Annecy 2012 Conference Summary - Financing Animation Feature Films
長編アニメーション映画の資金調達

概要
フランス映画は産業として見ると財産物件としての純粋価値の比率がとても低い(資産価値が低い)ため、映画制作の資金調達は必然的に川上で行わなければならない。これは、アニメーション映画では一般的な問題だ。フランスのプロデューサーは今日の対策(状況)を楽観視しているものの、次の諸点で改善を要すると判断している。割り当てられた金額が少なすぎること、特殊な基準がプロデューサーの助成金申請をほぼ不可能にしていること、などなどだ。フランスでは、 France 3 CinemaとCANAL+だけが出資を行うものの、それもしばしば思い切った基準に則る。ドイツでは、地上波放送局がアニメーションへの関心を失ってい るために、共同製作の増加傾向が顕著に表れている。別のカーブ(増加傾向)は、現在のところより心理的なカーブだが、しばしば必要悪と見なされる国際共同製作でも出資者の一つであるということだ。良い共同製作とは、企画開発段階のとても初期から計画されねばならない。

Speakers: Valerie SCHERMANN (Prima Linea Productions), Guillaume GALLIOT (Label Anim), Stephan ROELANTS (Studio 352), Sara WIKLER (CANAL+), Valerie LEPINE-KARNIK (CNC), Olivier COTTET-PUINEL (Pathe Production), Gabriele ROETHEMEYER (Medien- und Filmgesellschaft Baden-Wuerttemberg, Filmfoerderung)
Moderator: Isabelle DEVAUX (Cofiloisirs)

Key words: financing, CNC, terrestrial TV, distributors, pay TV, CANAL+, co-production, regional funding

内容:
● アニメーション、費用の掛かるジャンル
● 主要な出資者の把握
● Label Animの反論
● 映画のセグメンテーションと資金調達の効果
● CANAL+、必要不可欠だか、注文の厳しいパートナー
● ベルギーからドイツへ、共同製作プロファイルの比較
● CNC、特別な資源・資本金(巨額の?)を持つ専門店

フランスそしてヨーロッパには、長編映画の経済活動を強化することへの戦略的な関心がある。この分野には成長ベクトルがあること、雇用を刺激して技能技術を助成する機会がある。現在の状況は、これらの可能性を最大限に活かせない。

フランスの映画産業は基本的に財産物件としての純粋価値の比率がとても低い(資産価値が低い)ため、フランス映画は産業として見ると財産物件としての純粋価値の比率がとても低い(資産価値が低い)ため、映画制作の資金調達は必然的に川上で行わなければならない。これは、アニメーション映画では一般的な問題だ。後者(アニメーション)では、新プロジェクトの資金調達はどのようになされているのだろうか?

Prima Linea Productions のプロデューサーであり、創立者のValerie Schermannは、マーケット概況から話しを始めた、「2010年、7本の長編アニメーション映画は426万人の動員を達成した(426万のチケット を販売した)。さらに、これらの映画は国外で非常に良い成績を上げた。これは朗報のように聞こえる。しかし現実はそうではない、現実的な理由として、アニメーション(の制作)には金が掛かるのだ(・・・)」。

● アニメーション、費用の掛かるジャンル
「(・・・)2001年から2010年の間で、300万ユーロ(約3億円)を下る予算のフランスのアニメーション映画はなかった。それどころか、平均の見 積は800万ユーロにも上った(実写映画の平均は300万ユーロ)」。Schermannは2つの事例を挙げた。有名な俳優を起用した大作の実写映画 「Heartbreaker」の予算870万ユーロなのに対し、Les Armateursが製作した「Ernest & Celestine」の予算は920万ユーロに上った。さらにSchermannによると、問題は企画開発段階から起こっていた。Schermannが打 ち明けたことに観客も賛意を示したのは、「普通、CNCはアニメーション映画に対し他のジャンルより手厚く支援する傾向があり、800億ユーロを上限とす るMEDIAのファンディングも同様だ」。しかしながら、「基準を見直すべきだ」:割り当てられた金額はあまりに不十分で、差別的な基準のためにプロ デューサーがプログラムの資金を得るのは不可能に近い(過去4年間に最低でも3本の映画を制作していなければならない)、税額控除には6ヶ月という期限が ある(当然のことながら、こんな短期間でアニメーションは作れない)。

「Zarafa and U(Zarafa et U)」のプロデューサーにとって、「脚本を除けば、15万ユーロ以下でアニメーション映画をちゃんと企画するのは無理だ」。

● 主要な出資者の把握
次ぎに、Schermannは彼女が考えている、長編アニメーション映画の実現に絶対必要な資金支援者を数え上げた。まずプロデューサー、そして税額控除 (上限100万ユーロ)、地上波放送局(無料放送)、有料放送局、選択助成金(CNC、MEDIA、Eurimages – 2009年からアニメーションへ拠出開始)、地域助成金(地域圏そして/または県レベルのファンド)、配給のMG(分配金の最低保証額/劇場公開、ビデ オ、国際販売)。

さまざまな資金支援者が定義された。ある支援者は他と比べると資金の流れの中で見えにくいのだが、最初に地上波放送局が語られた。「今日、France 3 Cinemaのみが支援を提供しており、支援対象は年間3ないし4本のみだ。それでも、無いよりはましだ。Arteは、来年から、年間に長編映画1本へ支 援提供する意図があると発表した」と、Schermannは指摘した。自社権利の映画にのみ出資するM6を除けば、他の地上波放送局の存在はまるでない。
対照的にCANAL+は衰えることのない支援を継続しており、毎年プリバイされる110本の映画のうち6本は、フランスが過半数以上を出資するアニメーション映画である。「彼らが存在することを、神に感謝します」、とSchermann。

フランスの地域助成金では、最も関与しているのが広域的な地域経済フレームのもので、このジャンルの先導的助成金であるPoitou- Charentes(Charente県)、Rhone-Alpes地域圏、そして“そこまでは重要でないが”と前置きしてIle-de- France(イルドフランス - パリ首都圏)。
Schermannは次のように結論づけた、「ほぼ全てのケースで、フランスのプロデューサーが単独での資金調達するのは困難だ。そこで、外国との共同製 作が求められるのだ」。しかし人が思うより、国際化とは資金的な減算の一つであって、加算ではない。「共同製作に参加するということは、単に予算ラインの 増加を確実にするという意味だけでない。共同製作とは、制作が分散してしまうこと、それによって時間を弄し、移動を要し、しばしばワークフローを管理する ツールを購入しなければならないことを意味する。さらに、より少ない税額控除、低い地域助成金、映画支援資金や次回作の資金調達に対する悪影響も意味する」。

● Label Animの反論
Label Anim Productionsのプロデューサー、Guillaume Galliotは別の見方をする。彼は自己紹介を次のように始めた「Label Animでは経験がない。なぜなら、Thibaut Chatel とMarc Borealが監督する、弊社の長編第一作「My Mommy Is in America and She Met Buffalo Bill(Maman est en Amerique, elle a rencontre Buffalo Bill)の制作に入ったばかりだから」。

「わが社にとって、資金調達計画で最初の立ち寄り先は劇場のディストリビューターだ。この立ち寄り先の後は、1本の映画の目的が正真正銘の劇場公開とな る。これは、王が臣下に爵位を授ける儀式(dubbing ceremony)の様なものだ」。Schermannによると、ディストリビューターはトッププライオリティではない。Galliotは続ける。国際共 同製作を成立のが必要であると理解しているが、結局「時間が掛かり、費用がかさみ、より複雑」になってしまうのではないかと感じている。この意見に、 Prima Lineaのプロデューサーも同調する。しかしながら、Label AnimのGalliotは付け加えた、「地上波放送局なしで1本の映画制作が成立できるのではないか。それはより厳しくなろうが、実現可能なのだ。我々の現在の事例がそうだから。それは興味深い。なぜなら、放送局が制作の初期段階から割って入ってきて、しばしば妨げられた可能性を開くことになるから」。

これを聞いてSchermannが反論した、「それでは墓穴を掘ることになる!わが社のオムニバス長編「Fear(s) of the Dark(Peur(s) du noir)」でやってしまったことだ。わが社の経営状態を悪化させるほどリスクの高いことだと分かった」。

● 映画のセグメンテーションと資金調達の効果
現在、長編アニメーションはターゲットオーディエンスにより2つつセグメントに分けられる。結局のところ、アニメーション映画はファミリー層をターゲットとする、若いプロパティだ。しかし路線は作家主義の映画とエンタテインメントに分かれる。CANAL+のフランス映画購買マネージャー、Sara Wiklerによると、「セグメンテーションの問題がわが社の出資決定に影響を与えることを認めざるを得ない。加えて、わが社のプレバイは予め予想できる。別の言い方をすれば、明確に定義された放送枠に適う映画という以外の理由で購買はしないということだ」。Wiklerはその率直な言葉を続ける、「若 い作家の映画はわが社の編成に合わないと思っている」。

例を挙げるとすると、Johan Sfarが自らのコミックスをアニメーションにした「The Rabbi's Cat(Le Chat du rabbin)」は、CANAL+ FAMILYのFriday Box Office枠で視聴率(aka audience share)でわずか0.5と低かった」。

しかし、フランスで制作されユニバーサルが製作した、Pierre CoffinとChris Renaudの「Despicable Me(Moi, moche et mechant)」は3.8という視聴率だった。「これら2本に出資したことに満足しているが、一方は他方より良い成績を残したことを認めざるを得ない。 プライムタイムの全ジャンルを合わせた平均値は1.7であり、差の大きさが分かるだろう」。

● CANAL+、必要不可欠だか、注文の厳しいパートナー
現在CANAL+が制作中の16本にプレバイしたという実績は際立ち、その中の「最初は5本が長編映画、9本が初監督作品、少なくとも4本は地上波で放送 されていない」。後者には立体視3D映画の「Asterix and the Mansions of the Gods(Asterix et le Domaine des dieux)」、Roy Lewisのベストセラーの映画化「Pourquoi j'ai (pas) mange mon pere」が含まれる。加えて、CANAL+のマネージャーがエンタテインメントのカテゴリーとする、「「Kirikou 3」、「Ernest & Celestine(Ernest et Celestine)」、コミックス原作の「Aya of Yop City(Aya de Yopougon)」などの作家主義の映画をプレバイした」。

公開実績といくつかの変数によって、アニメーション映画はグリッド上で分析され、Premiumチャンネル以外の初放送に使われる。例を挙げれば「The Rabbi's Cat」は「Of Gods and Men(神々と男たち)」と同じ枠で放送された。Jean-Francois Laguionieの「The Painting(Le Tableau)」はCANAL+ FAMILYでなく、やはりCANAL+ Cinemaで放送された。

Wiklerは、(実写映画と比べて)低い投資率を説明した、「CANAL+ FAMILYは、視聴者のわずか1/4しかPremiumを期待しておらず、アニメーションにおいては10%に過ぎない。実写映画は18〜20%である」。(補足、放送でアニメーション映画がプライムタイムに放映されることはほとんどない)

誰が何と言おうと、「アニメーション映画の“わずか”8〜9本しかプレゼンされないのに、年間で5〜6本というのは、高率な投資だ」と、Wiklerは述べた。

その時観客から質問が出た。CANAL+のような組織における資金拠出の基準は?「エンタテインメントのベクトルであるかどうか、あるいは作家主義映画の 制作支援エンジェルなのか、ブランドイメージ作りのためにTVシリーズから生じた使用権とすべきなのか」。全体から見れば、CANAL+は年間60 万〜100万ユーロを投資する。「劇場公開で成功した映画は、わが社の放送枠でもそのポジションを変えることはない」とWiklerは締めくくった。選択 は事前に決定づけられている。

● ベルギーからドイツへ、共同製作プロファイルの比較
遅れて到着したパネルは到着するなり、「これぞまさしく共同プロデューサーの見本だ:遅刻、やや優柔不断で、テーブルから離れて座る」と、ルクセンブルグのStudio 352のプロデューサー、Stephan Roelantsは共同製作に対する持論を展開した。

「共同製作は避けられないものになった。外から見れば、ある種の心理状態に見えるだろう。「Ernest & Celestine」では、本作に必要なこと(を考えること)から始めて、わたしたちが作りたい映画を実現するのに必要な金額を決めていった。それから、 資金調達の方策に取りかかった。他の方法では失敗し、映画は頓挫したであろう」。「共同プロデューサーはその場凌ぎではない。プロジェクトの最初から彼/ 彼女を含めれば、単なる支持者以上の者になるだろう」と、Roelantsはキーポイントを強調した。

Medien- und Filmgesellschaft Baden-Wuerttemberg, FilmfoerderungのCEOであるGabriele Roethemeyerは、ドイツの現況に警鐘を鳴らした。「全ての放送局が、長編アニメーションから手を引いている。もっとはっきり言えば、ビデオゲーム のようなターゲットがはっきりした企画や視聴者/消費者主導のプロダクト以外は、わが国内のアニメーション映画の制作はほとんどない。このように、共同製作を制限している。

それからRoethemeyerは、大きな予算があり大きな助成金として知られるドイツの地域支援の評価ははっきりしていると述べ、そして申し訳なさそう に、「優先的に選ばれるのはわが国のタレントとプロデューサーだ。もちろん共同製作に大きく門戸を開いているが、ディストリビューターの方針が市場をやや 歪めている。つまり、ディストリビューターは、ヨーロッパより、もちろんドイツの映画より、北米(アメリカ)の映画に全面的に出資したがるのだ」。
(イタリアのような)ヨーロッパ市場におけるアメリカ映画優先が、自国制作の息の根を止め、国際共同製作を瀕死の状態に追い込んでいる。

Studio 352のRoelantsは彼の立ち位置に言及し、次のことが重要だと付け加えた、「パートナーはそれぞれの制作力を伸ばしている。プロジェクトのできるだけ早い段階から共同プロデューサーと連絡を取り合わねばならない。特に、わたしがPrima Lineaの見解に異論を挟んだとしても、それが侵害と受け取られない関係でなければならない。他の何よりも、これがチャンスになると信じている」。そし てRoelantsは、アメリカのメジャー映画がアニメーション映画界で商業的な独占的地位にあることが、異なるタイプの映画制作を促すチャンスになるのかを、ヨーロッパのプロデューサーが考えるべきだと促した。

● CNC、特別な資源・資本金(巨額の?)を持つ専門店
CNCはプロジェクトファイナンスにおける大きなプレイヤーだ。CNCの映画部門のValerie Lepine-Karnik副部長によると、アドバンス助成金の平均額は46万ユーロになる。

「Finalementが製作し10月公開予定の「The Day of the Crows(Le Jour des corneilles)は60万ユーロに上った」。

「アニメーション映画にはやりにくい金額」と、CNCに批判的な人たちは評する。CNCを代表してLepine-Karnikが挙げた数字では、663プ ロジェクトが保証され、そのうち15だけがアニメーションであったが、最終的には57本が助成された。「Prima LineaやCANAL+のように料率を低いと考える人たちに、他に当たるべきコンタクト・ポイントを案内したい。プレゼンテーションから企画開発まで、 そして脚本へと、これらのキャッシュ・ポイントは開かれていて、選ばれる確立としてはどちらかと言えば良いほうだ」。

彼女の意見では、税額控除は資金調達の重要な方法で、2011年には10本の助成映画が控除を受け、その中の5本はフランス主導のプロジェクトだった。

しかしながら、(自動助成金制度がない長編アニメーション映画の助成に対して)“passerelle cinema”(映画の橋渡し)と呼ばれる特別な方法もある。ある一定の条件を満たせば、放送番組産業支援会計(COSIP)にアクセスできるプロデュー サーは長編アニメーション映画の開発にそれらの助成金を投資できる。このような映画と放送番組の分離原則の例外は、放送番組のプロデューサーが、CNCの自動助成金をこれまでに受けていなくても、既成の放送番組のアカウントが基準を満たしていれば、長編アニメーションの開発に資金調達できるようにした。

2011年には、ただ1つのプロジェクトに40万ユーロが助成された。それはLabel Animの「My Mommy Is in America(Ma maman est en Amerique)」だった。CNCの代表者は、「CNCはこの金額を40万から50万へ増額しようとしている。それは数ヶ月のうちに実現するだろう」。

以上
Annecy 2012 Conference Summary - Financing Animation Feature Films
Drafted by Stephane Malagnac, Prop'Ose, France
Conferences organized by CITIA
under the editorial direction of Rene Broca and Christian Jacquemart
Translated by Sheila Adrian
Contact: christellerony@citia.org

和訳文責 オフィスH