紅葉の斜面をもう一度、楽しむことができた。

200927 御嶽山 (51)

あとは淡々と下り続ける。
木の階段は滑りそうで神経を使った。
最後は膝が痛くなりペースが落ちてしまったが、14時に中の湯へ下山完了。

200927 御嶽山 (53)

最後に。
登ったのは噴火が起きた9/27だったが、特に意識したわけではなかった。
決めたのは前日で、このぐらいの時期だったなと思って調べたら、たまたまその日だったという感じ。
山頂の慰霊碑で亡くなった方々に手を合わさせていただいた。
下山途中、噴火の時刻に防災無線で黙祷があり、ここでもご冥福をお祈りした。
同じく山を好きでいられた方々に合掌。

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富士見台高原 - 紅葉の古道から一面の笹原へ、深秋のんびりハイク

日程 : 2019.11.9(土) 日帰り
ルート: 神坂神社 → 萬岳荘 → 富士見台高原 → 神坂神社
天候 : 晴れ 時々 曇り

191109 富士見台高原 (32)

ルート図:

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会社のなんちゃって登山部で久しぶりに山行を企画。
ほぼ一年ぶりのメンバーもいるので、軽めの選択で阿智の富士見台高原へ。
まあ、今回は「山頂でちょっと豪華にランチしよう!」がメインコンセプトなんで。

富士見台高原は、恵那山の近くに位置する山で、山頂付近は笹原に覆われているのが特徴。
風景だけ楽しむなら、ヘブンスそのはらスキー場のロープウェイがあり、2時間で山頂へ。
また、恵那山に登った時にスタートとした神坂峠まで車で上がれば、ここからだと1時間。

さすがにそれでは…、
ということで、一応しっかり麓から歩こうとなり、神坂神社が今回のスタート。

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7:30 神坂神社(登山開始)
神坂神社の駐車場にはそこそこの台数が停まっていた。
下から歩く人はそんなにいないと思っていたが、すでに数グループが登っているようで、予想よりも人気のコースみたい。

191109 富士見台高原 (2)

今回は山ランチのために、ザックにバゲットを差していく(笑)

191109 富士見台高原 (1)

優しい朝の木洩れ日の中、歴史を感じる神社でお参りをして、いざ出発。

191109 富士見台高原 (3)

神社脇のスタート地点に「古代東山道」という標識。
古代東山道は奈良時代から平安時代に整備された道で、近畿から東北まで続いてたらしい。
スケールが大きすぎ。
神坂峠は東山道最大の難所であったとも言われ、今回のコースはその名残をたどるようだ。

191109 富士見台高原 (4)

少し登るとすぐに車道に出て、カラマツコースとブナコースを選択することになる。
登りは前者を使う。

191109 富士見台高原 (5)

登り始めは少しきつい斜度のスギ林。
しかし、ひと登りすると広葉樹に変わり、なかなかいい感じの紅葉が登場した。

191109 富士見台高原 (6)

朝の陽のおかげもあって、温かな色合いの紅葉の林が広がっている。

191109 富士見台高原 (7)

見上げた先にモザイク模様の秋色。

191109 富士見台高原 (8)

なんだか色んな色の紅葉が降って来る感じ。
事前にちゃんと調べていなかったが、ちょうど見頃だろう。
これは予想外で嬉しい誤算だった。

191109 富士見台高原 (9)

歩く人はなく、静かな深秋の山歩き。

191109 富士見台高原 (10)

ひと際、色鮮やかなモミジの門をくぐって。

191109 富士見台高原 (11)

この透けるような秋色が堪らなく好き。

191109 富士見台高原 (12)

勾配がきつい区間を抜けると、広葉樹からカラマツ中心の植生に変わって来る。

191109 富士見台高原 (13)

歩きはじめから1時間少しでブナコースと合流。
そこから見えた眺望。
カラマツ黄葉のラインがくっきり分かれていて、ちょっと不思議な風景だった。

191109 富士見台高原 (14)

クマザサの緑色と紅葉、黄葉のコントラストがいい。

191109 富士見台高原 (15)

やがてカラマツの森に突入。
ここからは空に伸びるような黄金色の木々を見上げながら進む。

191109 富士見台高原 (16)

キラキラと輝くような色彩の中、歩くのは気持ちが良すぎる。
タイミングがばっちりの時に来れたようだ。

191109 富士見台高原 (17)

整然と立ち並ぶカラマツはなんともフォトジェニック。

191109 富士見台高原 (18)

カラマツ林を抜けて、再び広葉樹の森。
ここまで登って来ると紅葉は終盤だったが、晩秋の装いがこれまたいい。

191109 富士見台高原 (19)

秋晴れの空が高い。
このあたりから萬岳荘まではほとんど平らな道のりで、のんびりハイキング気分。

191109 富士見台高原 (20)

突如現れる「牛集牧柵」。
用途はわからないけど、こんな山の上で牛を育てていたのだろうか?

191109 富士見台高原 (21)

ちょっと画になる立ち枯れの木。

191109 富士見台高原 (22)

9:30 萬岳荘
スタートから2時間で萬岳荘に到着。
何気にここは車道が通じているので、ガッカリしてはいけない。
ロープウェイや神坂峠から来た人たちもいて、一気に賑やかになる。

191109 富士見台高原 (24)

ここから富士見台高原の山頂までは、もうひと登り。
周囲は笹原中心の風景に様変わりする。

191109 富士見台高原 (26)

山頂に続く稜線ぽいところに出た。
以前、冬に来た時は風がめちゃくちゃ強かった記憶があるけど、今日は穏やかそのもの。

191109 富士見台高原 (27)

緩やかに風が吹くと、音を立てて揺れる笹の海。

191109 富士見台高原 (28)

振り返れば、平らな恵那山が大きくそこにあった。
逆光の笹原はキラキラと輝くようで、これも好きな風景のひとつだ。

191109 富士見台高原 (29)

中央アルプス方面は上部を雲が覆っていて、残念ながら見ることができず。

191109 富士見台高原 (30)

さほど厳しくない坂を登り切り、最後は原を貫く気持ちのいいプロムナード。

191109 富士見台高原 (32)

南アルプスも天気が良すぎるせいか霞んでしまって、残念な結果…。
でも、笹原が本当にきれい。

191109 富士見台高原 (33)

たいした傾斜ではないが、これが最後の登り。

191109 富士見台高原 (34)

10:00 富士見台高原・山頂
スタートから2時間半で富士見台高原の山頂に到着。
山頂標識に特別感はないが…。

191109 富士見台高原 (36)

さっそく今回の山行のメイン行事?山ランチに取り掛かる。
これは後輩作の魚介系アヒージョ。
ミニトマトを入れることを勧めておいたけど、やっぱり正解だった。

191109 富士見台高原 (37)

バゲットが進んで、いくらでも食べられそう。

191109 富士見台高原 (38)

僕はクラムチャウダーを作ったが、写真映えはイマイチなので載せないでおく(苦笑)
市販の缶詰に牛乳を入れただけだったが、味は確かだった。

そして、もう一品。
じゃがりこマッシュに焼いたベーコン混ぜて、明太子ペーストを添えて。

191109 富士見台高原 (41)

これもバゲットと相性抜群だった。
いや、もうお腹いっぱいで下山が少し心配になってきた…。

191109 富士見台高原 (42)

食後に周囲の眺望を。
笹原の先にどっしりと構える恵那山の山容。

191109 富士見台高原 (35)

北側は御嶽山が大きく見えるはずだが、雲が覆ってしまっていた。
霞みの奥に、かすかに乗鞍岳と穂高連峰が見えたが、写真では厳しいか。

191109 富士見台高原 (43)

中津川の街を見下ろして。

191109 富士見台高原 (45)

小高いピークが神坂山だと思う。
帰りはあっちを歩いてみる。

191109 富士見台高原 (46)

思いっきり逆光だけど、笹原とカラマツ黄葉のコンビネーションがいい感じ。

191109 富士見台高原 (47)

南アルプスは稜線に沿って雲が出ていた。

191109 富士見台高原 (48)

恵那山を正面に見ながら下山開始。
神坂小屋のところから地図にはない細道に入って行く。

191109 富士見台高原 (51)

笹原で覆われた富士見台高原は、どこか独特の雰囲気を持っている。

191109 富士見台高原 (53)

ここは順光でカラマツの黄葉がひと際、きれいだった。

191109 富士見台高原 (54)

眺望がないという神坂山はスルーして、萬岳荘に下って、そのまま来た道を下山する。

191109 富士見台高原 (55)

シンボリックなモミ?(針葉樹は全然わからない…)とカラマツ。

191109 富士見台高原 (56)

下山路も快適な秋の小径。

191109 富士見台高原 (57)

帰りはブナコースに進路を取る。
ブナコースとカラマツコースの配置はこんな感じ(現地看板より)。

191109 富士見台高原 (59)

見上げたカラマツ黄葉。

191109 富士見台高原 (60)

ブナコースに入ると、名前のとおりブナの紅葉がいい。

191109 富士見台高原 (62)

陽の回りが正面からなので、何度も後ろを振り返りながら進む。

191109 富士見台高原 (63)

まさに錦色の森。
こんなに素晴らしい紅葉が待っているとは思っていなかったので、何度もため息。

191109 富士見台高原 (64)

足元は落ち葉でフカフカ。

191109 富士見台高原 (65)

今シーズン最後の紅葉を噛みしめながら。

191109 富士見台高原 (66)

林道まで降りたら、あとは神坂神社まで1.5㎞ぐらい。

191109 富士見台高原 (67)

林道沿いの木々もしっかり色付いていたが、日が陰ってしまい残念。

191109 富士見台高原 (68)

山頂か2時間と少しで神坂神社の駐車場に帰還。

191109 富士見台高原 (69)

今回のコース、変化に富んでいてかなり楽しめた。
広葉樹とカラマツの紅葉が同時に楽しめたのが良かった。
山頂付近の笹原が広がる雰囲気も合わせて、次々と風景が展開するので、ぜひおすすめしたい。

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三ノ沢岳 - 中央アルプスのポツンとピークは花の楽園

日程 : 2019.7.26(金) 日帰り
ルート: 千畳敷 → 極楽平 → 三ノ沢岳(ピストン)
天候 : ガス 時々 晴れ

190726 三ノ沢岳 (33)

ルート図:(ヤマレコより)

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有休を取って計画していた夏山第一弾の縦走山行の週末、まさかの台風発生に見舞われる…。
北アルプスの笠ヶ岳を予定していたが、さすがに無理はできない。
初日はまだ影響なさそうなので、仕方なく日帰り登山に変更である。
ちょっと悩んだが、前から気になっていた三ノ沢岳へ行くことにした。

三ノ沢岳ってどこ? という知名度かも知れないが、その山は木曽駒ヶ岳の隣にある。
木曽駒は残雪期と紅葉の時期に登っているが、いずれの時も目が引き付けられたピラミダルな山容。
中央アルプスの主稜線からは外れてポツンとあり、三ノ沢岳から先はルートがない。
そのためピストンしか選択肢がなく、それほど人気はないのが実情のようだ。
しかし、おかげで静かな山行が楽しめそうで、僕としては好都合かなと。

時間が許せば、下山でまだ未踏の宝剣岳もセットで回って来る計画を立てた。

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アプローチは木曽駒と同じくロープウェイで千畳敷へ。
平日にもかかわらず、木曽駒ロープウェイへの乗換え口である菅の台はなかなかの混雑。
バスの始発前から登山者の列ができていた。
バスはダイヤに関係なく順次、出発し、4台目ぐらいの便に乗ることができた。

190726 三ノ沢岳 (1)

ロープウェイは順次運行で、15分ぐらいの待ち時間で乗車。

190726 三ノ沢岳 (2)

ゴンゴラの中は満員電車状態で、あたりの風景はほとんど楽しめず。
外はこんな景色らしい。

190726 三ノ沢岳 (3)

7時半、労せずに2611mの千畳敷駅に到着。
夏は初めての千畳敷カール。
楽々とこの山岳風景を見ることができるのは、やはりちょっと反則的に思えてしまう。
天気はばっちり、と言いたいのだけど、この後のネタバレをしてしまえば、しっかりと晴れていたのはこの時まで…。

190726 三ノ沢岳 (4)

7:35 千畳敷(登山開始)
準備を整えたら、神社に参拝して安全登山を祈り、いざ出発。

190726 三ノ沢岳 (5)

ほとんどの登山者が八丁坂で乗越浄土を目指して行くが、我々は向かうのはこっち。

190726 三ノ沢岳 (6)

人の少ない極楽平方面だが、登山道は階段状にしっかり整備されていた。
歩き始めてすぐにたくさんの花たちが出迎えてくれる。
※ 今回はあまり眺望が得られなかったので、花レポが中心となることを宣言しておく。

190726 三ノ沢岳 (8)

早速、大好きなチングルマ。

190726 三ノ沢岳 (7)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (9)

スタートしてすぐなのに、さっきの青空は…?状態に。
すぐ近くのサギダルの頭もガスに消えそうだ。

190726 三ノ沢岳 (10)

30分ちょっと登ると極楽平に到着し、ここで中央アルプスの稜線に乗っかる。
この稜線からの風景を楽しみにしていたけど、悲しいかな、完全に真っ白だった…。

190726 三ノ沢岳 (11)

ガスガスの中、宝剣岳方面に進む。

190726 三ノ沢岳 (12)

三ノ沢分岐で宝剣岳に続く中央アルプスの主稜線と別れてピストンルートへ。
三ノ沢岳へのスタートはがっつり下りとなる。
ちなみに、三ノ沢岳の標高はこの分岐よりも低いという事実に混乱してはいけない(苦笑)

190726 三ノ沢岳 (13)

道脇にはまだシャクナゲが咲いていた。

190726 三ノ沢岳 (14)

非情にも雨が降り出してしまった。
結構、濡れる感じだったのでレインコートを着たが、すぐに雨は止んで、また着替え。
今回はなかなか忙しい山行となった。

190726 三ノ沢岳 (15)

ガスが抜けてきて、伊奈川源流の沢が見えた。

190726 三ノ沢岳 (16)

ガスが絡む三ノ沢岳に向かう稜線。
一部でややハイマツの藪がうるさいところもあるが、ルートは明瞭である。
まずまずのアップダウンを繰り返して先に進む。

190726 三ノ沢岳 (17)

振り返ると少し青空も。
ただし、すっきり晴れることは終始なかった。
晴れていれば、なかなか爽快な風景の尾根道だと思うのだが、残念。

190726 三ノ沢岳 (18)

所々に岩場も登場するが、特に難しい場所はなかった。

190726 三ノ沢岳 (19)

最低鞍部を過ぎると、穏やかな登りになって山頂を目指す。
時折、ガスが抜けそうな気配もあるんだけど、なかなか青空は見えない。

190726 三ノ沢岳 (20)

石積みのケルンを通過すると最後の登りに入る。

190726 三ノ沢岳 (21)

山頂の直下まで来ると、それまでのハイマツ中心の風景が大きく変わる。
小さなカール状の地形となっている斜面がお花畑になっていて、色とりどりの花たちが咲き誇っていた。
ここが今回の山行のハイライトである。

190726 三ノ沢岳 (24)

下を見るとコバイケイソウの大群生。
今年は各地の山で当たり年だったようだ。

190726 三ノ沢岳 (25)

ハクサンイチゲ

190726 三ノ沢岳 (23)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (26)

密度の高い黄色に、なんだか気分も明るくなる。

190726 三ノ沢岳 (27)

ハクサンチドリ

190726 三ノ沢岳 (28)

ヨツガシオガマ

190726 三ノ沢岳 (32)

明るい雰囲気で、まさに花の楽園といった感じ。

190726 三ノ沢岳 (29)

タイミング良くガスが抜けて、中央アルプスの主稜線が見えた。
正面のピークは「島田娘」だろうか?

190726 三ノ沢岳 (30)

南側は残念ながら空木岳までは見えなかった。

190726 三ノ沢岳 (31)

あの小高くなっている岩塊のところが三ノ沢岳の山頂である。
一瞬だったが、ちょうど顔を出した夏空が気持ちいい。

190726 三ノ沢岳 (33)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (34)

コバイケイソウ

190726 三ノ沢岳 (36)

ミヤマキンバイ? キジムシロ?
黄色系はいつまで経っても覚えらない…。

190726 三ノ沢岳 (37)

チングルマ

190726 三ノ沢岳 (38)

ブーケみたいで可愛い。

190726 三ノ沢岳 (39)

10:30 三ノ沢岳
スタートから3時間で三ノ沢岳・山頂に到着。
ガスで周囲の眺望はなく残念ではあるが、花的にはいい時期に来ることができたので、今回はそれで満足することとしよう。

190726 三ノ沢岳 (40)

ランチ休憩のあと、もと来た道を戻る。
晴れていれば、正面に木曽駒が見えるはずで、最高の稜線ハイクであるに違いない。

190726 三ノ沢岳 (41)

帰りもずっとこんな感じの天気。

190726 三ノ沢岳 (42)

三ノ沢分岐までしっかりと登り返しとなり、なかなか骨の折れるコースである。
分かってはいたけど、下山で登りがあるのは精神的に好ましいことではない…。

190726 三ノ沢岳 (44)

行きに撮れなかった花の写真を回収しながら。
イワツメクサ

190726 三ノ沢岳 (43)

コイワカガミ

190726 三ノ沢岳 (45)

当初は宝剣岳を回る予定だったが、視界がないので、そのまま千畳敷に下りることに。
木曽駒界隈に来るのは三回目なのに、まだ宝剣岳は登っていないという(苦笑)

190726 三ノ沢岳 (47)

ガスの中、極楽平に戻る途中、ここにも花がたくさん。

190726 三ノ沢岳 (50)

ヒメウスユキソウ

190726 三ノ沢岳 (48)

タカネツメクサ

190726 三ノ沢岳 (49)

チシマギキョウ

190726 三ノ沢岳 (52)

ヤマハハコ

190726 三ノ沢岳 (51)

極楽平から千畳敷に下る。
時間に余裕ができたので、ここでも花の鑑賞をしながらゆるゆると。

190726 三ノ沢岳 (54)

ミヤマキンポウゲの群生

190726 三ノ沢岳 (55)

チングルマ

190726 三ノ沢岳 (56)

上空は曇っているが、麓の伊那の街はしっかり見えていた。

190726 三ノ沢岳 (57)

千畳敷カールを横から眺めながら。

190726 三ノ沢岳 (58)

今回、行けなかった宝剣岳はまたの機会に。

190726 三ノ沢岳 (59)

三ノ沢岳から2時半と少しで千畳敷に帰着。
登山者よりも観光客が多く、ロープウェイはそこそこの列ができていた。
ただ、ダイヤ関係なしの順次運行になっていて、30分ほどの待ち時間で下山へ。

190726 三ノ沢岳 (60)

天気が思ったよりも良くなく、確かにやや消化不良気味ではあった。
でも、花はたっぷり、じっくりと楽しむことができたので、三ノ沢岳の魅力の半分ぐらいは味わえたかな。
宝剣岳は宿題として残ったけど、しっかり成果を得られた山行になった。

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南沢山・横川山 - 一面のカラマツ霧氷、モノクロの冬景色を歩く

日程 : 2018.12.9(日) 日帰り
ルート: 清内路高原ふるさと村自然園 → 南沢山 → 横川山(ピストン)
天候 : 曇り

181210_南沢山 (48)

ルート図:(ヤマレコより)

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寒波が襲来した12月の週末、霧氷狙いで南沢山、横川山へ。
恐らく、それほど知名度は高くないであろう、この山たちがあるのは「阿智セブンサミット」の一角。
その中心的存在である恵那山から北側へ、稜線を辿った先に南沢山、横川山はある。

この山域で有名な霧氷といえば、「大川入山」だろう。
笹原の中に点在した霧氷の木々が「白い羊」に見えることで、人気を博しているようだ。
でも、こちらの山を選んだのは、写真で見たカラマツの霧氷があまりにも綺麗だったので。

今回の山行の結果から言えば、思い描いたとおりの霧氷に出会うことができた。
それは、ここにしかないのではと思える風景だった。

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登山口は阿智村の「清内路高原ふるさと村自然園」。
アクセスは中央道の園原インターで降りて、下道を15分ほど走ると到着となる。
写真は恵那山トンネル手前の神坂PAから見上げた恵那山。
ガスは掛かっているものの、これは狙い通り、霧氷確定だろう。

181210_南沢山 (1)

ふるさと村自然園は、テニスコートやバンガローなんかがあるキャンプ施設。
奥まで進んで、南沢山・尾根コース登山口の駐車場をに車を停める。
看板には「ひとり200円」の旨が書かれていたが、キャンプ場の管理室が無人だったので今回はスルーした。
シーズン外は不要と判断したが、本当に良かったかは定かでない。

8:10 清内路高原ふるさと村自然園(登山開始)
遅い時間ほど天気が良さそうだったので、スタートは敢えてゆっくりと8時。

181210_南沢山 (2)

スタートからしばらくは樹林帯の中を淡々と進む。
道はとても良く整備されていて、かなり歩きやすかった。

181210_南沢山 (3)

最初の目標、南沢山までは、およそ3.5kmの道のり。
その中間地点の手前にちょっとした急登が出てくるが、それほどの苦労はしない。

181210_南沢山 (4)

道中、看板は随所にあるが、距離表示はない。

181210_南沢山 (5)

廃道となっている沢コースとの分岐を過ぎると、早速、霧氷が現れ始める。
予報では晴れのはずだったが、あいにくの曇り空。
これではせっかくの霧氷が映えず、ちょっと残念である。

181210_南沢山 (6)

枝に付いた繊細な霧氷を観察してみる。

181210_南沢山 (7)

本当に、青空だったら最高なのに…

181210_南沢山 (9)

登山道にはうっすらと積雪があったが、滑るようなことはなかった。

181210_南沢山 (10)

晴れてくれないなら、モノクロの世界を切り取ってみよう。

181210_南沢山 (11)

しばらくはガスが抜ける気配なし。

181210_南沢山 (12)

南沢山が近づいてくると、樹林帯を抜けて見通しが利く場所も出てくる。
横川山方面の尾根もびっしり霧氷が付いているようだ。

181210_南沢山 (13)

晴れていればいい眺望が得られそうな道を進む。

181210_南沢山 (14)

10:10 南沢山
スタートから2時間で、あっけなく南沢山に到着。
周囲は相変わらずの真っ白で、ガスの中に阿智セブンサミットを示す看板が立っていた。
ピーク感はないが、晴れていれば見晴らしが良さそうではあった。
ここはあくまで通過点で、長居はせずに目的地の横川山へ向かう。

181210_南沢山 (15)

山頂そばのカラマツは霧氷の付きが分厚く、クリスマスツリーになりそう。

181210_南沢山 (16)

横川山へ向かう稜線を進み始めると、ここで不意にガスが取れて来るではないか。
向かいの尾根が水墨画のようだ。

181210_南沢山 (17)

このあたりは霧氷の生長が著しく、樹氷になってしまう勢いであった。

181210_南沢山 (18)

時折、うっすら青空も見えることもあるけど、なんとも惜しい状況。

181210_南沢山 (19)

きれいに並んだカラマツ霧氷。
このあたりから写真を撮る手が止まらなくなる。

181210_南沢山 (20)

ルートは笹原とカラマツ林が交互に現れる。

181210_南沢山 (21)

あるカラマツの林を抜けると、目の前の景色が大きく開けて…
これはすごい。
見渡す限りの霧氷の木々に、ちょっと感動してしまった。

181210_南沢山 (22)

時々、ガスが目の前を通り抜けていく中、浮かび上がる幻想的な世界。

181210_南沢山 (23)

立ち枯れにも霧氷。

181210_南沢山 (24)

ここは密度が高い。

181210_南沢山 (25)

笹原には霧氷が付かないので、緑色とのコントラストがいい感じ。
雪が積もってしまう前だけに見ることができる、期間限定の風景である。

181210_南沢山 (26)

もう撮影で立ち止まってばかりだが、急ぐ山旅ではないので、のんびりと行く。
写真的にはどうしても「晴れていれば、どんなに最高だったか…」と考えてしまうが、今、目の前にある風景を楽しもう。

181210_南沢山 (27)

緩やかにアップダウンを繰り返して、横川山に向かう。

181210_南沢山 (29)

斜面を駆け下りるように白い羊。

181210_南沢山 (31)

ここが山頂に向けて最後の登りである。

181210_南沢山 (32)

10:50 横川山
南沢山から40分掛けて、横川山に到着。
道のりとしては1km足らずなのだが、霧氷を堪能しすぎて、もっと歩いたような気になる。
山頂を示す看板にも霧氷が付いて、何て書いてあるのか読めない。

181210_南沢山 (33)

笹原に配置されたカラマツのラインが何とも秀逸な風景。
ちょっとメルヘンな世界にも感じてくる。

181210_南沢山 (34)

恵那山の方向は…、無念の視界不良である。
ひっきりなしに、ガスが稜線を越えて行った。

181210_南沢山 (35)

ただ、ガスが抜けそうな気配もあるので、ランチ休憩しながら待つことに。

181210_南沢山 (36)

富士見台高原の斜面は見事なまでのモコモコ。

181210_南沢山 (37)

笹原を貫く道を眺めて。
天気が良ければ、この道を歩いて富士見台高原まで行くことも考えていたが、中止かな。

181210_南沢山 (38)

晴れていれば、こちらの方向には御嶽山が見えるはずなのだけど…。

181210_南沢山 (39)

カラマツの霧氷は芸術的とも思えるモノクロの世界を作っている。
少し陽が当たっただけで霧氷はいっそう輝き、そのコントラストでまた雰囲気が変わる。

181210_南沢山 (40)

ランチしているうちに、いつの間にか恵那山が見えているではないか!

181210_南沢山 (42)

右上に映っているピークが富士見台高原。

181210_南沢山 (43)

どっかりと鎮座する恵那山。
大きく平らな山容が、この山の何よりの特徴である。
6月に登った神坂峠ルートの尾根が良く見える。

181210_南沢山 (44)

まだちょっとガスが邪魔をしているが、霧氷の森の向こうに中央アルプスの峰々も。

181210_南沢山 (45)

空木岳、南駒ヶ岳、仙涯嶺の山並みが一番クリアに見えた。

181210_南沢山 (46)

東の方角には、ずらりと南アルプスが並ぶ。
正面が北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山。
その左側には仙丈ヶ岳と甲斐駒。右側には塩見岳。

181210_南沢山 (47)

塩見岳からさらに南側も見え、悪沢岳、荒川岳、赤石岳、聖岳と並んでいる。
手前の霧氷と合わせて、ちょっと感動してしまう眺望だった。

181210_南沢山 (48)

※ この写真、ヤマレコ・Facebookページのカバー写真(週替わり)に採用いただいた。紅葉の三方岩岳に続いて2回目で至極光栄である。

結局、1時間半も山頂で過ごしてしまったが、そろそろ下山に掛かる。
帰りもまだまだ続く霧氷さんぽ。
今日は昼を過ぎても全く溶ける気配がない。

181210_南沢山 (49)

笹原と霧氷の森の境目を歩いて行く。

181210_南沢山 (50)

立ち枯れの霧氷もいい感じ。

181210_南沢山 (51)

あとは青空バックの霧氷が欲しいところ。
もう少しなんだけど、完全にガスは抜けてくれない。

181210_南沢山 (52)

霧氷のパノラマはそろそろお終いに近づいてきた。
見渡す限りに広がるカラマツ霧氷は、まさに圧巻だった。

181210_南沢山 (53)

尾根筋に陽が当たりできた明暗も良し。

181210_南沢山 (56)

たいぶ下ってきて、一瞬の青空が。
やっぱり霧氷は青い空に映える。
ちょっと遅かったが、今日はこれで満足としよう。

181210_南沢山 (57)

気温があまり上がらなかったおかげもあって、泥濘もなく快調に下ることができた。

181210_南沢山 (58)

横川山から2時間弱で下山完了となった。
駐車場の車は少ないままで、ガス気味だったとはいえ、登山者はそんなに多くなかった。

181210_南沢山 (59)

今回の山行はまさに狙い通り、最高の霧氷を堪能することができた。
すべてが真っ白になった雪山とはまた違った冬景色。
もっと人気が出てもおかしくない山と思うので、静かに楽しみたい人はお早めに。

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木曽駒ヶ岳 - 紅葉と大展望のクラシックルート「西駒登山道」より

日程 : 2018.9.28(金) 日帰り
ルート: 桂小場 → 将棊頭山 → 濃ヶ池 → 木曽駒ヶ岳 → 千畳敷 (ロープウェイ下山)
天候 : 晴れ



ルート図:(ヤマレコより)

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金曜日に有休を使ってソロ山行。
どこの紅葉がいいかなと悩んだけど、一番天気が良さそうだった木曽駒ヶ岳に。

木曽駒といったら、ロープウェイ利用でお手軽に楽しめる、中央アルプスで一番人気の山。
しかし、今回は麓の桂小場から登る「西駒登山道」というクラシックルートに挑む。
西駒登山道は、片道で距離10km、標高差1700mの手強いコース。

せっかくの金曜登山ということもあり、当初予定は小屋泊でゆっくり山行のつもりだった。
山頂から宝剣山荘を経由して濃ヶ池を周回し、下山途中で西駒山荘に泊まる計画である。
しかし、翌日が朝から雨予報なので、強行日帰りを "プランA" とした。
このコースを日帰りしている記録はたくさんあったが、僕にはギリギリとなりそう。
そこで、途中でキツそうだったら、木曽駒山頂から千畳敷に向かい、ロープウェイで下山する "プランB" への変更も考えておいた。(下山後の車回収が大変ではあるが。)

結果を先に言ってしまえば、"プランB" を実行することになるのだが、こっちが正解だったのかも。
気持ちに余裕が生まれ、クラシックルートの雰囲気を満喫できたのが大きな収穫。
盛りの紅葉を愛でながら、驚くほどに静かな稜線を辿る、秋の小さな山旅。

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登山口となる桂小場へのアプローチは、中央道・小黒川PAのスマートICが最も近い。
小黒川渓谷キャンプ場から先はやや道幅が狭くなるが、それほどの困難はない。
林道(全線舗装)の終点は20台ぐらいの駐車スペースになっている。
ただし、学校登山の時期(7月?)はバス転回場となり、半分ぐらいしか使えないらしい。

5時半前に着いて準備をしていると、計3台が続けて到着。
平日の割には結構、入山者がいるんだなと思っていると、1台はもう1台の登山者を乗せて引き返していく。
おそらく、ロープウェイからスタートし、ここに下りてくる予定なのだろう。
残り1台の男性と挨拶を交わし(濃ヶ池までのピストンとのこと)、スタートする。


5:35 桂小場(登山開始)
「西駒登山道」はロープウェイが開通する前まで木曽駒へのメインルートであった。
後述する小説「聖職の碑」のモデルとなった学校登山で起きた大遭難事故は、100年前も昔のことであり、その頃から歩かれていた道なのである。
ちなみに「西駒」というのは、伊那地方での木曽駒ヶ岳の呼称。
となると「東駒」は? という問いは、甲斐駒ヶ岳が正解である。


最初の目標地は将棊頭山に向けて、スタートは比較的に緩やかな登りから入る。
すぐに9月はじめの台風の爪痕に出会い、2ヶ所で倒木が道を塞いでいた。
いずれも高巻きに迂回路が作られていたが、とても滑りやすく、ちょっと神経を使った。


登山口から20分弱で最初の水場「ぶどうの泉」に到着する。
序盤すぎて、ザックの重量的な恩恵はほとんど得られないが、せっかくなので持ってきた水を入れ替えることに。


クラシックルートとはいえ、道はしっかりと整備されており、気持ち良く歩くことができた。
自然林の中、順調に高度を上げて行く。


50分で最初のチェックポイントの野田場に到着。
ここにも水場があった。


カラマツの林に朝の陽射しが差し込んで、清々しい気持ちで登って行く。


横山という地区から登って来るルートあり。(写真は進行方向とは反対に振り返った構図)
廃道同然になっていた古道が数年前に再整備されたらしい。
ただ、横山からの距離が長いので、好きで歩く以外は利用価値は低そう。


馬返しでは、権兵衛峠から来るトレイルとも合流する。


伊那では多くの中学校で学校登山が行われるらしいが、その中で起きた落雷事故の現場。
有名な「聖職の碑」の遭難はこれとは別の話である。
安全そうな樹林帯の中で落雷被害?と思ったが、雷がこの木を直撃して、川の様になった登山道に雷電が走り、多くの生徒が火傷を負った、といった旨が書かれていた。
幸い全員が快復したそうだが、やはり雷は怖いと再認識。


標高が上がってくると、ツガが中心の林相に変わって来る。
その中に苔むした道が続いており、クラシックルート感を演出している。
将棊頭山までで会ったのは3名(うち下山者1名)のみで、静かな山歩きを満喫できた。


大樽避難小屋を過ぎてしばらくすると、左手から「信大ルート」が合流する。
信大ルートは、同じ桂小場を起点とするサブルートだが、歩く人は少なそう。
この場所は胸突八丁と名付けられており、ここから急登が始まることを予感させる。


と言っても、それほどキツい登りには感じなかった。
確かに斜度は大きくなったが、全国の「胸突八丁」の中では甘めの設定だろう。
学校登山のイベント的要素としてネーミング? などと勘ぐってしまうが、果たして?


陽の光がわずかに差し込むコメツガの森の雰囲気が良く、いっそう古道感が漂う。


一番勾配がきつい区間を過ぎると津島神社に到着するが、特に祠などはなかった。
大きな岩があり、それをお祀りしているようだったが、その上部には色鮮やかな紅葉。


なかなかのいい色付きで、この先も期待できそうだ。


コメツガや淡く色付いたダケカンバの混合林を登って行く。


さらに登って行くと、木々の間から稜線が見えるようになる。
稜線に茂る熊笹に混ざって紅葉がきれいだ。


紅葉はいっそう色濃くなって来る。
ダケカンバの黄色とナナカマドの赤色の組み合わせがいい。


ところどころで木々の間から南アルプスが見えた。
これは東駒(=甲斐駒ヶ岳)の眺望である。


胸突八丁ノ頭を過ぎると一旦、平坦な道になる。
それを進むと最初の目的地である将棊頭山をしっかり視認できた。
頂上までは、まだもう少し登る必要がある。


東側は伊那の街並みの向こうに八ヶ岳。


木曽側の木曽駒高原から茶臼山を経由して登って来るルートと合わさり、その分岐から少し進むと、いよいよ大きく眺望が開ける。
まず目が向くのが、三角にきれいに整った行者岩であり、その下の斜面の紅葉も美しい。


御嶽山も大きく、そして近くに見える。
期間限定ながら、頂上への登山が可能になったとニュースでやったいた。
あの噴火は山に登る者として色々と考えさせられたが、純粋に御嶽山はいい山である。
またいつか、山頂に広がる風景を見に行きたいと思っている。


そして、行く先の正面にどっしりと鎮座する木曽駒ヶ岳。
山頂はまだまだ遠いが、天気も最高で、登頂に挑む高揚感は増してくる。


行者岩と御嶽山。


「分水嶺」の標柱が立つ場所からルートがふたつに分れる。
西駒山荘に向かうトラバース路と将棊頭山に直接向かう稜線ルート。
後者は冬道と表記されているが、今回は眺望の良い稜線を進むことにする。


この稜線ルート、一部でハイマツがうるさく、やや歩きづらいところもあった。
基本的に道は明瞭だが、分かりにくい部分もあり、視界が悪い時は避けるべきだろう。


それでも、木曽駒の眺望は最高なので、ここを歩く価値は大きい。
ここからだとまだ小さいが、宝剣岳の姿も見える。
山頂に続く尾根下の斜面がいい具合に色付いており、この先も楽しみである。


歩いてきた稜線を振り返って。
一部、岩場を越える場所もあったが、特段、難しい場面はなかった。
やや雲が掛かっているけど、背後には穂高、乗鞍岳の姿もあって、広々とした風景を行く。


9:40 将棊頭山
スタートから4時間で将棊頭山に到達。
最後が思っていた以上に急で、俄に疲労を感じることとなった。
そのせいもあって、普通にひとつの山を登頂したという感覚だった。
山頂柱は手書きで、なんだかちょっと違和感があるが…。
それは置いておいて、このピークは360°の大展望である。


まずは何と言っても木曽駒である。
これから歩く「馬の背」といわれる稜線を目で追うことができる。
陽のまわりが良くなって、紅葉もいっそう鮮やかに見えた。


西側に御嶽山と、少し雲が掛かった乗鞍岳。


北側には槍ヶ岳、穂高岳、笠ヶ岳などの北アルプスの中核を一望。
こちらからだと、奥穂から西穂の縦走路が良く見える。


東側には伊那谷を隔てて、南アルプスの山並み。
三角の甲斐駒から、仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、西農鳥岳と続く。
一番右には、富士山の頭も少しだけ見ることができた。


なかなか秀逸な眺望のピークだった将棊頭山。
ここでもっとゆっくりしたかったが、木曽駒まではまだ長いので10分程度の滞在であった。
でも、伊那側の斜面の下に見える西駒山荘は、どうしても寄り道したかった。
すぐそこに見えるが、植生保護のため直に下ることはできず、やや遠回りすることになる。

2014年に建て替えられた小屋はとてもきれい。
左側にある石室は小屋が拓かれた100年前に建てられたもので、有形文化財にもなっている。


ここで、西駒山荘の成り立ちについて、少し触れておこう。
それは、このルートが舞台となった「聖職の碑」の物語と切っても切り離せないものである。
浅田次郎の小説「聖職の碑」は、1913年(大正2年)夏に発生した学校登山での大量遭難事故を題材としている。

地元中学生、教師、同窓生の総勢37名で出発したパーティは桂小場から木曽駒を目指す。
登山計画は綿密だった。
しかし、当時の気象予報では把握しきれなかった台風との遭遇が悲劇を引き起こす。
宿泊予定だった伊那小屋(今の宝剣山荘付近)が登山者の失火で使い物にならない不運。
焼け跡にハイマツや合羽で簡易の屋根を作り、ビバークを試みる。
だが、暴風雨は防ぎきれず、低体温症で生徒のひとりが亡くなってしまう。

これで一行はパニックに陥る。
その中で、数名の同窓生が教師たちの制止を無視して、下山を始めてしまう。
彼らの合羽を失い、それまでも気休め程度の機能しかなかったビバーク小屋は、まったく意味をなさなくなる。
その結果、残った一行も暴風雨の中、下山することを余儀なくされてしまう。
そして、木曽駒から将棊頭山に掛けての稜線で計11名が遭難死する結果を招くのである。

以上が遭難事故の概要である。
なんて書いているが、実はまだ小説を読んでいないので、いつかは読まねばなるまい…。
物語は生徒たちを救おうと自身を犠牲にした校長に焦点を当て、教師として、人としての強さ、愛情を描いているようだ。

この遭難の後に、地元の多くの寄付により建てられた避難小屋が西駒山荘の原形となる。
遭難事故から2年後の1915年に完成した石室は、今でもほぼ当時のまま現存している。
100年に渡り木曽駒登山の安全を支えてきた石室はしっかりした造りで、風格すら感じる。
メインルートから外れても変わらずここにある、というのも、なんだか感傷的な気持ちにさせられた。

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水場で補給をしたら、木曽駒に向けて再出発。
将棊頭山で急に疲労感が強くなったので、この段階でプランBである「千畳敷からロープウェイ下山」に切り替える決心をした。
先を急ぐ気持ちから解放され、これで、この稜線をじっくりと味わうことができる。


すでに葉を落として、実だけ残したナナカマドが青空に映える。


東側に広がる斜面の紅葉が、雲の陰影でくっきりと色分けされていた。
このあたりから、紅葉が最高潮となってくる。


西駒山荘から緩やかな稜線をしばらく進むと、遭難記念碑に出くわす。
この大きな岩陰で力尽きた者もいたのだろうか?
今日のように晴れていれば、素晴らしい稜線なのに。
遭難を美談にするのとは違うが、彼らの足跡を辿る今回の山行は、どうしても胸が詰まるような思いになる。
静かに手を合わせて、さらに稜線を進む。


行く先は開放的な稜線であるはずだが、いつの間にか、伊那側からガスが湧いて来た。
少しずつ近づいているはずの木曽駒が隠れてしまい、ちょっとがっかり…。


ただ、紅葉(黄葉)はまさにベストなタイミングだった。
熊笹の緑色とのコントラストが最高である。


右手には御嶽山を眺めながら。


ここで一旦、稜線から離れて濃ヶ池に向かう。
当初、木曽駒から宝剣山荘経由で帰りに訪れる予定だったが、下山を千畳敷に決めたので。
でも、ここだけは外せず、寄り道をする。


振り返った斜面の紅葉がすごく、今回の山行でここが一番だったかな。
山肌を埋め尽くすオレンジ色に思わず息を呑む。


稜線の分岐から15分ほどで濃ヶ池のカールが見えて来た。
ここも期待通りにいい色付きのようだ。
先程まで掛かっていたガスも一時的なものだったようで、ひと安心。


さてさて、どんな風景を楽しませてくれるだろう?


11:00 濃ヶ池
これは美しい。湖畔に立って、紅葉の山肌を見上げる。


岩稜が小さな池を半分、取り囲むように続いている。
さざ波立って完全な水鏡ではなかったが、湖面への映り込みも。


黄色の密度が一番濃い部分。


例年だと、これにナナカマドの赤色が加わって、もっと艶やかな紅葉になるらしい。
今年は台風の影響で葉が散ってしまったのか、残念ながら赤色系は外れだったみたい。
ちょっと惜しい気もするが、これでも十分に思えた。


濃ヶ池の周辺はここまでと違って、登山者が多かった。
ロープウェイで千畳敷からスタートした人たちが、木曽駒との周回で訪れているのだ。
それでも大混雑ということは全然なく、静かでゆっくりと時間が流れているようだった。

濃ヶ池を楽しんだら稜線に戻る。
途中、しっかりと赤く色付いているナナカマドもあった。


谷の向こう側に見える壁は伊那前岳。
その下の斜面は紅葉が谷に流れるかのようで、なかなか圧巻の秋の風景。


伊勢滝方面の紅葉はまだだったが、色付いたらここもすごいことになりそう。


最高の紅葉ゾーンを抜けて稜線に復帰したら、いよいよ木曽駒に向けてラストスパート。
横目で御嶽山と乗鞍岳を眺めながら、馬の背の稜線を進む。


ウラシマツツジの紅葉も鮮やか。


緩急のある稜線を登って行く。
時々、山頂から降りて来る(おそらく濃ヶ池に向かう)登山者とすれ違うが、ここも静かだ。


振り返って、将棊頭山から続く稜線を一望する。
何とも穏やかな風景で、ここが悲劇の遭難事故の現場とは、とても思えなかった。


さっきまでいた濃ヶ池を稜線上から見下ろす。


山頂へはもうひとつ急登が待っていた。


再び振り返って、茶臼山、行者岩から将棋頭山に続く稜線。
稜線直下から谷底に向けてグラデーションになっている紅葉を眺める。


斜面の紅葉をアップにしてみる。


木曽駒から北に延びる支尾根の紅葉も濃密な色付きだった。
稜線と重なって写真では分かりづらいが、背後に見えているのは麦草岳。


ここが最後の頑張りどころで、軽い岩場も越えて行く場所もある。
ちなみに、見えているピークは頂上ではないので、騙されないように。


眼下には濃ヶ池のパノラマ。


急登をクリアして、あとは山頂に向けて緩やかな稜線を残すのみ。
長かったクラシックルートの仕上げに掛かる。


左手には宝剣岳と中岳。荒涼とした風景が広がっている。


頂上山荘への巻き道を分岐して、これが本当に最後の登り。


チングルマの葉の紅葉。


頂上直下だが…、本当にちょっとした登りなのに、なかなか前に進まない。


13:00 木曽駒ケ岳・山頂
そして、スタートから7時間半掛かって、ついに木曽駒ヶ岳に登頂完了。
濃ヶ岳の寄り道を差し引くと6時間半になる。
時間的にはほぼコースタイムどおりだが、正直、疲労困憊と言っていい。
思っていた以上にキツかったが、その分、達成感もひとしお。


木曽駒自体は残雪期に一度、登っているが、雪のある季節とは全く異なる風景である。
ここまでの静けさとは打って変わり、千畳敷からの登山者で賑やかな山頂。
その片隅で、麓から登り上げた成果をしっかりと噛みしめる。

まずは山頂の神社に参拝して、無事の登頂に感謝の意を。
社殿は伊那側と木曽側にふたつあり、こちらは伊那駒ヶ岳神社。


そして、こちらが木曽駒ヶ岳神社。
5月に登った時は、この鳥居は凍てついていた。


それでは山頂からの眺望を楽しもう。
まずは御嶽山方面。
至近の二峰は木曽前岳(左)と麦草岳(右)。
二峰の間にも登山道はあるが、かなりの険路のようだ。
なお、穂高方面は残念ながらガスの中で見えず。


ここからは反時計回りに。
ピラミダルの山容で存在感のある三ノ沢岳。
高山植物が素晴らしいようなので、いつか歩いてみたいと思っている。


空木岳と南駒ヶ岳は、何とかガスに隠れずにいてくれた。
ここの稜線もいつか辿りたい。


南アルプスも雲が大勢をを占めてきた。
手前には中岳、宝剣岳、伊那前岳。


険しい岩稜の宝剣岳をアップで。


伊那前岳の稜線は伊那谷に突き出すようで格好いい。


風景をひと通り楽しんだら、お握りだけの簡単なランチ。
風は少し冷たくて、温かいものを食べたい気もしたが、本当に疲れてしまって、お湯を沸かすのも億劫に…。
苦労して登って来たことの充実感はあったが、早く下山して楽になりたい。

山頂滞在20分ほどで、千畳敷に向けて下山を開始する。
中岳は大した登りでないが、残雪期に登っているし、気力が湧かず、右手に伸びる巻き道へ。


その巻き道は岩がゴロゴロ。
滑落とかの危険はなさそうだけど、決して楽な道ではなかった。
「山と高原地図」では、何気に破線ルートになっていたりする。


周囲には奇石がそそり立つダイナミックな風景が広がっている。


木曽駒は岩の山なんだな。
今回は宝剣岳に登るつもりはなかったので、ヘルメットを持ってきていないよ。
落石とか大丈夫か、ちょっと心配になる。


行きは中岳経由、帰りは巻き道を選ぶ人が多いのか、登山道は少々、混雑していた。
岩場ではちょっとした渋滞も発生。


中岳から下りて来るルートと合流すると、目の前に大きく宝剣岳。
実はまだ登っていないので、三ノ沢岳とセットで計画はしている。


乗越浄土からは、登って来た馬の背の稜線ルートを見渡すことができた。
なんだか感慨深い気持ちになる。


正面に伊那前岳へ向かう稜線が続く。
こちらにも北御所という麓から登って来るルートがある。
残雪期には、見えているピークまで登ったが、なかなかいい場所だった。


ここで右に折れて、乗越浄土から千畳敷に向かって急降下を開始。
疲れた足は踏ん張りが効きづらいので、階段やザレている箇所は特に慎重に下る。


眼下の千畳敷カールは、木々の紅葉はすでに終盤だったが、草紅葉はきれいだった。
南アルプスは雲が掛かっているが、伊那の街が見下ろせて、最高のロケーション。


振り返り見上げれば、迫力のある岩稜。


最後まで見どころ満載のルートだったが、ガスが上空を覆って、カール内まで陽が届かなくなってしまった…。


午後の斜光で、光り輝く草紅葉の風景が見られるかなと思っていたので、ちょっと残念。
それでも、千畳敷カールは雄大だった。


カールの底に降りるルートを選んでいたので、最後はロープウェイ駅に向かって、登り返さなければいけなかった…。
こんなちょっとの登りでも、キツいと感じてしまう。


ロープウェイ駅の周辺は、それなりに混んでいて、乗車待ちの列ができていた。
平日でもこれだけいるとは、さすがは人気の木曽駒。(登山客は半分以下?)
ただ、整理券の配布はなく、列の最後尾に並ぶ必要があった。
ゆっくりコーヒーでも飲みながら待とうと思っていたのに、当てが外れたな…。


ダイヤは関係なしの順次運行で、30分強で順番が回ってきた。
その後はバスで駒ヶ根駅まで行って、飯田線に乗り換え。
ここでの電車の乗り継ぎが良くなく、40分待ちの後、伊那市駅へ。
さらにタクシーで桂小場に戻ると、千畳敷への下山から3時間も経っていた…。

途中、電車の中から夕陽に赤く染まる南アルプスが見えて、それはきれいだった。
下校中の学生さんたちで溢れる車内では、流石にカメラを向ける勇気はなく、写真はなし。
きっと稜線から眺める夕景は素晴らしいことだろう。
西駒山荘に泊まれなかったのが、唯一の心残りになった。

西駒登山道は、じっくりと存分に山に浸ることができる、実にいいコースだった。
そのクラシックルートは、どこか寂しげではあるが、静けさの中に山の息遣いを感じられたような気がした。
体力的にはキツい山行だったが、色鮮やかな紅葉とともに、確かな記憶として残るだろう。

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