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1/32013/06/25() 14:09:15.71 ID:b/1f6FCF0

叔父から聞いた話し。

 

三十年くらい前、叔父が車を買って、

ドライブの距離を徐々に伸ばしていくくらいの時期。

その日は海岸線を走っていたのだけど、

海の風景に飽きて、山の車線にハンドルを切った。

それから三時間、ずーっと山の中。

途中まではアスファルト舗装の二車線だし、

初めての道なのでなんとも思わなかったけど、

さすがに三時間も山の中を走ってると

(この道、大丈夫なのか?)とオカルト的に不安になってくる。

 

そう思って走っていると、信号がないのはともかく、

文字や記号が一切無いのに気がつく。

道路標識だけでなく、「この先何キロ工事中」とか

「落石注意」の看板なんかも全然無い。

とはいえ引き返すには走りすぎているから

前に進むしかないのだけど、とりあえずガソリンと時間だけは、

まだまだたっぷりあるのが救いだった。

さらに走らせて数十分、先の遠いところで、

ようやく人が歩いているのを見つけた。

 

 

122 2/32013/06/25() 14:09:51.72 ID:b/1f6FCF0

あの人に道を聞こうとスピードを上げたのだが、

はっきり見えるにつれ奇妙な人だというのが解る。

遠目には夏服か?と見えていたのが寝間着にしか見えない。

ようやく近づくと、両肩をだらっと下げたおっさんが、

多幸症のようにへらへら笑っていて、

目の焦点も合わずに歩いてくる。

 

一応隣になったら車を止めて「あの~」と話しかけるのだけど、

全然こっちを見ずに歩みを止めない。

駄目だこりゃと思いつつまた車を進めると、

ようやく建物が見えてきた。

あの建物の人に聞こうと門を入っていったら、

サナトリウムっぽい看板が掛かっていたのだけど、

文字がよく読めない。

 

玄関につけて扉を開けて、

受付に若造が座ってたので挨拶したら、

なんか喧嘩腰っぽい態度で立ち上がってきた。

道を尋ねたら(しゃーねーなー)とウンザリした口調で

「あの道をそのまままっすぐ進んだら町に出るよ」。

お礼を言って戻るとき、

「そういえば寝間着の男の人が歩いてましたけど、

ここの人ですかね?」と言ったら、

若造が真剣な顔になってちょっと考え、

「あ!」と大声を出して、さっきの態度が嘘のように

「教えてくれて、ありがとうございました」

と丁寧に言ってきた。

車を動かすと、若造の言うように、本当にすぐ町に出た。

 

 

123 3/32013/06/25() 14:11:05.53 ID:b/1f6FCF0

ガソリンも時間も大丈夫なんだけど、腹が減ったんで、

すぐに目の前のラーメン屋に入って

ラーメンを頼み、新聞をみたら、

とんでもなく遠くの県に来ていることに気がついた。

といってもラーメン屋の主人には

「すいません、ここ、○○県ですか?」と確認することくらい。

(たとえば千葉県を走っていたはずなのに、

青森県に来ていたとかの感じ)

 

まぁしょうがない。

食べ終えて帰りしな、

「そういえばあの建物って、療養所ですかね?」

と聞いたら、そんな建物は無いと言われた。

頼んで地図を持ってきてもらったら、延々走ってきた道がない。

少なくとも「すぐ町に出た」の曲がり角が存在せず、

そこだけは直に確認した。

 

「まぁまたあの建物を探しに行く気力はないねぇ」

 

で、気になるのは、あの多幸症っぽい男の人は、

若造に言ってよかったのだろうか?悪かったのだろうか?

あそこまで気が触れてしまっていたら

(といっても叔父しか見てないのだが)、

若造に内緒でこっちに連れてきても、

扱いは変わらないんじゃないだろうか?



不可解な体験、謎な話~enigma Part89