2017年の11月22日、元オアシスのノエル・ギャラガーの最新アルバム『Who Built The Moon』がリリースされたので、アマゾンで買った。付録のDVDで語ったノエルは、新しいアルバムに大きな自信を見せ、2018年での来日公演の約束をしていた。また、ファンとの写真やサインも大歓迎だと言っていたが、僕の経験上、ノエル・ギャラガーは写真を一緒に取ることは嫌いで、サインには応じたものだった。また、ノエルは、20代、30代と当時を振り返って当時の出来事を振り返り、オアシスへの加入と、オアシスからの脱退を大きな出来事と挙げていた。また、ドラッグどころか煙草を止めたそうである。人間は変わるものだ。彼は50歳になっていた。リアムは45歳だった。



僕が出会ったころ、初めてライブへ行ったのはオアシスの2000年ツアー(Standing On The Shoulder Of Giants)で、その頃はリアムが確か27歳だったと記憶している。希代のロックンロールスターリアム・ギャラガーに最も熱狂していたのは、2000年から2001年のフジロックに掛けてであって、当時の僕はオアシスにすべての人生を投げ打っていた。
2005年のサマーソニックや日本ツアーではすべてに参加し、オアシスナイトを開いた。ファンとの交流は相まって、多くの恋愛を生んだし、そこで出会った女性の一人と結婚したこともあった。僕の人生のうちで出会った重要な人物は、村上春樹(憧れ)、持田香織(理想の女性)、リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガーだった。


職を転々としながらも、彼らの音楽を聴いていただけに、解散はショックだったし、まあ彼ららしい理由だとも思った。

20年に置けるオアシスへの最も際だった変化は、僕はリアム派からノエル派になったことだった。僕はリアムの新しいバンド、ビーディーアイを大して聴かなかった。いくらかは聴いたが、もう彼には心を動かされることはなかった。ライブへはサマーソニックで一度行ったが、むしろトリのストロークスを熱心に眺めていた。ノエルのライブには2012年のフジロックと、2015年(だったと思う)のツアーに一日だけ参加した。ノエルのライブは、オアシス時代の曲を半分程度織り交ぜて、懐かしい気持ちで眺めていた。スマッシュで前方の座席を取ることもなく、後ろの席で見つめていた。オアシスは解散してしまった。再結成はおそらくはないのかもしれない。しかし、そこには僕の青春が見事なまでに息づいていた。

2017年の夏に、リアム・ギャラガーはサマーソニックに来た。僕はライブへ行かなかった。もう、それほど興味がなかったのだ。僕は37歳だったし、精神薬によってぶくぶくと太った身体を昔の知り合いに見られることも嫌った。しかし、彼の最新作『As You Were』は買った。最初は、ぴんと来ず、二、三度聴いたところで、CDラックに仕舞った。彼のなかで何かが変わり、僕の内側で何かが変わっていた。一抹の寂しさもそこにはなかった。青春の陰りは遙か彼方に過ぎ去っていたし、寂寥感もなかった。

ところが、ノエルの『Who Built The Moon』を繰り返して聴いているうちに、自然と『As You Were』を聴きたくなった。今も、部屋のなかで聴いている。音楽に対して真摯なのは、むしろノエルよりリアムじゃないのか、と思ったほどだった。18曲のメロディーには、オアシス最盛期の勢いはない。すべてを組み合わせても、『Champagne Super Nova』1曲に匹敵はしないだろう。それは、ノエルの最新作についても言えることができる。


常々、クリエイターには最盛期の勢いというものがあると思っている。村上春樹が『ダンス・ダンス・ダンス』で一つの達成を得たように、持田香織が近年その美しさに陰りを見せ始めたように、オアシスの頂点はネブワースパークであり、『(What's The Story)Morinig Glory?』でその天才を余すところなく発揮し、ビートルズ以上の地平に立った時代は既に過去のものとなっていた。遠く、果てしない過去の延長線上にある2017年のギャラガー兄弟は、アルバムを通して感じたことはやはり兄弟なのだということだった。


2018年のノエルのツアーには行くつもりだ。それはフジロックかもしれないし、サマーソニックかもしれないし、来日ツアーかもしれない。


ビーディアイのセットリストを見ていると、彼らはオアシス時代の曲をほとんどしなかった。兄のノエルはオアシスの曲をふんだんに行った。リアムは新しい境地でやっていこうと思っていただろうし、ノエルは過去にこだわっているように見えた。オアシスのファンとしては、ノエルのライブのほうがありがたかったわけである。


『Don't Look Back In Anger』には、未だに心が震えるものがあるし、あの傑作を超えるものは今後生み出されることはないように思う。その曲をライブで聴いたときに、過去30回のライブ参加が胸によみがえってきて、熱くなってくる。いつのまにか、熱を失ってしまった僕の心が過去と交錯し、青春と混じり合い、汽水域のようなものを作り出す。


オアシスのファンと出会い、多くの思い出を作り出した。過去進行形で。それは僕の心に息づいている。その思いが、よみがえってくるのが、ノエルのライブだった。


ちなみに、Every Little Thingのファンクラブには入っているのだが、持田香織は最近ツアーをやっていないので、不満。ファンクラブイベントの開催はいつも東京だし(僕は大阪なのでなかなか都合がつかない)。一度、ツーショット写真を撮りたいというのが念願であり、悲願だったりする。


皆さんは2017年に発売されたリアムとノエルのアルバムはいったいどのように目に映り、感じたのだろうか。良かったら、コメント欄に感想などを頂ければと思う。