2010年07月30日 09:45
インセンプション
摩訶不思議なる映画!とどうして相手と夢が共有できるの???脳に侵入、意識を加工 SF映画「インセプション」2010年7月29日印刷
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クリス・ノーラン監督「インセプション」
他人の意識に入ることを主題にしたSF映画「インセプション」が全国公開されている。メガホンを取ったのは「ダークナイト」などをヒットさせたクリストファー・ノーラン監督。10年間温めていた先鋭的なオリジナル脚本を、レオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド大作に仕立てた。 ノーラン監督は、2000年に低予算でつくった出世作「メメント」以来、夢や記憶など人の脳でつくられるイメージに強い関心を抱いてきた。 「かつて、記者会見でその理由を聞かれ、『私は人間の心の中に住んだことがある』と答えた。半分は冗談だが、半分は本気。映画という道具には人間の主観的な世界に入る力があるのだ」 主人公のコブ(ディカプリオ)は他人の意識に入り、新しいアイデアを脳内から盗み出す仕事をしている。彼は日本の実業家(渡辺謙)から特殊な依頼を受ける。ライバル企業の後継者の脳に「自分の会社をつぶす」というイメージを植え付けてほしい、と。 偽のイメージを他人の脳に持ち込むのが今回のコブの仕事。それは、劇場に来た観客に虚構のイメージを与えるという映画監督の仕事の暗喩(あんゆ)に見える。 「脚本段階では意識していなかったが、撮影中に、コブのやっていることは映画づくりそのものだと気づいた。私たちも観客のために一つの虚構世界を構築しているんだと、ずっと考えていた」 街が破裂したり、空間がゆがんだり。夢の世界がリアルな映像となって立ち現れる。「映像については、今までで一番うまくいった。私がつくりたかったイメージはほぼ全部つくれた」と話す。 流行の3D(3次元)映像にはしなかった。 「試験的に3D映像でつくってみたが、満足出来る水準には達しなかった。観客が望むなら検討するが、私自身は3Dの信奉者ではない。大きなスクリーンで横幅のある映像を見るのに、3Dが適しているとは思えない。むしろテレビゲームなどに合っているのではないか」 ハリウッドはいま、ヒット作の続編やベストセラーの原作ものが主流だ。オリジナル脚本を映画化するのは難航したのではないか。 「メジャーの製作会社だって、続編ばかりでいいとは思っていない。まったくの新作はリスクが大きく、簡単にはゴーサインを出さないが、私は前作『ダークナイト』で観客を集めたから信頼されたのだろう。製作のワーナー・ブラザースは『マトリックス』を出した会社。今作のコンセプトも深く理解してくれた」
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クリス・ノーラン監督「インセプション」
他人の意識に入ることを主題にしたSF映画「インセプション」が全国公開されている。メガホンを取ったのは「ダークナイト」などをヒットさせたクリストファー・ノーラン監督。10年間温めていた先鋭的なオリジナル脚本を、レオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド大作に仕立てた。 ノーラン監督は、2000年に低予算でつくった出世作「メメント」以来、夢や記憶など人の脳でつくられるイメージに強い関心を抱いてきた。 「かつて、記者会見でその理由を聞かれ、『私は人間の心の中に住んだことがある』と答えた。半分は冗談だが、半分は本気。映画という道具には人間の主観的な世界に入る力があるのだ」 主人公のコブ(ディカプリオ)は他人の意識に入り、新しいアイデアを脳内から盗み出す仕事をしている。彼は日本の実業家(渡辺謙)から特殊な依頼を受ける。ライバル企業の後継者の脳に「自分の会社をつぶす」というイメージを植え付けてほしい、と。 偽のイメージを他人の脳に持ち込むのが今回のコブの仕事。それは、劇場に来た観客に虚構のイメージを与えるという映画監督の仕事の暗喩(あんゆ)に見える。 「脚本段階では意識していなかったが、撮影中に、コブのやっていることは映画づくりそのものだと気づいた。私たちも観客のために一つの虚構世界を構築しているんだと、ずっと考えていた」 街が破裂したり、空間がゆがんだり。夢の世界がリアルな映像となって立ち現れる。「映像については、今までで一番うまくいった。私がつくりたかったイメージはほぼ全部つくれた」と話す。 流行の3D(3次元)映像にはしなかった。 「試験的に3D映像でつくってみたが、満足出来る水準には達しなかった。観客が望むなら検討するが、私自身は3Dの信奉者ではない。大きなスクリーンで横幅のある映像を見るのに、3Dが適しているとは思えない。むしろテレビゲームなどに合っているのではないか」 ハリウッドはいま、ヒット作の続編やベストセラーの原作ものが主流だ。オリジナル脚本を映画化するのは難航したのではないか。 「メジャーの製作会社だって、続編ばかりでいいとは思っていない。まったくの新作はリスクが大きく、簡単にはゴーサインを出さないが、私は前作『ダークナイト』で観客を集めたから信頼されたのだろう。製作のワーナー・ブラザースは『マトリックス』を出した会社。今作のコンセプトも深く理解してくれた」