民法では、意思能力を持たない者が行った法律行為は無効としています。預金の引き出しも法律行為なので、認知症になると預金者本人が口座から預金を引き出すことも難しくなります。

 成年後見制度とは、法定後見制度と任意後見制度から成る制度で、本人の意思能力が不十分である場合に、本人の利益を守ることを目的とする制度です。後見人等が与えられた権限の範囲の中で、本人の財産管理を行い支援する制度です。法定後見制度では、家庭裁判所が後見人等を選任しますが、任意後見制度では、本人があらかじめ依頼したい後見人等と任意後見契約を交わしておきます。

 後見人等には、子などの親族がなることは可能ですが、誰を選任するのかは家庭裁判所が決めます。親族間や候補者の事情、本人と候補者との関係などによっては選任されないこともあります。親族が選任されたとしても、相続対策などで財産を自由に処分することはできません。成年後見制度は、本人の利益を守ることを目的とする制度なので、後見人等でも自由に財産を処分するとはできません。

 同制度を利用して本人の口座から引き出しができるまでには3~4カ月要します。全国銀行協会では、預金者本人の生活費や医療費、介護施設費用のための引き出しが必要な場合には、窓口での相談を奨めており、各銀行が個別の対応を行うものとしています。もちろん、本人以外の継続的な引出しを希望される場合には、成年後見制度を利用をすることが原則であることには変わりはありません。