6/9は本当についていなかった。

あの日、私は横須賀で開かれてた祭りの手伝いの仕事をしていた。

くそ熱い中、外で動き回っていた私のズボンは太ももにべったりとくっついていた。

昼休憩に近くにある公衆トイレに行き用を足そうと思う。

汗と共に私にまとわりつくズボンをパンツと共によっこいしょとはがす。

とんだ重労働。

そんな状態で後ろポケットに入れていた携帯をぼちゃんと落とす。

最初、何の音かなんて気が付かない。

「なにか、重たいものが水中にしずんでいったんだろうな」

なんて思いながらゆっくりと振り返る。

と同時に「まてよ…重たいものって…なんだ??」と「携帯じゃないかっ」とが0.5秒でいりまじる。

便器の深いところからボコ…ボコ…。と空気の泡が沸き上がった。

この時「やっちまった!」という気持ちが沸き上がった私はケツ丸出しである。

それを確認して認識してやっと気が付いて事実を事実として認めようとした。

それがすべて理解した後の行動は「慌てて手を突っ込み取り出した」。

この事柄はすべてケツ丸出しで行われた。

未だ用はたしていない。

脱いだズボンを慌てて履きなおす。

そして救出した携帯をとにかくズボンの太もも部分でごしごしとふく。

すでに水の浸食は始まっており、画面の上のほうにすでにうっすらと水滴が入っていた。

何度も何度も携帯を振っては持っていたタオルに便所汁をしみこませる。

何度も何度もテンテンテンテンと太ももに充電口のある方を打ち付ける。

少しずつ水がじわりじわり。

しばらくすると水が出てこなくなった。

補足ですが私の携帯は充電の口が上についている。

アイフォンの充電口は下だけど、私のは中国製の格安アンドロイド。

なので、イヤホンも充電口もどっちも上についている。

いまとなってはどっちが上になって水没したかはわからない。

しかし、そこから水が浸入したのは明白。

とにかく、私にはどうにもできない水ってやつが携帯に侵入していることだけが事実。

そして、お手上げ感満載の瞬間に何かをひらめいた。

「この充電器具をさす場所から、掃除機の様な物でつよく吸う力が加われば水がでてくるんじゃないか?しかし…まてよ…掃除機なんてないな……どうしよう」

……
………

そうだ!!私が吸引力の変わらない唯一の掃除機、ダイソンになればいいんだな。

頭をよぎるバカな発想

考えついたらやってみたいタイプの人間なので。私は何を思ったか迷うことなく充電口に口を付けて一生懸命吸いだそうと頑張っている砂の女。

ト・イ・レ・に・落・ち・た・の・に。

すごーーーーーーーすごーーーーー

と携帯を咥えあられもない音で吸い出そうとする。

出て来やしない。

そりゃそうだ。

人間はダイソンになんてなれないんだもの。人間だもの。

がっくりしたまま仕事を終え、数年ぶりの友人にあう約束だったのですぐに向かう。

この時はなんとか電源も入り多少はおかしいもののなんとか連絡はとれるようになった。

あーーーーこの瞬間だけでも使えるなんてありがて!!!なんて思いながら目的地までのいき方を調べた。

そして水没した携帯の治し方も。

乾くまで電源を入れてはだめらしい。入れた。

ふっちゃいけないらしい。めっちゃふった。

…ってやっちゃいけないことばかりやっている自分に情けなさを感じた。でも仕方ない。

会う約束をしていたのが、ポチと私の共通のお友達。昔うちに居候をしながら就職活動をして就活をし、うちから旅立ち、今では結婚して、ハネムーン後に結核になり、数か月前に完治した友人。

つつがなく合流できて一安心。

そして2時間くらいしゃべった後に、違う友達と予定があったので、席をたつ。

ごとごとと砂の女の家に向かう。

私の高校からの唯一の友人が砂の女家から電車で15分の所に住んでいるので、うちの鉢植えたちを預かってもらう約束をしていたんだ。

寝不足と疲れた体に鞭をうち、なんとか家にたどり着き、準備をする。

鉢植えを移動させるようにリュックに入れようとしたら

ひっくり返してしまって家じゅう砂だらけ

うわぁ…。

いいんだ、あとで掃除機をかけるから。

激重の鉢をもち友人のところをめざす。そしてなんとか友人に鉢植えを引き渡し、一緒にご飯をたべ、終電間際の電車に滑り込む。

お日様にあてられて、ショックなできことばかりでお疲れモードだったらしく電車で寝てしまった。

気が付けば自分の最寄り駅から電車が出発進行したところだった。

隣の駅まで行ってしまう。

隣の駅から家まで歩いて帰る。

そんなこんなで帰宅して思った。

「家が汚いなーーーーー」

それもそのはず、仕事でバタバタで家も散らかり始めた。

はぁ…と深いため息をして、パソコンの前に座り、べたべたの体でいろいろ調べ物をして、やっとの思いでシャワーを浴びた。

ああ、なんて一日だったんだろう。なんて思いながらおならをしようと肛門に力を入れる。

(むちちち…)

という感覚。

音もなく爽快感もなく、違和感だけが私を襲う。

そう…酒も飲んでないのに、勢いよくう〇こもらしてしまった。

34歳にもなって一体何やってんだよ…。

自分が情けなくて情けなくて。

完全にやつら「おならです!」なんて顔してくるもんだから…騙された。

出た瞬間「へっへっへ(屁っ屁っ屁)おれら、う〇こだぜ!だまされたな、馬鹿め!!!」なんて声が聞こえた気がした。

せめてもの救いはそれが風呂場だったこと。

そのまま自分にがっかりした表情で洗い流す。

「これじゃきれい系女性には程遠い。なんて弱いんだ。肛門も私自身も。とんだくそ野郎だ」

そんな一日の締めくくり。

むなしさとせつなさとやるせなさ。



なんというか…ざっくりいうとそんな感じで最悪な一日。

さすがにこれ以上なことはないだろう。

なみだなんか流してないやい。勢いよくシャワーをあびる。

最近、女子力を上げようとオシャレサンダルをはいたりしてるもんで…足の指によくマメが出来る。

左足の小指に血豆ができていたので

「あーあ、女子って大変だわ。世の女性ってこうやって自分を傷つけながらおしゃれしてるんだな」としみじみと尊敬した次第です。

かわいそうに、足の指。いつも頑張ってくれてありがとうなんてぶつぶつ言いながら血豆を触ったら…

う〇このかけらでした。

血豆でもなんでもねぇや。

もうね、笑っちゃいました。一人で。


砂の女は人間の尊厳をどこかに落としたくさいです。う〇こもらしてますからね。そりゃくさいわ。

あっはっはっは…
はっはっはっはっは…

こんな思い出は携帯とう〇こ共に水に流したい。

まぁ、昨日はついてなかっただけ。ついてなかっただけの事。