近年発売されているCPUの多くは「AVX」と呼ばれる機能を備えています。このAVXとはCPUの拡張命令セットのひとつで、対応したアプリケーションの処理を高速化することができます。

 AVXはIntelの第二世代Coreプロセッサー(Sandy Bridge)から導入されたもので、現在では後継の「AVX2」や「AVX-512」に対応したCPUが登場しています。アプリケーション側では、動画エンコーダーのx264やx265や画像処理の分野で活用されています

●AVXの利用で増加する発熱と消費電力と、それに対処するための「AVXクロック」

 AVX拡張命令は対応CPUとアプリケーションの組み合わせにより処理を高速化できる一方で、効率的にCPUの演算器を活用するため、CPUの発熱や消費電力が増大するというデメリットもあります。

 AVX利用時の発熱増加に対応するため、サーバー向けCPUの一部には通常の動作クロックの他に、数倍低い「AVXクロック」が設定されているモデルもあります。これは、AVX利用時に多少低いクロックで動作させることにより、CPUの発熱と消費電力をTDPの枠内に抑えるための設定です。

 こうしたサーバー向けの機能のスピンオフとして、最近のIntel製CPU向けマザーボードには、AVX利用時にCPU倍率を引き下げる機能をBIOSに備えた製品が登場しています。

●オーバークロックのチューニングに利用できるAVXクロック

 一般向けかつAVXクロックを利用できるマザーボードでは、AVX命令が利用されている際、オフセット値として設定した分だけCPU倍率を引き下げることができます。

 定格での使用でこの機能をを利用する必要は特にありませんが、オーバークロック設定のひとつとして利用することで、AVX利用時の発熱による温度的な限界を緩和しつつ、AVXを利用しないゲームでの限界クロックを高めるといった調整が可能となります。

 ただ、注意したいのはゲームのようなメインで動作するアプリケーションがAVXを利用していない場合でも、同時に実行した配信ソフトや録画アプリなどがAVXを利用する場合、CPUクロックはCPU倍率を引き下げたAVXクロックで動作することになります。
avx_setting
 オフセット値の表記はマザーボードメーカーごとに異なりますが、下げる分のCPU倍率の数値を設定することになります。写真はASUS TUF Z390-Plus GamingのBIOSです。「AVX Instruction Core Ratio Negative Offset」という項目で、いくつ倍率を下げるかを整数値で設定します。
 なかなか面白いチューニングが可能なAVXクロックですが、実際に運用する場合には、動作時のCPUクロックをモニタリングして、想定通りのクロックで動作しているかチェックすることが重要となるでしょう。