2007年06月20日

トンボの幼虫

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★トンボの幼虫

“ヤゴ”、トンボの幼虫。水中のどろの中で、ほとんどドロ色で過ごしている生き物がいる。網で沼のドロをすくうと、水中に住むゲンゴロウやミズカマキリに混じってヤゴが採れてくる。
 目玉はギョロッとしていて、顔だけみるとしっかりとトンボ。でも、姿を見ては、これがあのスマ−トな胴体を持ち、軽々と空中を飛び回るトンボになるとは、到底思えない。
 このヤゴが、夏のジリジリと照る日中、岸辺の石や草木によじ登ってくるものがある。それを手のひらに乗せて、時の来るのを待つ。
 日の光に照らされ乾いたヤゴの背は、やがて1本の縦スジが入る。しだいにスジが広がり、透き通るように白っぽい青や緑の色をした背が見えはじめる。その後ろに頭の部分が、そして前足から順に6本の足が、これまでの殻を残しながらゆるやかに動かしながら姿を現す。後ろへ反るような動きを繰り返しつつ、腹の部分もすべて抜け出る。
 ちぢれていて申し訳なさそうに付いている透き通る羽も、ゆっくりとシワを伸ばすように、しだいに伸びていく。
 太陽の光とともに、殻から抜け出した体は、キラリとした深い青色や緑に染まり、しっかりとした足取りで、すっかり伸びきったカタビラを動かし、飛び立つ準備をはじめる。
 こんなドラマが、広げた手の平の中で演じられる。

 生き物が、一生の中で最も大切な時間を、人の手のひらで演じていることに不思議さを覚える。一転して、空中の眩しい光の世界へと、数時間の間に変身してしまうのだ。

 殻を脱ぎ捨てたトンボの目には、何が最初に映るのだろう。そして、何をめざして飛び出すのだろう。

                   「心の風景のデッサン」より

 

http://ofuroudo.jugem.jp/?eid=63 トンボの幼虫(ヤゴ):温泉人(おふろうど)Galleryより

http://www2c.biglobe.ne.jp/~ofuroudo/dessan.htm 「心の風景のデッサン」 



ofuroudo at 07:25│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by 旅心   2007年06月22日 21:24
トンボの幼虫はきっと命がけのくらいの勇気を振り絞って水上に出て来るのでしょうね。私達、人間も決断する時、一歩踏み出す時、この幼虫のような勇気を見習いたいものと思います。
2. Posted by 温泉人(おふろうど)   2007年06月22日 23:55
この世に生れ落ちること、命がけから始まります。命の灯りを赤々と燃やす生き方、していきたいですね。脱皮して、思い切り飛んで行きたいですね。

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