
1957年、ロシア(旧ソビエト連邦)のロスラーヴリ州プレチーストエ村の農家に生まれる。
1961年、一家でヤロスラーヴリ(Yaroslavl)に移り、ヤロスラーヴリ芸術学校(Jaroslawl Art Institute)で絵画を学ぶ。
1977年、モスクワのロシア国立映画大学(Vsesoyouzny Gosoudarstvenni Institut Kinematographiy - VGIK)に入学。
1981年にアートディレクターとして映画界に入った。ユーリ・ノルシュティンらに師事した後、1989年に『雌牛』(The Cow)を発表。
『雌牛』は、1990年の米アカデミー賞(オスカー)にノミネートされ国際的に注目を浴びたのを始めとして、第3回広島国際アニメーションフェスティバルグランプリのほか、バルナ(ブルガリア)、オタワ(カナダ)のアニメーションフェスティバル、ベルリン映画祭にて受賞。
その後、ヤロスラーヴリにパノラマ・アニメーション・フィルム・スタジオ(Panorama Animation Film Studio)を設立し、2作目『おかしな人間の夢』(The Dream of a Ridiculous Man)を1992年に発表。1994年にかけてアヌシー(フランス)、オタワ、タンペレ(フィンランド)、エスピノ(ポルトガル)、ビラコンデ(ポルトガル)、広島など、世界各地のアニメーションフェスティバルで数々の賞を受賞。
『水の精 -マーメイド-』(The Mermaid)は、1998年の米アカデミー賞(オスカー)に2度目のノミネートをされた他、シンアニマ97のグランプリ、広島国際アニメーションフェスティバル広島賞等々を受賞。
そして2000年3月、本作『老人と海』により短編アニメーション部門にて第72回米アカデミー賞(オスカー)受賞。
最近は、2001年のコカコーラ社のクリスマス用の30秒テレビコマーシャル(Classic-Sundblom)を制作した後、連句アニメ『冬の日』に参加している。
2006年、イワン・シメリョフ原作の『My Love』春のめざめ)を発表し、米アカデミー賞にノミネートされた。広島国際アニメーションフェスティバルにて観客賞と国際審査特別賞を受賞。ジブリ配給作品として2007年3月公開され話題となる。

ペトロフは、この『老人と海』で初めて商業映画に取り組む。
しかも70mm大型映像の巨大なスクリーンへの挑戦となった。彼の手法は、通常のセルアニメとは大きく異なり、描いて、撮影し、消して、また描いて、撮影する。単純で孤独で、緻密な作業が繰り返される。作画がスタートしたらそのシーンが終了するまでは途中での失敗や描き直しは不可能となる。彼のアニメでは、そのシーンの最後のフレームの状態でしか原画が残らない。原始的なスタイルから生み出される極めて独創的な表現力と繊細で豊かなアニメの世界は見る人々に深い感動を与えている。
Pascal Blais StudioのHP>>http://www.pascalblais.com/


老人と海
仏題 Le Vielle homme et la mer
英題 The Old Man and the Sea
1999年、23分
ドローイングアニメーション
日本語版
◆監督:Alexander Petrov
◆声の出演:三國連太郎、松田洋治
◆プロデューサー:Beranard Lajoie (Pascal Blais Studio)、島村達夫(IMAGICA)
◆国際共同制作:PRODUCTIONS PASCAL BLAIS(カナダ)、PANORAMAANIMATION FILM STUDIO of YAROSLAV(ロシア)、IMAGICA、NHKエンタープライズ21、電通テック(以上、日本)
ヘミングウェイの「老人と海」を油絵が動いているような、ぬくもりのある映像を得意とするロシアのアニメーション作家アレクサンドル・ペトロフが4年以上かけてアニメーション化した不朽の名作。
ガラス板に指を使って描く絵画アニメーションがコンピューター制御による、当時最先端の制作システムでテニスコート2面ほどある巨大スクリーンに再現された。ペトロフにとって本作ははじめての商業映画となり、第72回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞(2000年)。
日本、カナダそしてロシアの国際共同制作の輝かしい金字塔となった本作を、CAF11ケベック特集では日加共同制作の継承者への激励として再演する。本作はアニメーションの第1 部「老人と海」(23分)と、エリック・カーネル監督のドキュメンタリー、第2部「ヘミングウェイ・ポートレイト」(17分)の2部構成だが、今回はアニメーションを上映。
◆あらすじ

・・・ひとりの老漁師がいた。すでに一匹も魚が釣れない日が84日続いていた。最初の40日は近くに住む少年、マノーリンが一緒だった。あとの44日、少年は別の舟に移り、老人は1人海に漕ぎ出ていた。85日目に老人はこれまで行ったことのない、遠い海に漕ぎ出て行った。昼ごろに一匹の巨大なカジキが餌に掛かり、老人は魚に曳かれるままに北西に向かう。日が沈み、夜になっても魚は力を休めることもなく舟を曳き続ける。
老人はもてる力を振り絞り、知る限りの英知と技を駆使して、魚との戦いを続ける。夜が明け、昼になって初めて魚は浮かび上がり、姿を見せる。ふたたび日が沈み、夜になり魚は舟の周囲を輪を描きだし、ついに老人は銛を打ち込み、戦いを終える。老人は魚を舟に縛りつけ、帰途につく。しかし新たな戦いは鮫の出現によって始まる。昼に始まった戦いは夜まで続き、魚は頭と骨だけの屍となる。かくして疲労困憊の末、老人は港に辿りつき、家路に向かう。翌朝、少年が小屋を訪ね、愛する老人の帰還を知る。
◇ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパンからDVD作品集が発売されている。
老人と海
アレクサンドル・ペトロフ作品集
◆WAT 2010/CAF 11に出品した、カナダの制作会社Pascal Blais Studio(パスカル・ブレ・スタジオ)について>>
ここに掲載するすべての画像(C)IMAGICA TV / NHK Enterprises / DENTSU TEC
なお、ペトロフ監督の経歴、作品紹介は株式会社IMAGICA TV作成資料を参考にした。
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